売上と一緒に預かった消費税は、本来なら「消費税の確定申告」により申告や納付が必要です。ただ、個人事業くらいの規模であれば、納付が免除されるケースも多いです。このように、消費税の納付が免除される事業者のことを「免税事業者」といいます。
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目次
消費税の免税事業者とは?
消費税の納付を免除されている事業者を「免税事業者」、義務付けられている事業者を「課税事業者」といいます。消費税は顧客が負担しますが、それを預かって納付する義務は事業者にあります。免税事業者であれば、その納付義務が免除されるわけです。
免税事業者 | 課税事業者 |
---|---|
顧客から預かった消費税は、税務署に納付せず自分の取り分にしてよい | 「消費税の確定申告」を行い、消費税を税務署に納付しなくてはならない |
個人事業主の場合、開業から2年目までは基本的に「免税事業者」でいられます。開業3年目以降は、前々年の課税売上高が1,000万円を超えていれば「課税事業者」として扱われます(詳細は後述)。
※ただし、特定期間の課税売上高、もしくはその期間に支払った給与等が1,000万円以下の場合
「課税売上高」とは、消費税の課税対象になる取引によって得た売上金額のことです(大抵の取引は課税対象になる)。
免税事業者も消費税を請求してOK
免税事業者であっても、顧客や取引先に消費税を請求して問題ありません。ただ納付は必要ないので、取引先などから預かった消費税はそのまま取り分にすることができます(益税)。
免税事業者の要件
以下の要件①②をどちらも満たす個人事業主は、免税事業者と判定されます。
- 基準期間(= 前々年)の課税売上高が1,000万円以下である
- 特定期間(= 前年1月1日~6月30日)の課税売上高、もしくはその期間に支払った給与・賞与・手当などが1,000万円以下である
これらをわかりやすく整理したのが、以下のフローチャートです。
特定期間中に「課税売上高」と「支払った給与など」が両方とも1,000万円超えた場合は、開業2年目であっても課税事業者になってしまいます。とはいえ、個人事業主でこれに該当するケースは少ないので、基本的には前々年の課税売上高で判定すればOKです。
任意で課税事業者になることも可能
免税事業者の要件①②を両方満たしていても、みずから税務署へ届け出をすることで、課税事業者になることもできます。ざっくりいうと、事業が赤字の場合などは課税事業者のほうが得をします。ただしこの場合、課税事業者になってから2年間は免税事業者に戻ることができないので注意しましょう。
売上と一緒に預かった消費税よりも、経費などで支払った消費税のほうが多くなる場合、消費税の還付申告をすることで払いすぎた消費税が戻ってくるのです。免税事業者は、この還付申告をできません。
免税事業者と課税事業者の違い
基本的に「前々年の課税売上高が1,000万円以下」なら免税事業者でいられます。免税事業者のうちは、消費税を納付しなくてよいので、預かった消費税を自分の取り分にできます。免税事業者は、消費税の申告などをする必要もありません。
免税事業者 | 課税事業者 | |
---|---|---|
消費税申告の必要性 | なし | あり |
消費税の納付義務 | なし | あり |
顧客・取引先などから 受け取った消費税 |
自分の取り分にできる | 納付しなくてはならない |
大抵は免税事業者のままでいるほうが得なので、先述のようにあえて課税事業者になる必要はありません。
しかし2023年以降は、あえて課税事業者になったほうがよい場合もあります。新たに「インボイス制度」が導入される関係で、免税事業者は他の課税事業者から取引を敬遠される可能性があるからです。