近年、PayPayや楽天ペイなど、スマホ決済アプリで納税できる自治体が増えています。対応状況は自治体によってまちまちですが、対応済みの自治体にお住まいの方は、スマホから手軽に地方税の納付ができます。
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目次
地方税の納付がスマホ決済アプリで可能に
PayPayや楽天ペイを利用した「地方税」の納付方法が導入されています。納付額が30万円までなら、24時間どこからでもスマホから納付が可能です。コンビニへ納付に行く必要すらありません。
利用できるアプリ | PayPay、楽天ペイなど |
---|---|
決済手段 | 請求書支払い (バーコード決済) |
利用時間 | 基本24時間 |
上限金額 | 30万円 (納付書1枚につき) |
決済手数料 | 無料 |
ポイント還元 | 基本的にはない* |
対象税目 | 一部の地方税 (住民税、固定資産税、自動車税など) |
*一部、期間限定のキャンペーンなどで還元が受けられる場合もある
導入がすすんでいる便利な納付方法ですが、対応状況は自治体によって異なります。都市部においても、まだこの納付方法に対応していない自治体があります。また、所得税などの「国税」は、まだこの納付方法に対応していません。
納付には「バーコード付納付書」を利用する
地方税は、納付時期になると自治体から納税通知書と納付書が届きます。このとき、納付額が30万円までの地方税については、バーコード付きの納付書が送られてきます。スマホ決済アプリで、このバーコードを読み取って納付を行うというわけです。
バーコード欄には「コンビニ収納用」や「CVS(Convinience Store)収納用」と印字されていますが、ちゃんと納税者がスマホ決済用にも使えるので気にしなくてOKです。
対象となる税金
対象となる税金は、住民税・固定資産税・自動車税など一部の地方税です。税目ごとの具体的な対応状況は、自治体によって大きく異なります。たとえば東京都23区の場合、以下のような税金をスマホ決済アプリから納付することができます。
スマホ決済アプリから納付できる主な税金(東京都23区)
- 固定資産税
- 都市計画税
- 個人事業税
- 自動車税種別割
- 軽自動車税種別割(一部の区のみ)
- 住民税(一部の区のみ)
- 不動産取得税
そもそも、スマホ決済アプリでの納税については、全国的に統一されていない状況です。自分の地域が対応しているかどうか、事前にチェックしてから利用しましょう。対応状況は、各アプリの公式サイトや自治体のウェブサイトで確認できます。
あるいは、後述の「スマホ決済アプリの納付手順」で説明しているとおり、納付書のバーコードをアプリで読み取れば、アプリ決済可能かどうかが分かるはずです。
メリット① 手数料が無料で納付できる
スマホ決済アプリで税金を納付する場合、決済手数料は無料です。たとえば、クレジットカードで納付すると手数料がかかるので、この点はスマホ決済のほうが有利です。
ポイントを貯めるには工夫が必要
基本的に、スマホ決済で地方税の支払いをしても、ポイントは付与されません(2024年時点)。以前は、支払い額に応じたポイント還元を受けられることも多かったのですが、現在は状況が変わっています。
ただ、決済アプリによっては、残高をチャージする際にポイントが貯まる場合があるので、その仕組みをうまく利用すればポイントを稼げます。たとえば、au PAYや楽天ペイなどが該当します。
一部に税金の納付をポイント付与の対象外としている自治体もあります。自治体のウェブサイトをチェックしておきましょう。
メリット② いつでもどこでも納付できる
スマホ決済アプリなら、スマホとバーコード付きの納付書さえ用意すれば、自宅やオフィスなど好きな場所から24時間納付が可能です。
わざわざ金融機関やコンビニなどへ足を運ぶ必要すらないので、手軽に納付を済ませることができます。24時間対応なので「スーパー行った帰りに払おうと思ってたのに、うっかり忘れてた……」なんてことも防げます。
バーコードには取扱期限が設定されており、この日付を過ぎるとアプリ決済ができなくなるので、余裕を持って納付を済ませましょう。また、システムメンテナンス中はアプリの操作ができません。
スマホ決済アプリの納付手順
事前にチャージなどを済ませておけば、アプリを起動して納付書のバーコードをスキャンするだけです。簡単な操作で納付ができます。普段からスマホ決済を利用している人なら、いつもと同じ要領で操作すれば問題ありません。
納付手順(PayPayの場合)
スマホ決済アプリから納付を済ませた後は、領収印のない納付書が手元に残ることになります。二重払いを防ぐためにも、用事の済んだ納付書は捨てるか、すでに支払ったことをメモしておくとよいでしょう。
領収書が必要な個人事業主はどうしたらいい?
個人事業主の税金には、経費にできるものと経費にできないものがあります。税金を経費計上する場合、原則としては領収書を保管する必要があります。このような事情で紙の領収書が欲しい人は、いまのところは金融機関の窓口やコンビニで納付しておきましょう。
2020年度の税制改正により、アプリ上の決済履歴があれば紙の領収書は不要となりました。ただ、この改正が適用されたのは2020年10月1日以降なので、9月30日以前に支払った分については、従来の原則に従って考えましょう。
なにかデメリットはある?
スマホ決済アプリから税金を納付するにあたって、大したデメリットはありません。クレジットカード納付のように、納付額に応じてたくさん手数料がかかるということもないです。
スマホ決済アプリによる納付の主なデメリット
- 領収証書が発行されない
- 納税証明書の発行に時間がかかる
- 一度支払いが完了したら取り消しができない
- 30万円を超える税金には対応していない
自動車税・軽自動車税を納付する人は、場合によっては注意が必要です。
自動車税・軽自動車税の納付が必要な人のうち、直後に車検を控えていてすぐに車検用の納税証明書が必要な場合は、金融機関の窓口やコンビニなどから納付をしましょう。スマホ決済アプリから納付を行った場合、車検時に必要な納税証明書がその場で発行されません。
なお、一度完了した支払いを取り消すことはできないのですが、誤って多く納めてしまった場合に、納めすぎた分を後日還付してもらうことは可能です(ただし、ほかに未払いの税金がある場合は、そちらに充当されます)。
まとめ
対応のスマホ決済アプリを利用すれば、自宅などから手軽に地方税を納付することができます。24時間いつでも利用できる上に手数料も無料なので、おすすめの納付方法です。
24時間利用できる納付方法には、このほかにも「コンビニ納付」や「クレジットカード納付」などがあります。これらと比較してみても、スマホ決済アプリによる納付はお得なことがわかります。
スマホ決済アプリ | コンビニ納付 | クレジットカード | |
---|---|---|---|
決済手段 | バーコード決済 | 基本、現金 | カード決済 |
利用時間 | 24時間 | 24時間 | 24時間 |
納付場所 | 自宅など (スマホ・タブレットより) |
コンビニのレジ | 自宅など (PC・スマホ・タブレットより) |
手数料 | 無料 | 無料 | 有料 |
ポイント | 還元なし | 還元なし | 還元あり |
上限金額 | 30万円まで | 30万円まで | 100万円未満 |
スマホ決済アプリによる納付は、税目ごとの対応状況が自治体によって大きく異なる点に注意が必要です。とはいえ、スマホひとつでいつでもどこでも納付ができる便利な納付方法なので、お住まいの地域が対応している人はぜひ活用してみましょう。