個人事業主やフリーランス向けに、弥生・freee・マネーフォワードのクラウド会計ソフトを比較します。料金プラン・機能・操作画面・サポート体制などの10項目について、各ソフトの違いを徹底的に解説していきます。
INDEX
目次
弥生・freee・マネーフォワード【比較一覧表】
本記事では、大手3社が提供する下記のクラウド会計ソフトを比較します。記事中では、それぞれ「弥生」「freee」「マネーフォワード」と表記します。
3社とも、日々の帳簿づけ〜確定申告に必要な基本機能はモレなく備えています。ただ、細かな機能性や使い勝手には下記のような違いがあります。
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
ホーム 画面 |
|||
料金(税込) |
【白色申告】 フリープラン 0円 ベーシックプラン 12,650円/年 トータルプラン 23,100円/年 |
スターター 1,958円/月 12,936円/年 スタンダード 3,278円/月 26,136円/年 プレミアム 43,780円/年 |
パーソナルミニ 1,408円/月 11,880円/年 パーソナル 1,848円/月 16,896円/年 パーソナルプラス 39,336円/年 |
【青色申告】 セルフプラン 11,330円/年 ベーシックプラン 18,975円/年 トータルプラン 33,000円/年 |
|||
帳簿づけ | ○ | ○ | ○ |
自動仕訳 | ○ | ○ | ○ |
請求書作成 | △ 月6枚以上は有料 |
○ | ○ |
申告書類の作成 | ○ | ○ | ○ |
電子申告(e-Tax) | スマホ申告は未対応 | PCもスマホも スムーズに申告可能 |
PCからだと面倒 |
電帳法 対応 |
◯ | ◎ | ◯ |
スマホアプリ | 簡易的な 帳簿づけに特化 |
業務全般に 幅広く対応 |
帳簿付けから 電子申告まで対応 |
分析レポート | どのプランでも 全種類を閲覧可能 |
種類が豊富だが 最安プランは制限あり |
便利なレポートもあるが 種類は少なめ |
サポート | ・電話サポート付きプランが安価 ・最上位プランなら業務相談も可能 |
・全プランにチャットサポート付き ・最上位プランには独自の補償制度あり |
・全プランにチャットサポート付き |
他の主な 機能 |
・消費税申告 | ・消費税申告* ・経費精算 ・支払調書の作成 |
・消費税申告* ・経費精算 ・給与計算 ・社会保険事務 ・勤怠管理 ・マイナンバー管理 |
やよいの白色/青色申告公式サイトで見る | freee会計公式サイトで見る | マネーフォワード公式サイトで見る |
* 上位プラン限定の機能
弥生は、白色申告者向けの「やよいの白色申告 オンライン」と、青色申告者向けの「やよいの青色申告 オンライン」を別々で提供しています。これらは機能面で共通する部分が多いので、本記事ではまとめて説明しています。
freee(フリー)の「freee会計」には、個人事業主向け・法人向けの両方があります。本記事では、個人事業主向けソフトについて説明します。「freee人事労務」や「freee販売」などの関連ソフトもありますが、利用には別途料金がかかります。
マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド」という名称で、複数のクラウドソフトをセット提供しています(単体での利用プランはない)。本記事では、個人事業主の会計ソフトに相当する「クラウド確定申告」を中心に、セット内で利用できる機能について説明します。
① 料金プラン
弥生 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
【白色申告】 フリープラン ずっと無料 ベーシックプラン 12,650円/年 トータルプラン 23,100円/年 |
スターター 1,958円/月 12,936円/年 スタンダード 3,278円/月 26,136円/年 プレミアム 43,780円/年 |
パーソナルミニ 1,408円/月 11,880円/年 パーソナル 1,848円/月 16,896円/年 パーソナルプラス 39,336円/年 |
【青色申告】 セルフプラン 11,330円/年 ベーシックプラン 18,975円/年 トータルプラン 33,000円/年 |
料金は税込表示
白色申告でも青色申告でも、利用料金が最も安いのは弥生です。ただ、各社の上位プランには相応のメリットがあるので、一概に「安いからオススメ!」とは言えません。自分に必要な機能やサポートを見極め、総合的なコスパで考えましょう。
