ウーバーイーツなどの配達で稼いでいる個人事業主や副業会社員向けに、帳簿付けや確定申告が簡単にできる会計ソフトを紹介します。スマホでの記帳に対応しているものや、自動仕訳に対応しているものがおすすめです。
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目次
【比較一覧】ウーバーイーツ配達員におすすめの会計ソフト
ウーバーイーツ配達員の業務などにマッチする会計ソフトを、以下の比較一覧表にまとめました。スマホでの使い勝手や、機能の豊富さなどを総合的に考慮して、おすすめできるソフトから順に並べています。
料金 | スマホ | 自動仕訳 | 専業/副業 | 操作画面 | |
---|---|---|---|---|---|
freee会計 | 12,936円/年~ | ◯ | ◯ | 専業 副業 |
|
マネーフォワード クラウド確定申告 |
11,880円/年~ | ◯ | ◯ | 専業 副業 |
|
やよいの白色申告 オンライン |
無料~ | △ | ◯ | 専業 副業 |
|
やよいの青色申告 オンライン |
9,680円/年~ | △ | ◯ | 専業 副業 |
|
スマホ会計 FinFin |
5,600円/年 | ◯ | ◯ | 専業 | |
マネーフォワード ME |
無料~ | ◯ | ✕ | 副業 | |
CalQShare | 無料~ | ◯ | ✕ | 副業 |
フードデリバリーでは、配達の合間に待機時間が発生するなど、ちょっと時間が空いてしまうことも珍しくありません。スマホでの記帳に対応している会計ソフトなら、このようなスキマ時間を有効活用できます。
また、簿記の専門知識がない初心者でも、自動仕訳機能があればスムーズに帳簿付けができます。とくに副業の方や、趣味やダイエットの延長で軽く稼いでいるだけの方は、税理士に頼むケースは少ないでしょう。その場合は、自動仕訳があったほうがより安心です。
ウーバーイーツ配達員に会計ソフトが必要な理由とは?
会計ソフトを導入することで、帳簿付けや確定申告が簡単になり、時間を有効に使えます。正確性もアップするので、思わぬアクシデントの防止にもつながります。
ウーバーイーツの配達員は、一般的なアルバイトとは異なり、自分で確定申告をして所得税を納めるのが基本。確定申告では、1年間(1/1~12/31)の収入や必要経費を集計し、その金額をもとに所得税の計算をしなくてはならない。収入や必要経費を記録する際は、会計ソフトを用いると効率的。
>> ウーバーイーツ配達員の確定申告が必要なケースと申告方法
ちなみに、所得(収入 – 経費)が一定以下であれば、確定申告しなくてよい場合もあります。ただ、確定申告をしない場合は、基本的に「住民税の申告」という類似の手続きが必要となります。いずれにせよ、収支はきちんと記録しておきましょう。
確定申告義務の目安
専業の個人事業主 | 副業の会社員 |
---|---|
所得が「所得控除」の額を超えたら 確定申告義務が生じる |
給与以外の所得が20万円を超えたら 確定申告義務が生じる |
※ 所得控除とは、48万円の基礎控除などを指す。
ざっくりですが、月に数万円でも稼いでいれば、だいたい確定申告の義務があるものと考えましょう。会計ソフトを使えば、確定申告書類の大部分を自動的に作成できます。
ウーバーイーツ配達員が会計ソフトを導入するメリット
帳簿付けや確定申告書類の作成は、会計ソフトで行うのが一般的です。紙やエクセルでも記帳は可能ですが、会計ソフトのほうが多くの点で優れています。ここでは、会計ソフトを使用する具体的なメリットを解説していきます。
- 帳簿付けや確定申告書類作成の手間やミスを減らせる
- 経営状況を把握できる
- 青色申告特別控除を受けられる
- 税務調査に対応できる
>> 会計ソフトのメリット・デメリット ‐ エクセルとの違いを徹底比較
メリット① 帳簿付けや確定申告書類作成の手間やミスを減らせる
自動仕訳ができる会計ソフトなら、帳簿付けから確定申告までほぼ自動化できます。簡単にいうと、銀行口座やクレジットカードを紐づけて、自動的に帳簿へ反映させる機能です。どの程度まで自動化できるかは、ソフトによって多少異なります(詳細は後述)。
メリット② 経営状況を把握できる
会計ソフトを利用すると、損益レポートなどが自動的に作られるので、経営状況を把握しやすくなります。日々の経費や収入をリアルタイムで管理でき、わかりやすいグラフなどで経営状況を一目で把握できます。
メリット③ 青色申告特別控除を受けられる
青色申告に対応した会計ソフトを使えば、最大65万円の特別控除を受けやすくなります。これにより大きな節税効果が得られ、税負担を軽減できます。たとえば、副業ワーカーであれば、特別控除の有無で以下のように税額が異なります。
控除なし | 65万円控除あり | |
---|---|---|
事業所得 | 100万円 | 100万円 − 65万円 = 35万円 |
税率 (所得税+住民税) |
20% | 20% |
事業所得にかかる税金 | 100万円 × 20% = 20万円 | 35万円 × 20% = 7万円 |
