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2021年の確定申告 – 税制改正・申告期間等の要点まとめ

更新日: 2021/03/03 投稿日: 2020/12/01
2021年の確定申告 – 税制改正・申告期間等の要点まとめ

2020年分の確定申告(2021年2月16日~4月15日に行う確定申告)に関して、重要な改正や要注意ポイントをまとめました。今後、新型コロナ関連の特例などが公表された場合にも、本記事で追ってお伝えしていきます。

INDEX

目次

    2021年におこなう確定申告

    2021年の確定申告期間は、2021年2月16日(火)~4月15日(木)です。確定申告期間は「2月16日〜3月15日」が原則ですが、今年は新型コロナの影響で延長されています。

    2021年(令和3年)の確定申告期間

    >> 2021年(令和3年)の確定申告期限が延長!期限は4月15日に

    還付申告(税金の還付を受けるために任意で行う申告)の場合、上記の確定申告期間は関係ありません。2020年分の還付申告は、2021年1月1日から5年間にわたって可能です。

    【おさらい】確定申告の提出書類

    確定申告の主な提出書類は下記のとおりです。基本的には「確定申告書B」を使いますが、会社員など(給与所得や雑所得しかない人)は、簡易な「確定申告書A」で申告ができます

    個人事業主の提出書類 会社員の提出書類
    • 確定申告書B(第一表・第二表)
    • 控除証明書などの添付書類
    • 収支内訳書(白色申告の場合)
    • 青色申告決算書(青色申告の場合)
    • 確定申告書A(第一表・第二表)
    • 控除証明書などの添付書類

    書類の提出方法は、下記の3種類に大別できます。任意の方法で提出しましょう。

    • 税務署へ直接持っていく
    • 税務署あてに郵送する
    • 書類のデータをオンラインで送信する(電子申告)

    確定申告の方法について詳しく

    電子申告の場合は、「e-Tax(イータックス)」と呼ばれるシステムを介して、申告内容を国税庁にデータ送信します。近年では、帳簿づけから電子申告まで、手軽に行える会計ソフトも増えています。
    >> 会計ソフトで電子申告をする流れ

    主な税制改正

    2020年分の確定申告からは、控除に関する重要な税制改正が適用されます。中でも「基礎控除」の改正は全員に影響します。また、個人事業主は「青色申告特別控除」、給与所得者は「給与所得控除」の改正が要チェックです。

    2020年分から改正が適用された控除(主な例)

    基礎控除 控除額が48万円に引き上げられた
    ただし、所得が2,400万円超だと段階的に減額される
    配偶者控除
    扶養控除など
    所得要件が緩和された
    基礎控除の改正に伴い、所得要件が10万円分緩くなった
    ひとり親控除 新設された
    所得500万円以下のシングルマザー・ファザーが対象
    寡婦控除 対象者の範囲が縮小された
    従来の「特別の寡婦」がひとり親控除の対象に移行する
    寡夫控除 廃止された
    従来の対象者はひとり親控除の対象に移行する
    青色申告特別控除
    (個人事業主のみ)
    控除額が10万・55万・65万の3パターンになった
    65万円控除に新たな要件(電子申告など)が追加された
    給与所得控除
    (給与所得者のみ)
    控除額が引き下げられた
    控除額が10万円減少し、上限の適用ラインも下がった

    これらの改正はすべて「2020年分の所得」から適用されます。2019年分以前の所得について還付申告などをする際は、改正前の制度に従う必要があるので注意しましょう。

    ここからは、上記の改正についてそれぞれ説明していきます。

    ① 基礎控除の改正

    従来の「基礎控除」は、誰もが一律「38万円」を適用できるものでした。2020年分からは控除額が「48万円」になります。ただし所得制限が加わり、所得2,400万円超の人は控除額が減少します。改正のポイントは下記の2点です。

    改正のポイント – 基礎控除

    • 控除額が「38万円」から「48万円」に引き上げられる
    • 所得要件が加わり、所得2,400万円超の人は不利になる

    多くの人は控除額がアップする一方で、高所得者は控除額がダウンするわけです。特に、「合計所得金額」が2,500万円を超える人は、基礎控除を受けられなくなってしまいます。

    合計所得金額ごとの基礎控除額(所得税)

    基礎控除の控除額
    改正前 改正後
    2,500万円超 38万円
    (所得要件なし)
    適用なし
    2,450万円 ~ 2,500万円 16万円
    2,400万円 ~ 2,450万円 32万円
    2,400万円以下 48万円

