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クラウド会計ソフトのメリット・デメリットとは?導入すべき個人事業主・法人の特徴も解説

更新日: 2024/08/05
クラウド会計ソフトのメリット・デメリットとは?導入すべき個人事業主・法人の特徴も解説

クラウド会計ソフトを導入するメリット・デメリットを、わかりやすく徹底解説します。従来のインストール型ソフトよりも、クラウド型のほうが導入や運用が簡単で、万人向けのシステムです。クラウド会計は、多くの個人事業主・法人におすすめできます。

INDEX

目次

    そもそもクラウド会計ソフトとは?

    クラウド会計ソフトは、帳簿などをクラウド上で作成し、インターネットでどこからでもアクセスできるサービスです。安全性にも十分な配慮がなされており、データのバックアップも簡単に行えます。

    クラウド会計ソフトとインストール型会計ソフトの違い

    クラウド型 インストール型
    インストール 不要 必要
    (CD-ROMなど)
    デバイス デバイスを問わない
    (パソコン・タブレット・スマホ)
    パソコン
    費用 ・ソフトの利用料金
    (月額 or 年額)
    ・ソフトの購入費用
    ・バージョンアップ費用(年に1回)
    ネット環境 必要 不要
    対応OS Windows・Macの両方に対応 Windows or Mac
    (ソフトにより異なる)
    画面構成 シンプル
    (初心者・経理経験者向き)
    複雑
    (経理経験者向き)
    自動仕訳の機能 あり なし
    (一部のソフトは対応)
    データの保管先 クラウド上
    (運営会社が管轄するサーバー内)
    ローカルのディスク内

    どっちがおトク? クラウド型とインストール型

    結論からいうと、費用面については、どちらを選んでもそれほど変わりません。クラウド型は、基本的にサブスク料金なので、初期費用はかからないのが一般的です。毎月or毎年のプラン料金を支払えば、ずっと最新のシステムを使い続けられます。

    一方、インストール型の多くは買い切りです。初期費用はかかりますが、基本的には毎月の支払いなしで使い続けられます。ただし、数年でシステムが陳腐化することもあり、結局はソフトの買い替えやバージョンアップに追加のお金がかかります。

    クラウド会計ソフトのメリット

    1. OSやデバイスを問わずに利用できる
    2. 初心者でも使いやすい
    3. 銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳ができる
    4. 法改正などに自動で対応できる
    5. 経営状況をリアルタイムで把握できる

    ここからは、クラウド会計ソフトのメリット①〜⑤について詳しく解説していきます。

    ① OSやデバイスを問わずに利用できる

    クラウド型ソフトの多くは、WindowsとMacのどちらにも対応しています。ChromeなどのWEBブラウザさえ入っていれば、大体どんなデバイスでもOKです(パソコン・スマホ・タブレット)。

    さらに、クラウド会計大手の「弥生・freee・マネーフォワード」の3社は、無料のスマホアプリも提供しています。スマホの小さな画面でもストレスなく操作できますし、外出先や自宅でも手軽に記帳できます。

    ② 初心者でも使いやすい

    クラウド会計ソフトは、初心者でも簡単に扱えるものが多いです。インターフェースがシンプルでわかりやすく、直感的に操作できます。簿記の専門用語を知らないユーザーのために、親切なガイド文なども用意されています。

    初心者にとっては、サポート体制の充実度も重要です。クラウド型なら、大抵は帳簿画面の隅にチャットを表示でき、帳簿付けをしながらシームレスにオペレーターと相談することも可能です。なかには、オペレーターと画面共有できるソフトもあります。

    ③ 銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳ができる

    主要なクラウド会計ソフトでは、銀行口座やクレジットカードを登録しておくと、取引明細を自動で取得してくれます。この明細データを上手に活用すれば、大幅な時短になりますし、ヒューマンエラーの防止にもなります。

    さらに、自動取得したデータに基づいて、ソフトが仕訳を提案してくれる機能もあります(自動仕訳)。勘定科目の推測までしてくれるので、ほぼソフトにお任せできます。ユーザーは、最終的なチェックをして、帳簿に登録するだけでOKです。

