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クラウド会計ソフトとは?便利機能・導入準備・危険性の有無を解説

更新日: 2024/07/22 PR
クラウド会計ソフトとは?便利機能・導入準備・危険性の有無を解説

クラウド会計ソフトは、基本的にインストール不要で利用でき、自動仕訳などの便利な機能を多数備えています。個人事業主や法人向けに、主な便利機能やメリットなどをわかりやすく紹介します。後半では、導入する際の注意点やソフトの選び方も解説しています。

INDEX

目次

    クラウド会計ソフトとは?

    クラウド会計ソフトとは、クラウド上でデータを扱う会計ソフトのことです。インターネット環境さえあれば、場所や端末を選ばずにログインするだけで利用できます。銀行口座の明細をオンラインで自動取得する機能など、便利な機能も多いです。

    クラウド会計ソフトと従来の会計ソフトの違い

    クラウド型 インストール型
    インストール作業 不要 必要
    (CD-ROMなど)
    デバイス デバイスを問わない
    (パソコン・タブレット・スマホ)
    パソコン
    費用 ソフトの利用料金
    (月額 or 年額)
    ソフトの購入費用
    バージョンアップ費用(年に1回)
    ネット環境 必要 不要
    対応OS Windows・Macの両方に対応 Windows or Mac
    (ソフトにより異なる)
    画面構成 シンプル
    (初心者・経理経験者向き)
    複雑
    (経理経験者向き)
    自動仕訳の機能 あり なし
    (一部のソフトは対応)
    データの保管先 クラウド上
    (運営会社が管轄するサーバー内)
    ローカルのディスク内

    従来は、パソコンにインストールして使うタイプの会計ソフト(インストール型)しか選択肢がありませんでした。もともと経理担当者や税理士などの専門家が扱うことを想定して作られたソフトが多いため、インストール型は初心者にとってやや敷居が高いです。

    現在は、クラウド会計ソフトの登場により、ブラウザから操作するだけで手軽に会計ソフトを導入できます。これから会計ソフトを新たに導入するなら、便利で使いやすいクラウド型がおすすめです。

    インストール型とクラウド型の違いを徹底比較

    クラウド会計ソフトの便利機能を紹介

    クラウド会計ソフトの機能のなかでも、とくに便利なものを厳選して紹介します。近年は、これらと同様の機能を取り入れたインストール型ソフトも少しずつ増えていますが、やはりクラウド型のほうが動作が軽快で、操作性にも優れています。

    機能① 自動仕訳 機能② レシートのスキャン 機能③ 電子申告
    「スマート取引取込」で自動取り込み - やよいの白色申告 オンライン レシート撮影から仕訳登録までの流れ【会計ソフト】やよいの白色申告 オンライン 申告データの作成画面 - 弥生

    ※ 画像はやよいの青色申告 オンラインのもの

    便利機能① 自動仕訳機能

    クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードを紐づけると非常に便利です。明細データを自動的に取得し、仕訳(しわけ)の提案などをしてくれます。仕訳とは、複式簿記の形式で記帳することを指します。日付や金額などを手入力する必要がなくなるため、記帳がとても楽になります。

    「スマート取引取込」で自動取り込み - やよいの白色申告 オンライン

    ※ 画像はやよいの青色申告 オンラインのもの

    勘定科目(例: 旅費交通費、消耗品費などの分類)に関しては、明細には含まれていない情報なので、ソフトの推測機能によって無難な科目が提案されます。基本的にはそのまま登録してOKですが、気に入らなければ別の科目にも変更できます。

    使っていくうちにソフト側が学習してくれるので、自ら手直しする頻度は徐々に減っていくと考えて支障ありません。定期的に同じような取引がある場合などは、かなり高精度での自動仕訳が期待できます。

    便利機能② 領収書・レシートのスキャン機能

    領収証やレシートをスマホのカメラでスキャンし、その内容を会計データとしてクラウド会計ソフトに取り込めます。この機能を活用すれば、現金での取引についても、記帳業務の大部分を自動化できます。

    レシート撮影から仕訳登録までの流れ【会計ソフト】やよいの白色申告 オンライン

    ※ 画像はやよいの青色申告 オンラインのもの

    スマホでレシートなどを撮影すると、紙に書かれている文字をテキストデータとして取り込めます(OCR機能)。あとは先述の自動仕訳と同様、ソフト側が仕訳を提案してくれるので、基本的にはそのまま登録するだけでOKです。