ちなみに、freeeとマネーフォワードには、月単位で契約できるプランもあります。とはいえ、ソフトの機能を最大限に活かすなら、1年(帳簿づけ~確定申告)を通して利用するのが基本です。
弥生の料金プラン
フリープラン セルフプラン |
ベーシックプラン | トータルプラン | |
---|---|---|---|
料金 (税込) |
【白色】 0円 ずっと無料 【青色】 11,330円/年 初年度は無料 |
【白色】 12,650円/年 初年度は無料 【青色】 18,975円/年 初年度は無料 |
【白色】 23,100円/年 初年度は半額 【青色】 33,000/円/年 初年度は半額 |
基本機能 | ○ | ○ | ○ |
サポート | なし | ・メール ・チャット ・電話 ・画面共有 ※電話は年10回まで |
・メール ・チャット ・電話 ・業務相談 ・画面共有 |
「やよいの白色申告 オンライン」は、白色申告者にとって”コスパ最強”の会計ソフトです。サポート付きの有料プランも初年度は無料or半額なので、初心者は「ひとまず初年度だけ有料プランにして、会計業務に慣れてきたら無料プランに切り替える」というのがおすすめです(プランはあとから変更可能)。
「やよいの青色申告 オンライン」も、他社の青色申告ソフトと比較するとリーズナブルな価格設定です。さらに、初年度は無料 or 半額で利用できるので、まずは気軽に操作感を試してみるのがおすすめです。
freeeの料金プラン
スターター | スタンダード | プレミアム | ||
---|---|---|---|---|
料金 (税込) |
月額 | 1,958円/月 | 3,278円/月 | 月額契約は不可 |
年額 | 12,936円/年 | 26,136円/年 | 43,780円/年 | |
基本機能 | ○ 若干の制限あり |
○ | ○ | |
サポート | ・メール ・チャット |
・メール ・チャット |
・メール ・チャット ・電話 ・税務調査補償 |
freeeの利用料金は、弥生・マネーフォワードと比較すると少し高めです。といっても、機能重視で選ぶなら大きなデメリットではないでしょう。「スターター」のプランだと一部の機能に制限がかかりますが、基本的な会計業務は問題なく行えます。
freeeの「スターター」で制限される主な機能
- レシート画像などの保存件数(月5枚まで)
- 分析レポートの自動作成(一部は閲覧可能)
- 消費税申告の書類作成
ちなみに、freeeには無料トライアルがあり、それが終了すると自動的に「無料プラン」に移行します。この「無料プラン」のまま使い続けることも可能ですが、機能がかなり制限されてしまいます。
マネーフォワードの料金プラン
パーソナルミニ | パーソナル | パーソナルプラス | ||
---|---|---|---|---|
料金 (税込) |
月額 | 1,408円/月 | 1,848円/月 | 月額契約は不可 |
年額 | 11,880円/年 | 16,896円/年 | 39,336円/年 | |
基本機能 | ○ 若干の制限あり |
○ | ○ | |
サポート | ・メール ・チャット |
・メール ・チャット |
・メール ・チャット ・電話 |
「マネーフォワード クラウド」は、、10個以上のクラウドソフトをセットで提供するサービスです。つまり上記の料金で、会計ソフトを含む複数のソフトを利用できるわけです。単純に機能の幅で考えれば、コスパは非常に良いと言えます。
最安の「パーソナルミニ」だと、機能に若干の制限がかかります。とはいえ、帳簿づけ~確定申告の主要機能に制限はないので、基本的な会計業務に支障はありません。
マネーフォワードの「パーソナルミニ」で制限される主な機能
- レシートの読み取り機能(AI-OCR)
- 毎月発生する請求書の自動作成機能
- 分析レポート(キャッシュフローのみ閲覧可能)
- 消費税申告の書類作成
② 手入力による帳簿付け
弥生 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
パパっと入力できることを重視した設計 | 幅広いユーザーが使えることを重視した設計 | 入力方法の使い分けによる効率化重視の設計 |
前提として、3社とも帳簿づけの機能に何ら不足はありません。画面の作りも、それぞれ使い勝手を考えた仕様になっています。ただ、たとえば「シンプルな使いやすさ重視」の弥生と、「機能の多様性重視」のマネーフォワードでは、使用感が大きく異なります。