※ わかりやすくするため、計算を単純化しています
細かな計算は割愛しますが、上記の例では、単純計算で「20万円 − 7万円 = 13万円」の節税ができています。本業の給与やウーバーイーツで稼いだ金額がもっと多い人の場合は、税率がアップするぶん、節税効果もさらにアップします。
メリット④ 税務調査に対応できる
会計ソフトは税務調査の際にも役立ちます。税務調査とは、税務署の職員などがオフィスまでやって来て、申告ミスや不正がないか調査することをいいます。全員に実施されるものではなく、申告内容に問題がありそうな人を作為的に選んで行われます。
税務調査では、帳簿やレシートを突き合わせて、不審な点がないか細かくチェックされます。このとき、会計ソフトのクラウドストレージを活用して、すべての書類などを会計ソフトに集約していれば、慌てず素早い対応が可能です。
ウーバーイーツ配達員が会計ソフトを選ぶ際のポイント
ウーバーイーツ配達員の目線から、会計ソフトの選び方を具体的に解説します。ここでは、とくに注目すべきポイントを厳選して紹介します。
- パソコンがなくてもスマホだけで利用できる
- 現金案件やチップの収入にも対応できる
- 操作が簡単で使いやすい
- 連携できる金融機関の種類が多い
- 月額プランが用意されている
ポイント① パソコンがなくてもスマホだけで利用できる
ウーバーイーツ配達員の場合、自宅にパソコンがなく、スマホだけで業務を管理している人も多いでしょう。そのような方には、スマホだけで帳簿付けから確定申告まで完結できる会計ソフトがおすすめです。
たとえば、freeeのスマホアプリなら、日々の帳簿付けから確定申告書類の作成まで問題なく行えます。マイナンバーカードがあれば、作成した確定申告書類をそのままオンライン提出することも可能です。
ポイント② 現金案件やチップの収入にも対応できる
ウーバーイーツの報酬には、現金案件やチップ収入が混在する場合があり、記帳方法がわかりづらいです。サポートが充実しているソフトや、よく使う仕訳を登録できるテンプレート機能があるソフトを採用すれば、このような収入にも対処しやすいです。
ちなみに、弥生のクラウド会計ソフトなら、仕訳相談サポートも利用可能です。電話やチャットで、気軽に質問できます。他社ソフトの多くは、基本的な操作方法に関する質問しかできないため、この点は大きなアドバンテージと言えます。
ポイント③ 操作が簡単で使いやすい
忙しい配達の合間に、待機時間などを活用して記帳できれば、時間効率アップに繋がります。スマホアプリが用意されていて、なおかつ操作がシンプルで、画面が見やすい会計ソフトを選びましょう。
また、スマホアプリにレシートの撮影機能がついていれば、さらに便利です。お店などで経費のレシートを受け取ったら、その場ですぐに読み取っても良いですし、貯めておいて後でまとめて取り込んでもOKです。
ポイント④ 連携できる金融機関の種類が多い
会計ソフトの自動仕訳機能を利用する場合、連携できる金融機関の種類が多いに越したことはありません。とくに個人事業主やフリーランスの場合は、ネット銀行をメインで使うケースも多いでしょうから、連携できるか事前に確認したほうが良いです。
たとえば、FREENANCE(フリーナンス)というサービスに加入するなら、GMOあおぞら銀行がメインバンクの第一候補となります。フリーナンスには掛け金無料の保険が付帯しており、配達中の事故などに関して、最高5,000万円を補償してくれます。
ポイント⑤ 月額プランが用意されている
月額プランが用意されている会計ソフトであれば、確定申告する月だけ有料プランに加入し、それ以外の時期は無料プランでやり過ごすことも可能です。うまくいけば、大幅なコストカットに繋がります。
フードデリバリー業は、ほかの業種に比べて、年間の取引件数はやや少なめです。日々コツコツ記帳するのが理想ではありますが、人によっては、確定申告の際に1年分をまとめて記帳することもあるでしょう。
【補足】インボイス制度への対応はしばらく様子見でもOK
2023年10月からインボイス制度が本格スタートしました。インボイスとは、ごく簡単に言うと、国が認めた形式の請求書です。インボイスを発行できるのは、消費税の納付義務を負う課税事業者に限られます。
結論、ウーバーイーツの配達員は、インボイスにはひとまず対応しなくてOKです。ウーバーイーツ社は、配達員に対してインボイスを要求していません。出前館・menu・Woltなども、基本的には同じ状況です(2024年6月時点)。
ただ、将来はどうなるかわかりません。各社が方針転換を行い、「やっぱりインボイス登録してね」と言い始めたら、対応を検討しなくてはならないでしょう。よって、これから会計ソフトを導入する人は、インボイス対応の会計ソフトを選んだほうが無難です。
ウーバーイーツ配達員におすすめの会計ソフト
ここからは、ウーバーイーツ配達員におすすめの会計ソフトを紹介します。さきほど解説した選定ポイントも踏まえながら、各ソフトの特徴やメリットをわかりやすく解説します。
freee会計
- スマホだけですべて完結させたいならfreee!
