2021年(令和3年)に行う確定申告から適用される改正

更新日: 2020/10/13 投稿日: 2020/07/17
2021年(令和3年)に行う確定申告から適用される改正

本記事では、2020年分(令和2年分)の確定申告、つまり2021年(令和3年)2月16日(火)~3月15日(月)に行う確定申告から適用される税制改正についてまとめています。(2019年分確定申告の改正についてはこちら

INDEX

目次

    2020年分から適用の税制改正

    2020年分の確定申告は、2021年2月16日(火)~3月15日(月)に行います。本記事で扱っている税制改正は、2020年分の確定申告から適用されるものです。それより前の年には適用されません。

    個人事業主にとって重要な改正点

    • 青色申告特別控除 → 特に重要
    • 基礎控除 → 特に重要
    • 配偶者(特別)控除など
    • 給与所得控除
    • 寡婦(夫)控除

    2020年分から適用の税制改正において、個人事業主にとっての最重要ポイントは「青色申告特別控除」と「基礎控除」の変更です。とくに、青色申告特別控除65万円を受ける場合は、電子申告などが新しく要件に加わることになります。

    給与所得控除の改正が影響するのは、給与所得がある個人事業主だけです。たとえば、副業などで会社から給料をもらいつつ個人事業を営む場合などが該当します。一方、給与所得のない個人事業主にとっては関係ありません。

    多くの個人事業主にとって重要な改正点は、上記の通りです。その他には、たとえば下記のようなものがあります。

    • 公的年金等控除 (廃業時などに適用)
    • 所得金額調整控除 (給与所得者に適用)
    • 上場株式の配当への源泉徴収義務
    • 信託財産の利子への課税
    • 年末調整書類の電磁的提供

    税制改正等の内容 – 国税庁

    ① 青色申告特別控除が3段階に – 10万・55万・65万

    2020年分から、青色申告特別控除が「10万円・55万円・65万円」の3段階に変更されます。2019年分までは「10万円・65万円」の2段階しかありませんでした。この変更にともない、65万円の控除について、新しい要件(電子申告など)が追加されます。

    2020年分から青色申告特別控除額が「10・55・65万円」の3段階になる

    改正後の要件をざっくりまとめると、下表のようになります。要件に応じて、受けられる控除額が異なるということです。

    10万円 55万円 65万円
    不問
    (単式簿記可)
    複式簿記 複式簿記
    帳簿保存や確定申告の媒体は問わない 帳簿保存&確定申告を紙媒体で行う 電子帳簿保存 or 電子申告を行う

    なお、せっかく複式簿記や電子申告の要件を満たして青色申告をしても、確定申告の期限を一日でも過ぎて申告してしまうと、10万円の控除しか受けられなくなってしまいます。

    >> 青色申告特別控除の変更点(2021年に行う確定申告から)
    >> 電子申告をする方法
    >> 電子帳簿保存法の要件まとめ – 帳簿・書類を電子保存するには?

    ② 基礎控除が10万円引き上げ

    2020年分より、基礎控除の金額が10万円引き上げとなります。所得税の計算においては、38万円だった基礎控除額が48万円に増えるわけです。ただし、これまでのようにすべての人が適用できるわけではなく、以下の所得制限が加わります。

    合計所得金額 基礎控除額(所得税)
    2,500万円超 0円 (控除なし)
    2,450万円 ~ 2,500万円 16万円
    2,400万円 ~ 2,450万円 32万円
    0円    ~2,400万円 48万円

    ※「~」は「超 ~ 以下」

    上表のとおり、控除額が減少するのは合計所得2,400万円を超えてからなので、ほとんどの人にとって所得制限は関係ありません。改正の適用後、多くの人は48万円の基礎控除を受けられるということです。

    基礎控除にともなって所得要件が緩和される控除

    これらの所得控除においては、もともと基礎控除の金額を基準として所得要件が定められていました。それゆえ、基礎控除額アップと連動して、これらの所得要件も緩和されることになります。

    >> 基礎控除の変更点(2021年に行う確定申告から)

    ③ 配偶者(特別)控除などの所得要件が緩和

    基礎控除の変更にともない、配偶者(特別)控除などの所得要件も引き上げられます。たとえば、2019年分の配偶者控除については、年間の合計所得が38万円超の配偶者は対象外でした。この金額が2020年分から48万円に引き上げられるということです。

    【代表例】配偶者(特別)控除の要件緩和

    2020年分より、配偶者(特別)控除の所得要件が、10万円引き上げられます。従来、所得税の計算において配偶者控除を受けるには、配偶者の年間合計所得が「38万円以下」であることが要件でした。しかし、2020年分以降は、その金額が「48万円以下」になります。

    【2020年分~】配偶者控除の要件(以下のすべてを満たす場合)

    • 納税者に配偶者がいること
    • 納税者と配偶者が生計を共にしていること
    • 配偶者が、青色専従者給与を得ていない(または白色専従者でない)こと
    • 配偶者の年間の合計所得が、48万円以下であること ←変更点!