弥生の取引入力画面
「かんたん取引入力」の画面 | 科目の説明 |
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弥生では「かんたん取引入力」の機能を使えば、4つの項目を埋めるだけで帳簿付けができます。解説も細かく表示されるので、会計の知識がなくても分かりやすいでしょう。ただ、簡易化されたフォーマットなので、補足的な情報まで細かく記帳したい人には不向きです。
「やよいの青色申告 オンライン」なら、一応「仕訳の入力」というメニューも用意されており、もう少し詳細な帳簿づけを行うこともできます。とはいえ、コチラはがっつり複式簿記の形式になっているので、使いこなすには簿記の知識が不可欠です。
freeeの取引入力画面
取引の入力画面 | 「詳細登録」の画面 |
---|---|
freeeは入力項目がシンプルなうえ、解説も丁寧に表示されるので、弥生と同様に会計初心者でも使いやすいです。加えて、入力内容が即座に仕訳形式でプレビュー表示されるなど、帳簿づけに慣れた人でもストレスなく使える工夫がされています。
また「詳細登録」をクリックすれば、そのまま入力内容を細かく編集することもできます。簡単な取引入力から、ちょっと特殊な処理まで、最小限の手数で済ませられるわけです。
マネーフォワードの取引入力画面
「簡単入力」の画面 | 「振替伝票入力」の画面 |
---|---|
「仕訳帳入力」の画面 | 「取引から入力」の画面 |
>> マネーフォワードの操作手順について詳しく(公式サイト)
マネーフォワードには手入力だけでも4種類の入力方法があり、常に効率よく帳簿付けを行えます。たとえば「普段はコレ」「特殊な取引はコレ」「一気に記帳するときはコレ」などと、シーンに応じた使い分けができるわけです。上手に活用すれば、大きなメリットとなる機能です。
ただ、弥生・freeeと比べると、マネーフォワードは勘定科目などの解説があっさりしています。したがって、ある程度は会計の知識がある人、もしくは「細かいことは自分で調べるから大丈夫!」という人向けの仕様だと言えます。
③ 自動取り込みによる帳簿付け(自動仕訳)
弥生 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
・件数が多くても見やすい ・細かな編集はやや面倒 |
・取引登録の自動化も可能 ・追記や修正がスムーズ |
・件数が多くても見やすい ・追記や修正がスムーズ |
ここで言う「自動取り込み」とは、銀行口座やカードを介したお金の動きを、ソフトが自動的に取り込む機能のことです。「自動仕訳」などとも呼ばれる機能です。3社とも機能の内容はほとんど変わりませんが、使い勝手などが微妙に異なります。
- 「自動取り込み機能」ってどう便利なの?
- 取り込んだデータには、ソフトが独自に推測した勘定科目などが付与される。ユーザーはそれを確認・編集し、帳簿に登録するかどうかを選択するだけでOK。推測の精度は学習機能によって自然と向上するが、特定の処理ルールを教え込むこともできる。
弥生の自動仕訳機能
弥生は、取り込んだデータについて、帳簿に「登録する・しない」を選んでいくシンプルな仕様です。勘定科目などを編集したいときは少しやりづらいですが、あくまで手入力をメインで使い、自動取り込みを多用しないならほとんど気にならないでしょう。
freeeの自動仕訳機能
freeeでは、取り込んだデータを一覧画面でスムーズに編集できます。補足情報の追記や推測ミスの修正など、細かな作業をパパっと行えるのが嬉しいポイントです。また「こういうデータを取り込んだら、こう処理してね」という指示も細かく設定できます。特定の取引を全自動で帳簿に登録できるわけです。
マネーフォワードの自動仕訳機能
マネーフォワードでは、取り込んだデータがズラッと一覧表示されるうえ、個々の取引データの編集もスムーズです。取引件数が多くても、ストレスなく処理できます。
④ 請求書や納品書の作成
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
仕様例 | |||
利用方法 | 姉妹サービスの「Misoca」を使う | ソフト内に機能が備わっている | セット内の「クラウド請求書」を使う |
追加料金 | かかる場合がある | かからない | かからない |
主な 対応書類 |
|
|
|
※ 弥生の対応書類は「Misoca」を使う場合の例
