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個人事業主が納める主な税金と社会保険まとめ

更新日: 2024/04/26
個人事業主が納める主な税金と社会保険まとめ

個人事業主は、主に「所得税・消費税・住民税・個人事業税」の4つの税金を納め、「国民年金」と「国民健康保険」の2つの社会保険に加入します。中には条件によって免除されるものもあるため、自分に必要な手続きを把握しておく必要があります。

INDEX

目次

    「4つの税金」と「2つの社会保険」

    個人事業主が納める4つの税金

    個人事業主が納める税金は、主に以下の4つです。事業内容や利益の状況によっては、納付が不要になるものもあります。

    納付義務の目安
    所得税 年間の収入から必要経費などを差し引いた金額が48万円を超えたら
    消費税 前々年の課税売上高が1,000万円を超えたら
    住民税 年間の所得が43万円程度を超えたら
    個人事業税 年間の収入から必要経費などを差し引いた金額が290万円を超えたら

    個人事業主が加入する2つの社会保険

    個人事業主が加入する社会保険は、主に以下の2つです。一部の例外を除いて、ほとんどの事業主はこれらの両方に加入し、保険料を支払う必要があります。

    加入の目安
    国民年金 20歳以上60歳未満の全員が加入する
    国民健康保険 他の公的医療保険に加入する場合を除き、ほとんどの事業主が加入する

    >> 個人事業主の社会保険について詳しく

    納付する金額の多くは「確定申告」で決まる

    確定申告」とは、1年間の損益を集計し、納める税金などの額を申告する手続きのこと。個人事業主が納付する税金や保険料の多くは、この「確定申告」をもとに決まります。原則として毎年2月16日~3月15日に、税務署などへ書類を提出する形で行います。

    所得税 – 事業の利益に応じて納める税金

    「所得税」とは、事業などで得た利益に対してかかる税金のこと。所得税の税額は、収入から必要経費などを差し引いた「課税所得」に、税率をかけて計算します。そのため、収入金額が大きいほど、所得税は高くなります。

    所得税は、収入から必要経費などを引いた「課税所得」に税率をかけて計算する

    所得税の納付金額は確定申告で決定する

    所得税は、1年間の総収入から「必要経費」や「所得控除」などを差し引いた「課税所得」に対してかかります。確定申告の際に「課税所得」を集計し、そこに税率をかけて所得税の納付金額を算出するのです。税率は課税所得の金額によって、以下のように異なります。

    課税所得の金額 所得税率
    195万円以下 5%
    195万円超 330万円以下 10%
    330万円超 695万円以下 20%
    695万円超 900万円以下 23%
    900万円超 1,800万円以下 33%
    1,800万円超 4,000万円以下 40%
    4,000万円超 45%

    所得税の納付期限は原則3月15日まで

    確定申告で所得税額が決定したら、原則として3月15日までに税務署や銀行などで納付をします。口座からの振替納税などを選択することも可能です。
    >> 個人事業主の所得税 – 計算例や納付方法など

    消費税 – 売上が1,000万円を超えたら納める税金

    商品やサービスを提供する際には、ほとんどの場合「消費税」がかかります。事業主は顧客から消費税を受け取り、そこから必要な分を納付しなくてはなりません。しかし、開業してから2年間は納付を免除され、その後も条件を満たせば納付は不要です。

    前々年の売上が1,000万円超なら納付が必要

    前々年の課税売上高が1,000万円を超える事業主は、消費税の納付が義務になります。例えば、2022年の売上が1,000万円を超えたら、2024年分から納付が必要です。なお、開業から2年間は前々年の売上がゼロになるため、納付が免除されます。

    ただし、前々年の売上が1,000万円以下でも、「前年の1月~6月」の売上と、その間に支払った給与が両方とも1,000万円を超える場合は、消費税の納付が必要になります。

    1年目 基本的に納付は不要
    2年目 基本的に納付は不要
    3年目以降 前々年の売上が1,000万円を超えたら納付が必要

    ちなみに、消費税の納付を免除されている場合でも、顧客から消費税を含む金額を受け取ることはできます。消費税分も事業主の収入となるわけですが、法律上の問題はありません。

