個人事業主向けに、主な税金の納付時期をまとめました。本記事で扱うのは「所得税・消費税・住民税・個人事業税」の4つです。納付期限を過ぎると、延滞金などのペナルティもあり得るので注意しましょう。
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目次
個人事業主が納める4種類の主な税金
個人事業主は、主に「所得税」「消費税」「住民税」「個人事業税」の4つの税金を納めます。それぞれ納付期限は以下のとおりです。とくに重要なものを赤色で記載しています。
所得税 2024年分 |
・予定納税…2024年9月30日(月)、12月2日(月) ・申告納付…2025年3月17日(月) |
---|---|
消費税 2024年分 |
・中間納付…2024年9月2日(月) ※中間申告が1回の場合 ・申告納付…2025年3月31日(月) |
住民税 2024年度分 |
・一括…2024年7月1日(月) ・分割…2024年7月1日(月)、9月2日(月)、10月31日(木)、2025年1月31日(金) |
個人事業税 2024年度分 |
・一括…2024年9月2日(月) ・分割…2024年9月2日(月)、12月2日(月) |
所得税や消費税を納付する場合は、まず確定申告で税額を明らかにする必要があります。それなりに手間がかかるので、時間に余裕を持って取り組んだほうがよいです。
まずは「確定申告」をする
個人事業主にとっての「確定申告」とは、1年間の事業で生じた利益や損失を集計して、所得税の納税額などを税務署へ申告する手続きのこと。原則として、毎年2月16日~3月15日に行います。所得税・住民税・個人事業税の3つは、この内容をもとに税額が決定されます。
消費税の申告は免除される事業主も多い
消費税の納税額は、確定申告とは別で申告を行います。申告期間は、原則として毎年1月1日~3月31日。しかし、消費税に関しては納付を免除される事業主も多く、その場合は申告が不要になります。納付を免除される条件について、詳しくは後述します。
所得税 – 3月15日までに納付
所得税は、確定申告で納税額を決定し、その年の確定申告期限日(原則3月15日)までに納付します。ただし、口座振替での納付を選択すると、振替日は法定納期限日の約1ヶ月後(4月の中旬ごろ)になります。
納付期限 | |
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窓口納付など | 3月15日 |
振替納税 | 4月中旬(預金口座からの振替日) |
所得税の納付に関して、特に通知などは届きません。確定申告が済んだら、自分で納付を行いましょう。税務署・銀行・郵便局などでの窓口納付に加えて、コンビニ納付やクレジットカード納付なども選択できます。振替納税の場合は、事前の申請が必要です。
所得が48万円以下なら納付は不要
所得税の場合、すべての事業主に「基礎控除」が適用され、所得から最高48万円が差し引かれます。そのため、前年の所得が48万円以下の場合は所得税がゼロとなり、納付が不要になります(収入 - 経費等 = 所得)。
前年分の所得税が15万円以上なら「予定納税」が必要な場合も
前年分の所得税額(厳密には予定納税基準額)が15万円以上だった事業主は、「予定納税」を求められます。「予定納税」の通知が届いたら、おおよそ前年分の所得税額の3分の1ずつを、7月と11月に当年分の「前払い」として納付します。
【ポイント】所得税の納付時期
- 所得税の納付期限は原則3月15日(口座振替の場合は4月中旬)
- 通知などは無いため、確定申告が済んだら自分で納付する
- 前年の所得が48万円以下なら納付は不要
- 前年分の所得税額が15万円以上なら、当年分の「予定納税」が必要になる場合も
消費税 – 3月31日までに納付【免税事業者は納税しない】
消費税の申告期間は、原則1月1日~3月31日。この間に、前年分の消費税額を計算・申告し、3月31日までに納付します。通知などは届かないので、申告が済んだら自分で納付を行いましょう。なお、振替納税を選択した場合、振替日は4月下旬になります。
納付期限 | |
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窓口納付など | 3月31日 |
振替納税 | 4月下旬(預金口座からの振替日) |
免税事業者の条件 – 開業から2年間は納付不要
以下の条件を両方とも満たす事業主は「免税事業者」とみなされ、消費税の納付を免除されます。「前々年の課税売上高」が主な基準となるため、基本的に開業から2年間は「免税事業者」でいられます。
- 前々年の課税売上高が1,000万円以下である
- 特定期間の課税売上高 or その間に支払った給与が1,000万円以下である
(特定期間とは前年1月1日~6月30日のこと)
