自営業がとことん分かるメディア

インボイス制度と電子帳簿保存法の違いをわかりやすく!いつから始まる?

更新日: 2024/05/07 投稿日: 2022/09/02
インボイス制度と電子帳簿保存法の違いをわかりやすく!いつから始まる?

個人事業主や法人向けに、「インボイス制度」と「電子帳簿保存法(電帳法)」の違いをわかりやすく解説します。いつから始まるのか?どんな関係性があるのか?などのポイントを理解して、適切に準備を進めましょう。

INDEX

目次

    「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」の違い

    「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」は、基本的に全く別の制度です。ただ、どちらも請求書や領収書の扱いに影響します。

    インボイス制度と電子帳簿保存法の違い – 何が変わる?

    インボイス制度 電子帳簿保存法
    制度の導入によって
    請求書や領収書の様式が変わる
    法改正によって
    請求書や領収書の保存方法が変わる
    2023年10月からスタート 2024年1月から対応が必須に

    「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」は、個人事業主やフリーランスを含めて、ほぼすべての事業者に関係します。ここからは、それぞれの制度の概要や影響をわかりやすく解説します。

    インボイス制度とは?【2023年10月からスタート】

    インボイス制度とは、ごく簡単にいうと「国が認めた形式の請求書(= インボイス)」を奨励する制度です。制度開始後は、取引先から「請求書はインボイスの形式で発行してください」とお願いされる場合があります。

    従来の請求書とインボイスの違い

    従来の請求書 インボイス
    (適格請求書)
    様式 区分記載請求書の例(インボイスとの違い) インボイス(適格請求書)の例
    免税事業者 発行できる 発行できない
    課税事業者 発行できる 発行できる

    インボイス(適格請求書)を発行できるのは、税務署で事前手続きを済ませた「消費税の課税事業者」のみです。消費税の免税事業者はインボイスを発行できないので、従来通りの請求書を発行することになります。

    インボイス制度による影響

    • 課税事業者にとっては、事務負担が増える
    • 免税事業者にとっては、取引の減少が懸念される

    インボイス制度による負担を軽減する経過措置まとめ

    課税事業者は、インボイスを受け取ることで消費税の納付額を抑えやすくなります。そのため、課税事業者が仕入先を検討する際は、免税事業者ではなく課税事業者から選ぶようになると考えられています。
    インボイス制度の問題点をわかりやすく解説

    インボイス制度の開始時期

    インボイス制度は、2023年10月から導入されています。「まだ対応していない!」という事業者は、急いで準備をしましょう。特に課税事業者は、税務署に申請しないとインボイスを発行できません。
    インボイス制度の事前申請 – 申請方法や期限について詳しく!

    電子帳簿保存法とは?【2024年1月から対応が必須】

    「電子帳簿保存法」では、税務上の保存義務がある帳簿・書類を、パソコン等にデータ保存するための要件が定められています。従来、これらの帳票はすべて紙で保存しても構いませんでしたが、2022年1月から以下の新ルールへ変更されました。

    2022年(令和4年)1月から適用となった改正電子帳簿保存法 - 3タイプの電子保存

    たとえば、電子メールで受け取った請求書のPDFデータなどは、原則としてデータ保存しなくてはいけません(電子取引の電子保存)。ただし経過措置として、2023年12月まではプリントアウトによる従来の保存方法も認められています。
    電子帳簿保存法の改正 – 電子データの保存義務について

    電子帳簿保存法の改正による影響

    • 基本、すべての事業者は「電子取引の電子保存」への対応が必要
    • 例外として、オンラインでのやり取りが一切なければ対応しなくてもよい

    帳票を電子データとして保存する際は、単純にパソコンに保存するだけではダメで、法令で定められた細かな要件を守る必要があります。すべて自力で対応するのは大変ですが、電子帳簿保存法対応の会計ソフトを活用すれば比較的容易に対応できます。

    電子帳簿保存法への対応時期

    電帳法への対応が必須となるのは「2024年1月」からです。クラウドサービスの導入や事務処理規定の整備などを行い、法令に則って電子保存できる環境を整えておきましょう。税務署での事前手続きなどは基本的に不要です。

