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PCAの会計ソフトを解説!インボイス制度への対応は?【比較一覧】

更新日: 2024/08/05
PCAの会計ソフトを解説!インボイス制度への対応は?【比較一覧】

個人事業主や法人企業向けに、PCAの会計ソフトの種類や選び方をわかりやすく解説します。価格はちょっと高いですが、自動仕訳やインボイス制度にも対応できます。記事の後半では、他社のおすすめ会計ソフトとの比較表も掲載しています。

INDEX

目次

    PCAの会計ソフトとは?特徴を解説

    • 種類が豊富で、幅広い業種や規模の事業者に対応できる
    • どのソフトもWindowsのパソコンにインストールして使う
    • 価格が高い(小規模向けの会計ソフトでも年額5万円〜)

    PCAの会計ソフトはどれも、Windowsのパソコンにインストールして使います。データをクラウド上に保存できる「PCAクラウド」という形態も選べますが、その場合でもソフト自体のインストールは必須です。

    基本的には法人向けの料金設定なので、個人事業主やマイクロ法人にとっては手が届きにくいです。ただ、そのぶん機能の拡張性は高く、様々なニーズに対応できます。事業規模をどんどん拡大していく予定なら、PCAの導入を検討してみてもよいでしょう。

    PCA会計の操作画面 – 他社との比較

    PCA会計の帳簿入力画面 他社ソフトの帳簿入力画面
    PCA会計の取引入力画面(現金出納帳) やよいの青色申告オンラインの取引入力画面

    ※ 右は「やよいの青色申告 オンライン」の帳簿付け画面

    上図左のように、PCA会計では現金出納帳などに入力する形で、簡単に仕訳を登録できます。ただ、会計初心者にとっては、ちょっと見づらいかもしれません。他社ソフトのなかには、もっと初心者向けのものもあるので、自社に合うものを選びましょう。

    PCAの会計ソフトの種類【比較一覧】

    PCAの会計ソフトは、大きく「クラウド型・サブスク型・パッケージ型」の3種類に分かれます。主な違いは、料金の支払方法とデータの管理方法です。機能面での違いはなく、どれもWindowsのパソコンにソフトをインストールしないと使えません。

    クラウド型
    (PCAクラウド)
    サブスク型
    (PCAサブスク)
    パッケージ型
    支払い方法 月額・年額 月額・年額 買い切り
    データ管理 クラウド
    (社外サーバ)
    オンプレミス
    (社内サーバ)
    オンプレミス
    (社内サーバ)
    ソフトの
    インストール
    必要 必要 必要

    これから導入するなら「クラウド型」か「サブスク型」のソフトがおすすめです。どちらもパッケージ型のソフトを定額料金で使えるようにしたサービスで、基本的にはパッケージ型よりコスパが良いです。

    【補足】そもそもクラウドとオンプレミスの違いとは?

    クラウド オンプレミス
    ・外部のサーバーにデータ保存する
    ・サーバーの管理やメンテは不要
    ・セキュリティ対策は外部におまかせ
    ・社内のサーバーなどにデータ保存する
    ・サーバーなどの管理やメンテが必要
    ・セキュリティ対策は自社で行う

    クラウドを利用すれば、サーバーなどの設備を自社で用意する必要がないので、初期費用などを抑えやすいです。一方、社内のセキュリティ規程やインターネットの回線速度などの都合で、クラウドを利用できない場合はオンプレミスが適しています。

    ただし先述の通り、PCAには小企業向けのクラウド型ソフトがありません。小規模な個人事業主や法人が、クラウドを活用してトータルコストを抑えたい場合は、他社サービスを検討したほうがよいです。

    個人事業主向けのおすすめ会計ソフト【比較一覧表】中小法人向けのおすすめ会計ソフトを比較!

    クラウド型のソフト(PCAクラウド)

    PCAクラウドの会計ソフトの主要ラインナップ一覧(ロゴ)

    • どのソフトも中規模以上の事業者向け(従業員数50人~)
    • なかでも「hyper」がつくソフトはグループ企業向け(従業員数300人~)
    • データ管理はクラウドだが、ソフト自体はWindowsにインストールする

    PCAクラウドは、複数のソフトを組み合わせて利用できるクラウドサービスです。必要なソフトだけを選択でき、コストを最小化できます。ただ、そもそものベース価格が高めなので、小規模な個人事業主やフリーランスには不向きです。

    【PCAクラウド】ソフトの組み合わせ例
    PCAクラウド - 個人事業主向けソフトの利用例 (最小構成) PCAクラウド - 個人事業主向けソフトの利用例(オプション追加)