- 記帳の自動化機能が充実している
- どちらかといえば専業向け(副業にも対応可能)
料金(税込) | 申告対応 | パソコン(OS) | スマホ(OS) |
---|---|---|---|
1,628円/月〜 12,936円/年〜 |
白色 青色 |
Windows Mac |
Android iPhone |
自動仕訳 | 確定申告 | 専業/副業 | インボイス対応 |
◯ | ◯ | 専業 副業 |
◯ |
freee会計は、ウーバーイーツ配達員にとくにおすすめの会計ソフトです。スマホアプリを無料でダウンロードでき、このアプリで日々の記帳から確定申告まで完結できます。画面内に専門用語があまり登場しないので、初心者でも比較的扱いやすいソフトです。
freeeの自動仕訳(自動で経理)では、独自の「自動登録ルール」を設定することで、明細データの取得から仕訳登録までを完全に自動化できます。たとえば「この口座にウーバーイーツから入金があったら、こう仕訳してね」という指示が可能です。
マネーフォワード クラウド確定申告
- 10種類以上のソフトがセットになっている
- 銀行口座などの外部データとの連携がスムーズ
- 専業から副業まで幅広く対応できる
料金(税込) | 申告対応 | パソコン(OS) | スマホ(OS) |
---|---|---|---|
1,628円/月〜 12,936円/年〜 |
白色 青色 |
Windows Mac |
Android iPhone |
自動仕訳 | 確定申告 | 専業/副業 | インボイス対応 |
◯ | ◯ | 専業 副業 |
◯ |
マネーフォワード クラウド確定申告は、パソコンでも使いやすいですが、スマホアプリの操作性も優れています。とりわけ「かんたん仕訳」という画面がわかりやすく、初心者でも無理なく入力が可能です。
なお、家計簿アプリ「マネーフォワードME」と組み合わせると、副業の確定申告なら無料で行えます(雑所得の場合のみ)。専業から副業まで幅広く対応できる、万人向けの会計ソフトだと言えます。
やよいの白色申告 オンライン
- ずっと無料でも機能制限なく利用できる
- 青色申告には対応していない
- パソコンが必要(スマホアプリの機能は限定的)
料金(税込) | 申告対応 | パソコン(OS) | スマホ(OS) |
---|---|---|---|
永年無料〜 | 白色のみ | Windows Mac |
Android iPhone |
自動仕訳 | 確定申告 | 専業/副業 | インボイス対応 |
◯ | ◯ | 専業 副業 |
◯ |
やよいの白色申告 オンラインは、白色申告をする個人事業主には非常におすすめです。ずっと無料で、すべての機能を利用できます。有料プランでは、メール・チャット・電話でのサポートが受けられます。
スマホアプリの機能は限定的ながら、売上や必要経費の簡易入力には問題なく使えます。レシートの撮影機能も可能です。確定申告書を作成するときは、パソコンから利用する必要があります。
やよいの青色申告 オンライン
- サポートで質問できる範囲が広い
- 月額プランは存在しない
- パソコンが必要(スマホアプリの機能は限定的)
料金(税込) | 申告対応 | パソコン(OS) | スマホ(OS) |
---|---|---|---|
11,330円/年〜 初年度無料 |
白色 青色 |
Windows Mac |
Android iPhone |
自動仕訳 | 確定申告 | 専業/副業 | インボイス対応 |
◯ | ◯ | 専業 副業 |
◯ |
やよいの青色申告 オンラインは、サポートの手厚さが魅力です。初年度は、最上位プランを半額で利用できます(33,000円/年→16,500円/年)。最上位プランなら、ソフトの操作方法だけでなく、帳簿付けや確定申告の一般的な質問も受け付けてくれます。
会計知識にまったく自信のない初心者は、弥生の最上位プランで契約し、1年間サポートを使い倒すのがおすすめです。2年目以降は、基本的に1年目と同じ作業の繰り返しですから、サポートなしのプランに変更してもよいでしょう。
