2023年(令和5年)3月28日、「インボイス制度の激変緩和措置」や「電子帳簿保存法の要件緩和」を含む税制改正が行われました。以前、2023年度の税制改正大綱で紹介した内容が、そのまま反映されています。
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目次
2023年度の税制改正 – 個人事業主向けのポイント
2023年度(令和5年度)の税制改正のうち、多くの個人事業主・フリーランスに関係しそうなものを紹介します。すぐには適用されない項目もあるので、適用開始が「2023年分」と「2024年分」のものに分けて整理しました。
2023年度の主な税制改正【個人事業主の要点まとめ】
2023年分から適用されるもの |
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2024年分から適用されるもの |
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① インボイス制度の負担が軽減される
2023年10月からインボイス制度が導入され、消費税のルールが大きく変わります。「そんなの、すぐには対応できないよ!」という小規模~中小事業者のために、期限付きではありますが、新たな負担軽減措置が設けられました。
② 電子取引データの紙保存が可能に
メールで受信したPDFの請求書などを「電子取引データ」といいます。2024年1月以降、こうしたデータは紙に印刷して保存できなくなるはずでした。しかし今回の改正により、2024年1月以降もしばらくは紙保存が認められることになりました。
ポイント① インボイス制度の激変緩和措置
「インボイス制度の激変緩和措置」の主な対象は、インボイス制度の導入を機に課税事業者になる方です。免税事業者のままでいる分には、関係ありません。
>> 課税事業者になるべき?免税事業者にとってのインボイス
これまで消費税を納付せずに済んでいた免税事業者が、インボイス制度の影響でやむなく課税事業者となった場合、消費税の納税額が「売上税額の2割」に軽減されます。
激変緩和措置の適用は“任意”ですが、たいていは適用を受けたほうが消費税額を抑えられるでしょう。また、仕入れの金額を考慮する必要がないので、簡単に計算できます。
消費税を納める際に「消費税の確定申告書」を提出しますが、その申告書に「売上税額の2割特例あり」のように書き添えるだけで、激変緩和措置の適用を受けられるようです。具体的な記入例などは、追って国税庁サイトなどで公表されるものと思われます。
インボイス制度の「2割特例」とは?消費税の負担軽減措置
ポイント② 電子取引の経過措置
2024年1月以降も、電子取引データの紙保存が引き続き認められることになりました。ここでいう「電子取引データ」とは、メール添付などでやり取りした請求書データや領収書データを指します。
そもそも電子取引データは、保存要件を満たした上でデータ保存するのが原則です。しかし、いまのところは「無理そうだったら紙保存でもいいよ」という経過措置が設けられています。今回の税制改正では、その経過措置が事実上の延長となりました。
電子取引データの経過措置 – 紙保存の可否
〜2023年12月 | 2024年1月〜* |
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紙保存も可能 | 「相当の理由」があれば 紙保存も可能 |
* この経過措置がいつまで続くかは未定
2023年12月までは、実質的にほぼ無条件で紙保存が認められています。一方、2024年1月以降も紙に印刷して保存するには、「データ保存ができない相当の理由」が必要となります。
何をもって「相当の理由」とするかは、現時点では公表されていません。明らかになり次第、当メディア「自営百科」で改めて解説します。