    ④ 法改正などに自動で対応できる

    クラウド会計ソフトなら、つねに最新の法令に対応したソフトを利用できます。ユーザー側で、アップデートやバージョンアップの作業はしなくてOKです。税制改正や申告書類の様式変更があっても、スムーズに対応できます。

    ちなみに、新たな便利機能が実装される際も、クラウド会計なら自動的に機能が追加されます。料金プランに応じて、必要な機能やサービスを選択することも可能です。

    ⑤ 経営状況をリアルタイムで把握できる

    クラウド会計ソフトで記帳していれば、リアルタイムの経営状況を、グラフや表でわかりやすく視覚化できます。外出先で何らかの経営判断を迫られたときなど、スマホで数字をパッと確認できるのは、クラウド会計の強みといえます。

    税理士と顧問契約を結んでいる場合は、アカウントを共有して、会計データにそのままアクセスしてもらうことも可能です。税理士に報告するための書類を、いちいち作成する必要はありません。

    クラウド会計ソフトのデメリット

    1. インターネット環境がないと利用できない
    2. サービスが終了したらソフトを利用できない
    3. ランニングコストがかかる
    4. セキュリティ面がなんとなく不安

    クラウド会計ソフトにもデメリットはありますが、実務における影響はかなり限定的です。
    とはいえ、気になる方も多いでしょうから、詳しく解説していきます。

    ① インターネット環境がないと利用できない

    クラウド会計ソフトを利用するには、インターネット環境が必須です。インストール型とは異なり、オフラインでソフトを操作することは基本できません。そのため、接続が不安定な場所には不向きです。

    とはいえ、いまどきネットが全然つながらない場所のほうが考えにくいですし、ごく一般的な回線速度でストレスなく操作できます。この点はあまり気にしなくてよいでしょう。

    ② サービスが終了したらソフトを利用できない

    サービスが終了すると、ソフトの乗り換えのため、新しいソフトの選定や移行作業が必要になります。実例を挙げると、カシオ計算機社の「HANJO会計」シリーズが、2024年12月31日をもってサービス終了となりました(新規利用はすでに受付停止)。また、「フリビズ」「ネットde青色申告」「ハイブリッド会計Crew」が、2018年にサービス終了となったことがあります。

    したがって、運営会社の経営が安定しているか、サービスの採算性やシェアに問題がないか、しっかり見極めるべきです。この点、近年のクラウド会計ソフト市場でシェア上位をキープしている「弥生・freee・マネーフォワード」の3社であれば安心です。

    ③ ランニングコストがかかる

    クラウド会計ソフトの費用は、基本的に月額・年額制のサブスク方式です。ずっとお金を払い続けるので「長期的に考えると損なのでは?」との懸念もあるでしょう。ですが、サブスクと買い切りのどちらでも、費用的には大差ないと考えられます。

    買い切りのインストール型であっても、何年も使う場合は、新バージョンへのアップグレードや買い替えがいずれ必要になります。一方、クラウド型ではその費用もランニングコストに含まれます。トータルの費用で比べると、トントンになることも多いです。

    ④ セキュリティ面がなんとなく不安

    クラウド会計ソフトの特性上、インターネットでどこからでも帳簿にアクセスできるので、不正アクセスなどの不安を抱く方も多いようです。ただ、ログインIDやパスワードの管理をしっかりしていれば、それほど心配しなくてよいでしょう。

    クラウドサービス提供者は、データの暗号化を含めた様々なセキュリティ対策を講じています。普通のパソコンにデータをそのまま保存するよりは、高度な技術で守られています。

    クラウド会計ソフトを導入すべき個人事業主・法人の特徴

    クラウド会計ソフトと相性が良いのは、端的に言うと「業務改善のために、新しいシステムを積極的に取り入れたい」という企業です。基本的に準備は不要で、インターネットでログインするだけで利用開始できるので、すぐに業務改善に取りかかれます。

    たとえば、クラウド会計ソフトは、経理業務の生産性向上を目指す企業にフィットします。銀行口座の取引データを自動取得し、仕訳の提案までしてくれるため、手作業に伴う手間やミスを大幅に削減できます。