    撮影した領収書やレシートは、そのままクラウド上にデジタルデータとしてアップロードされ、電子保存ができます(スキャナ保存)。デジタル化することで、検索が容易になり、かさばらずに保存できます。

    レシートや領収書の読み取りができる会計ソフト【比較一覧】

    便利機能③ 所得税の電子申告(e-Tax)

    クラウド会計ソフトは、所得税の電子申告(e-Tax)にも対応しやすいです。ソフトで作成した確定申告書類を、オンラインでそのまま提出できます。 自宅や仕事場などにいながら、申告データの送信が5分〜10分程度で完了します。

    申告データの作成画面 - 弥生

    ※ 画像はやよいの青色申告 オンラインのもの

    初めて電子申告する際は、クラウド会計ソフトを利用するのがおすすめです。申告書の作成〜送信の流れを、わかりやすくガイドしてくれます。ソフトの案内に沿って操作するだけで、手順に迷うことなくスムーズに申告できます。

    電子申告機能を利用すれば、わざわざ紙の申告書を作成する手間が省けます。過去の申告書はクラウド上に自動で保存されるので、いつでも簡単に参照可能です。さらに、青色申告特別控除で節税する際、65万円控除の要件もクリアしやすくなります。

    電子申告(e-Tax)に対応したクラウド会計ソフト【比較一覧】

    クラウド会計ソフトを導入するメリット・デメリット

    結論から言うと、クラウド会計ソフトには決定的なデメリットがなく、大半の事業者にとってはメリットのほうが大きいです。これから会計ソフトを導入する個人事業主・フリーランスであれば、クラウド型がおすすめです。

    メリット デメリット
    ・自動仕訳などの便利機能が多い
    ・法改正に自動で対応できる
    ・場所や端末を問わず利用できる
    ・ランニングコストがかかる
    ・インターネット環境が必要
    ・システム障害などが心配

    クラウド会計ソフトのメリット・デメリットを詳しく解説

    クラウド会計ソフトのメリット

    クラウド会計ソフトには、先述のような便利機能がいくつも搭載されています。 なかでも、自動仕訳は万人におすすめできる機能です。手動での入力作業がほとんど要らなくなり、経理業務の効率が飛躍的に向上します。

    また、法改正にも自動で対応できるため、法律に詳しくなくても、つねに最新のルールに従って業務を行えます。クラウド型ならアップデートの作業もしなくてよいので、パソコンが苦手な人でも安心です。

    さらに、クラウド会計ソフトはネット環境さえあれば、場所やデバイスを問わずに利用できます。リモートワークの促進や、急な確認・修正が必要な場面にも対応しやすいです。データは何重にもセキュリティ対策が施され、クラウド上で安全に管理されます。

    クラウド会計ソフトのデメリット

    クラウド会計ソフトには、月額・年額料金のランニングコストがかかります。ただ、買い切りのインストール型ソフトを選んだとしても、アップデートやサポート費用などで、結局は同じようなランニングコストが発生する場合も多いです。

    インターネット環境が必須である点も、しばしばデメリットとして挙げられます。ですが、いまどきネットが一切使えない環境というのは、なかなか考えにくいです。スマホでデータ通信ができれば、スマホからクラウド会計ソフトを利用できます。

    クラウド会計ソフトの場合、システム障害などが起きたら、一時的に利用できない恐れがあります。とはいえ、過去の状況を見ても、そのようなことは滅多に起きていませんし、障害が起きたとしても2〜3時間程度で復旧できています。

    【クラウド会計ソフトの危険性】セキュリティ面は大丈夫?

    クラウド会計ソフトには、データ暗号化などを含め、つねに最新のセキュリティ対策が施されています。自前のシステムやインストール型ソフトの場合は、定期的にアップデートしないといけませんが、クラウド型なら自動的に最新の状態が保たれます。

    クラウド型 インストール型* エクセルなど
    ソフトのアップデート 自動 手動
    データのバックアップ 自動 手動 手動
    税理士へのデータ共有 アカウント共有 メールなど メールなど

    * クラウド機能を搭載したインストール型(いわゆるハイブリッド型)は除く

    クラウド型は、自動化されている部分が多いため、ヒューマンエラーが起きづらいです。アップデートやバックアップをうっかり忘れたり、税理士にメールするはずが宛先を間違えたり、といったトラブルを未然に防げます。

