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インボイス登録「やっぱりやめたい」もOK!申請の取り下げ方法

更新日: 2023/03/02 投稿日: 2023/03/03
インボイス登録「やっぱりやめたい」もOK!申請の取り下げ方法

インボイスの登録申請をした後も、2023年9月30日までなら簡単に取り下げできます。基本的には「取り下げ書」を1枚郵送すればOKです。とくにデメリットもありません。

INDEX

目次

    インボイスの準備期間 – いつまで取り下げできる?

    • 2023年10月1日からインボイス制度がスタートする
    • 2023年9月30日までは「準備期間」とされる
    • この準備期間中は、インボイスの登録申請や取り下げが自由にできる

    インボイスの登録申請をすると、従来の請求書や領収書に代えて「適格請求書(通称:インボイス)」を発行できるようになります。インボイスが流通し始めるのは、2023年10月1日からです。

    インボイスの登録申請はいつまでにやればいい?

    適格請求書発行事業者の登録申請期間 - 10月1日付で登録する場合は9月30日まで

    「登録申請したけど気が変わった。やっぱりやめたい」という場合は、9月30日までに「登録申請書の取り下げ書」を提出すればOKです。提出先は、所轄の「インボイス登録センター」です(詳細は後述)。

    インボイスの登録申請はいつまで取り下げできる?

    適格請求書発行事業者の登録申請の取り下げ期間 - 9月30日まで

    インボイスの登録申請を取り下げれば、消費税の免税事業者のままでいられる個人・法人も多いでしょう。2023年10月1日を過ぎると後戻りできないので、それまでには方針を固めておく必要があります。

    ちなみに、2023年10月1日を過ぎてからやめるには「登録の取り消し」という別の手続きが必要です。この場合、やめられるのは最短でも翌年となります(法人の場合は翌事業年度)。

    そもそも「インボイス制度」って何だっけ? 5分でわかるインボイス制度

    取り下げ方法(2023年9月30日まで)

    インボイスの登録申請を取り下げる際は、以下の手順で「取り下げ書」を郵送しましょう。e-Taxでも提出できますが、手順が複雑なので郵送をおすすめします。

    取り下げの手順 – 郵送する場合

    • STEP1:登録番号がわかる資料を用意する(同封はしなくてよい)
    • STEP2:「登録申請書の取り下げ書」を作成する
    • STEP3:「インボイス登録センター」宛てに取り下げ書を郵送する

    上記の手順は、インボイスコールセンターにて確認済(2023年2月時点)

    「登録申請書の取り下げ書」の様式は、国税庁サイトに掲載されていません(2023年2月時点)。税務署等での配布もされていないようです。そのため、以下7項目を記入した書類を自作します。

    「登録申請書の取り下げ書」に記載すべき7項目

    1. 登録申請書の提出年月日 登録申請書を提出した年月日を記入する
    2. 取り下げたい申請書名 「適格請求書発行事業者の登録申請書」と記入する
    3. 提出したときの申請方法 「書面」or「e-Tax」のどちらかを記入する
    4. 申請者の氏名または名称 名前・会社名・代表者名を記入する
    5. 納税地 納税地の住所を記入する(たとえば自宅兼事務所なら、自宅の住所)
    6. 登録番号 登録通知書に記載されている「T+13桁の数字」を記入する
    7. 取り下げたい旨 「適格請求書発行事業者の登録申請を取り下げたい」と記入する

    上記の内容は、インボイスコールセンターにて確認済(2023年2月時点)

    書類のタイトルは「登録申請書の取り下げ書」とします。上記7項目をすべて記入した上で、余白に署名・日付を書けば完了です(押印は不要)。無地のコピー用紙にボールペンで箇条書きにしても構いませんし、以下のような書類を自作してもOKです。

    (参考)登録申請書の取り下げ書の作成例・サンプル

    書式(サンプル) 記入例
    (サンプル)適格請求書発行事業者の登録申請書の取り下げ書 - 様式の自作例 (サンプル)適格請求書発行事業者の登録申請書の取り下げ書 - 自作した様式の記入例

    上記サンプルを参考にしていただく際は、インボイスコールセンター等にご自身でも確認された上で、自己責任にてお願いいたします。

    「取り下げ書」が完成したら、所轄のインボイス登録センターに普通郵便などで送付します。9月30日までの消印有効です。なお、返信用封筒や切手などは同封しなくてOKです。取り下げが無事に完了すれば、その通知が後日届くとのことです。

    取り下げのデメリット

    登録申請の取り下げには、とくにデメリットはありません。強いて言うなら、以下のケースに該当する方は注意が必要です。

    要注意なケース

    1. 取引先に登録番号を伝えている場合
    2. 課税事業者選択届出書を提出している場合

    ① 取引先に登録番号を伝えている場合

    取り下げの手続きをする前に、取引先には事前連絡をしておきましょう。相手方が納得しやすいよう、取り下げ理由も併せて伝えるのが望ましいです。

    一般的な理由としては「経理システムの導入負担が甚大となることが判明したため」や「主要取引先との消費税転嫁を巡る価格交渉が難航したため」などが考えられます。

    ② 課税事業者選択届出書を提出している場合

    ごくレアケースですが、インボイス登録申請にあたって「課税事業者選択届出書」という書類を提出することがあります。これを提出していなければ気にしなくてOKです。

    もし提出していた場合は「インボイス登録申請の取り下げ」だけでなく、「課税事業者選択届出の取り下げ」という手続きが別途で必要となります。

    インボイス登録の再申請も可能

    インボイスの登録申請を取り下げた後でも、2023年9月30日までにもう一度インボイスの登録申請をやり直せば、10月1日からインボイス発行事業者になれます。

    取り下げ後もインボイス登録の再申請は可能

    インボイス発行事業者の再申請も可能(登録申請を取り下げた後)- 10月1日付で登録する場合は9月30日まで

    なお、再申請においては、個人と法人で登録番号の取り扱いが以下のように異なります。

    再申請した場合の登録番号 – 個人と法人の違い

    個人の登録番号 法人の登録番号
    新しい登録番号になる
    (取り下げ前の古い番号は使えない)
    T + 法人番号

    個人の場合は、登録申請を取り下げた時点で、古い登録番号は二度と使えなくなります。一方、法人は「T + 法人番号」なので、再申請すれば以前の登録番号がそのまま有効化されます。

    まとめ – インボイス制度の登録をやめるには

    「インボイスの登録申請をしたけど、やっぱりやめたい」という事業者は、2023年9月30日までに「取り下げ書」を提出しましょう。当然ながらインボイスは発行できなくなりますが、そのほかのデメリットはとくにありません。

    インボイス「登録申請書の取り下げ書」の提出期間

    適格請求書発行事業者の登録申請の取り下げ期間 - 10月1日以降は取り下げできない

    「登録申請書の取り下げ書」には以下の7項目を記載の上、署名・日付を書いて2023年9月30日までに提出しましょう。所轄のインボイス登録センター宛に郵送すればOKです(消印有効)。

    インボイス「登録申請書の取り下げ書」の記載項目

    1. 登録申請書の提出年月日
    2. 取り下げたい申請書名
    3. 提出したときの申請方法
    4. 申請者の氏名または名称
    5. 納税地
    6. 登録番号
    7. 取り下げたい旨

    インボイス発行事業者になると、消費税の納付義務が生じるだけでなく、膨大な事務負担もかかります。事務負担については、インボイス対応の経理システムを導入すれば大幅に軽減できる場合も多いので、取り下げの前に一度検討してみましょう。

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