最近、ネットニュースなどで「個人事業主版マイナンバー」が話題です。これは消費税のインボイス制度における「登録番号」を指します。といっても、すべての個人事業主に強制されるものではなく、申請した人だけに割り振られる番号です。
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目次
「個人事業主版マイナンバー」とは?
2023年10月から、消費税のインボイス制度が始まります。それ以降は「登録番号」を取得しないと、適格請求書の発行ができません。この登録番号が、ネット上で「個人事業主版マイナンバー」とも呼ばれています。
個人事業主の登録番号 | マイナンバー | |
---|---|---|
表記例 | T 12345 1234 1234 (T+13桁) |
1234 1234 1234 (12桁) |
カード | – | ・通知カード ・マイナンバーカード |
対象 | 申請した課税事業者にのみ割り振る | すべての住民に割り振られている |
番号の秘匿性 | なし | 高い |
主な事業用途 | ・適格請求書の作成 ・GビズIDとの連携(予定) |
・確定申告や年末調整など ・その他の行政サービス |
このように、登録番号とマイナンバーは全く別物です。登録番号は、氏名・登録年月日と共にネットで公表されます(希望すれば事務所の所在地や屋号も公表可能)。マイナンバーとは違って、秘匿を前提とした番号ではないということです。
なお「免税事業者」は、登録番号を取得できません。また、課税事業者であっても、自分から申請しない限り、登録番号が割り振られることはありません。登録番号の申請開始日は、2021年10月1日です。
「適格請求書発行事業者」の登録 – 申請方法や期限など
適格請求書の作成
適格請求書は、2023年10月から発行可能です。ご覧のとおり、適格請求書を作成するにはそれなりに手間がかかります。どれだけ内容がきちんとした請求書でも、「登録番号」が記載されていなければ適格請求書として認められません。
GビズIDとの連携
GビズIDのアカウントを作ると、そのID・パスワードで以下のような行政サービスへログインできます。GビズIDは経産省が運営しており、無料で利用できます。
GビズIDで利用可能な行政サービス(主な例)
jGrants | 各種の補助金申請システム |
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社会保険手続きの電子申請 | 「届書作成プログラム」の提供や利用方法など |
ミラサポplus | 中小企業向け補助金などの検索、電子申請の入力補助 |
e-Gov | 各府省に対する電子申請などの窓口サービス |
Gビズフォーム | 経産省が受け付ける各種電子申請 |
現在、GビズIDのアカウントに「登録番号」を紐付けることが検討されています(2020年12月25日:「デジタル・ガバメント実行計画」閣議決定)。これにより、各種補助金の申請や、社会保険の手続きの簡素化・デジタル化を促進する狙いがあるようです。
とはいえ、上記サービスにおいて、登録番号が必須になる予定はなさそうです。GビズIDのためだけに、わざわざ登録番号を取得する必要はないでしょう。
まとめ
「個人事業主版マイナンバー」とも呼ばれる「登録番号」は、2023年10月以降、消費税の適格請求書に記載するための番号です。GビズIDとの連携も予定されています。ただ、免税事業者は登録番号を取得できません。
登録番号の重要ポイント
- 登録番号がないと、2023年10月以降の適格請求書を作成できない
- 主要な顧客が課税事業者である場合、登録番号がないと困るかも
- 主要な顧客が課税事業者でなければ、登録番号がなくてもあまり問題ない
- 登録番号は、GビズIDとの連携も予定されている
- GビズIDとの連携で、補助金申請などが簡単になるかも
登録番号の取得については、元から課税事業者であればそれほど迷うことはないでしょう。問題は、免税事業者の場合です。「免税のメリットを捨ててまで、適格請求書を発行する必要があるのか?」を考えなくてはいけないからです。
当メディアでは、インボイス制度について特集を組んで、これらの考え方についても詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。