    もちろん、不正アクセスなどのリスクを避けて安全に利用するには、ユーザー側のセキュリティ意識も重要です。強固なパスワードを設定する、定期的にパスワード変更をする等、インターネットを利用する際の一般的な対策はしたほうがよいです。

    クラウド会計ソフトの導入に必要な準備

    とくに準備しなくても、クラウド会計ソフトの導入は可能です。アカウント登録の際にメールアドレスが必要なので、とりあえずそれだけ用意しましょう。以下のようなケースに該当する場合のみ、追加で準備をすればOKです。

    ① 自動仕訳の機能を活用したい場合
    ・アカウント連携できる銀行口座やクレジットカードを用意する
    ・必要な勘定科目が揃っているか確認しておく
    ② すでに別の方法で帳簿をつけている場合
    ・インポート用のCSVファイルなどを作成しておく
    ・手入力で転記する場合は、古いほうの帳簿を用意する
    ③ 顧問税理士を雇っている場合
    ・クラウド会計ソフトの対応可能か確認する
    ・対応できない場合は、顧問税理士の変更も検討してみる

    準備① 自動仕訳の機能を活用したい場合

    銀行口座やクレジットカードの明細をオンラインで自動取得したい場合は、アカウント連携をする必要があります。一般的な金融機関やクレジットカードなら、たいていは対応していますが、一応問題ないか確認しておきましょう。

    また、法人企業などで特殊な勘定科目を用いる場合は、あらかじめ勘定科目のリストを準備しておくとスムーズです。一方、個人事業主の場合は、確定申告書類の様式に合った科目さえあれば問題ないので、基本的に確認はしなくて支障ありません。

    準備② すでに別の方法で帳簿をつけている場合

    すでに帳簿がある場合は、当期分(個人事業主の場合は当年分)の内容だけでも、きちんとデータ移行したほうがよいです。データ移行しないと、決算書の自動作成に支障をきたす恐れがあります。

    クラウド会計ソフトへデータ移行する際は、インポート用のCSVファイルを作成するのが一般的です(もとの帳簿が手書きの場合は除く)。この方法なら、30分もかからずにデータ移行ができます。パソコンに詳しくなくても、会計ソフトの案内に従って操作すればOKです。

    準備③ 顧問税理士を雇っている場合

    顧問税理士を雇っている場合は、クラウド会計ソフトに対応可能か確認しましょう。まったく対応してくれないケースは考えにくいですが、先生によってソフトの好みがあったりするので、事前にコミュニケーションを取るのがおすすめです。

    万が一、まったく対応できないとなれば、他の税理士に顧問を依頼することも視野に入ります。クラウド会計ソフトを導入すれば、大幅な業務効率アップも期待できるわけですから、検討する価値は十分あります。

    【補足】会計ソフトの費用を捻出する際の考え方

    「わざわざ会計ソフトにお金をかけるのは、まだちょっと抵抗あるかも……」という方は、いったん自分の時間単価を考えてみましょう。会計ソフトを上手に活用すれば、大抵の場合、利用料金くらいは容易に回収可能です。

    会計ソフトによる時短・業務効率化の効果 - コア業務に集中できる

    会計ソフトでうまく時短できれば、トータルの実働時間を増やすことなく、コア業務により多くの時間を割けます。詳細は後述しますが、大手3社のクラウド会計ソフトなら、月1,000円程度から利用できるので、比較的カンタンに元は取れます。

    クラウド会計ソフトの選定方法

    クラウド会計ソフトを選定する際、とくに考慮すべきポイントを紹介します。これから挙げる4つのポイントを、上から順番に確認していけばOKです。

    ① 事業規模 個人と法人では、必要な機能も料金も全然違います。
    ② サポート体制の有無 初心者はサポートありを選んだほうが無難です。
    ③ トライアル期間の有無 トライアル期間がしっかりあるソフトがおすすめです。
    ④ 各種制度への対応 大抵は最新の制度に対応していますが、念のため確認しましょう。

    選定ポイント① 事業規模 – 個人or法人

    会計ソフトは、個人向けと法人向けとで、機能や料金が大きく異なります。個人事業主が誤って法人向けのソフトを利用しても、ただ高額なだけで、必要な機能が揃っていないので注意しましょう。

    選定ポイント② サポート体制

    サポートの有無や内容も重要なポイントです。とくに初心者の場合、不明点やトラブルがあっても、なかなか自力では対応しづらいです。導入後のサポートが充実したソフトをおすすめします。電話やチャットに対応していれば、素早い応答が期待できます。

