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収支内訳書の書き方・記入例【2ページ目】

更新日: 2023/08/23
収支内訳書の書き方・記入例【2ページ目】

本ページでは、収支内訳書の「2ページ目」について、詳しい書き方を記入例付きで説明します。収支内訳書は2ページ構成で、必ず両方のページへの記入が必要です。
>> 収支内訳書 1ページ目の書き方についてはこちら

INDEX

目次

    収支内訳書の書き方【2ページ目】

    収支内訳書(一般用)は2ページ構成で、それぞれに以下の内容を記入します。該当する収入や支出が無い部分は、空欄で構いません。

    収支内訳書1ページ目 収支内訳書2ページ目
    令和4年分以降用 収支内訳書1ページ目 記入例(全体) 令和4年分以降用 収支内訳書2ページ目 記入例(全体)
    1. 日付
    2. 事業主と事業に関する情報
    3. 収入金額
    4. 売上原価
    5. 経費
    6. 所得金額
    7. 給料賃金の内訳
    8. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
    9. 事業専従者の氏名等
    1. 売上(収入)金額の明細
    2. 仕入金額の明細
    3. 減価償却費の計算
    4. 地代家賃の内訳
    5. 利子割引料の内訳
    6. 本年中における特殊事情

    なお、この記事では2022年分(令和4年分)の収支内訳書を例に説明しています。

    1. 売上(収入)金額の明細

    事業で得た売上(報酬など)の内訳を、主な取引先ごとに記入します。取引先の情報と受け取った売上を、金額が大きいものから順番に書き入れましょう。飲食店や小売店といった、不特定多数を顧客とする場合は、売上金額の合計のみ記入すればOKです。

    令和元年分以降用 収支内訳書 売上金額記入例

    売上先名 取引先の会社名(屋号)や個人名
    取引先が5つ以上ある場合は、売上が大きい4つを記入する
    所在地 記入した取引先の会社や事務所の住所
    売上(収入)金額 記入した取引先から1年間に受け取った金額の合計
    上記以外の売上先の計 上に記入した4つの取引先以外から受け取った金額の合計
    1年間に受け取った売上金額の合計
    1ページ目の①と必ず同じ金額になる

    商品やサービスが提供が完了していれば、お金をまだ受け取っていなくても、その金額は「売上(収入)金額」に含めます。つまり「納品は12月だけど報酬の受け取りは1月」という場合の売上も、12月分にカウントしておく必要があるということです。
    >> 売上はいつ計上する?実現主義で考える収益の計上基準

    2. 仕入金額の明細

    「売上(収入)金額の明細」と同じように、主な仕入先の情報と仕入金額を記入します。ウェブデザイン業やコンサルタント業など、そもそも仕入れをしない業種の場合は、まるごと空欄で構いません。

    令和元年分以降用 収支内訳書 仕入金額の明細記入例

    仕入先名 仕入れを行った取引先の会社名(屋号)や個人名
    取引先が5つ以上ある場合は仕入金額が大きい4つを記入する
    所在地 記入した取引先の会社や事務所の住所
    仕入金額 記入した取引先から1年間に仕入れた商品の合計金額
    上記以外の仕入先の計 上に記入した4つの取引先以外から仕入れた商品の合計金額
    1年間に仕入れた商品の合計金額
    1ページ目の⑥と必ず同じ金額になる

    3. 減価償却費の計算

    この欄では、今回の確定申告で経費計上する「減価償却費」の金額を計算します。減価償却とは、10万円以上の高価な資産の購入費用を、毎年少しずつ経費にしていくこと。そのような資産を持っていない場合、この欄を記入する必要はありません。

    令和2年分以降用 収支内訳書 減価償却費の計算記入例

    減価償却資産の名称等(繰延資産を含む) 減価償却の対象となる資産の名前
    例:パソコン・デスク・冷暖房機器・自動車・倉庫
    面積又は数量 資産の個数
    面積で記入するのは建物などの場合のみ
    取得年月 購入した日付
    年号の表記は「20XX年」と「令和XX年」どちらでも
    取得価額
    (償却保証額)
    購入にかかった費用
    定額法の場合、カッコの中は何も記入しない
    償却の基礎になる金額 減価償却費を算出する基準になる金額
    定額法の場合は「取得価額(イ)」と同じ金額を記入する
    償却方法 「定額法」や「定率法」など、減価償却の方法
    個人事業では「定額法」が一般的
    耐用年数 資産の耐用年数 (主な資産の法定耐用年数表)
    新品で購入した資産の場合は法定耐用年数を記入する
    償却率又は
    改定償却率
    耐用年数に応じた償却率
    本年中の
    償却期間
    1年のうちでその資産を使用した月数
    例:4月に購入して12月まで使ったら「9」
    本年分の
    普通償却費
    (ロ)×(ハ)×(ニ)の金額
    特別償却費 震災被害などに関わる特例によって減価償却する金額
    本的には何も記入しない
    本年分の
    償却費合計
    (ホ)+(ヘ)の金額
    特別償却費が無ければ(ホ)と同じ金額を記入する
    事業専用割合 対象の資産を事業用に使った比率(家事按分をする場合)
    事業でしか使用していない場合は「100」と記入する
    本年分の
    必要経算入額
    (ト)+(チ)の金額
    家事按分をしない場合は(ト)と同じ金額を記入する
    未償却残高
    (期末残高)
    購入費用のうち、まだ経費計上していない金額
    その年に買った資産なら(イ)から(ト)を引いた金額になる
    摘要 減価償却の方法に関する注意書き
    中古資産や、特殊な償却方法の場合に記入する
    縦列それぞれの合計金額
    「本年分の必要経費算入額」の合計は1ページの⑬と一致