    インボイス制度と電子帳簿保存法の関係

    前述したとおり「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」はまったく別の制度で、直接的な関係性はありません。ただ、実際の業務では2つの制度が重なり合う領域もあります。

    たとえば、2024年以降に発行・受領した「電子インボイス」は、電子帳簿保存法に従ってデータ保存する必要があります。電子インボイスとは、メール等で電子的に送信・受信したインボイス(適格請求書)のことです。

    2023年12月まで 2024年1月から
    紙で発行・受領した
    インボイス
    紙のまま保存してOK 紙のまま保存してOK
    メール等で発行・受領した
    インボイス
    紙に印刷して
    保存してもOK
    紙での保存は
    原則NG

    2024年1月から、電子取引データ(電子的にやり取りした書類)はデータのまま保存しておく必要があります。原則として、紙に印刷して保存する方法は認められません。電子インボイスも「電子取引データ」に該当するので、紙保存がNGになるわけです。

    ちなみに「2024年以降は必ず電子インボイスを発行しないといけない!」というわけではありません。あくまで「データで送受信したらデータのまま保存しといてね」というだけです。2024年以降も、インボイスを紙で発行すること自体は全く問題ありません。

    結局どうすればいい?個人事業主や法人に必要な対応

    個人事業主も法人企業も、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応方法は基本的に同じです。

    インボイス制度 電子帳簿保存法
    消費税の課税事業者
    新しい経理業務が必要になる
    すべての事業者
    電子取引データの保存が必要になる

    インボイス制度に関しては、消費税の「課税事業者」だけがちょっと面倒な対応を迫られます(制度開始に伴って課税事業者になる場合も含む)。一方、電子帳簿保存法に関してはすべての事業者が対応しなくてはなりません。

    インボイス制度に関して必要な対応

    • インボイスを発行するために「適格請求書発行事業者」の登録手続きをする
    • インボイスのフォーマットを作って、いつでも発行できるようにする
    • 初めて課税事業者になった場合は、消費税の確定申告の準備もする

    ※ 免税事業者の場合はどれも対応しなくてOK

    電子帳簿保存法に関して必要な対応

    • 電子取引データの保存要件を理解する
    • 電子取引データを適切に保存できるシステムを用意する

    これらをすべて自力で行うのはかなり大変です。実際には、インボイス制度と電子帳簿保存法の両方に対応した会計ソフトを導入するのが現実的でしょう。適切なソフトを導入すれば、ほとんど手間をかけずに両制度に対応できます。

    インボイス制度と電子帳簿保存法に対応できる会計ソフト

    インボイス制度と電子帳簿保存法に必要な機能を解説し、両方に対応している会計ソフトを紹介します。

    インボイス制度の対応に必要な機能

    インボイスの作成 インボイスをミスなく簡単に発行できる機能
    消費税の帳簿付け 取引ごとに消費税率や請求書区分を記録しておける機能
    消費税の確定申告 消費税の確定申告書を自動作成する機能
    簡易課税への対応 「簡易課税用」の申告書類を作成する機能
    (消費税の「簡易課税制度」を選択する場合のみ必要)

    ※ 免税事業者の場合はいずれの機能もなくてよい

    インボイスは記載内容が細かく定められているので、会計ソフトなどのフォーマットを使って作成するのが安心です。また、課税事業者は毎年「消費税の確定申告」を行うので、その集計作業や書類作成を効率化できる機能もあるとよいでしょう。


    電子帳簿保存法の対応に必要な機能

    帳簿の保存機能 ソフトで作成した帳簿を適切に電子保存できる機能
    決算書類の保存機能 ソフトで作成した決算書類を適切に電子保存できる機能
    電子取引データの保存機能 メール等で授受した書類データをアップロードして保存できる機能
    スキャナ保存の機能 紙で授受した書類をスマホカメラ等で撮影して保存できる機能

