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建設業におすすめの会計ソフト【比較一覧】導入メリットや選ぶポイントも解説

更新日: 2024/08/05
建設業におすすめの会計ソフト【比較一覧】導入メリットや選ぶポイントも解説

建設業を営む法人や個人事業主向けに、おすすめの会計ソフトを紹介します。建設業や建築業では、工事の着工から完成まで長期間かかるため、経理が複雑になりやすいです。会計ソフトの導入メリットや選び方についても解説します。

INDEX

目次

    建設業におすすめの会計ソフト【比較一覧】

    建設業におすすめの会計ソフトを一覧表にまとめました。必ずしも建設業専用のソフトを使わなくても構いません。建設業の勘定科目などに対応していれば、どんな会計ソフトでもOKです。

    対象ユーザー 料金(税込) 建築業の
    勘定科目
    主な機能
    会計freeefreee会計 小規模事業者
    中小企業
    39,336円/年~
    クラウド
    ・帳簿作成
    ・自動仕訳
    ・年次決算
    ・タグ機能(工事管理)
    マネーフォワードクラウド確定申告のロゴマネーフォワード
    クラウド会計
    小規模事業者
    中小企業
    39,336円/年~
    クラウド
    ・帳簿作成
    ・自動仕訳
    ・年次決算
    勘定奉行クラウド(建設業編)ロゴ画像勘定奉行クラウド
    (建設業編)
    中小企業
    大企業
    418,000円/年~
    クラウド
    ・帳簿作成
    ・自動仕訳
    ・年次決算
    ・工事管理システム
    PCAクラウド建設業界計 ロゴ画像PCAクラウド
    建設業会計
    中小企業
    大企業
    253,440円/年~
    クラウド
    ・帳簿作成
    ・自動仕訳
    ・年次決算
    ・工事管理システム
    スイート建設会計 ロゴ画像スイート建設会計 中小企業 275,000円~
    クラウド
    ・帳簿作成
    ・自動仕訳
    ・年次決算
    ・工事管理システム
    建設大臣NX ロゴ画像建設大臣NX 中小企業
    大企業
    1,056,000円~
    インストール
    ・帳簿作成
    ・自動仕訳
    ・年次決算
    ・工事管理システム

    ※ 上記の料金は、いずれも法人利用を前提としたプランです。

    小規模な個人事業主(一人親方など)や法人には、会計初心者でも手軽に操作できるソフトがおすすめです。freeeかマネーフォワードなら、パソコンに慣れていない人でも扱いやすく、個人事業主の確定申告にも対応可能です。

    中堅~大企業の場合は、建設業に特化した会計ソフトのほうがフィットしやすいです。工事別での費用管理や、大量の在庫や固定資産の管理などは、建設業専用の会計ソフトのほうが得意です。

    それぞれのソフトの特徴を、以下にざっくりまとめておきます。

    freee会計

    freee会計ロゴ 料金(税込) 対象ユーザー 対応OS
    39,336円/年~ 小規模事業者
    中小企業
    Windows
    Mac
    自動仕訳 決算・申告 建設業会計
    • 勘定科目をカスタマイズすれば建設業でも使える
    • タグ機能を利用して工事別の原価管理ができる
    • freeeアプリストアで、さらに便利な工事管理ツールを導入可能

    まずは無料トライアルfreee会計 公式サイト

    マネーフォワード クラウド会計

    マネーフォワードクラウド確定申告のロゴ 料金(税込) 対象ユーザー 対応OS
    39,336円/年~ 小規模事業者
    中小企業
    Windows
    Mac
    自動仕訳 決算・申告 建設業会計
    • 勘定科目をカスタマイズすれば建設業でも使える
    • 給与管理、経費精算、請求書作成など、10種類以上のソフトが使い放題
    • 金融機関との連携がスムーズで、明細などの自動取込みがしやすい

    まずは無料トライアルマネーフォワード 公式サイト

    勘定奉行クラウド(建設業編)

    勘定奉行クラウド(建設業編)ロゴ画像 料金(税込) 対象ユーザー 対応OS
    418,000円/年~
    クラウド
    中小企業
    大企業
    Windows
    自動仕訳 決算・申告 建設業会計
    • デフォルトで建設業会計の勘定科目が用意されている
    • 間接費の自動配賦や、棚卸の自動処理が可能
    • 他の奉行シリーズとAPI連携できる

    PCAクラウド建設業会計

    PCAクラウド建設業界計 ロゴ画像 料金(税込) 対象ユーザー 対応OS
    253,440円/年~
    クラウド
    中小企業
    大企業
    Windows
    自動仕訳 決算・申告 建設業会計
    • 工事・工種マスターを標準搭載、工事別管理が可能
    • 請求書などのPDFから仕訳データを取り込める(AI-OCRオプション)
    • 完成振替や共通費配賦を自動化できる

