白色申告で経費にできるのはどんな費用?

更新日: 2020/09/25
白色申告で経費にできるのはどんな費用?

白色申告で経費にできる費用の判別方法についてまとめました。事業のために必要な支出は経費にできますが、中にはこの判別が難しいものもあります。本記事では経費にできる費用だけでなく、経費にできそうでできない費用もあわせて紹介します。

INDEX

目次

    経費とは?

    経費とは、簡単に言うと「事業のために必要な支出」のこと。ただ、事業に関係があるように見えて、実際は経費にできない支出もあるので注意が必要です(詳しくは後述)。

    正しく経費を計上することで、税金を抑えられる

    経費をもれなく計上し、収入から差し引くことで、所得を減らすことができます。所得が減ると、結果として納める税金が抑えられます。

    必要経費と納税額の関係

    所得とは、ざっくり言うと「収入 – 経費」の金額のこと。所得税住民税の納付額は、この「所得」が少ないほうが抑えられるので、すべての経費を正しく計上して、節税につなげましょう。

    経費にできるのはどんな費用?

    白色申告において、経費として認められる費用の具体例を紹介します。白色申告者向けに紹介していますが、下記の具体例で挙げている費用は、もちろん青色申告でも同様に経費として扱えます。

    経費にできる費用の具体例

    • 事務所の家賃
    • 筆記用具などの事務用品代
    • デスクやパソコンなどの備品代
    • インターネット使用料や電話料金
    • 取引先との飲食費用
    • 事業用車のガソリン代や駐車料金
    • 従業員の給与や健康診断費用

    経費に計上する費用は「勘定科目」ごとに分類する

    経費として支出した金額は「何にいくら使ったか」を明らかにするために、分類しておく必要があります。具体的には、白色の確定申告時に提出する「収支内訳書」の中にある「勘定科目」ごとに集計し、帳簿に記帳していきます。

    令和元年分以降用 収支内訳書 経費欄

    上の赤枠部分に並んでいるのが科目です。経費は、科目によって用途別に分類し、確定申告の際には科目ごとに合計金額を算出します。

    勘定科目は自分で作成してOK

    事業を営む上で必要で、なおかつ既存の科目にうまく分類しきれない費用がかさむ場合は、自分で科目を作って構いません。

    勘定科目を追加してひとつにまとめる例

    たとえば運送業を営んでいて、ガソリン代や車両のメンテナンス費用などがかさむ場合は、「車両関係費」という新たな科目を作成してOKです。

    領収書やレシートなどは保管しておく

    経費計上を認められるには、事業に関係する支出であることが分かる証拠書類が必要です。領収書はもちろんのこと、レシートでも証拠書類として認められるので、普段から保管しておきましょう。確定申告で提出するわけではありませんが、これらの証拠書類も5年間は保管しておくよう法的に定められています。

    証拠書類として認められるもの(一例)

    • 領収書
    • レシート
    • 請求書や納品書
    • クレジットカードの利用明細書
    • 出金伝票

    電車やバスを利用した際の交通費など、領収書が出ない支出があった場合は、出金伝票に取引の内容を記入しておきましょう。

    出金伝票の記入例 - 旅費交通費
    出金伝票には、上のように「日付・用途・支払先・金額」を記入します。形式に定めはありません。文房具屋や100円ショップなどで市販されているものを利用するのが一般的です。

    10万円以上の固定資産について

    白色申告では、10万円以上の固定資産を購入する費用について、原則的に「減価償却」が必要です。固定資産とは、取得にかかる費用の合計が10万円以上かつ、使用できる期間が1年以上のものを指します。

    減価償却とは?