    上記の要件すべてを満たす納税者は、配偶者控除を受けることができます。控除額は従来どおり、基本的に「13万円・26万円・38万円」の3段階です。納税者の所得に応じて控除額が決まります。

    【2020年分~】配偶者特別控除の要件(以下のすべてを満たす場合)

    • 納税者に配偶者がいること
    • 納税者と配偶者が生計を共にしていること
    • 配偶者が、青色専従者給与を得ていない(または白色専従者でない)こと
    • 配偶者の年間の合計所得が、48万円超~133万円以下であること ←変更点!

    ④ 給与所得控除が10万円引き下げ

    給与所得控除は、会社員などの給与所得者が受けられる控除です。事業所得のみの個人事業主には影響のない話題です。副業などで給与収入も得ている個人事業主にとっては、マイナスの変更点です。

    以下のグラフのように、2020年分から一律10万円引き下げとなります。控除額の上限は、195万円に引き下げられます。同時に、上限が適用される給与収入が850万円に下がります。

    2020年分からの給与所得控除額を2019年分とグラフ上で比較

    これは、先述の基礎控除額の引き上げと同じタイミングで適用される変更なので、トータルの控除額では前年と変わらないという人も多いでしょう。

    >> 給与所得控除の変更点まとめ – 控除額や上限金額の引き下げ

    所得金額調整控除 – 事業所得は控除の対象外

    給与所得控除における上限額の引き下げなどに関連して、救済措置的な制度が創設されます。それが所得金額調整控除です。公的年金を受け取っている人や、給与収入850万円超の子育て・介護をしている人などが対象です。事業所得しか得ていない個人事業主には、この控除は適用されません。

    ⑤ 寡婦(夫)控除の見直し

    2020年分から、寡婦(夫)控除が大きく変更されました。2019年分以前は、未婚のひとり親は控除の対象外でした。しかし、今回新たに「ひとり親控除」の制度が新設され、結婚歴や性別にかかわらず控除が受けられることになりました。

    寡婦(夫)控除額 – 納税者の子が控除の要件を満たす場合の例

    寡婦控除(既婚) 寡夫控除(既婚) 未婚のひとり親控除
    (新設)
    納税者の所得
    500万円以下
    35万円 27万円
    →廃止

    →35万円
    納税者の所得
    500万円超
    27万円
    →控除なし

    ※上表の赤文字の部分は、2020年分から適用される変更点・追加点

    また、ひとり親控除の新設にともない、「寡婦控除」は要件や控除額に調整が加えられました。一方「寡夫控除」は廃止されました。男性にとっては、「ひとり親控除」が完全に上位互換的な制度であるため、不要になったのです。

    >> 寡婦控除・寡夫控除の改正
    >> ひとり親控除とは?要件・寡婦控除との違い・控除額など
    >> 従来の寡婦控除について

    まとめ – 個人事業主にとって重要な税制改正【2020年分】

    2020年分の(2021年2月16日~3月15日に行う)確定申告においては、以下の変更が個人事業主にとって重要です。

    個人事業主にとって重要な改正の要点

    よい点 わるい点
    基礎控除 控除額アップ!(10万円) 所得要件の追加
    (合計所得2,400万円超では段階的に控除額が下がる)
    青色申告特別控除 65万円控除の要件が厳しくなる
    (10・55・65万円の3段階に)
    配偶者(特別)控除
    扶養控除
    寡婦控除
    ひとり親控除
    勤労学生控除
    障害者控除
    所得要件が10万円緩和
    (基礎控除の改正が影響)
    給与所得控除 控除額ダウン(一律10万円)
    控除上限額などの引き下げ

    上表の通り、トータルで見れば大きな変動はありません。個人事業主が何かしらの対応を迫られるとしたら、青色申告特別控除65万円を受ける場合のみです。2020年分以降も65万円控除を受けたければ「電子申告」か「電子帳簿保存」を行う必要があります。