    スイート建設会計

    スイート建設会計 ロゴ画像 料金(税込) 対象ユーザー 対応OS
    275,000円~
    クラウド
    中小企業 Windows
    Mac
    自動仕訳 決算・申告 建設業会計
    • デフォルトで建設業会計の勘定科目が用意されている
    • 工事別の進捗率や原価の計算、間接費の配賦機能あり
    • 公認会計士による質問サポートや、伝票入力の代行サービスあり

    建設大臣NX

    建設大臣NX ロゴ画像 料金(税込) 対象ユーザー 対応OS
    1,056,000円~
    インストール
    中小企業
    大企業
    Windows
    自動仕訳 決算・申告 建設業会計
    • デフォルトで建設業会計の勘定科目が用意されている
    • 共通費の自動配賦、進捗管理、工事別の原価計算などが可能
    • 完成振替伝票の自動作成ができる(完成自動振替)

    建設業会計とは? 一般会計との違い

    いわゆる「建設業会計」とは、ざっくりいうと、工業簿記を建設業に合わせて調整したものです。建設業では、受注から引き渡しまで数年かかることも珍しくありません。そのため、原価や売上の計算方法などを工夫する必要があります。

    建設業会計の特徴【一般会計との主な違い】
    1. 特徴的な勘定科目を用いる
    2. 工事別に原価計算をする(工事原価)
    3. 売上の認識基準が複雑

    建設業会計では、ほかの一般業種で用いられる「商業簿記」に比べて、より複雑な会計処理を求められることが多いです。「建築業経理士」という民間資格もあります。

    では、上記①~③について簡単に解説していきます。

    ① 特徴的な勘定科目を用いる

    建設業会計に特有の勘定科目と登録先の勘定一覧(貸借対照表と損益計算書)

    >> 貸借対照表の見方と勘定科目のわかりやすい解説

    建設業会計では、建築業法で定められた特殊な勘定科目を用います。たとえば「完成工事売上高」は、一般会計における「売上高」に相当します。上図のように、会計ソフトの設定画面で7つの科目を追加しておけば、日々の記帳で困ることはないでしょう。

    ② 工事別に原価計算をする(工事原価)

    工事原価における間接費の配賦方法・わかりやすい例

    一般的な製造原価と同様に、建設業でも工事現場ごとに原価を計算する必要があります。上図のガソリン代のように、複数の現場で共通して使っていて、個別に計算できない場合は「配賦」という方法で原価を一定の比率で割り当てます。

    一般的な製造原価との違いは、通常の「材料費、労務費、経費」に加えて「外注費」も原価に含まれる点です。発注先の法人への支払いや、いわゆる一人親方(個人事業主)などへの業務委託費用などが該当します。

    ③ 売上の認識基準が複雑

    一般的な製造業の場合 建設業の場合
    一般的な製造業の収益計上時期 建設業の収益計上時期

    ※ 2021年4月1日から一部企業に「新収益認識基準」が適用、従来の「工事契約基準」は廃止。

    建設業の場合は、製造業でいう「仕掛品」ができた時点で、それを売上として計上する場合があります。たとえば、100万円で請けた工事の進捗率が75%なら、その時点までの合計売上を「100万円×75%=75万円」と認識します(工事進行基準)。

    ただし、短期の工事であれば、通常の製造業と同様、引き渡す時点で一括して売上を計上するケースもあります(工事完成基準)。また、大企業やその関連会社などの場合は、国際会計基準に合わせた「新収益認識基準」が強制適用される点にも注意が必要です。

    建設業会計は会計ソフトで効率化できる

    会計ソフトを導入すれば、建設業特化ソフトと汎用ソフトのどちらを選んでも、下記のような機能によって会計業務を効率化できます。本記事で紹介したソフトなら、どれを選んでもここまでは実現できると考えてOKです。

    会計ソフトの主な機能

    • わかりやすい入力画面で簡単に帳簿付けできる
    • 銀行口座やクレジットカードの明細データを読み込める
    • 読み込んだデータをもとに、自動で仕訳を作成できる
    • 複数の帳簿にミスなく転記できる
    • 帳簿データから決算書類を簡単に作成できる

    >>会計ソフトの上手な活用方法・コツは?効率化のポイント

    さらに、建設業専用ソフトには、工事管理システムが組み込まれています。このような会計ソフトは建設業に特化しており、工事別の原価管理なども効率化できます。ただ、そのぶん費用は高額です。