「課税売上高」とは、商品の販売やサービスの提供などといった「課税取引」で得た売上の合計金額を指します。国内で行われるほとんどの取引が、この「課税取引」にあたります。
消費税の納付方法 – 課税事業者になったら
免税事業者の条件から外れて「課税事業者」となったら、期限内に消費税の申告と納付を行いましょう。納付方法は所得税と同様に、税務署・銀行・郵便局などでの窓口納付に加え、口座振替やコンビニ納付、クレジットカード納付なども選択できます。
ちなみに、前年分の納税額が48万円を超えたら、当年分の消費税を一部前払いする「中間納付」が必要になります。
【ポイント】消費税の納付時期
- 消費税の納付期限は原則3月31日(口座振替の場合は4月下旬)
- 通知などは無いため、税額の申告が済んだら自分で納付する
- 開業から2年間は、基本的に納付が免除される
- 2年がたった後も「免税事業者」は納付が不要
住民税 – 6月30日までに一括納付 or 4回の分割納付
住民税は「一括納付」と「分割納付」を自由に選択できます。納付期限はそれぞれ以下のとおり。確定申告を済ませていれば、6月頃に通知書が届くので、記載された税額を納付しましょう。自分で税額を計算・申告する必要はありません。
納付期限 | |
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一括納付 | 6月30日 |
分割納付 | 6月、8月、10月、翌1月それぞれの末日 |
なお、口座振替での納付を選択した場合は、それぞれの期限日が振替日になります。
住民税の納付方法 – 地域によって少し異なる
住民税は、地方自治体に納める「地方税」なので、地域によって選べる納付方法が少し異なります。とはいえ、地域の役所・銀行・郵便局などでの窓口納付に加えて、口座振替やコンビニ納付など、基本的な納付方法は選択できる場合が多いです。
所得が30万円前後なら納付が不要な場合も
前年の所得が30万円前後だったら、地方自治体が定める「非課税限度額」以下である可能性があります。その場合、住民税の納付は不要になります。
【ポイント】住民税の納付時期
- 6月頃に税額の通知書が届き、「一括納付」と「分割納付」を選べる
- 「一括納付」の期限は6月30日
- 「分割納付」の期限は6月、8月、10月、翌1月それぞれの末日
- 前年の所得が30万円前後なら、納付が免除される場合もある
個人事業税 – 8月31日と11月30日までの2回で納付
個人事業税は、基本的に8月と11月の2回に分けて納付します。納付期限は、それぞれの末日です。ただし、地域によっては8月に一括で納付できる場合もあります。確定申告を済ませていれば、8月頃に通知書が届くので、記載された税額を納付しましょう。
納付期限 | |
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一括納付* | 8月31日 |
分割納付 | 8月31日、11月30日 |
*地域によっては不可
ちなみに、東京都の場合、一括納付はできません。神奈川県・愛知県・大阪府などでは、納税額が1万円以下の場合に限り、一括納付を選択できます。
事業所得が290万円以下なら納付は不要
個人事業税では全員に一律で290万円の控除があるため、前年の事業所得(青色申告特別控除の適用前)が290万円以下なら納付は不要です。その場合は、そもそも通知書が届きません。ただし、1年の途中で開業した場合などは、控除額もその年の営業月数に応じて月割りで計算されます。
個人事業税の納付方法 – 地域によって少し異なる
個人事業税も、住民税などと同じ「地方税」なので、選択できる納付方法は地域によって少し異なります。ほとんどの場合、地域の役所・銀行・郵便局などでの窓口納付に加えて、口座振替やコンビニ納付などが選択できます。
【ポイント】個人事業税の納付時期
- 基本的には「8月31日まで」と「11月30日まで」の2回で分割納付
- 自治体によっては8月に一括で納付することも可能
- 前年の事業所得が290万円以下なら、基本的に納付が不要
通知が届くタイミング – 住民税と個人事業税
所得税 | 消費税 | 住民税 | 個人事業税 |
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通知なし | 通知なし | 6月頃 | 8月頃 |
住民税と個人事業税に関しては、それぞれ6月と8月に税額の通知書が届きます。自分で税額を計算する必要はなく、通知書に記載された税額を納付すればOKです。なお、納付が不要な場合は、そもそも通知が届きません。
住民税の通知書には、一括払い用の納付書と、分割払い用の納付書(4回分)が入っています。好きな方を選んで納付しましょう。また、個人事業税の通知書には、2回分の納付書が添付されています。それぞれ期限までに納付を行いましょう。