会社員が加入する医療保険「協会けんぽ」と「組合健保」の比較情報をまとめました。両者の保険料を比較したシミュレーションも載せています。
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目次
協会けんぽと組合健保【比較表】
健康保険 | |||
---|---|---|---|
協会けんぽ | 組合健保 | ||
運営者 | 全国健康保険協会 | 健康保険組合 | |
主な加入対象者 | 組合に入っていない企業の会社員 | 組合に入っている企業の会社員 | |
加入者数 ※ 10万以下を四捨五入 |
約3,940万人 | 約2,950万人 | |
保険料の目安(月額) | 標準報酬月額の約10% | 標準報酬月額の約6~10% (組合による) |
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会社員の負担割合 | 50% | 50%以下 (具体的な数値は組合による) |
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法定給付 | 医療費の自己負担 | 3割負担 (現役世代) | |
医療費が高すぎる時の給付 | 高額療養費・高額介護合算療養費 | ||
入院にかかる給付 | 入院時食事療養費・移送費など | ||
出産にかかる給付 | 出産育児一時金・出産手当金 | ||
葬祭にかかる給付 | 埋葬料 or 埋葬費 (死亡した被保険者の状況による) |
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家族についての給付 | 家族療養費・家族埋葬料など |
参考:「厚生労働白書 資料編 保健医療」
- 協会けんぽも組合健保も、会社員が加入できる保険
- 保険料は勤務先と分担して支払う
- 被扶養者(家族など)の保険料はどちらもかからない
- 基本的な給付(法定給付)の内容は同じ
会社員の場合、加入する保険を自由に選べるわけではありません。入社した企業が「健康保険組合」に加入していればその組合健保に、そうでないときは協会けんぽに加入します。両者の給付の内容はほとんど変わりませんが、保険料や加入対象者などに違いがあります。
① 保険料に関する比較
協会けんぽ | 組合健保 | |
---|---|---|
毎月の保険料 | 標準報酬月額の約10% | 標準報酬月額の10%以下が多い |
会社員が負担する割合 | 50% | 50%以下 |
協会けんぽ・組合健保のどちらでも、加入者は企業と分担して保険料を納めることになっています。なお、表内の「毎月の保険料」は企業側の負担も含めています。
実際に加入者が納める金額は、協会けんぽなら「標準報酬月額の約5%」、組合健保なら「標準報酬月額の5%以下」と考えればよいでしょう。いずれにせよ、保険料は組合健保の方が安くなっていることがほとんどです。
② 加入対象者の比較
協会けんぽ | 組合健保 |
---|---|
健康保険組合に入っていない企業の会社員 (中小企業が多い) |
健康保険組合に入っている企業の会社員 (大企業が多い) |
協会けんぽ・組合健保のどちらも会社員が加入対象者です。くわえて、もし会社員に扶養する家族がいる場合、彼らを被扶養者として加入させることもできます。このとき、家族は保険料を支払うことなく、組合健保の給付を受けられます。
ただし、被扶養者として認定されるには「国内に住んでいる」「年収130万円未満」などの要件を満たす必要があります。
③ 給付内容の比較
協会けんぽ | 組合健保 | |
---|---|---|
法定給付 |
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付加給付 | – |
|
協会けんぽも組合健保も、基本的な給付内容は同じです。これを「法定給付」といい、法律によって「ここまでは最低限やっておいてね」という共通の給付が定められています。
しかし、組合健保には法定給付のほかに「付加給付」があります。組合ごとに決めた金額を、法定給付に上乗せして給付してもよいことになっているのです。もちろん上限額はありますが、組合健保ならではの福利厚生として嬉しいポイントですね。
実際に保険料を比べてみた
今回の試算設定
世帯主 | 30代男性 (会社員・化粧品関係の企業に勤務) |
---|---|
勤務地 | 東京都 |
月収 (標準報酬月額) |
30万円 or 50万円 or 71万円 |
家族 | 30代の妻・小学生の息子1人 |
備考欄 | 令和6年度の試算 |
試算の結果は以下の通りです。表中の金額は、本人の給与から天引きされる毎月の健康保険料です。
協会けんぽ (東京) | 組合健保A | 組合健保B | |
---|---|---|---|
標準報酬月額:30万円 | 14,970円 | 10,530円 | 15,600円 |
標準報酬月額:50万円 | 24,950円 | 17,550円 | 26,000円 |
標準報酬月額:71万円 | 35,500円 | 24,921円 | 36,920円 |
- 組合健保A:ある化粧品メーカーが単独で運営している組合
- 組合健保B:化粧品関係の企業が複数集まって成り立っている組合
組合健保の名称は伏せておきますが、どちらも化粧品関係の企業が属している実在の組合です。試算してみると、Aは協会けんぽより保険料が低くなりました。
とはいえ、これはあくまでも一例です。組合健保の保険料は、その組合が定めている保険料率・負担割合などによって異なります。
まとめ
個人事業主とは異なり、会社員は加入する保険を選べません。勤め先の企業が健康保険組合に入っていれば「組合健保」に、そうでないときは「協会けんぽ」に加入すると決まっています。
保険料の負担割合 – 国民健康保険と比べると
個人事業主の場合、国保か組合国保のどちらかに加入しても、事業主の保険料は100%本人が負担します。誰かと分担して支払う、ということはありません。
これに対して会社員の場合、保険料は勤務先の企業と分担して納めます。協会けんぽなら折半、組合健保なら会社員の負担割合がさらに低い傾向にあります。医療保険に関しては、会社員の方が負担は少ないと言えます。