    基礎控除の改正について詳しく

    ちなみに、基礎控除が10万円アップするからといって「税金がちょっと少なくなるぞ!」と喜ぶのはまだ早いです。後述する「青色申告特別控除」や「給与所得控除」の控除額ダウンによって、基礎控除の増額分がチャラになってしまう人も多いからです。

    ② 配偶者控除や扶養控除の要件緩和

    たとえば、これまで配偶者控除には「配偶者の合計所得金額が38万円以下であること」という要件がありました。が、この金額が「48万円以下」に緩和されています。

    このように、複数の所得控除で「所得〇〇万円以下」という要件が緩和されています。つまり、下記のような所得控除が受けやすくなったということです。

    所得要件が見直された所得控除の例

    改正前 改正後
    配偶者控除
    (配偶者の所得)
    38万円以下 48万円以下
    配偶者特別控除
    (配偶者の所得)
    38万~123万円 48万~133万円
    扶養控除
    (扶養親族の所得)
    38万円以下 48万円以下
    障害者控除
    (扶養親族等の所得)
    38万円以下 48万円以下
    勤労学生控除
    (対象者の所得)
    65万円以下 75万円以下

    これまで「惜しくも受けられないな…」という控除があった人は、改正後の所得要件を確認してみましょう。
    >> 所得控除の一覧

    ③ ひとり親控除の新設(寡婦・寡夫控除の改正)

    シングルマザー・シングルファザーを対象として、控除額35万円の「ひとり親控除」が新設されました。下記の要件をすべて満たす人が受けられます。

    ひとり親控除の要件

    • その年の12月31日時点で結婚をしていない
    • 合計所得金額が500万円以下である
    • 「生計を一にする子」がいる(所得48万円以下の子供に限る)

    なお、ひとり親控除の新設に伴い、「寡婦控除」は対象範囲が縮小され、「寡夫控除」は廃止されました。以降、「従来の寡婦控除における“特別の寡婦”に相当する女性」と「従来の寡夫控除の対象者に相当する男性」は、ひとり親控除を受けることになります。

    ひとり親控除と寡婦(寡夫)控除に関わる改正

    2020年分の確定申告以降も、寡婦控除は存続します。ただし、所得要件の課される範囲が広がる影響で、従来のように寡婦控除を受けられなくなってしまう人もいます。また、寡婦控除とひとり親控除を同時に受けることはできません。
    >> 寡婦控除・寡夫控除の改正について詳しく

    ④ 青色申告特別控除の改正

    2020年分の確定申告から、65万円の「青色申告特別控除」を受けるには「電子申告」か「電子帳簿保存」の実施が必須となります。従来の要件を満たすだけだと、55万円の控除しか受けられません。(10万円控除については変更なし)

    2020年分から青色申告特別控除額が「10・55・65万円」の3段階になる

    青色申告特別控除の改正について詳しく

    2020年分の確定申告において、これから65万円控除を狙うなら「電子申告」を選択するしかありません。電子帳簿保存」の実施には事前申請が必要で、今回は申請期限が2020年9月30日まででした。

    ちなみに、ここで言う「電子帳簿保存」とは、厳しいルールをクリアした上で、主要簿(仕訳帳&総勘定元帳)を電子データで保存することを指します。電子申告と比べると、どうしても手間がかかってしまうので、今のところ個人事業主にはおすすめできません。
    >> 個人事業主に電子帳簿保存をおすすめできない理由

    ⑤ 給与所得控除の改正

    給与所得」は、給与やボーナスなどの総額から「給与所得控除」を差し引いて算出します。今回の改正で、この「給与所得控除」の控除額がダウンしてしまいました。改正のポイントは以下の2点です。

    改正のポイント – 給与所得控除

    • 控除額が一律で10万円引き下げられる
    • MAXの控除額が適用されるラインが低くなる

    2021年度からの給与所得控除額をグラフで改正前と比較

    つまり、改正によって下記のような影響が出るということです。

    • 年収850万円超の人………控除額が10万~25万円ダウンする
    • 年収850万円以下の人……控除額が一律で10万円ダウンする

    給与所得控除はダウンしますが、ほとんどの人は基礎控除が10万円アップしているので、トータルで考えればプラスマイナスゼロです。ただ、年収850万円超の人は、基礎控除の増額分を踏まえてもマイナスになってしまいます。

    そこで、年収850万円超の人を対象として「所得金額調整控除」という制度が新設されています。これは、年収850万円超の人が、一定の要件(「23歳未満の扶養親族がいる」など)を満たすときに受けられる控除です。
    >> 給与所得控除の改正について詳しく

