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目次
資金調達する方法【一覧】
国や自治体 – 融資・保証制度 | 事業実績がなくても融資を受けられる可能性がある。「日本政策金融公庫」の各種融資など。 |
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国や自治体 – 補助金・助成金 | 返済する必要がない。「持続化補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」など。 |
銀行の融資 | 原則として担保・保証人が必要。ただし「保証付き融資」「ビジネスローン」なら不要の場合も。 |
銀行以外の融資 | 基本的には銀行より融資を受けやすい。「消費者金融」のビジネスローンなども含む。 |
クラウドファンディング | インターネットで支援者を募る。商品・サービスを支援者に提供する「購入型」が主流。 |
VC・エンジェル投資家 | 新規性がある事業に向く。ベンチャーキャピタルや投資家に対して、直にアピールする必要がある。 |
ネオバンク | オンラインの金融サービスに特化している。国内では、まだあまり普及していない。 |
個人事業主の資金調達は、基本的には「融資」がメインです。もし融資に頼りたくなければ、現実的な選択肢は次のどちらかです。
- 補助金や助成金に応募する
- 購入型クラウドファンディングを利用する
国や自治体 – 融資・保証制度
国や自治体の融資は、以下の2つに大別できます。開業したばかりで実績がなくても、審査に通る可能性があります。
日本政策金融公庫の融資 | 要件を満たせば、無担保・無保証人でもOK |
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自治体の「制度融資」 | 原則的に、保証人を自前で用意しなくてよい |
日本政策金融公庫の融資
- 低金利
- 無担保、無保証人の制度がある
- 返済期間が比較的長い
新規開業者でも無担保・無保証人で融資を受けられる「新創業融資制度」が有名です。審査から着金まで、1ヶ月前後かかると言われています。
自治体の制度融資
上図のように、自治体の制度融資は、自治体が直接融資を行うわけではありません。審査期間は、日本政策金融公庫よりも長い傾向にあります。
国や自治体 – 補助金・助成金
国や自治体は、一定の基準を満たす事業者に対して、返済不要の「補助金」や「助成金」を支給しています。国が支給するものは、ざっくり以下の2種類に分けられます。
経済産業省系の補助金 | 要件を満たしても審査落ちがありうる |
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厚生労働省系の助成金 | 要件を満たせば審査落ちは基本ない |
経済産業省系の補助金
- 基本的に、審査を通過した事業者のみ受けられる
- 補助金の種類によって審査の難易度が異なる
- 申請を専門家に依頼するなら「行政書士」などへ
厚生労働省系の助成金
- 要件を満たしていれば、ほぼ受けられると考えてよい
- 大抵の助成金は、従業員を雇っていることが前提
- 申請を専門家に依頼するなら「社労士」へ
J-Net21:自治体も含めた補助金・助成金など – 中小機構
銀行の融資
メガバンクや地方銀行などで受ける融資は、次の3つに大別できます。
プロパー融資 | 原則として、事業実績・担保・保証人が必要 |
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保証付き融資 | 事業実績がなくても比較的融資を受けやすい |
ビジネスローン | 比較的ゆるい条件で借入できるが、金利が高め |
プロパー融資
- 金利は低めで、融資限度額もない
- 原則として、担保や保証人が必要
- 相当程度の事業実績が必要
保証付き融資
- 金利は低め(基本的にプロパー融資よりは高い)
- 信用保証協会が保証人になってくれる
- 融資限度額がある(無担保なら8,000万円まで)
ビジネスローン
- 金利は高め
- 無担保、無保証人で借りられる場合もある
- 融資限度額が低め(大体1,000万円ぐらいまで)
銀行以外の融資
銀行以外の金融機関は、預金業務の有無で2つに大別できます。ここでは、そのなかでも資金調達の際に利用する主な金融機関を紹介します。
銀行に近い (預金業務あり) |
商工中金 | 指定組合のいずれかに加入する必要がある |
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信用金庫 | 会員・組合員になる必要がある | |
信用組合 | ||
ノンバンク (預金業務なし) |
消費者金融 | 借りやすいが、高金利 |
信販会社 |
商工中金(商工組合中央金庫)の融資
- 中小企業向けの半官半民の金融機関
- 銀行と同じように、基本的に一定の事業実績や担保などが必要
- 低金利だが、審査が厳しめ
信用金庫・信用組合の融資
- 地域での助け合いと発展を目的とする民間の金融機関
- 原則、会員や組合員にならないと融資を受けられない
- 比較的借りやすいが、金利はやや高め
消費者金融・信販会社などの融資
- 審査が通りやすいが、金利も高い
- カードローン型は、限度額内で、必要なときに借り入れできる
- 事業融資型は、まとまった金額を一括で借り入れできる
クラウドファンディング
資金調達に役立つクラウドファンディングは、以下の3つに大別できます。なかでも、一般的な個人事業主が使えるのは、基本的には「購入型」のみです。
購入型 | 見返りとして、支援者へ商品・サービスを提供する |
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寄付型 | 支援者への見返りを用意する必要がない |
融資型 | 返済する必要がある(基本は法人向け) |
「寄付型」を利用するには、それ相応の事業内容でないといけません。「融資型」は、どちらかといえば法人向けです。いずれも、一般的な個人事業主にとっては、利用しづらいケースが多いでしょう。
VC・エンジェル投資家
ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家は、実績にかかわらず、将来性を重視して投資を行う存在です。出会えるかどうかは、コネや運といった要素が強く影響します。
ベンチャー キャピタル |
株式公開を目指していることが前提で、敷居が高い |
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エンジェル 投資家 |
個人事業主でも投資してもらえることがある |
近年は、マッチングサイトなど、インターネット上でアピールできる場も増えています。とはいえ、万人向けの資金調達方法とは言えません。経営に過度な介入をされることもあるので注意しましょう。
ちなみに、Youtubeチャンネル「令和の虎」では、投資家に対してアピールする様子が動画化されています。エンタメ的に誇張された側面もあるかもしれませんが、一つの参考にはなるでしょう。
ネオバンク・チャレンジャーバンク
ネオバンク・チャレンジャーバンクは、ざっくりいうと「銀行のベンチャー」です。どちらも利用者にとっては似たようなもので、以下のような特徴があります。
- 実店舗を持たない
- スマホアプリ内で、ほぼすべてのサービスを受けられる
- ITを駆使した金融サービスが提供される
会計ソフトなどと連携することで、AIが借入可能額を審査してくれる先進的な融資サービスもあります。国内では弥生子会社の運営する「ALTOA」などがこれに該当します。
【補足】担保の種類
以下の資産を担保にすることで、各種融資が受けやすくなります。
不動産担保 | 土地、建物、自動車など |
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有価証券担保 | 債権(証券化されたもの)、株式、約束手形など |
流動資産担保(ABL) | 売掛金、販売用の商品など |
預金担保 | 普通預金、定期預金、外貨預金など |
ゴルフ会員権担保 | 株主会員制、預託金会員制など |
また、以下の方法でも、自分の資産を活用して資金調達できます。
ファクタリング | 売掛金の権利を第三者に売却する |
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手形割引 | 約束手形などを支払期日前に換金する |
電子記録債権(でんさい) | 電子手形などを支払期日前に換金する |
生命保険の契約者貸付制度 | 生命保険会社から借り入れできる |
このほか、資金繰りの改善手法として、「請求書カード払い」というサービスを活用する方法もあります。手持ちのクレジットカードを利用して、銀行振込の支払期日を60日ほど先延ばしにできるサービスです。