個人事業主の住民税 – 計算方法・納付時期・仕訳など

更新日: 2020/09/30
個人事業主の住民税 – 計算方法・納付時期・仕訳など

個人事業主は、6月頃に送付される通知書に従って「住民税」を納めます。納税額は、全員一律の「均等割」と、所得に応じて異なる「所得割」を合わせた金額で、一括納付か分割納付を選択できます。

INDEX

目次

    住民税とは?

    「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせて住民税と呼びます。国ではなく、地方自治体に納める「地方税」の一種です。所得(収入-経費)が30万円前後を下回る場合を除き、ほぼ全ての事業主が納付します。

    住民税の納税額は、確定申告の内容をもとに算出されます。自分で計算する必要はありません。確定申告を済ませていれば、6月頃に税額の通知書と納付書が一緒に送られてくるので、「一括納付」か「分割納付」を選択し、以下の期限までに納付しましょう。

    確定申告期間と住民税の納付時期【一括・分割】

    なお、期限日が土日祝の場合は後ろの平日にズレるため、2020年の納付期限は以下のようになっています。

    分割1回目 or 一括払い 2020年6月30日(火)
    分割2回目 2020年8月31日(月)
    分割3回目 2020年11月2日(月)
    分割4回目 2021年2月1日(月)

    納付方法にはいくつかの種類があり、窓口での納付以外にも、コンビニ納付や口座振替などが選択できます。口座振替の場合は、それぞれの納付期限が振替日になります。なお、納付方法によっては事前の申請が必要になります。

    均等割 – 全員が一律で納める

    住民税の納税額は、全員が一律で納める「均等割」と、所得に応じて異なる「所得割」を合わせた金額です。「都道府県民税」と「市区町村民税」の両方に、それぞれ均等割と所得割が用意されています。

    住民税は均等割+所得割で決まる

    均等割の金額は地域によって異なります。「都道府県民税」と「市区町村民税」両方の均等割を合わせて年間5,000円程度の場合が多いです。

    以下の表は、地域ごとの「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせた均等割の金額例です。

    都道府県民税 市区町村民税 均等割の合計
    東京都 すべての市区町村 1,500円 3,500円 5,000円
    神奈川県 横浜市 1,800円 4,400円 6,200円
    川崎市 1,800円 3,500円 5,300円
    大阪府 大阪市 1,800円 3,500円 5,300円
    愛知県 名古屋市 2,000円 3,300円 5,300円
    豊田市 2,000円 3,500円 5,500円

    (2020年5月現在)

    所得割 – 所得に応じて納める

    住民税の「所得割」は、おおよそ前年の所得から所得控除を差し引いた金額をもとに算出します。税率は、ほぼ全ての地域で10%(都道府県民税が4%、市区町村民税が6%)です。

    住民税の所得割の計算式

    所得控除とは – 「所得税の所得控除」とは少し異なる場合も

    所得割の計算に出てくる「所得控除」とは、公平な課税のために所得から差し引かれる金額のことです。確定申告で記入する“所得税の所得控除”と同じ項目もありますが、金額が異なる場合もあります。

    この所得控除には、全員が受けられる43万円の「基礎控除」も含まれています。また、青色申告を行った事業主は、「青色申告特別控除」も適用できます。以下が、所得税の場合と比較した控除の例です。

    住民税と所得税の主な控除の比較

    住民税の控除額 所得税の控除額
    基礎控除 43万円 48万円
    配偶者控除 33万円 38万円
    扶養控除 33万円~ 38万円~
    社会保険料控除 その年に納めた国民年金や国保の保険料の全額分
    青色申告特別控除 10万円・55万円・65万円

    控除額は状況によって異なる場合もある

    また、計算式に出てくる「税額控除」は、住宅ローンを支払った際や、株式の配当金を受け取った際などに適用される控除です。一定以上の所得がある場合は、必ず「調整控除」という、ちょっとした税額控除が適用されます。

    住民税の計算例

    以下のような個人事業主を例に、住民税の金額を実際に計算してみます。

    • 住所   東京都世田谷区
    • 扶養親族 なし
    • 所得   400万円(収入500万円 – 経費100万円)
    • 所得控除 基礎控除43万円 + その他の控除50万円
    • 税額控除 2,500円(調整控除のみ)

    東京都ではすべての市区町村で、均等割が5,000円(都民税1,500円 + 特別区民税3,500円)で、所得割の税率が10%のため、計算式は以下のようになります。

    所得割 = ( 400万円 – 93万円 ) × 0.1 – 2,500円 = 304,500円
    所得割 + 均等割 = 304,500円 + 5,000円 = 309,500円

    この場合、住民税の納付額は年間309,500円になります。なお、この事業者が青色申告を行い、65万円の特別控除を受けた場合は、住民税を年間244,500円にまで節税することができます。

    納付した住民税の仕訳方法 – 経費にはできない

    住民税は事業主個人にかかる税金なので、事業の経費にはできません。事業用の口座から振替納付した場合のみ「事業主貸」として処理しましょう。

    事業用口座から振替納付した場合の仕訳例

    たとえば、事業用の口座から20万円の住民税を振替納付した場合は、以下のように仕訳します。仕訳の日付は振替日にしておきましょう。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年6月30日 事業主貸 200,000 預金 200,000 住民税納付

    納付が免除される場合 -「非課税限度額」について

    住民税の均等割と所得割には、それぞれ「非課税限度額」が設定されており、前年の所得がその金額以下の場合は納付を免除されます。

    均等割の非課税限度額は地域によって異なり、大きく「28万円・31万5000円・35万円」の3パターンに分けられます。たとえば東京都23区内の場合、均等割の非課税限度額は35万円で、扶養親族の人数に応じて以下のように異なります。

    扶養親族がいない場合 35万円
    扶養親族がいる場合 35万円 × ( 1 + 扶養親族の人数 ) + 21万円

    なお、扶養親族がいる場合の計算式に出てくる「1」とは、事業主本人の人数を考慮するための数字です。

    所得割の非課税限度額 – 全国一律で35万円

    所得税の非課税限度額には地域差がなく、全国一律で35万円です。ただし、こちらも扶養親族の人数に応じて、以下のように金額が異なります。

    扶養親族がいない場合 35万円
    扶養親族がいる場合 35万円 × ( 1 + 扶養親族の人数 ) + 32万円

    まとめ – 住民税の重要なポイント

    個人事業主の住民税に関して、重要なポイントは以下の通りです。

    • 確定申告を済ませていれば、6月頃に税額の通知書が届く
    • 税額の計算方法は、全員一律の「均等割」+ 所得に応じた「所得割」
    • 均等割は大体5,000円程、所得割の税率は原則10%で、この合計を納める
    • 前年の所得が30万円前後を下回ると、納付を免除される場合もある
    • 事業用の口座から納付したら、「事業主貸」の勘定科目で仕訳する

    6月頃に届く通知書には、「一括納付用」と「分割納付用」の2種類の納付書がついてきます。納付方法はどちらか好きな方を選択でき、2020年の納付期限はそれぞれ以下のようになります。

    分割1回目 or 一括払い 2020年6月30日(火)
    分割2回目 2020年8月31日(月)
    分割3回目 2020年11月2日(月)
    分割4回目 2021年2月1日(月)

    窓口での納付以外にも、コンビニ納付や口座振替での納付を選択することもできます。その場合、それぞれの納付期限日が振替日になります。