    【新型コロナ】給付金や助成金の扱い

    新型コロナ関連の給付金や助成金には「税金がかかるもの」と「税金がかからないもの」があります。扱いを間違えると、確定申告にも影響が出てしまうので注意しましょう。

    主な給付金等の区分

    税金がかかるもの 税金がかからないもの
    収入に含めて申告する
    (個人事業では「雑収入」として記帳)
    基本的に記帳も申告も不要
    • 持続化給付金(最大100万円)
    • 家賃支援給付金(最大300万円)
    • 雇用調整助成金
    • 小学校休業等対応支援金
    • 東京都の感染拡大防止協力金
    • 特別定額給付金(一律10万円)
    • 子育て特別給付金
    • 雇用保険の失業等給付
    • 児童(扶養)手当
    • 東京都のベビーシッター利用支援

    【新型コロナ】個人事業主の救済措置まとめ

    たとえば、個人事業主が「持続化給付金」や「家賃支援給付金」を受け取ったら、その金額を「雑収入」の科目で記帳し、事業収入にカウントします。

    税金がかかる給付金の記帳例(複式簿記の場合)

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年8月17日 普通預金 1,000,000 雑収入 1,000,000 持続化給付金

    給付金・貸付金の仕訳例まとめ – 新型コロナ関連の帳簿づけ

    なお、一律10万円の「特別定額給付金」など、非課税と定められている給付金は、税額の計算に含めません。したがって、帳簿にも申告書類にも記載しなくてOKです。(事業用口座で受け取った場合は、「事業主借」として帳尻合わせの記帳が必要になる)
    >> 給付金・助成金等の課税関係まとめ

    借りたお金の扱い

    事業のためにお金を借りても、そのお金に所得税がかかることはありません。ただ、複式簿記では、貸借対照表を作るために「借入金」の勘定科目で仕訳をする必要があります。単式簿記では、現金出納帳などに「借入金」と記載しておけばOKです。
    >> 新型コロナで貸付を受けたときの税金や仕訳について

    まとめ

    2020年分の確定申告(2021年2月16日~4月15日に行う確定申告)で注意すべきポイントは、大きく下記の2つです。

    • 2020年分の所得から適用される税制改正
    • 新型コロナに関わるイレギュラーな対応

    まずは、自分に関係のある税制改正を確認しておきましょう。とくに該当者が多いのは、基礎控除・青色申告特別控除・給与所得控除の3つです。

    2020年分から改正される控除(主なもの)

    基礎控除 控除額が基本48万円になり、所得要件が追加された
    配偶者(特別)控除 基礎控除等の改正に伴い、所得要件が緩和された
    扶養控除
    障害者控除
    ひとり親控除 シングルマザー・ファザーを対象として新設された
    寡婦・寡夫控除 寡婦控除は対象者が縮小、寡夫控除は廃止された
    青色申告特別控除 65万円控除に新要件(電子申告など)が追加された
    給与所得控除 控除額が10万円減少し、上限の適用ラインも下がった

    また、新型コロナに関わる特殊な対応についてもチェックしておきましょう。特に、給付金等を受け取った人は、その課税区分に注意が必要です。「税金がかかるもの(課税)」と「税金がかからないもの(非課税)」で、扱いが異なります。

    主な給付金等の区分

    税金がかかるもの 税金がかからないもの
    収入に含めて申告する
    (個人事業では「雑収入」として記帳)
    基本的に記帳も申告も不要
    • 持続化給付金(最大100万円)
    • 家賃支援給付金(最大300万円)
    • 雇用調整助成金
    • 小学校休業等対応支援金
    • 東京都の感染拡大防止協力金
    • 特別定額給付金(一律10万円)
    • 子育て特別給付金
    • 雇用保険の失業等給付
    • 児童(扶養)手当
    • 東京都のベビーシッター利用支援

    なお、本記事では取り上げませんでしたが、下記のような変更点もあります。

    • 確定申告書の様式が一部変更される
    • マイナポータル連携で申告書の作成が少し楽になる(確定申告書等作成コーナー)
    • スマホ申告(マイナンバーカード方式)で使うアプリが1つに統合される
    • 公的年金等控除の控除額が引き下げられる
    • 年末調整の保険料控除証明書を電子的に提出できるようになる

    その他の特例等についても、これから発表される可能性がありますので、本記事で追ってお伝えしていきます。