    ※ 料金はすべて税込

    たとえば、帳簿付けと確定申告のみを考慮した最小限の組み合わせでも、上図の左側のように年間20万円強の費用がかかります。さらに、インボイス制度への対応や減価償却の処理などが必要な場合は、そのぶんコストが上乗せされます。

    コスト面が気になる方は、他社ソフトも視野に入れたほうがよいでしょう。個人事業主向けに特化したクラウド会計ソフトなら、固定資産やインボイスの会計処理にもしっかり対応しつつ、月額1,000円前後から使えます。

    個人事業主向けのおすすめクラウド会計ソフト【比較一覧表】

    サブスク型のソフト(PCAサブスク)

    PCAサブスクの会計ソフトの主要ラインナップ一覧(ロゴ)

    • 小規模事業者向けの廉価版「jimanシリーズ」が選べる
    • 名前に「hyper」がつくソフトは企業向け(従業員数300人~)
    • 導入時には、自社でサーバーなどを構築する必要がある

    PCAサブスクは、定額料金でPCAのソフトをオンプレミス環境で利用できるサービスです。PCAサブスクのソフトは「jimanシリーズ・通常シリーズ・hyperシリーズ」の3種類に大別できます。jimanシリーズが廉価版で、hyperシリーズが上位版です。

    たとえば、PCAサブスクの会計ソフトには「PCAサブスク会計 jiman」「PCAサブスク会計」「PCAサブスク会計 hyper」の3種類があります。「PCAサブスク会計 jiman」は「PCAサブスク会計」の半額以下で、機能面もそれほど見劣りしません(部門管理や分析機能が使えない程度)。

    【PCAサブスク】ソフトの組み合わせ例
    PCAサブスク - 個人事業主向けソフトの利用例 (最小構成) PCAサブスク - 個人事業主向けソフトの利用例 (オプション追加)

    ※ 料金はすべて税込

    先述の「PCAクラウド」よりは安価に見えるかもしれませんが、「PCAサブスク」の場合は、サーバーなどの環境構築・管理費用が自己負担となります。また、パソコン1台につき1ライセンス分の料金が必要なので、複数台で使うと割高になるケースもあります。

    パッケージ型のソフト

    PCAのパッケージ版ソフトの主要ラインナップ(ロゴ)

    • 名前に「じまん」が付くソフトは小規模事業者向けの廉価版
    • 名前に「hyper」が付くソフトは高価な上位版
    • どのソフトも対応OSはWindowsのみ(Mac非対応)

    PCAのパッケージ版ソフトは、いちど購入すればずっと利用できる買い切り型です。初期費用は高いですが、長く使えばコストを抑えられます。ただし、アップデートやサポートに関しては別途料金が発生します。

    【PCA】パッケージ型ソフトの例
    価格(税込) 主な機能
    会計 経理じまんDX 92,400円 帳簿付け
    PCA会計DX 〜356,400円 帳簿付け
    決算書類の作成
    経営分析や高速入力
    販売 売上・仕入
    じまんDX
    184,800円 販売・仕入・在庫管理
    インボイスの発行
    PCA
    商魂・商管DX
    〜356,400円 販売・仕入・在庫管理
    インボイスの発行
    予実管理
    PCA所得税 33,000円 所得税の確定申告
    PCA固定資産DX 224,400円 固定資産の管理
    償却資産税の申告

    ※ 上記は、ラインナップの一部を個人事業主向けに抜粋したもの

    名前に「じまん」が付くソフトは、個人事業主や小規模法人の利用も想定した廉価版です。それでも、他社ソフトに比べると高価な部類に入るので、しっかり他社と比較したうえで導入したほうがよいです。

    ちなみに、パッケージ型の「経理じまんDX」の機能は、サブスク型の「PCAサブスク会計 jiman」とまったく同じです。同様に、パッケージ型の「PCA会計DX」は、クラウド型・サブスク型の「PCAクラウド会計」や「PCAサブスク会計」に相当します。

    PCAの会計ソフトの選び方

    ここからは、PCAのソフトの選び方を解説します。「そんなことより、PCAって他社と比べてどうなの?」という方は、記事の後半まで読み飛ばしてOKです。

    PCAには、一般的な業種向けの会計ソフトだけでも、下表のように8種類のバリエーションがあります。かなり多いので、ひとまず「会計」のソフトに絞って解説します。

    PCAの会計ソフト一覧【事業規模ごとの早見表】

    従業員数
    10〜50人
    従業員数
    50〜300人
    従業員数
    300人〜
    クラウド型 なし PCAクラウド
    会計

