令和3年度(2021年度)から適用の住民税改正

更新日: 2020/10/16 投稿日: 2020/06/03
令和3年度(2021年度)から適用の住民税改正

本記事では、令和3年度(2021年度)の住民税について、先取りで5つの改正点を解説します。2021年に納付すべき住民税額は、2020年分の所得にもとづいて決定されます。

INDEX

目次

    主な改正点は5つ

    2021年(来年)の住民税から適用される改正点は、主に以下の5点です。これらは、2020年6月から納める住民税には、まだ適用されません。

    2021年度の住民税額に影響する主な税制改正

    上記の改正で、事業主がこれまでよりも不利になることは、基本的にはありません。ただ、所得が2,400万円を超える人は、トータルで従来より不利になります。また、副業として個人事業を営んでいる会社員も、やや不利になる可能性があります。これは後ほど、順番に説明します。

    なお、2021年に納める住民税は、2020年に得た所得をもとに決定されます(これを2021年度の住民税という)。といっても、所得税の確定申告をすれば、住民税の金額は自動的に自治体から通知されるので、上記の改正に伴って特別な手続きは必要ありません。

    ① 青色申告特別控除が10万・55万・65万円の3段階に

    住民税においても、青色申告特別控除は有効です。2020年分以降の所得計算について、青色申告特別控除の金額が10万円・55万円・65万円の3段階に改正されます(住民税に反映されるのは2021年度以降)。当然ながら、白色申告者には影響ありません。

    青色申告特別控除の変更点(2021年に行う確定申告から)

    先述の通り、住民税の計算においては、前年の所得が参照されます。よって、上記の変更は2021年度の住民税から適用となります。各要件を満たして、2020年分の「所得税の確定申告」を行えば、住民税にも自動的に反映されます。

    2020年分「所得税の確定申告」っていつ?

    2020年分から青色申告特別控除の改正が適用される

    65万円の控除を受けたい場合は、従来の要件に加え、新要件(電子申告をすること or 電子帳簿保存をすること)を満たす必要があります。電子申告は「確定申告書等作成コーナー」という国税庁のサイトを利用すれば、比較的簡単に行えます。
    >> 電子申告を最短で行う方法【個人事業主向け】

    ② 基礎控除額が10万円アップ

    2021年度の住民税から、基礎控除の金額が10万円アップします。これまで33万円だった基礎控除額が、43万円に増えるのです。ただし、従来のように一律ではなく、以下の所得制限が加わります。

    合計所得金額 基礎控除額(所得税)
    2,500万円超 0円 (控除なし)
    2,450万円 ~ 2,500万円 15万円
    2,400万円 ~ 2,450万円 29万円
    0円    ~ 2,400万円 43万円

    ※「~」は「超 ~ 以下」

    この改正で従来より不利になるのは、所得2400万円を超える人だけです。なので、ほとんどの人は10万円アップと考えて構いません。

    なお、基礎控除を前提に作られている他の制度についても、この改正に合わせて変更が加えられます。詳しくは、続く③~⑤の項目をご覧ください。

    ③ 配偶者控除などの要件緩和

    所得控除のなかには、基礎控除の金額をもとに所得要件を定めているものがあります。そのため、基礎控除額の10万円アップと連動して、それらの所得要件も10万円ずつ緩和されます。

    基礎控除に伴って所得要件が緩和される控除

    たとえば、所得税や住民税において配偶者控除を受けるには、配偶者の合計所得が「38万円」以下でないとダメでした。これが緩和され、2021年度以降の住民税においては、「48万円」以下に変更されます。

    といっても、住民税にこれらの控除が適用されるかどうかは、前年分の確定申告内容をもとに自治体が判定をします。なので、所得税の確定申告をきちんと行っていれば、要件について自分であれこれ考える必要はありません。

    ちなみに、上記の「38万円」や「48万円」というのは、所得税における基礎控除の金額です。住民税においても、所得要件の判定を行う際は、この同じ数字で考えることになっているのです。