    また、モバイルワークやリモートワークを推進したい企業や、税理士との連携をスムーズにしたい企業にも最適です。移動中や出張先でも手軽にアクセス可能で、場所を選ばず経理作業ができます。税理士へのデータ提供も容易です。

    常に最新バージョンが利用できるため、税制改正などに確実に対応できます。コンプライアンスの徹底を重視する企業においても非常に有益です。

    おすすめのクラウド会計ソフト【比較一覧表】

    クラウド会計ソフトで人気が高いのは、弥生・freee・マネーフォワードの3社です。先述のデメリットで解説したように、サービス終了のリスクを考慮しても、これらのソフトなら安心です。個人事業主・法人向けに、それぞれ料金や機能などを紹介します。

    【個人事業主向け】おすすめのクラウド会計ソフトを比較

    弥生 freee マネーフォワード
    記帳画面 やよいの青色申告オンラインの取引入力画面 取引の登録(手入力) – freee
    料金
    (税込)
    白:0円~
    青:11,330円/年~
    12,936円/年~ 11,880円/年~
    対応OS
    帳簿付け
    自動仕訳
    確定申告書の作成
    電子申告
    主なサポート ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・業務ヘルプデスク
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・税務調査補償
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    やよいの青色申告公式サイトを見る freee公式サイトを見る マネーフォワード公式サイトを見る
    あなたにピッタリの会計ソフトを診断

    Q.これまでに会計ソフトを導入したことがある?

    初めて導入する 導入した経験あり

    3社とも、基本的な機能はしっかり備えています。費用面やサポート面が少し異なりますが、どれを選んでも帳簿付けから確定申告までスムーズにできます。操作画面の好みや、実際の使用感で選んでもOKです。

    【法人向け】おすすめのクラウド会計ソフトを比較

    弥生 freee マネーフォワード
    記帳画面 会計freeeの帳簿付け画面(法人向け会計ソフト) 弥生会計オンラインの取引入力画面(法人)
    “料金
    (税込)”
    30,580円/年~ 39,336円/年~ 30,580円/年~
    対応OS
    帳簿づけ
    自動仕訳
    決算書
    法人税申告書 × × ×
    消費税申告書
    (上位プランのみ)
    ×
    主なサポート ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・業務ヘルプデスク
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    ・メール
    ・チャット
    ・電話
    弥生会計公式サイトを見る freee公式サイトを見る マネーフォワード公式サイトを見る

    法人の場合、税理士に申告業務を依頼するのが一般的です。そのため、会計ソフトは法人税申告書の作成に対応していないのが普通です。消費税申告書の作成には対応しているソフトもありますが、税理士がいればこちらも気にしなくてOKです。

    まとめ

    クラウド会計ソフトのメリット・デメリットは、以下の通りです。大抵の個人事業主・法人にとって、実質的なデメリットはほぼありません。基本的にはメリットのほうが大きいと考えてOKです。

    メリット デメリット
    ① OSやデバイスを問わずに使える
    ② 初心者でも使いやすい
    ③ 自動仕訳がしやすい
    ④ 法改正などに自動で対応できる
    ⑤ 経営状況を常に把握できる
    ① ネット環境がないと使えない
    ② サービスが終了したら使えない
    ③ ランニングコストがかかる
    ④ セキュリティ面の不安

    クラウド会計ソフトのメリット

    クラウド会計ソフトなら、場所や端末にとらわれず、いつでもどこからでも会計業務を行えます。画面がシンプルでわかりやすく、直感的に操作できるので、簿記の知識がない初心者でも安心して利用できます。もちろん法改正にも自動で対応可能です。

    クラウド会計ソフトのデメリット

    クラウド会計ソフトを使うにはネット環境が必須ですが、この点はほとんどの企業がクリアしているでしょう。サブスク料金については、インストール型の買い替えなどを考慮すれば、クラウド型とインストール型を比較してもあまり変わりません。

    データの漏洩や消失のリスクに対しては、高度なセキュリティ対策が施されています。ログインIDとパスワードの管理さえきちんとしていれば、実際のリスクはかなり低いと考えられます。

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