3社とも、請求書等を手軽に作成できる機能を、ソフトの内外で提供しています。この機能を使えば、請求書の作成と帳簿を連動させて、売掛金の管理などを自動化することも可能です。基本的な機能は、どのソフトでも共通しています。
弥生の請求書作成機能
請求書の作成画面 | 請求書の例 |
---|---|
弥生の場合、会計ソフトには請求書機能がないので、姉妹サービスの「Misoca」を別途で利用する必要があります。「Misoca」は無料でも使えますが、月に11通以上の請求書を作るなら有料プランに加入しなくてはなりません。(「Misoca」の他に「MakeLeaps」とも連携可能)
freeeの請求書作成機能
請求書の作成画面 | 請求書の例 |
---|---|
freeeは会計ソフトの中で請求書を作成できるので、弥生・マネーフォワードと比べると若干使い勝手が良いです。ただ、書類テンプレートの種類や細かな機能の面で、個別のサービス(弥生の「Misoca」やマネーフォワードの「クラウド請求書」など)には及ばない部分もあります。
マネーフォワードの請求書作成機能
請求書の作成画面 | 請求書の例 |
---|---|
マネーフォワードの請求書機能は「クラウド請求書」に搭載されています。「クラウド請求書」は「マネーフォワード クラウド」の一部なので、利用の際に追加料金はかかりません。会計ソフト「クラウド確定申告」のメニューからスムーズに起動できるうえ、情報も随時共有できます。
⑤ 確定申告書類の作成
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
作成画面 | |||
収支内訳書 | ○ | ○ | ○ |
青色申告決算書 | ○* | ○ | ○ |
確定申告書 第一表・第二表 |
○ | ○ | ○ |
第三表 (分離課税用) |
○ | ○ | ○ |
第四表 (損失申告用) |
○ | ○ | ○ |
*「やよいの白色申告 オンライン」は非対応
個人事業主やフリーランスの基本的な申告書類(決算書・確定申告書)は、どのソフトでも作成できます。記入欄の多くは帳簿をもとに自動入力されるので、自力でイチから作るより断然ラクです。
- 第三表~第五表は特殊な申告で使う
- ・第三表(分離課税用)……株の譲渡による所得などを申告する際
・第四表(損失申告用)……事業の赤字などを翌年へ繰り越す際
・第五表(修正申告用)……2021年分以前の過少申告を修正する際(現在は廃止)
ただ、作成時のインターフェイスは三者三様です。ユーザーの好みや習熟度によって、マッチするソフトが違います。
【弥生】確定申告書類の作成機能
書類作成のトップ画面 | 各項目の入力フォーム |
---|---|
弥生では、ホーム画面から「確定申告」を選択すればパッと書類作成が始められます。やるべきことを大きなステップに分けてガイドしてくれるので、確定申告が初めての人も取り掛かりやすいでしょう。個々の入力項目にも、逐一詳しい説明が配置されています。
【freee】確定申告書類の作成機能
書類作成のトップ画面 | 直接入力編集の画面 |
---|---|
freeeでは○×アンケートのような形式で書類を作成できるので、そもそも「確定申告ってよく分からん!」という超初心者でも大丈夫そうです。一方で「直接入力編集」というメニューも用意されており、作成に慣れた人でも使いやすい仕様になっています。
【マネーフォワード】確定申告書類の作成機能
書類作成のトップ画面 | 各項目の入力フォーム |
---|---|
マネーフォワードの確定申告機能は、どちらかというと申告経験のある人向きの仕様です。各所にヘルプページ等へのリンクが配置されていますが、画面上には最小限の解説しかありません。実際の書類作成に近い感覚で入力を進められる反面、初心者は戸惑う部分が多そうです。
⑥ 電子申告への対応状況(e-Tax)
弥生 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
|
|
|
電子申告の利便性を考える上で、大切なのは「ソフトからスムーズに申告ができるか」「パソコンとスマホの両方に対応しているか」というポイントです。このように各社を比較すると、現状ではfreeeがリードしています。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト(WEB版)」を活用すれば、多少手間はかかるが、どのソフトを使っても電子申告自体はできる。
>> 個人事業主が電子申告をする方法まとめ
弥生の電子申告機能