まとめ
ウーバーイーツの配達パートナーには、弥生・freee・マネーフォワードのクラウド会計ソフトがおすすめです。帳簿付けや確定申告になるべく時間をかけたくない人は、早めに導入しておきましょう。
freee | マネーフォワード | 弥生 | |
---|---|---|---|
ホーム画面 | |||
料金 (税込) |
スターター 1,628円/月 12,936円/年 スタンダード 2,948円/月 26,136円/年 プレミアム 43,780円/年 |
パーソナルミニ 1,408円/月 11,880円/年 パーソナル 1,848円/月 16,896円/年 パーソナルプラス 39,336円/年 |
【白色申告】 フリープラン 0円 ベーシックプラン 12,650円/年 トータルプラン 23,100円/年 |
【青色申告】 セルフプラン 11,330円/年 ベーシックプラン 18,975円/年 トータルプラン 33,000円/年 |
|||
帳簿づけ | ○ | ○ | ○ |
自動仕訳 | ◎ | ○ | ○ |
申告書類の作成 | ○ | ○ | ○ |
電子申告 (e-Tax) | PCもスマホもスムーズに申告可能 | PCからだと面倒 | スマホ申告は未対応 |
スマホアプリ | 業務全般に幅広く対応 | 帳簿付けから電子申告まで対応 | 簡易的な帳簿づけに特化 |
サポート |
・全プランにチャットサポート付き ・最上位プランには独自の補償制度あり |
・全プランにチャットサポート付き |
・電話サポート付きプランが安価 ・最上位プランなら業務相談も可能 |
副業対応 | ◯ | ◎ | ◯ |
インボイス対応 | ◯ | ◯ | ◯ |
freee公式サイトで見る | マネーフォワード公式サイトで見る | やよいの青色申告公式サイトで見る |
freeeがおすすめな人
- パソコンを持っていなくて、スマホだけで利用したい
- 確定申告するときに1年分まとめて記帳したい(月額プランあり)
- 仕訳の自動化を徹底したい
freeeは、パソコンでもスマホでも、端末を選ばず使える会計ソフトです。パソコンを買うつもりがない人は、freeeを選んでおけば間違いありません。月額プランがあるので、確定申告する月だけ契約して、1年分まとめて記帳するという使い方もできます。
料金は他社よりやや割高ですが、そのぶん先進的な機能を備えています。とくに自動仕訳の性能が高く、明細データの取得から帳簿への登録まで、すべて自動で実行可能です。青色申告で65万円の特別控除を受ければ、節税で浮いたお金で、ソフト代くらいは簡単にまかなえます。
マネーフォワードがおすすめな人
- パソコンは持っているが、極力スマホだけで利用したい
- 確定申告するときに1年分まとめて記帳したい(月額プランあり)
- 家計簿アプリ「マネーフォワードME」を使っている
マネーフォワード クラウドは、スマホアプリだけでも基本的な機能は大体使えます。ただ、固定資産の登録や、仕訳テンプレートの使用など、一部の操作にはパソコンが必要です。
家計簿アプリ「マネーフォワードME」と連携することで、事業所得の申告だけでなく、医療費控除や雑所得の申告もできます(無料プランでも可)。家計とビジネスの状況をまとめて管理できるので、副業サラリーマンなどにもおすすめです。
弥生がおすすめな人
- パソコンを使うのが苦にならない
- 簿記の知識に自信がなく、誰かに教えてもらいたい
- 初年度の費用を抑えたい
弥生のクラウド会計ソフトは、初年度無料or半額で利用できるので、ウーバーイーツで稼ぎ始めた初心者にぴったりです。パソコンがないと確定申告書を作成できませんが、日々の簡易的な記帳であればスマホからでも可能です。
メール・チャット・電話でのサポートが充実しており、最上位のトータルプランなら、仕訳方法や確定申告に関する質問も可能です。これをうまく活用すれば、実践的な会計知識が自然と身につきます。自己投資の一環と考えれば、非常にお得なサービスと言えます。