    選定ポイント③ トライアル期間

    無料トライアル期間があるソフトを選ぶのがおすすめです。せっかく導入しても期待外れだった場合は、他のソフトへ乗り換える羽目になります。そのような二度手間を避けるためにも、ぜひ事前に使用感を確認しておきましょう。

    選定ポイント④ e-Tax・電子帳簿保存法・インボイス制度への対応

    クラウド会計ソフトの多くは、最新の法令に対応しています。e-Tax電子帳簿保存法インボイス制度への対応状況は、とくに重要なポイントなので、念のため確認しておきましょう。

    【クラウド会計ソフトのシェア率】人気・おすすめソフトは?

    みんなが使っているソフトを選んでおけば、大きな失敗はしづらいです。「機能を細かく比較するのはめんどくさい!」「色々ありすぎて、どれを選べばいいかわからない!」などで困っている場合は、シェア率で考えるのも良いアプローチです。

    クラウド会計ソフトのシェア率

    個人事業主 中小法人
    クラウド会計ソフトのシェア(個人事業主) クラウド会計ソフトのシェア(中小法人)

    >> クラウド会計ソフトのシェア率・近年の推移

    個人事業主と法人のどちらも、弥生・freee・マネーフォワードの大手3社のクラウド会計ソフトが上位を占めています。とくにこだわりがなければ、この3社から自社に合ったものを選択すればOKです。

    個人事業主におすすめのクラウド会計ソフト

    弥生 freee マネーフォワード
    記帳画面 やよいの青色申告オンラインの取引入力画面 取引の登録(手入力) – freee
    料金
    (税込)
    白:0円~
    青:11,330円/年~
    12,936円/年~ 11,880円/年~
    対応OS
    帳簿付け
    自動仕訳
    確定申告書の作成
    電子申告
    主なサポート ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・業務ヘルプデスク
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・税務調査補償
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    やよいの青色申告公式サイトを見る freee公式サイトを見る マネーフォワード公式サイトを見る
    あなたにピッタリの会計ソフトを診断

    Q.これまでに会計ソフトを導入したことがある?

    初めて導入する 導入した経験あり

    いずれも基本的な機能はしっかり備えており、帳簿付けから確定申告までスムーズにできます。費用面やサポート面が少し異なりますが、操作画面の好みや、実際の使用感で選んでもOKです。

    【法人向け】おすすめのクラウド会計ソフトを比較

    弥生 freee マネーフォワード
    記帳画面 会計freeeの帳簿付け画面(法人向け会計ソフト) 弥生会計オンラインの取引入力画面(法人)
    “料金
    (税込)”
    30,580円/年~ 35,760円/年~ 30,580円/年~
    対応OS
    帳簿づけ
    自動仕訳
    決算書
    法人税申告書 × × ×
    消費税申告書
    (上位プランのみ)
    ×
    主なサポート ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・業務ヘルプデスク
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    弥生会計公式サイトを見る freee公式サイトを見る マネーフォワード公式サイトを見る

    法人の場合、顧問税理士に申告書を作成してもらうのが一般的です。そのため、法人税申告書の作成には対応していないのが普通です。消費税申告書の作成に関しては、対応しているソフトもありますが、税理士がいればこちらも気にしなくてOKです。

    まとめ

    クラウド会計ソフトは、ネットでログインして使うタイプの会計ソフトです。データをクラウド上で管理しているため、自分でバックアップを取ったりする必要がありません。自動仕訳や電子申告などが手軽に行えるのも大きな利点です。当メディア「自営百科」でも、各ソフトの対応状況などを随時まとめていますので、参考にしてみてください。

    クラウド会計ソフトのメリット・デメリット

    メリット デメリット
    ・自動仕訳などの便利機能が多い
    ・法改正に自動で対応できる
    ・場所や端末を問わず利用できる
    ・ランニングコストがかかる
    ・インターネット環境が必要
    ・システム障害などが心配

    クラウド会計ソフトの主なメリットは、一言でまとめると、時間の節約がしやすい点です。空いた時間を活用して、コアとなる業務に集中することもできますし、プライベートの時間を増やすことも可能です。

    デメリットについては、どれも深刻に考える必要はないでしょう。一番気になるのはランニングコストかと思いますが、買い切りのインストール型ソフトであっても、アップデートやサポート費用などで一定のランニングコストはかかります。

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