2021年9月、デジタル庁が発足しました。今後、税務の分野においても、一層デジタル化が進みそうです。本記事では、2022年に行う確定申告への影響などをまとめます。
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目次
2022年の確定申告 – デジタル化の影響
2021年分の確定申告期間は、2022年2月16日~3月15日です。この頃には、新たに以下の2つが可能になる予定です。
① 源泉徴収票の自動転記 | スマホで源泉徴収票を撮影し、確定申告書等作成コーナーへ自動で転記できるようになる |
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② マイナポータル連携 | 以下の項目を自動で取り込めるようになる |
参考:国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(令和3年6月11日)」
これらが実現すれば、小難しい書類を見ながらポチポチ入力する手間が、かなり削減できます。自動入力された内容を確認するだけなので、スマホの小さな画面でも苦にならないでしょう。
① 源泉徴収票の自動転記
2022年1月から、スマホで源泉徴収票を撮影すると、確定申告書へ自動で転記可能になる予定です(確定申告書等作成コーナー)。これは、会社に勤めていて源泉徴収票をもらう方向けの機能です。
これまで、確定申告の初心者にとって大きな障害だったのは「源泉徴収票のどこに何が書いてあるのかわかりづらい」という点でした。しかし、この機能が実装されれば、たとえ源泉徴収票の読み方がわからなくても、簡単に申告書を作成できるでしょう。
② マイナポータル連携
ここでいう「マイナポータル連携」とは、ごく簡単にいうと、民間企業などが持っているデータを一括取得し、自動で申告書へ反映してもらえる機能です。2020年10月から一部連携が可能になり、徐々に拡充され続けています。
マイナポータル連携への対応状況
2020年分 | 2021年分(予定) | 2022年分~(予定) |
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|
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など |
上記のように、2021年分の確定申告(=2022年2月~3月に行う確定申告)から、ふるさと納税や医療費控除のマイナポータル連携が可能になる予定です。
ただし、マイナポータルにログインするには、マイナンバーカードを読み取る必要があります。マイナンバーカードの新規発行には約1~2ヶ月かかるので注意しましょう。
2022年以降の展望
税務手続きのデジタル化は、今後数年にわたって続きそうです。2022年4月以降の予定は、以下のように発表されています。
2022年4月~ | タックスアンサーの改善 |
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2022年5月~ | 青色申告の承認状況などをマイナポータルで確認できるように |
2023年1月~ | マイナポータル連携の拡充(社会保険料、年金など) |
このほか、e-Taxなどのシステム改修も進められています(2026年ごろまで)。また、事業所得における収入・経費の申告についても、ある程度まで自動化できる仕組みを検討中のようです。
【個人事業主】帳簿のペーパーレス化(2022年1月~)
個人事業主の帳簿は、紙で保存するのが原則です。しかし、一定の要件をクリアすれば、データのみでも保存できます。2022年1月から、この要件が大きく緩和されます。
従来は、非常に厳しい要件をクリアして、税務署の承認を受ける必要がありました。2022年1月以降は、帳簿のペーパーレス化に関して、要件のハードルがグッと下がります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
まとめ
本記事で紹介した税務手続きのデジタル化について、2020年~2023年のスケジュールを時系列で整理しておきます。主要な変更点について、「何年分の確定申告に関係があるか?」を下図にまとめました。
さらに、細かなスケジュールを年表形式でまとめておきます。なお、2021年10月以降のスケジュールは、国税庁による2021年9月時点の公開情報に基づいています。今後変更となる可能性もあるので、参考程度にご覧ください。
2020年10月~ | マイナポータル連携の開始 (住宅ローン、生命保険料など) |
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2020年10月~ | 年末調整に関する書類の自動取り込みが可能に (年調ソフト) |
2020年12月~ | 税務書類への押印が不要に (実質的な廃止) |
2021年1月~ | 振替依頼書のオンライン提出などが可能に |
2021年4月~ | 税務書類への押印義務が廃止に |
2022年1月~ | 源泉徴収票の自動転記が可能に |
2022年1月~ | マイナポータル連携の拡充 (ふるさと納税、医療費控除など) |
2022年4月~ | タックスアンサーの改善 |
2022年5月~ | 青色申告の承認状況などをマイナポータルで確認できるように |
2023年1月~ | マイナポータル連携の拡充 (社会保険料、年金など) |
上表の赤文字は、2021年分(2022年2月16日~3月15日に行う確定申告)から変わるポイントです。これらの変更により、確定申告書等作成コーナーの利便性が高まります。