    213,840円/年〜
    PCAクラウド
    会計hyper

    253,440円/年〜
    サブスク型 PCAサブスク
    会計jiman

    51,480円/年〜
    PCAサブスク
    会計

    118,800円/年〜
    PCAサブスク
    会計hyper

    184,800円/年〜
    パッケージ型 経理じまんDX
    92,400円
    PCA会計DX
    224,400円〜
    PCA会計hyper
    541,200円~

    ※ この他に「建設業向け」や「公益法人向け」の会計ソフトもあります

    サブスク型の「PCAサブスク会計jiman」は、経理業務のみに特化したシンプルな会計ソフトです。決算書の作成や部門管理などの機能が制限されますが、価格はぐっと抑えられます。PCAに魅力を感じている小規模事業者にとっては、このあたりが狙い目です。

    なお「パッケージ型」のソフトは、ソフト自体も割高ですし、アップデートなども別料金なので、基本的におすすめしません。「クラウド型」と「サブスク型」で迷ったら、下記のようなフローで選ぶとよいです。

    クラウド型とサブスク型の選び方

    PCAの会計ソフトの選び方(クラウド型・サブスク型)

    ※ 上図は、おすすめの考え方を示したものです。必ずしもこの通りにしなくて構いません。

    「PCAクラウド」の最大のネックは、小規模向けの廉価版ソフトが選べない点です。クラウド型の利点(初期費用なし、メンテナンス不要など)に魅力を感じている個人事業主や中小法人は、他社のクラウド会計ソフトを検討したほうがよいでしょう。

    個人事業主向けのおすすめ会計ソフト【比較一覧表】中小法人向けのおすすめ会計ソフトを比較!

    ちなみに、インボイス対応のために「PCA商魂・商管」などを組み合わせて導入する場合も、基本的には上記と同じように選べばOKです(組み合わせの数が膨大なので詳しい説明は省きます)。

    PCAの会計ソフトを選ぶメリット

    PCAの会計ソフトを使うメリットは、主に以下の3点です。20,000社を超える導入実績と、一般企業から公益法人まで対応できる幅広さが魅力です。自動仕訳機能やクラウド対応など、使いやすさと信頼性を兼ね備えた会計ソフトです。

    1. 会計ソフトの種類が豊富
    2. 充実の機能と柔軟な連携対応
    3. 安定的なクラウドサービス

    ① 会計ソフトの種類が豊富

    PCAの会計ソフトは、一般の業種だけでなく特殊な業種にも対応しています。たとえば、建設業・公益法人・社会福祉法人・医療法人などの、特殊な会計処理にも柔軟に対応できます。

    ② 充実の機能と柔軟な連携対応

    PCAの会計ソフトは、基本的な会計処理から高度な経営分析まで対応しています。また、自動仕訳の機能があり、記帳を素早く行えます。さらに、ネットバンキングやPOSシステムとの連携も可能で、効率的な経理作業ができます。

    ③ 安定的なクラウドサービス

    PCAのクラウドサービスには10年以上の実績があり、累計平均稼働率は99%を超えています。いきなりソフトが使えなくなる心配が、ほぼないということです。万が一、月間稼働率が「99.95%」に満たなかった場合は、月額料金の10%が返金されます(AWS版は対象外)。

    PCAの会計ソフトを選ぶデメリット

    PCAの会計ソフトのデメリットは、以下の3点です。豊富な機能を使いこなす自信がない場合や、そもそも高度な機能が必要ない場合は、よりリーズナブルで使いやすい他社ソフトも検討してみましょう。

    1. 価格が高い
    2. 高機能なため、複雑で使いにくいかも
    3. Windowsパソコンへのインストールが必要

    ① 価格が高い

    PCAの会計ソフトは、一般的なソフトよりも価格のベースがやや高いです。とくにクラウド型の場合は、小規模企業向けのサービスが提供されていないので、個人事業主やフリーランスが導入するには負担が重いです。

    ② 高機能なため、複雑で使いにくいかも

    PCAの会計ソフトは、高機能で信頼性も高いですが、企業によってはその性能を持て余してしまう場合もあります。そのため、個人事業主や小規模法人は、もっとシンプルで使いやすい会計ソフトをあわせて検討してもよいでしょう。

