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【2022年度】税制改正大綱のポイント解説

更新日: 2022/05/09 投稿日: 2022/01/06
【2022年度】税制改正大綱のポイント解説
2022年(令和4年)3月22日、所得税などの改正が行われました(3/31公布)。主な改正内容は、本記事で紹介している通りとなりました。
2022年度(令和4年度)の税制改正 – 個人事業主向けの要点

INDEX

目次

    主な改正内容 – 個人事業主向け

    毎年の税制改正は、与党が決める「税制改正大綱(たいこう)」に沿って行われます。最終的な改正内容は、翌年の3月末に公布されるのが通例です(施行は概ね4月~)。

    例年行われる税制改正の大まかなスケジュール

    2021年12月24日に「2022年度(令和4年度)税制改正大綱」が閣議決定されました。個人事業主に影響がありそうなものをピックアップして、わかりやすく解説します。

    2022年度の主な税制改正 – 個人事業主に影響しそうなもの

    電子帳簿保存 領収書等の電子保存について
    データで保存しなくても大目に見てもらえる
    2022年1月~
    インボイス制度 適格請求書の発行について
    登録した日から適格請求書を発行できる
    2023年10月~

    本記事では、上記2つの改正内容を中心に解説します。このほか「住宅ローン控除率の引き下げ」なども話題になっています(記事後半で簡単に紹介)。

    「電子取引データの保存義務に関する経過措置」

    • 領収書のPDFなどを“ネットでやり取り”することを「電子取引」という
    • 2022年1月以降、原則としてこれをデータのまま保存する必要がある
    • ただし2023年12月末までは、経過措置が設けられることに(条件あり)

    2022年1月をもって電子取引のデータ保存が義務化されましたが、やむを得ない事情データ保存ができない事業者のために、下図のように「経過措置」が設けられました。簡単にいうと「紙にプリントアウトする」などの方法が容認されます。

    電子取引データに関する経過措置とは?

    電子取引の電子保存(義務化延期の経過措置)

    経過措置に関する詳細は、以下の記事でわかりやすく解説しています。よくある疑問などもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
    【電子取引】電子保存の義務化が2年間猶予される!?

    「消費税のインボイス制度に関する微修正」

    • 消費税のインボイス制度で、手続き面での微修正が行われる
    • 登録したその日から「適格請求書(=インボイス)」を発行できる仕組みに
    • インボイス制度の骨子は変更なし(免税事業者にとって不利な制度のまま)

    現行法では、免税事業者が登録を受けた場合、適格請求書を発行できるのは原則として翌年以降となります。ただし「2023年10月1日~2023年12月31日」に登録を受けた場合は、登録日から直ちに適格請求書を発行できます。

    一方、改正大綱では、免税事業者が「2023年10月1日~2029年12月31日」に登録を受けた場合、登録日から直ちに適格請求書を発行できるよう修正されています。

    なお、免税事業者が登録を行うと、その日以降は課税事業者として消費税の申告納付義務が生じることとなります。このように、制度の大枠には変更ありませんのでご注意ください。
    5分でわかるインボイス制度

    【参考】その他の改正内容

    以下の改正は、関係ない個人事業主も多いと思われますが、該当者にとっては重要度が高いものです。参考までに、簡単に紹介しておきます。

    住宅ローン控除率が1%から0.7%に縮小されるなど 2022年~
    地方税の手続き全般がネットでできるように(eLTAX) 2022年4月~順次
    原則、貸付用に取得した資産は少額減価償却資産等の対象外に 期日未定
    株の配当などで、所得税と住民税の課税方式を一致させる 2024年分~
    修正申告更正の請求に関する書類の簡素化 2023年~
    隠蔽仮装行為や無申告について、経費は原則認めないなど 2023年分~
    記帳義務を怠った場合、その程度に応じて加算税が増えるなど 2024年~

    上記のほか、今回の閣議決定には反映されませんでしたが、与党案では「贈与税の110万円控除の見直し(暦年贈与)」や「一人会社などの給与所得控除の見直し」なども検討事項として挙げられていました。これらは、来年度以降の注目ポイントになるでしょう。

    まとめ

    税制改正が行われても、実際に適用されるのは数年後となる場合もあります。そこで、過去の税制改正も含めて、2022年(令和4年)から適用される主な改正をまとめておきます。

    すでに改正が決まっているもの

    2018年度~2019年度の税制改正 適用開始時期
    なし
    2020年度の税制改正 適用開始時期
    • 2022年1月1日~
    • 2022年1月1日~
    • 2022年1月1日~
    2021年度の税制改正 適用開始時期
    • 2022年1月1日~
    • 2022年1月1日~
    • 2022年12月頃~
    • 2022年1月1日~
    • 2022年1月1日~

    今回改正されるもの(予定)

    2022年度の税制改正大綱 適用開始時期
    • 電子取引データの保存義務に関する経過措置
    • 住宅ローン控除率の縮小など
    • 地方税の手続き全般(eLTAXの利便性UP)
    • 2022年1月1日~
    • 2022年~
    • 2022年4月~順次

    上記のうち、とくに「電子帳簿保存制度の要件緩和」が重要です。2022年1月以降、対応のクラウド会計ソフトなどで帳簿を作成していれば、帳簿に関しては、紙での保存が基本不要になります。

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