    一般的な会計ソフトと建設業特化ソフトの違い

    一般的な会計ソフト 建設業特化の会計ソフト
    機能 会計システム 会計システム

    工事管理システム
    費用 抑えやすい 高額
    運用 簡単 難しい

    小規模な個人事業主や法人は、ひとまず一般的な会計ソフトを選んで、会計業務の効率化に集中することをおすすめします。工事管理システムは、現場での運用面やコスト面を考えると、小規模事業者や中小企業にとってはハードルが高いです。

    一般的な会計ソフトでも、前述したような帳簿付け機能や自動仕訳機能はしっかり備わっています。まずはこのような手近なところから効率化していき、事業規模が大きくなってきたら工事管理システムの一体化・効率化も検討してみるとよいです。

    建設業の会計ソフトを選ぶポイント

    建設業向けの会計ソフト選びでは、下記の5つのポイントが重要です。多種多様な会計ソフトが出回っているので、まずは自社のニーズを正確に把握して、最適なものを選びましょう。

    1. 建設業会計に対応できる ←必須
    2. サブスク形式 or 買い切り形式
    3. サポート体制が整っている
    4. 既存のシステムと連携できる
    5. 工事別の原価計算などに対応している

    建設業会計に対応しているかは必ずチェックしましょう。その他のポイントは、自社の経営状況に応じて検討すればOKです。以下で、具体的なチェック方法などを説明します。

    ポイント① 建設業会計に対応できるか

    会計ソフトの建設業会計への対応状況は、ざっくり下記の3段階に分けられます。「◎」か「◯」に該当するソフトを選びましょう。

    デフォルトで建設業の勘定科目が設定されている
    例:勘定奉行クラウド(建設業編)など
    設定画面で建設業の勘定科目を自分で追加できる
    例:freee会計、マネーフォワードクラウドなど
    勘定科目の追加に対応していない

    先述したように、建設業会計では特殊な勘定科目を使用します。建設業に特化した会計ソフトを導入すれば、最初から備わっているので心配ありません。ただし、一般的な会計ソフトに比べて、建設業特化ソフトは導入費用の桁が一つ上がります。

    一般的な会計ソフトでも、任意の勘定科目を追加できるタイプなら、建設業会計に問題なく対応できます。初期設定で勘定科目を数個追加するだけなので、大した手間ではありません。費用を抑えたい方には、一般的な会計ソフト(freeeマネーフォワードなど)がおすすめです。

    ポイント② 料金形式は「サブスク」か「買い切り」か

    サブスク形式 買い切り形式
    支払い方法 月額・年額 一括
    初期費用 低い 高い
    ランニングコスト かかる かかる場合もある
    アップデート つねに最新 追加費用がかかる場合も
    柔軟性 プラン変更で対応できる 買い替えなどが必要

    会計ソフト料金形態は、大きく「サブスク」と「買い切り」に分けられます。基本的には「サブスク」のほうがおすすめです。企業の成長に合わせてプランを切り替えることで、柔軟に機能を拡張できます。

    長期的に考えると「買い切り」のほうが有利に思えるかもしれません。しかし、税制改正への対応や、最新の機能へのアップデート、サポート対応などにかかる追加費用を考慮すれば、「買い切り」のほうがかえって高くつく場合もあります。

    ポイント③ サポート体制が整っているか

    会計ソフトを選ぶ際には、充実したサポート体制が整っているかどうかも重要なポイントです。下記の5項目に分けてチェックすると比較しやすいです。

    • 連絡手段の豊富さ(メール、チャット、電話、画面共有など)
    • 受付時間の長さ、回答のスピード
    • 質問できる内容の制限
    • ソフトのアップデート(法令対応など)
    • 税理士の紹介

    とくに初心者の場合は、疑問や問題が生じた際に迅速なサポートを受けられるソフトを選びましょう。

    ポイント④ 既存のシステムと連携できるか

    建設会社によっては、すでに会計以外の業務システム(プロジェクト管理システムや人事給与システムなど)を利用している場合もあるでしょう。これらのシステムと会計ソフトがスムーズに連携できれば、データ入力の手間を削減でき、ミスの発生を防げます。

    ポイント⑤ 工事別の原価計算などに対応しているか

    建設業特化の会計ソフトでは、工事別に原価計算したり、工事台帳を作成したりできます。その代わり、ソフトの料金は高額です。一方、汎用的な会計ソフトでは、このような工事管理システムが利用できませんが、料金は抑えやすいです。

    ちなみに、freee会計は工事別の原価計算を自動で行うことはできませんが、タグ機能を活用することで、工事別の原価計算を効率化できます。

    建設業の会計ソフトはクラウド型がおすすめ

    会計ソフトは「クラウド型」と「インストール型」に大別できます。基本的には「クラウド型」をおすすめします。ネット環境があればいつでも利用できますし、複数人での運用も容易です。