    なお、上記は「定額法」で減価償却をする際の記入方法です。10万~20万円のものを「一括償却資産」として扱う場合は、記入例を参考にしてください。また、個人事業では少ないケースですが「定率法」を選択する場合も記入内容が異なります。

    4. 地代家賃の内訳

    1ページ目の⑮にある「地代家賃」の詳細を記入します。地代家賃に該当する典型例は、貸事務所や貸店舗の賃借料です。自宅兼事務所の家賃の一部を家事按分で経費に計上する場合も、この欄に詳細を記入しなくてはなりません。

    令和元年分以降用 収支内訳書 地代家賃記入例

    支払先の
    住所・氏名
    物件を所有する大家さんや会社の名前と住所
    ※借りている物件の住所を書くのではない
    賃借物件 借りている物件の使いみち
    例:自宅兼事務所・事務所・店舗・倉庫・工場
    本年中の賃借料
    ・権利金等

    1年間に支払った「権利金」や「契約更新料」の金額
    当てはまる方に○をして金額を記入
    1年間に支払った「賃借料(家賃)」の合計額
    上の欄に書いた権利金や更新料は、ここに含めない
    左の賃借料のうち
    必要経費算入額
    権利金や賃借料の合計(権更 + 賃)のうち経費に計上する金額
    家事按分をしない場合は、単純に権利金や賃借料の合計

    「権利金」には、物件を借りる際の保証金や礼金も含まれます。ただし、いずれ返還されるのが前提である敷金は含みません。また、不動産業者に支払う仲介手数料は「支払手数料」などの科目で地代家賃とは別に処理するため、ここに書くのはNGです。

    5. 利子割引料の内訳

    1ページ目の⑯にある「利子割引料」の詳細を記入します。利子割引料とは、主に事業用に借りたお金の利子を指します。ただし、銀行や消費者金融から借りたお金については内訳を記入しなくてOK。あくまでも、金融機関以外の個人や法人からお金を借りた場合に、この欄を使います。

    令和元年分以降用 収支内訳書 利子割引料の内訳記入例

    支払先の
    住所・氏名
    利子などを支払った相手の住所と名前
    金融機関以外の個人名や会社名を記入する
    期末現在の借入金等の金額 期末時点(12月31日)で、まだ返済していない残高の金額
    借り入れた金額からこれまでの返済額を差し引いた額を記入
    本年中の利子割引料 1年間で支払った利子などの合計金額
    左のうち必要経費
    算入額
    「本年中の利子割引料」うち、経費に計上する金額
    家事按分をしない場合は、左の金額と一致する

    ちなみに利子割引料には、報酬で受け取った「手形」を現金化する際の手数料(割引料)も含まれます。とはいえ、手形を利用する事業者は多くありません。もし、報酬を手形で受け取り、金融機関以外で期日前に現金化することがあれば、その詳細も記入しましょう。

    6. 本年中における特殊事情

    申告内容について、税務署員に伝えておきたい特殊な事情をここに記入します。特に伝えておきたいことがなければ、空欄のままでもまったく問題ありません。

    令和元年分以降用 収支内訳書 本年中における特殊事情

    ただ、売上や経費の金額が例年と比べて急激に増減した年などは「税額をごまかしているのでは?」を疑われやすくなります。そのような場合、以下のように増減の要因を説明しておけば、税務署員からの無用の疑いを多少なりとも防ぐことができます。

    特殊事情の例① 自己都合により売上が大幅に減少した場合

    令和元年分以降用 収支内訳書 本年中における特殊事情の記入例 - 大幅に減少した場合

    特殊事情の例② 一部の経費が大幅に増加した場合

    令和元年分以降用 収支内訳書 本年中における特殊事情の記入例 - 大幅に増加した場合

    売上や経費の増減による急激な所得の変化は、虚偽の申告を疑われるポイントです。心配な点がある場合は、念のため特殊事情の欄に記入しておくと良いでしょう。

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