    電帳法対応で最も重要なのは「電子取引データ」の保存機能です。2024年1月から、電子取引データは電子保存が必須になります。対応ソフトを使えば、メール等で授受した書類データを、ソフトにアップロードするだけで適切に電子保存できます。

    また、経理業務の効率を考えると「帳簿」の保存機能も重要です。帳簿の電子保存に非対応の会計ソフトを使うと、帳簿データをいちいち印刷して紙で保存しないといけません。帳簿の電子保存はあくまで任意ですが、対応ソフトを選べば紙保存の手間が省けます。

    帳簿を電子保存する際の要件には「厳密な要件(優良な電子帳簿)」と「最低限の要件(その他の電子帳簿)」がある。会計ソフトの機能としては、ひとまず最低限の要件に対応していれば問題ない。

    両方の制度に対応できるおすすめの会計ソフト

    インボイス制度と電子帳簿保存法にまとめて対応したいなら、個人事業主も法人も「弥生・freee・マネーフォワード」のクラウド会計ソフトがおすすめです。

    弥生 freee マネーフォワード
    操作画面 弥生の帳簿付け画面(インボイス制度対応) freee会計の帳簿付け画面 マネーフォワード クラウド確定申告の仕訳入力画面
    利用料金
    (個人事業主)
    白:0円〜
    青:11,330円/年~
    12,936円/年~ 10,560円/年~
    利用料金
    (法人)
    30,580円/年~ 26,136円/年~ 39,336円/年~
    対応OS Windows
    Mac
    Windows
    Mac
    Windows
    Mac
    インボイス作成
    消費税の帳簿付け
    消費税申告
    法人は不可

    個人は上位プランのみ

    上位プランのみ
    簡易課税の対応
    法人は集計のみ
    帳簿の電子保存
    決算書の電子保存
    電子取引データ
    スキャナ保存

    ※ 料金はすべて税込表示

    「免税事業者」の場合、インボイスや消費税申告に関する機能は不要です。ひとまず、電帳法関連の機能をチェックしておきましょう。一方「課税事業者」は、インボイス制度と電子帳簿保存法の両方に対応した会計ソフトを選ぶ必要があります。

    弥生・freee・マネーフォワードの会計ソフトは、どれも電帳法対応に必要な機能を備えています。消費税申告の機能には若干の差がありますが、3社ともインボイスの作成・発行にはしっかり対応しています。

    そのほか、もちろん会計ソフトに必要な基本機能も備えています。利用料金やサポート体制なども比較して、自社に最適な会計ソフトを導入しましょう。

    >> 弥生の会計ソフトシリーズ(公式サイト)
    >> freee会計(公式サイト)
    >> マネーフォワード クラウド(公式サイト)

    【まとめ】インボイス制度と電子帳簿保存法の違いを整理

    「インボイス制度」と「電子帳簿保存法(電帳法)」は、まったくの別物です。どちらも税金に関する仕組みですが、趣旨が大きく異なります。

    インボイス制度と電子帳簿保存法の違い

    インボイス制度 電子帳簿保存法
    (改正後)
    税金の種類 消費税 所得税や法人税など
    変更点 請求書や領収書の
    様式が変わる
    請求書や領収書の
    保存方法が変わる
    対応する義務 任意 義務あり
    (電子取引の電子保存)
    事前手続き 必要 基本的には不要
    (優良な電子帳簿のみ必要)
    本格化の時期 2023年10月~ 2024年1月~

    「インボイス制度」への対応は必須ではありませんが、実務においては避けて通れない話題です。免税事業者の場合は、課税事業者になってインボイスを発行すべきか検討しましょう。

    「電子帳簿保存法」への対応は、2024年1月から必須となる見込みです。それまでに保存要件の確認やクラウドサービスの比較検討などを行い、どのような対応をとるのか方針を決めておきましょう。

    \ この記事をSNSでシェアする /
    PICKUP POSTS
    ピックアップ記事
    マネーフォワード クラウド確定申告
    NEW POSTS
    に関する新着記事
    自営業の専門メディア 自営百科
    最新情報はSNSアカウントで