    クラウド型とインストール型の違い

    クラウド型 インストール型
    料金の形式 サブスク
    (月額 or 年額)
    買い切り
    バージョンアップ 何もしなくてOK 定期的に有料で行う
    事前準備 とくになし
    (ブラウザがあればOK)
    インストールする
    (Mac非対応のソフトが多い)
    デバイス パソコン
    タブレット
    スマホ
    パソコン
    ネット環境 必要 なくても動く
    データの保存先 クラウド ローカルのディスク内

    ※ ソフトによってはこの通りに分けられないものもあります。

    近年は「クラウド機能を取り入れたインストール型ソフト」も増えていますが、インストールした端末でしか使えないことには変わりありません。クラウドのメリットを最大限に活かしたいなら、インストール不要のソフトをおすすめします。

    クラウド機能がある建設業向け会計ソフト

    インストール 主なクラウド機能
    freee会計 不要 ・ログインするだけで利用可能
    ・帳簿データなどのクラウド保存
    ・銀行口座などの自動連携
    マネーフォワード
    クラウド会計
    不要 ・ログインするだけで利用可能
    ・帳簿データなどのクラウド保存
    ・銀行口座などの自動連携
    勘定奉行クラウド 必要 ・帳簿データなどのクラウド保存
    ・銀行口座などの自動連携
    PCAクラウド
    建設業会計
    必要 ・帳簿データなどのクラウド保存
    ・銀行口座などの自動連携
    スイート建設会計 必要 ・帳簿データなどのクラウド保存
    ・銀行口座などの自動連携

    建設業に使えるクラウド会計ソフトでは、freee会計とマネーフォワードクラウドがおすすめです。どちらもインストールは不要で、契約したその日から使い始められます。

    まとめ

    建設業特化のソフトは、基本的には中堅企業や大企業向けです。会社の成長に応じて、適切な選択をしましょう。

    汎用的な会計ソフトと建設業特化ソフトの違い

    汎用的な会計ソフト 建設業特化の会計ソフト
    ・小規模企業、中小企業向け
    ・費用を安く抑えやすい
    ・建設業の勘定科目を自分で設定する
    ・工事管理システムがない
    ・中堅企業、大企業向け
    ・費用が高額になりやすい
    ・デフォルトで建設業の勘定科目がある
    ・会計と工事管理のシステムが連動する

    汎用的な会計ソフトでも、勘定科目の設定が可能なソフトであれば建設業に使えます。無理に建設業専用の会計ソフトを導入しなくても、建設業会計には十分対応できるということです。

    工事管理システムが必要な場合は、クラウド会計ソフトと工事管理用のソフトを別々に導入し、それらをクラウド連携させてもOKです。小規模~中小企業であれば、この方法でも十分に業務効率の向上が見込めますし、コストパフォーマンスも良いです。

    建設業に対応できる汎用ソフト ‐ freeeとマネーフォワードの比較

    freee会計 マネーフォワード
    クラウド会計
    料金 39,336円/年~ 39,336円/年~
    対応OS Windows
    Mac
    Windows
    Mac
    自動仕訳
    金融機関連携
    工事別の原価計算
    連携可能な
    工事管理システム
    (主な例)
    uconnect
    月額6,600円~
    建設タウン
    月額14,190円~
    ※初期費用別
    建設balena
    月額49,500円~
    えんのしたのCoji
    現在はβ版のため無料
    uconnect
    月額6,600円~
    建設balena
    月額49,500円~
    従業員管理
    freee人事労務
    (税込26,400円/月~)

    クラウド給与、クラウド勤怠
    (追加費用なし)
    決算書の作成
    法令対応
    サポート
    (質問対応)
    メール、チャット、電話
    平日10~12時/13~18時
    即日対応可
    メール、チャット、電話
    平日10:30~17:00
    即日対応可
    freee マネーフォワード

    ※ 料金はすべて税込表示

    「freee会計」は、建設業会計に対応可能なクラウド会計ソフトです。タグ機能をうまく活用すれば、工事別の原価計算も可能です。外部の工事管理システムを導入する場合も、「freeeアプリストア」から簡単に連携できます。

    まずは無料トライアルfreee会計 公式サイト

    「マネーフォワード クラウド会計」も、建設業会計に対応可能なクラウド会計ソフトです。従業員の給与計算や勤怠管理、経費精算など、さまざまな機能を追加費用なしで利用できるのが大きな魅力です。

    まずは無料トライアルマネーフォワード 公式サイト

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