    「受け取った消費税」と「支払った消費税」の差額を納める

    消費税の納税金額を求める際には、様々な計算方法があります。基本的な考え方は、顧客から「受け取った消費税」と、仕入れなどの際に「支払った消費税」の差額を納めるということ。売上と一緒に受け取った消費税を、すべて納めるというわけではありません。

    納める消費税の基本的な計算式

    消費税の納付期限は原則3月31日まで

    消費税の納付は、所得税の確定申告とは別の書類を作成し、毎年3月31日までに税務署や銀行などで行います。なお、納税が免除されている場合は、そもそも申告が不要になります。
    >> 個人事業の消費税を分かりやすく!消費税の基礎知識

    住民税 – それぞれの住所地に納める税金

    住民税とは、「都道府県民税」や「市町村民税」などを合わせた税金の総称です。確定申告を済ませていれば6月に税額の通知書が届くので、記載された2つの合計金額を「一括」か「分割」のどちらか好きな方法で納付します。

    住民税の額は「均等割 + 所得割」で決まる

    住民税の額は、全員が一律で納める「均等割」に、個人の所得金額に応じた「所得割」を加えて算出されます。「均等割」の合計額は自治体ごとに異なりますが、年間でおおよそ4,000〜5,000円程度。東京都の均等割は、森林環境税と併せて合計5,000円となっています。

    「所得割」は、個人の課税所得に税率をかけて算出されます。税率は、一部を除いたほとんどの地域で合計10%となっています。

    住民税は均等割+所得割で決まる

    一括納付なら6月、分割なら6月・8月・11月・翌1月の4回

    原則として住民税の納付期限は、「一括」で納付する場合は6月30日、「分割」の場合はそれぞれ6月・8月・11月・翌1月の末日となります。なお、どちらを選択しても納付する金額は変わりません。
    >> 個人事業主の住民税 – 計算方法・納付時期・仕訳など

    個人事業税 – 事業所得が290万円を超えたら納める税金

    「個人事業税」の対象事業を営む事業主は、その納付が必要です。対象となる業種は70種類におよび、ほとんどの事業が該当します。確定申告を済ませていれば8月に納税通知書が届くので、8月と11月の2回に分けて納付します。

    個人事業税の税率は「業種」と「地域」によって異なり、3~5%で設定されています。以下の表は、東京都が定める個人事業税率の例です。

    主な業種 個人事業税率
    • 物品販売業
    • 飲食店業、料理店業
    • 製造業
    • 運送業
    5%
    • 畜産業
    • 水産業
    4%
    • あんま、マッサージ、指圧などの医業
    3%

    事業所得が290万円以下の場合は納付が不要

    個人事業税の場合、すべての事業主に一律で290万円の控除が適用されます。そのため、そもそも事業所得(青色申告特別控除の適用前)が290万円以下の事業主は納付が不要です。ただし、開業年などで事業の期間が1年に満たない場合は、控除額も少なくなるので注意しましょう。

    8月・11月の2回で分割納付が基本

    個人事業税の納税通知書は、8月に2回の納付分がまとめて届きます。それぞれ、8月末日と11月末日までに、銀行などで納付しましょう。なお、地域によっては、一括納付を選択できる場合もあります。
    >> 個人事業税とは?税率・納付時期・具体的な計算例など

    国民年金 – 個人事業主が必ず加入する年金制度

    「国民年金」とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する、公的な年金制度のこと。国民年金に加入して保険料を納めることで、老後の年金などが受け取れます。個人事業主になる際には、改めて加入手続きをする必要があります。

    国民年金 個人事業主と年金機構の納付と給付のイメージ

    脱サラしたら14日以内に手続きが必要

    脱サラして個人事業主となる際は、改めて国民年金に加入手続きをする必要があります。離職の翌日から原則14日以内に、市区町村の役場で手続きをしましょう。なお、国民年金には「扶養」という制度が無いため、事業主の配偶者なども同時に手続きが必要です。

