インボイス制度の導入に伴い、個人事業主が「適格請求書発行事業者」になると、本名がネット上で公開されます。2022年9月26日以降は、システムの一部に見直しが入りましたが、本名バレのリスクがなくなったわけではありません。
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目次
個人事業主の本名が公開される仕組み
適格請求書発行事業者(インボイスを発行できる事業者)は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で名前などの情報が公開されます。個人事業主の場合は必ず「本名」が掲載されるので、個人情報保護の観点から問題視されていました。
- 適格請求書発行事業者とは、税務署に申請して「登録番号(インボイスの発行に必要なIDのようなもの)」を割り振ってもらった事業者のこと。インボイス制度の導入後は、適格請求書発行事業者にならないと取引が不利になる可能性がある。
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「適格請求書発行事業者公表サイト」では、主に2つの方法で事業者の情報を閲覧できます。
①の方法では、依然として事業者の名前が閲覧できるようになっています。一方、②については仕様が見直され、2022年9月26日から名前や住所が表示されなくなりました。
① 登録番号による検索
公表サイトでは、インボイスの「登録番号」を入力すると、その事業者の情報が表示されるようになっています。これは、取引先からインボイスが届いたときに、そこに記載されている登録番号が「本当にその企業のものなのか」を確認するための機能です。
閲覧できる主な情報
- 事業者の名前(法人の名称や、個人事業主の氏名)
- 屋号(公開は任意)
- 事務所や店舗の住所(公開は任意)
- 登録年月日
- 最終更新年月日
この検索機能を使うと、個人事業主の場合は必ず本名が表示されます。この仕様については、2022年9月26日以降も変更されていません。
取引先にインボイスを発行すると、少なくともその取引先に本名がバレることは避けられないわけです。それ以上の拡散を防ぐためには、必要に応じて「取引先と秘密保持契約(NDA)を結ぶ」などの対策を講じましょう。
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② 一覧データのダウンロード
公表サイトでは、適格請求書発行事業者の情報がズラッと載った一覧データをダウンロードすることもできます。ただ、2022年9月26日以降、こちらには名前や住所などの情報が掲載されなくなりました。
閲覧できる主な情報
- 登録年月日
- 最終更新年月日
公開当初はコチラにも名前が掲載されていたので、名前から登録番号を「逆引き」することなども可能でした。しかし、以前と比べてこのファイルで表示される情報が限定されています。
まとめ – 現状は本名バレを防ぎきれない!
適格請求書発行事業者の公表サイトでは、インボイスの「登録番号」を入力すると、その事業者の名前などが表示されます。ちなみに、公表サイトでは事業者の一覧データもダウンロード可能ですが、現状こちらには名前などの情報が表示されなくなっています。
公表サイトで閲覧できる情報
登録番号による検索 | 一覧データ | |
---|---|---|
名前 | 公開される | 公開されない |
屋号 | 公開は任意 | 公開されない |
事務所の所在地 | 公開は任意 | 公開されない |
登録年月日 | 公開される | 公開される |
更新年月日 | 公開される | 公開される |
- 登録番号を通知した相手には、本名を知られる可能性がある
- 登録番号を通知していない相手に、本名を知られる心配はない
- 住所や屋号は、自分で希望しない限り公開されない
- 一覧データに表示される情報だけで個人を特定されることはない
一覧データの掲載内容は見直されましたが、登録番号から検索した場合は依然として名前などが表示されます。現状の仕様だと、インボイスを発行した相手に本名がバレることは防げません。
個人事業主の場合、「適格請求書発行事業者」になるかどうかは、このようなリスクやデメリットも考慮して慎重に検討しましょう。