弥生は、自社のユーザー向けに「確定申告e-Taxオンライン」という電子申告ツールを配信しています。これを使えば、確定申告書類の作成画面からシームレスに電子申告を行えます。ただ、スマホでの確定申告書作成やデータ送信はできません。
freeeの電子申告機能
freeeは、ユーザー向けに「電子申告アプリ」という電子申告ツールを配信しています。これを使えば、確定申告書類の作成画面からそのまま電子申告が可能です。「電子申告アプリ」はPC版(Windows・Mac)とスマホ版(Android・iOS)が配信されており、様々な利用環境で電子申告ができます。
マネーフォワードの電子申告機能
マネーフォワードで作成した申告データは、スマホアプリ版の「マネーフォワード クラウド確定申告」を介して国税庁に送信できます。現状、パソコンからそのまま電子申告を行うことはできません。パソコンで作った申告データをスマホアプリで送信する、という使い分けは可能です。
⑦ 電子帳簿保存法の対応状況
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
優良な電子帳簿 | × | ◯ | ◯ |
その他の電子帳簿 | ◯ | ◯ | ◯ |
決算書類 | × | ◯ | ◯ |
電子取引データ | ◯ | ◯ | ◯ |
紙の書類 (スキャナ保存) |
◯ | ◯ | ◯ |
2024年からは「電子取引データ」の電子保存が義務化されますが、この部分には3社ともすでに対応しています。さらにペーパーレス化を進めたい場合は、その他の対応状況も確認しておきましょう。
弥生の電帳法対応
弥生は電子帳簿保存法に未対応の部分もありますが、実務上はほとんど問題ないでしょう。「優良な電子帳簿」には非対応ですが、「その他の電子帳簿」の要件はクリアできるので、わざわざ帳簿を印刷して保管する必要はありません。
freeeの電帳法対応
freeeは電子帳簿保存法にバッチリ対応しています。他社と比較すると、電子保存の作業手順もシンプルです。たとえば「電子取引データ」も「紙書類のスキャンデータ」も、ソフト内の「ファイルボックス」にアップロードするだけで保存できます。
マネーフォワードの電帳法対応
マネーフォワードでは、セットに含まれる「クラウドBox」というサービスを利用して電帳法に対応できます。たとえば、メールで受領した請求書のPDFファイルは、この「クラウドBox」にドラッグ&ドロップでアップロードするだけで適切に電子保存できます。
電子帳簿保存法対応のおすすめ会計ソフトまとめ【個人事業主向け】
⑧ スマホアプリでできること
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
トップ画面 | |||
主な機能 | ・帳簿づけ ・レシート読取* |
・帳簿づけ ・自動仕訳 ・レシート読取 ・レポートの閲覧 ・申告書作成 ・電子申告* ・請求書等作成 |
・帳簿づけ ・自動仕訳 ・レシート読取* ・レポートの閲覧 ・申告書作成 ・電子申告 |
*別アプリを使用する
単純に機能の数で比較すると、現状はfreeeのスマホアプリがリードしています。ただ、3社とも「基本的な帳簿づけをスマホアプリで行える」という点は同じです。スマホアプリを補助的な位置づけで使うなら、基本的な帳簿づけ機能だけでも十分でしょう。
弥生のスマホアプリ
手入力による帳簿づけ (『弥生 申告』アプリ) |
レシート撮影による帳簿づけ (弥生 レシート取込アプリ) |
---|---|
弥生のスマホアプリは、シンプルな帳簿づけ機能に特化しています。他の機能はほとんどありませんが、出先でパパっと帳簿づけをするぶんには使いやすいです。なお、レシート撮影による帳簿づけには、別の「弥生 レシート取込アプリ」が必要です。
freeeのスマホアプリ
手入力による帳簿づけ | 自動仕訳による帳簿づけ |
---|---|
レシート撮影による帳簿づけ | 確定申告書類の作成 |
freeeのスマホアプリは、他社と比べて機能が充実しています。弥生・マネーフォワードのように、機能が別のアプリに分散することもありません(電子申告のみ別アプリを経由する)。強いて言えば、機能が多いぶん操作画面が少し複雑になってしまっているのが難点です。
マネーフォワードのスマホアプリ
手入力による帳簿づけ 【かんたん入力】 |
手入力による帳簿づけ 【振替伝票入力】 |
---|---|
自動仕訳による帳簿づけ | レシート撮影による帳簿づけ |
マネーフォワードのスマホアプリは、充実した帳簿づけ機能が魅力です。スマホからの帳簿づけにも「かんたん入力」と「振替伝票入力」の2つの方法が用意されています。さらに、自動取り込みによる帳簿づけ機能を、スマホからも見やすい画面で利用できます。