    減価償却とは、固定資産の取得価額を、法定耐用年数に応じて徐々に経費計上していくことです。

    • 取得価額………取得にかかった費用の合計(本体価格、送料、手数料など)
    • 法定耐用年数…法律で定められた、資産ごとの耐用年数(使用可能な年数)

    減価償却(定額法)では少しずつ経費計上する
    >> 減価償却費とは?【わかりやすい解説】

    青色申告では30万円未満の固定資産なら減価償却が不要

    
青色申告では、取得価額が30万円未満であれば「少額減価償却資産の特例」を利用できます。この特例を利用すると、30万円未満の費用であれば減価償却が不要となり、かかった費用の全額をその年の経費に計上できます。(年間300万円まで)

    プライベートな支出が混在する費用について

    事業とプライベートの両方に関係する費用については、そのうち事業で使っている部分を経費にできます。このように、事業とプライベートが混在している費用を、合理的な基準によって定めた割合で区分することを「家事按分」といいます。

    家事按分の対象となる主な費用

    家事按分の対象となる費用の具体例

    たとえば、自宅兼事務所の家賃が10万円で、そのうち50%を事務所として利用している場合、5万円を経費として計上することができます。

    経費にできない費用① 白色のみ経費にできない費用

    青色申告では認められても、白色申告では経費にできない費用があります。この代表的なものが「事業専従者に支払った給与」です。事業専従者とは、ざっくり言うと家族従業員のこと。以下のように、一定の要件を満たす親族がこれに当たります。

    事業専従者の要件

    白色申告では、事業専従者に支給した給与を経費にすることはできませんが、かわりに「専従者控除」が受けられます。この控除には上限金額が設けられており、配偶者なら86万円まで、配偶者以外は専従者一人につき50万円までと定められています。

    青色申告では専従者の給与を経費にできる

    一方で青色申告では、事業専従者に対して支給した給与を「専従者給与」という科目で経費に計上できます。上限金額も定められていないので、事業専従者に支給した給与を全額経費にすることが可能です。

    経費にできない費用② 一見して事業に関連する費用

    一見して事業に関連する費用でも、経費に計上できないものがあります。たとえば、以下のような費用は「事業」ではなく「事業主本人」のプライベートな支出とされているので、経費としては認められません。

    個人事業で必要経費にできない支出

    「事業主本人の給与」は存在しない

    事業主は、自分が受け取るお金を、給与として経費に計上することはできません。1年間の売上から経費などを差し引いて、残った「所得」が事業主の取り分です。個人事業では、そもそも「事業主への給与」という考え方は存在しないのです。

    所得税や住民税・社会保険料の納付額

    個人事業主の所得税と住民税、国民年金・国民健康保険といった保険料を納付した金額は経費にできません。ただ、国民年金と国保の保険料に関しては、支払った全額を所得から差し引くことができます(社会保険料控除)。

    ただし、税金の中でも「個人事業税」や、事業で利用するものの「固定資産税」などは、「租税公課」という科目で経費計上できることになっています。

    経費にできない費用③ 返還されるのが前提の費用

    事業に関係する費用であっても、後に全額返還されるお金は、経費としては扱えません。たとえばオフィスの「敷金」は、大家さんに「担保として預けたお金」です。これは契約が終わると返還されるのが前提なので、経費にすることはできません。一方で「礼金」は、大家さんに「お礼として渡すお金」で、返ってくるものではないので経費にできます。

    敷金と礼金の違い

    敷金の一部が修繕費用などに充当されて、全額戻ってこなかった場合は、修繕費用として支払った分を経費に計上できます。

    まとめ

    白色申告・青色申告ともに、大前提として経費にできるのは「事業のために必要な支出」のみ。このような支出であれば、計上できる金額に上限はありません。ただし、10万円以上の固定資産を購入した際は、費用の全額を一括で経費計上することはできません。減価償却をして少しずつ経費にしていく必要があります。

    白色申告で経費にできない費用

    • 白色申告のみ経費にできない費用 → 事業専従者に支払う給与
    • 事業に関連すると勘違いされやすい費用 → 所得税、住民税、社会保険料の納付額
    • 返還されるのが前提の費用 → 敷金、各種保証金など

    事業主の受け取るお金は経費にできない

    個人事業では、事業主本人が受け取るお金を、給与として経費にすることはできません。そもそも個人事業では「事業主の給与」という考え方をしません。事業主の取り分は、1年間の売上から経費などを差し引いた「所得」の金額です。

    私費が混在する費用は家事按分をする

    家事按分をすることで、私費と事業関連費が混在した費用について、事業で利用した部分を経費にすることができます。家事按分とは、プライベートな支出と事業の支出が混在している費用を合理的な基準で区分して、その割合を出すことです。