    ④ 非課税範囲の改正

    2021年度より住民税の非課税範囲が、以下のように広がります。これは、基礎控除の10万円アップや、ひとり親控除の創設による影響です。

    • 各「非課税限度額」が10万円アップ
    • ひとり親に対する非課税制度が新設

    住民税には、自治体ごとに「非課税限度額」が設定されています。簡単に言うと「住民税がかからないギリギリの所得」のことです。家族構成や居住地、年齢、結婚歴などによって、細かく金額が定められています(改正後は、少なくとも38~45万円程度)。

    また、ひとり親にも非課税限度額が新たに設けられました。2021年度以降の住民税で、前年の合計所得が135万円以下なら、未婚のシングルマザー・ファザーは非課税となります(ただし、事実婚をしていない場合)。

    ⑤ 給与所得控除が10万円ダウン

    2021年度以降の住民税については、給与所得控除が以下のように低くなります。個人事業主であっても、会社などから給与をもらっている場合はこの影響を受けます。給与所得がなければ、無視して構いません。

    2021年度からの給与所得控除額をグラフ上で改正前と比較

    ① 一律10万円の引き下げ

    給与所得控除の金額が、一律で10万円ダウンします。ただ、代わりに基礎控除が10万円アップするので、トータルで見れば基本的に不利になることはありません。

    ② 上限額などの引き下げ

    しかし、給与所得控除の上限金額なども、図のように引き下げとなります。同時に、その上限が適用される給与年収も850万円に引き下げられます。そのため、給与年収が850万円を超える場合は、基礎控除と総合して考えても従来より不利になってしまいます。

    所得金額調整控除の創設

    「給与収入850~1,000万円以下」の場合には、子育て・介護世帯であるなどの一定要件を満たしていれば「所得金額調整控除」が適用されます。これによって「② 上限額などの引き下げ」の影響はないことになります。ただ、この場合も「① 一律10万円の引き下げ」の影響は受けます。

    新型コロナ関連で貸付や給付を受けた場合は?

    2020年中は「持続化給付金」など、貸付や給付の制度を利用した事業主も多いでしょう。住民税は所得を得た翌年に課税されるので、2021年度の住民税にどのような影響があるか、簡単に説明します。

    貸付金 (返すべきお金) 給付金 (返さなくてよいお金)
    所得に含めない 所得に含める

    「貸付金」は、所得には含めません。よって、住民税額にも影響しません。一方「給付金」は、基本的には所得に含まれます。したがって、持続化給付金のような給付金を得れば所得が上がるので、住民税額にも影響します。その他の助成金や補助金についても、同様です。
    >> 貸付を受けたときの税金や仕訳は?
    >> 助成金をもらったときの税金や仕訳は?

    非課税の給付金 – 特別定額給付金など

    たとえば「特別定額給付金」や「子育て世帯への臨時特別給付金(児童手当への上乗せ)」は、法律により非課税となります。給付金でありながら、所得にはカウントされないということです。このように、法律で個別に非課税と定められている場合もあります。

    また、所得税法上で非課税とされる給付等については、住民税においても非課税とされます(ただし法令による特段の定めがある場合を除く)。育児休業給付金や児童手当、健康保険や国民健康保険の療養給付などが、そうした非課税の給付に該当します。

    まとめ

    2021年度からの住民税改正において、控除額に変更があるのは以下の3つです。

    • 青色申告特別控除が3段階(10万、55万、65万円)に
    • 基礎控除が10万円アップ
    • 給与所得控除が10万円ダウン

    大抵の場合、トータルで考えれば従来より不利になることはありません。例として、代表的なパターンを3つ挙げてみます。

    【例1】青色申告特別控除が65万円から55万円になった

    2021年度住民税の控除額を改正前後で比較(特別控除が55万円に下がった)

    【例2】青色申告特別控除が65万円のまま

    2021年度住民税の控除額を改正前後で比較(特別控除が65万円のまま)

    【例3】白色申告者で会社勤めもしている(給与収入あり)

    2021年度住民税の控除額を改正前後で比較(給与収入あり)

    なお、基礎控除の改正に伴って、配偶者控除など、一部の所得控除の要件が緩和されます。また、非課税限度額も増えます。とはいえ、これらは自治体により自動的に計算されるので、細かく把握していなくても問題ありません。