なお、2020年11月のアップデートで、スマホアプリでも確定申告書類が作成できるようになりました。現在では、スマホからの電子申告にも対応しています。
⑨ 分析レポート
弥生 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
など |
など |
など |
* 最安プランでは閲覧不可
3社とも、帳簿の内容をもとに、各種のレポートを自動作成する機能を備えています。経営の分析に役立つものから、経理業務をサポートするものまで、様々なレポートが用意されています。
作成されるレポートのバリエーションや仕様は、ソフトによって異なります。ただ、あくまで「あったら便利だな」という機能なので、何かが不足していても大きな支障はありません。上手に活用していきたい人は、各ソフトの差を確認しておきましょう。
弥生の分析レポート機能
損益レポート | 日別取引レポート |
---|---|
画面は「やよいの青色申告 オンライン」のもの
弥生の場合、プランによって制限がかかることはありません。最安のプランでも、すべてのレポートを閲覧できます。内容としては、科目ごとの残高レポートや損益レポートなど、ベーシックなところを押さえている印象です。
freeeの分析レポート機能
損益レポート | 集計表 |
---|---|
単純にレポートの種類を比べると、freeeが最多です。さらに「集計表」の機能を使えば、縦軸と横軸を自由にカスタマイズして、任意のレポートを作成することもできます。ただ、最安プランの「スターター」では基本的なレポートしか閲覧できません。
マネーフォワードの分析レポート機能
得意先レポート | キャッシュフローレポート |
---|---|
マネーフォワードは「得意先レポート」「仕入先レポート」が優れモノで、これを使えば取引先ごとの売掛金や買掛金をひと目で把握できます。また、表示期間(年・月・日など)の切り替えがスムーズにできるなど、地味に使い勝手が良い点もGOODです。
ただ、弥生・freeeと比べるとレポートの種類が少ないうえ、最安プランの「パーソナルミニ」だと「キャッシュフローレポート」しか閲覧できません。
⑩ ユーザーサポートの内容
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
ヘルプページ | 全プラン | 全プラン | 全プラン |
チャット | 最安プラン以外 | 全プラン | 全プラン |
メール | 最安プラン以外 | 全プラン | 全プラン |
電話 | 最安プラン以外 | 最上位プランのみ | 最上位プランのみ |
最上位プラン の特典 |
|
|
特になし |
3社とも、料金プランによって利用できるサポートの内容が異なります。会計ソフトに不慣れな人は、少なくともチャット・メールによるサポートの付いたプランを選ぶのが良いでしょう。そのほか、会計初心者には弥生の「業務ヘルプデスク」などが魅力的です。
弥生のユーザーサポート体制
フリープラン セルフプラン |
ベーシックプラン | トータルプラン | |
---|---|---|---|
料金 (税込) |
【白色】 0円 【青色】 11,330円/年 |
【白色】 12,650円/年 【青色】 18,975円/年 |
【白色】 23,100円/年 【青色】 33,000円/年 |
ヘルプページ | ○ | ○ | ○ |
チャット | × | ○ | ○ |
メール | × | ○ | ○ |
電話 | × | ○(10回/年まで) | ○ |
その他 | 特になし | ・画面共有 | 業務ヘルプデスク ・画面共有 |
弥生の「ベーシックプラン」以上なら、チャット・メール・電話によるサポートが受けられます。さらに「トータルプラン」であれば、経理業務や確定申告の疑問にも答えてくれる「業務ヘルプデスク」のサービスも含まれます。
freeeのユーザーサポート体制
スターター | スタンダード | プレミアム | |
---|---|---|---|
料金 (税込) |
【月額】 1,958円/月 【年額】 12,936円/年 |
【月額】 3,278円/月 【年額】 26,136円/年 |
【年額】 43,780円/年 |
ヘルプ ページ |
○ | ○ | ○ |
チャット | ○ | ○ (優先対応) |
○ (優先対応) |
メール | ○ | ○ (優先対応) |
○ (優先対応) |
電話 | × | × | ○ |
