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雑所得の改正 – 2022年分の確定申告から適用開始

更新日: 2020/10/13 投稿日: 2020/09/13
雑所得の改正 – 2022年分の確定申告から適用開始

法改正により、雑所得の申告について新たなルールが追加されました。この改正が適用開始となるのは、令和4年分(2022年分)の確定申告です。このとき、2020年分の収入金額を参照することになるので、今から知っておくとよいでしょう。

INDEX

目次

    2022年分から適用される改正内容

    2022年分の確定申告から、雑所得の「収入金額」に応じて、以下の改正が適用されます。前々年分の収入が300万円を超える人は、事務作業がちょっと面倒になってしまいます。

    前々年の収入金額 改正の内容(いずれも雑所得に関するもの)
    300万円以下 現金主義で所得計算してOKに
    300万円超 領収書などの書類保存が義務化
    1,000万円超 領収書などの書類保存が義務化
    収入と必要経費を記載した書類の添付が義務化

    たとえば、2020年中に雑所得の業務で得た収入が400万円なら、翌々年に当たる2022年分の確定申告において、領収書などの保管義務が生じます。なので、2020年分の収入がどれくらいか、あとできちんと確認できるようにしておくとよいでしょう。

    2022年以降に雑所得がなさそうな人は、今回の改正は気にしなくてOKです。この改正を機に、開業届を出して事業所得として申告できないか検討するのもよいでしょう。面倒な経理業務は増えますが、事業所得で申告するメリットもあります。
    >> 事業所得と雑所得の違い

    雑所得の「業務で」得た収入とは?

    雑所得を生ずべき業務に係る収入金額

    今回の改正では、条文で「雑所得を生ずべき“業務に係る”収入金額」のように書かれています。なので、業務で得た収入金額のみで要件判定を行います。たとえば、公的年金や、FXで「たまたま一回利益が出ちゃった」程度のものは、業務とは言えないのでこの金額に含めません。

    ① 現金主義の特例(300万円以下)

    2020年分の収入金額(雑所得の業務で得たもの)が300万円以下なら、2022年分の雑所得は「現金主義」で計算できます。事業所得の場合と違い、税務署に事前申請などをする必要はなく、確定申告書に「現金主義を選択します」と書くだけでOKです。

    2020年分の収入金額が300万円以下の場合 - 雑所得の改正

    同様に、2021年分が300万円以下なら、2023年分は現金主義でよいことになります。要件を満たすと、2年後の申告に影響があるというわけです。

    よって、今回の改正が適用されるのは、あくまで2022年分以降の話です。2020年分の確定申告では、雑所得を誤って現金主義で計算することがないように注意しましょう。
    >> 発生主義と現金主義の違い

    ② 書類保存の義務化(300万円超)

    2020年分の収入金額(雑所得の業務で得たもの)が300万円を超える場合、以下の改正が適用されます。改正後は、その業務に関する証憑書類(領収書や請求書など、2022年分の取引に関するもの)を、5年間は自宅などで保管しなくてはなりません。

    雑所得の根拠となる書類の保管義務など

    改正前(~2021年分) 改正後(2022年分~)
    帳簿の作成・保存 不要 不要
    書類の保存 不要 必要(起算日*から5年間)

    *「起算日」は、作成または受領した日の属する年の翌年3月15日(=法定申告期限)の翌日

    なお、雑所得の業務で「2020年中に」作成・受領した書類については、上記で示した300万円の要件にかかわらず、保管義務はありません。2020年分の確定申告書において、雑所得の収入金額を正確に記入し、その控えを保管しておけば十分です。

    引用

    令和4年以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととされています。

    タックスアンサー No.1500 雑所得 – 国税庁

    ③ 確定申告書に収支内訳書を添付(1,000万円超)

    雑所得の業務で得た2020年分の収入金額が1,000万円を超える場合は、さらに事務処理が面倒になります。2022年分において、証憑書類の5年保管に加え、確定申告時に「総収入金額および必要経費の内容を記載した書類」の添付義務が生じます。

    2022年分以降の確定申告では、このように2年前の収入金額(雑所得の業務で得たもの)を参照し、1,000万円を超えていたら、収入と必要経費を記載した書類(事業所得の白色申告でいう「収支内訳書」)を添付する必要があります。

    (参考資料)事業所得における収支内訳書

    令和元年分以降用 収支内訳書1ページ目

    収入と必要経費を記載する書類に関しては、正式にフォーマットが公開されるまで不明な点も多いです。上記の事業所得の書式より簡易なものになる可能性は十分あります。

    ただ、もし事業所得の収支内訳書と大差なければ、かなり面倒です。帳簿作成・保存の義務こそありませんが、科目ごとの金額を集計するために、実務的には帳簿づけが必要という状況になるかもしれません。

    まとめ

    令和4年分(2022年分)以降、雑所得に関する確定申告のルールが変わります。新たに3つのルールが加わりますが、いずれも「雑所得の業務による前々年分の収入金額」を参照します。つまり、2022年分の申告においては、2020年分の収入が影響するわけです。

    雑所得における3つの改正点を整理

    2022年分から適用される雑所得についての税制改正

    収入金額が300万円以下なら「現金主義」を選択できます。単純に選択肢が増えるので、申告者にとっては有利な改正点と言ってよいでしょう。

    一方、300万円超の場合は、領収書などの証憑書類を5年間保管しなくてはなりません。1,000万円を超えると、さらに収支内訳書の添付も必要となります。申告者にとっては不利な改正点です。