    ③ Windowsパソコンへのインストールが必要

    PCAの会計ソフトは、クラウド型であってもソフトをインストールしないと使えません。もちろん、サブスク型やパッケージ型も同様です。対応OSはWindowsだけなので、Macユーザーには不向きです。

    他社のおすすめ会計ソフトと比較【個人事業主向け】

    PCAの中だけで考えるなら、個人事業主やフリーランスには「PCAサブスク会計 jiman」がフィットしやすいです。ただ、クラウド会計ソフトの大手3社(弥生・freee・マネーフォワード)に比べるとデメリットが目立ちます。

    【個人事業主】弥生・freee・マネーフォワード・PCAの比較表

    やよいの青色申告
    オンライン
    freee会計 マネーフォワード
    クラウド
    PCAサブスク
    会計 jiman
    年額
    (税込)
    11,330円/年~ 12,936円/年~ 10,560円/年~ 51,480円/年〜
    動作環境
    PC・スマホ

    PC・スマホ

    PC・スマホ

    PCのみ
    インストール 不要 不要 不要 必須
    部門管理 × 上位プランのみ 上位プランのみ ×
    自動仕訳
    電子帳簿保存
    確定申告 PCA所得税
    19,800円/年
    請求書発行 × PCA商魂
    55,440円/年
    インボイス対応
    給与計算 × × PCA給与jiman
    55,440円/年

    個人事業主の場合は、確定申告の機能がないと非常に不便です。PCAの場合は、確定申告のソフトを別途で導入する必要があり、それだけで年間2万円も追加費用がかかります。PCAのソフトはどれも高額なので、基本的には他社ソフトをおすすめします。

    個人事業主におすすめのクラウド会計ソフト【比較一覧表】

    他社のおすすめ会計ソフトと比較【法人向け】

    中規模程度の法人企業には、PCAの中では機能面・費用面のバランスに優れた「PCAクラウド会計」がおすすめです。ただ、クラウド会計ソフトの大手3社(弥生・freee・マネーフォワード)なら、同様の機能をもっと手軽に利用できます。

    【中小法人】弥生・freee・マネーフォワード・PCAの比較表

    弥生会計
    オンライン
    freee会計 マネーフォワード
    クラウド
    PCAクラウド
    会計
    年額
    (税込)
    30,580円/年~ 39,336円/年~ 39,336円/年~ 55,440円/年〜
    サーバー使用料 無料 無料 無料 158,400円/年
    動作環境
    PC・スマホ

    PC・スマホ

    PC・スマホ

    PCのみ
    インストール 不要 不要 不要 必要
    部門管理 × 上位プランのみ
    自動仕訳
    電子帳簿保存
    請求書発行 × PCA商魂
    55,440円/年
    インボイス対応
    給与計算 × × PCA給与
    55,440円/年

    中小法人の場合も、PCAの費用面がネックとなります。PCAクラウドならサーバーの構築やメンテナンスは不要ですが、約15万円のサーバーライセンス料がかかります。さらに、インボイスの発行や給与計算に対応する際も追加料金が必要です。

    中小法人向けのおすすめ会計ソフトを比較!

    まとめ

    PCAの会計ソフトは、拡張性が高く多機能なので、どちらかといえば規模の大きい法人に向いています。個人事業主や小規模法人向けに、機能を絞った廉価版のソフト(jimanシリーズ)もありますが、他社と比較すると割高です。

    PCAの会計ソフト – メリット・デメリット

    メリット デメリット
    ・ソフトの種類が豊富
    ・充実の機能と柔軟な連携対応
    ・安定的なクラウドサービス
    ・価格が高い
    ・使いこなすのが難しい
    ・インストールが必要

    個人事業主や小規模法人は、PCAのメリットを活かしづらいです。「絶対にPCAのソフトがいい!」というこだわりがなければ、他社の会計ソフトにも視野を広げてみたほうがよいでしょう。

    弥生・freee・マネーフォワード・PCAの特徴

    弥生 このなかでは最も費用が抑えやすい。機能はやや少なめ。
    freee 最先端の機能を備えており、請求~会計業務を一元化できる。
    マネーフォワード 会計・請求・給与など、バックオフィス機能が幅広く使える。
    PCA 高い拡張性とシステムの信頼性が売り。大規模な法人向け。

    PCAの会計ソフトが向いているのは、たとえば「部署が多くて管理が大変!」という会社や、「事業規模をどんどん拡大していきたい」という会社です。一方、会計初心者の個人事業主や中小法人には、基本的に弥生・freee・マネーフォワードのほうが適しています。

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