その他 | 特になし | 特になし |
|
freeeでは、全てのプランでチャット・メールによるサポートを受けられます。ただ、電話サポートが付くのは最上位の「プレミアム」だけです。「プレミアム」には「税務調査サポート補償(税理士の立ち会い費用の補償)」などといったユニークなサービスも付きます。
マネーフォワードのユーザーサポート体制
パーソナルミニ | パーソナル | パーソナルプラス | |
---|---|---|---|
料金 (税込) |
【月額】 1,408円/月 【年額】 11,880円/年 |
【月額】 1,848円/月 【年額】 16,896円/年 |
【年額】 39,336円/年 |
ヘルプ ページ |
○ | ○ | ○ |
チャット | ○ | ○ | ○ |
メール | ○ | ○ | ○ |
電話 | × | × | ○ |
その他 | 特になし | 特になし | 特になし |
マネーフォワードでは、全プランにチャット・メールのサポートが付きます。ただ、電話サポートは「パーソナルプラス」のみです。サポート範囲は「クラウド確定申告」の操作方法だけで、公式サイトに「経理や税務のご相談および他サービスのご相談は承ることができません」と明記されています。
まとめ
「電子申告への対応状況」や「スマホアプリでできること」を除けば、どのソフトでも機能に大きな差はありません。したがって、単純に「自分のレベルに合っているか?」「インターフェイスが自分好みか?」なども重要な比較要素になってきます。
弥生・freee・マネーフォワードの比較一覧表
弥生 | freee | マネーフォワード | |
---|---|---|---|
料金 (税込) |
【白色申告】 フリープラン 0円 ベーシックプラン 12,650円/年 トータルプラン 23,100円/年 |
スターター 1,958円/月 12,936円/年 スタンダード 3,278円/月 26,136円/年 プレミアム 43,780円/年 |
パーソナルミニ 1,408円/月 11,880円/年 パーソナル 1,848円/月 16,896円/年 パーソナルプラス 39,336円/年 |
【青色申告】 セルフプラン 11,330円/年 ベーシックプラン 18,975円/年 トータルプラン 33,000円/年 |
|||
帳簿づけ | |||
パパっと入力できることを重視 | 幅広いユーザーが使えることを重視 | 入力方法の使い分けによる効率化を重視 | |
自動仕訳 | |||
|
|
|
|
請求書 作成 |
△ 月6枚以上は有料 |
○ | ○ |
申告書 作成 |
作成手順や記入項目の解説が丁寧 | 習熟度に応じた2つの作成方法がある | 解説が最小限で、実際の書類作成に近い |
電子申告 | ○ パソコンでスムーズに申告できる |
◎ パソコンとスマホの両方に対応 |
○ スマホアプリを使えばスムーズ |
電帳法対応 | ○ | ◎ | ○ |
スマホ アプリ |
機能:少 | 機能:多 | 機能:中 |
手入力による簡単な 帳簿づけに特化 |
会計業務の全般に幅広く対応 | 帳簿づけから電子申告まで対応 | |
分析 レポート |
どのプランでも全種類を閲覧可能 | 種類が豊富だが、最安プランは制限あり | 便利なレポートもあるが、種類は少なめ |
サポート |
|
|
|
他の主な 機能 |
|
|
|
弥生 | freee | マネーフォワード |
このような違いを踏まえると、3社のソフトはざっくり以下のような人におすすめです。
「弥生」はシンプルな操作性と安さを重視する人におすすめ
白色申告の個人事業主は、ひとまず弥生を選べば間違いないでしょう。ずっと無料で使えるうえ、機能も十分です。また、青色申告でも「基本的な機能が備わっていればOK!」という人には、シンプルな画面構成と低価格が魅力の弥生をオススメします。
「freee」は会計業務の効率化を重視する人におすすめ
「会計ソフト」という枠で考えると、最も機能が充実しているのはfreeeです。記帳の自動化や電子申告など、先進的な機能についても、素早い対応で他社をリードしています。「帳簿づけ~確定申告の業務をトコトン効率化したい!」という人にオススメです。
「マネーフォワード」はプラスαの機能を重視する人におすすめ
マネーフォワードは、会計ソフトとしての機能は「クラウド確定申告」単体でも十分ですが、追加料金なしで他6種類のクラウドソフトも利用できます。「事業の拡大を見据えて、バックオフィス全体を効率化したい!」という人にはコスパが非常に高いと言えます。