    国民年金の保険料は月々およそ17,000円

    国民年金の保険料は、年度ごとに定められた一律の金額で、2024年度は月々16,980円となっています。納付方法は、口座振替や納付書を使った払込みなどから選択が可能。まとめて前払いすることで、若干の割引を受けることもできます。
    >> 国民年金 – 個人事業主が加入する年金制度

    国民健康保険 – 個人事業主のほとんどが加入する医療保険

    「国民健康保険(国保)」とは、個人事業主などを対象とする公的な医療保険のこと。国保に加入していれば、ケガや病気の治療費などの一部を給付金でまかなうことができます。公的な医療保険は他にもありますが、ほとんどの個人事業主が国保に加入しています。

    国民健康保険 個人事業主と地方自治体の納付と給付のイメージ

    14日以内に市区町村役場で手続きをする

    「国民年金」と同じく、脱サラしたら、離職の翌日から原則14日以内に市区町村の役場で加入手続きをする必要があります。なお、国保にも「扶養」という制度は無いため、事業主の家族も同時に加入手続きを行いましょう。

    国保の保険料は前年の所得に応じて決まる

    国保の保険料の算出方法は自治体によって異なりますが、基本的には前年の所得に応じて決まります。一世帯分の納付書が世帯主のもとに届くので、自治体が指定する方法で納付を行いましょう。多くの場合、6月~翌3月までの10回分割で一年分を納付します。

    以下の表は、千葉県松戸市が公開している保険料の早見表から抜粋したものです。保険料は自治体によって大きく異なる場合もありますが、おおよその参考にしてください。

    前年の総所得 39歳以下の年間保険料 40~64歳の年間保険料
    100万円 108,880円 132,560円
    200万円 206,480円 246,260円
    300万円 304,080円 359,960円
    400万円 401,680円 473,660円
    500万円 499,280円 587,360円

    参考: 国民健康保険料早見表 – 松戸市

    まとめ – 個人事業主の主な税金と社会保険

    個人事業主が納める主な税金

    個人事業主が納める主な税金は、以下の4つです。それぞれ納付の手続きや期限が異なります。選択する納付方法などによって、納付期限が変化する場合もあります。

    納税義務の目安 原則的な納付期限日
    所得税 所得が48万円を超えたら 3月15日
    消費税 売上が1,000万円を超えたら 3月31日
    住民税 所得が43万円程度を超えたら
    • 一括の場合は6月30日
    • 分割の場合は6,8,11,翌1月の末日
    個人事業税 事業所得が290万円を超えたら 8月31日と11月30日の2回

    「所得税」と「消費税」は、事業主が自分で納付金額を計算し、申告・納付をしなくてはなりません。なお消費税に関しては、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、基本的に納付が免除されます。

    「住民税」と「個人事業税」は、所得税の確定申告を済ませていれば、納付の通知書が届きます。納付金額を計算する必要はなく、記載された金額をそのまま納めればOKです。なお個人事業税に関しては、事業所得(青色申告特別控除の適用前)が290万円以下なら、納付が不要になります。

    個人事業主が加入する主な社会保険

    個人事業主が加入する主な社会保険は、以下の2つです。脱サラして個人事業主になる場合などは、どちらも加入手続きが必要になります。

    加入の目安 保険料の納付サイクル
    国民年金 すべての事業主 毎月末日までに前月分を納付
    (まとめて前払いも可能)
    国民健康保険 ほぼすべての事業主 納付書が届いてから10回程度で分割納付

    「国民年金」は、20歳以上60歳未満のすべての国民が必ず加入します。脱サラした場合にも、改めて加入手続きを行う必要があるので、注意しましょう。

    「国民健康保険」は、ほとんどの個人事業主が加入している医療保険です。公的医療保険には、他にも少しだけ選択肢がありますが、よく分からなければ、とりあえずこれに加入しておけば問題ありません。

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