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国保と組合国保の違い – 個人事業主の国民健康保険を比較

更新日: 2021/05/14
国保と組合国保の違い – 個人事業主の国民健康保険を比較

本記事では、個人事業主が加入する医療保険「国保」と「組合国保」の違いを比較しています。実際の国保・組合国保を例にとった保険料のシミュレーションも行いました。

INDEX

目次

    国保と組合国保【比較表】

    国民健康保険
    国保 組合国保
    運営者 市町村・都道府県 国民健康保険組合
    主な加入対象者 一般的な個人事業主など 業界・地域に組合がある個人事業主
    加入者数
    (10万以下を四捨五入)
    約2,750万人 約270万人
    保険料の目安
    (年額)
    所得の7~14%
    (地域によって異なる)
    所得によって保険料が変わる
    or
    所得に関係なく保険料は定額
    (上記のどちらかで、組合によって異なる)
    加入者の保険料の負担割合 100%
    (全額自己負担)
    基本100%
    (全額自己負担)
    法定
    給付
    医療費の自己負担 3割負担 (現役世代)
    医療費が高すぎる時の給付 高額療養費・高額介護合算療養費
    入院にかかる給付 入院時食事療養費・移送費など
    出産にかかる給付 出産育児一時金のみ
    葬祭にかかる給付 葬祭費 or 葬祭の給付
    (内容は同一、地域で名前が異なる)

    参考
    「令和2年版厚生労働白書 資料編 保健医療」
    健康保険組合の「おおよその保険料」は、健康保険組合連合会の会員組合の平均値(令和2年度)

    • 「国保」も「組合国保」も、個人事業主が入る医療保険
    • 保険料の負担割合は、いずれも自己負担100%が基本
    • どちらも家族の保険料が一律に設定されている(具体的な額は地域や組合で異なる)
    • 基本的な給付(法定給付)の内容はほとんど同じ

    国内に住んでいる人は、誰でも医療保険に加入する義務があります。個人事業主の場合、基本的には「国保」へ加入しますが、要件を満たしていれば「組合国保」に入ることも可能です。この2つは、上述のような共通点がある一方で、それぞれ保険料や加入要件などに違いがあります。

    ① 保険料の計算方法の比較

    国保 組合国保
    所得で変わる分 + 定額分 所得で変わる分 + 定額分
    or
    所得に関係なく定額
    (どちらか一方で、組合による)

    組合国保には、保険料の計算方法が2種類ありますが、事業主が好きな方を選べるわけではありません。組合ごとに計算方法があらかじめ決まっており、それに従って保険料を納めます。

    保険料の計算で対象となる所得

    国保 組合国保
    「世帯内の加入者全員」の所得 「世帯内の加入者全員」の所得
    or
    「加入している事業主のみ」の所得 (どちらか一方で、組合による)

    組合国保に関しては、上表のように、家族の所得が保険料に影響しない場合があります。といっても、これも組合ごとのルールに従う必要があり、事業主が自由に選択できるわけではありません。

    ② 加入要件の比較

    国保 組合国保
    対象の地域に住所があれば加入する
    • 対象の業種を営んでいる
    • 対象の地域に事業所/住居がある

    などをすべて満たせば加入OK

    国保は、日本国内に住んでいて、かつ他の医療保険に入っていない人が加入しなければならない保険です。もし国保・組合国保のどちらかで迷っているなら、ひとまず国保に加入しておけばよいでしょう。

    組合国保に入る場合、個人事業主はまず「自身の業種に組合があるか」を調べるところから始まります。もし組合国保に加入できれば、所得次第では国保よりも保険料をおさえられる可能性があります。

    とはいえ、そもそも組合のある業種は限られています。くわえて、加入の要件も細かく決められているため、必ずしも自分にマッチする組合があるとは限りません。

    ③ 加入対象者の比較

    国保 組合国保
    • 個人事業主
    • 主婦
    • フリーター
    • 定年退職者
    • 新生児

    など (基本的には強制加入)

    組合ごとの要件を満たす個人事業主
    (事業主の家族・従業員・従業員の家族も加入できる)

    国保・組合国保のどちらも原則、世帯単位で加入します。例えば、世帯主である個人事業主が国保から組合国保に切り替えるとしましょう。このとき、国保に入っている家族がいれば、一緒に抜けて組合国保に入り直します。家族には、業種に関する要件がありません。

    個人事業主が従業員を雇っている場合、従業員の医療保険は基本的に「各自で国保に加入してもらう」か「事業所単位で健康保険(協会けんぽなど)に加入する」のいずれかです。ただし、事業主が組合国保へ入っていれば、従業員やその家族が組合国保へ加入することも可能です。

    実際の保険料を比べてみた

    本記事では、以下の設定に基づいて保険料を試算しています。それぞれの所得(収入 - 必要経費)によって保険料も異なるため、2通りの所得でシミュレーションしました。

    世帯主 30代男性
    住所 東京都調布市
    職業 美容師
    年間所得 240万円 or 600万円
    家族 (既婚例の場合) 30代の妻と小学生の息子1人
    備考欄
    • 基礎控除43万円を差し引いて計算
    • 家族の所得はないものとする
    • 従業員はいないものとする

    試算の結果は以下の通りです(表内の数字は年間の保険料)。

    個人事業主のみ
    (独身)
    個人事業主+家族
    (既婚)
    国保 (調布市) 東京美容国保組合 国保 (調布市) 東京美容国保組合
    240万円 177,900 228,000 252,670 432,000
    600万円 434,500 228,000 509,300 432,000

    *令和3年度の計算
    *調布市の保険料は100円未満を四捨五入

    所得が高くなるほど、組合国保の方が国保より保険料が安くなる傾向にあります。とはいえ、これはあくまでも一例です。保険料が安くなる所得のラインは、組合や地域ごとに異なるため、一概にどちらがオススメとは言いきれません。

    ちなみに、今回シミュレーションに用いた「東京美容国保組合」は、所得に影響されない定額保険料の組合国保です。組合によっては、所得で変動する保険料を設定しているところもあります。

    まとめ – どっちに加入すべき?

    国保と組合国保の主な共通点・相違点をまとめました。

    共通点と相違点 - 国保・組合国保

    個人事業主が入る医療保険は「国保」が基本です。しかし人によっては、「組合国保」に加入できる場合もあります。会社員とは異なり、加入できる保険が必ずしも決まっているわけではありません。

    もし要件を満たしているのなら、組合国保への加入を一度検討してみましょう。所得や組合にもよるため断言はできませんが、組合国保の方が保険料をおさえられるケースが多いです。また、ケガや病気で働けなくなった時などに、国保にはない「任意給付」が受けられることもあります。

    切り替えは14日以内に

    国保・組合国保に切り替える場合、手続きの期間が決められています。例えば、以下のような状況では、いずれも「保険を抜けた日」から数えて14日以内に手続きを行います。

    • 退職し、今まで入っていた協会けんぽから脱退した
    • 組合国保のほうが保険料が安いので、切り替えのために国保から抜けた
    • 加入していた組合国保が解散することになった

    なお、14日を超えてしまっても切り替えは可能ですが、遅れた分(未加入期間)の保険料は後で支払うことになります。早めに手続きを行いましょう。