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税務調査が本格化?ウーバーイーツ配達員の確定申告が必要なケースと申告方法を解説

更新日: 2024/05/28 投稿日: 2021/07/24
税務調査が本格化?ウーバーイーツ配達員の確定申告が必要なケースと申告方法を解説
  • 東京国税局がウーバージャパンに、配達員の報酬額などの情報提供を求めた
  • 今後は、配達員がキチンと納税しているか厳しく調査されるかも
  • 確定申告をうっかり忘れていないか確認しておこう

INDEX

目次

    ウーバーイーツ配達員の確定申告は必要?

    ウーバーイーツの配達員は、一般的なアルバイトとは異なり、基本的には確定申告をしないといけません。確定申告とは、簡単にいうと「〇〇円儲かったので、△△円の所得税を納めます」と税務署に申告する手続きです。

    国税局の税務調査が本格化

    近年、国税庁はウーバーイーツ配達員への税務調査を強化しています。「売上が少ないからバレないだろう」などと安易に考えるのは危険です。無申告が発覚すると、本来納めるべき税額に加え、原則として加算税や延滞税のペナルティを受けます。

    引用

    インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。

    所得税及び消費税調査等の状況 ‐ 国税庁

    以前、東京国税局が「Uber Japan株式会社」に情報提供を求めた、というニュースも話題になりました。その際は、ウーバーイーツ配達パートナーの「氏名・銀行口座・報酬」などの情報が、国税局に提供されたようです。

    ウーバーイーツ配達員の情報が国税局に提供される

    国税局のこうした動きには「配達員の皆さんがキチンと確定申告をしてるかチェックしてますよ」という姿勢が表れています。売上はすべて把握されているものと考え、申告をうっかり忘れている年がないか、改めて確認しておきましょう。

    ウーバーイーツ配達員で確定申告が必要になるケース

    結論から言うと、ウーバーイーツで売上が発生していれば、確定申告をしておくのが無難です。とくに、以下のように年間の所得が一定額を超えたら、確定申告の義務が生じます。その場合は必ず申告しましょう。

    確定申告義務の目安

    給与所得がある人
    (会社員やアルバイト)
    給与所得がない人
    (個人事業主など)
    給与以外の所得が20万円を超えたら
    確定申告の義務が生じる
    所得が「所得控除」の額を超えたら
    確定申告の義務が生じる

    ここで言う「所得」は、ひとまず「年間の収入 - 必要経費」の金額と考えましょう。必要経費とは、ざっくり言うと「事業に必要な支出」のことです。たとえば、ウーバーイーツ用に自転車やヘルメットを購入したら、その費用を「必要経費」として収入(報酬)から差し引けます。

    確定申告の義務がない場合はしなくてOK?

    確定申告の義務がなくても、ウーバーイーツで稼いでいるなら確定申告はしたほうがよいです。確定申告は所得税の手続きですが、住民税の申告も兼ねており、国民健康保険料の決定などにも影響します。確定申告をしないと、これらの手続きで問題が生じる恐れがあるからです。

    ① 副業でウーバーイーツ配達員を行う場合

    • 副業でウーバーイーツの配達をしている会社員
    • バイトやパートに加えて、ウーバーイーツの配達もしている学生・主婦など

    こちらには、会社勤めやアルバイトで「給料」をもらいながら、掛け持ちで配達パートナーをしている人が該当します。この場合は、目安として「ウーバーイーツの報酬 - 配達業務の必要経費」の金額が20万円を超えたら必ず確定申告をしましょう。

    会社員やアルバイトなどの「給与所得者」は、下図の所得の合計が20万円を超えたら確定申告が義務になるからです。(複数の副業をしている場合は、それらの収入も含めて考える)

    何が20万円超か - 副業収入が「給与所得」以外の場合

    >> 所得は全部で10種類【一覧表】

    ちょっとした副業としてウーバーイーツの配達員をしている場合、その報酬は基本的に「雑所得」に該当します。会社の給料とウーバーイーツの報酬しか収入がないなら、この「雑所得」が20万円を超えるかだけ考えればOKです。

    給与所得者の確定申告義務について【詳しい解説】

    【補足】確定申告をしたら会社に副業がバレる?

    結論から言うと、住民税の納付方法を「普通徴収」に切り替えれば、確定申告をしても会社にはバレないと考えてOKです。住民税の納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類です。会社員の場合は特別徴収が基本となっていますが、確定申告書の第二表で変更できます。

    特別徴収 普通徴収
    会社の給料から住民税が天引きされる
    →勤務先に住民税額を知られる
    会社を介さず、自分で住民税を納付する
    →勤務先に住民税額を知られない

    副業でたくさん稼いだら、そのぶん住民税も高額になります。特別徴収のままだと、その税額を勤務先に把握されてしまい、副業を疑われる恐れがあります。副業バレが嫌なら「普通徴収(自分で納付)」に変更しておきましょう。

    ②専業でウーバーイーツ配達員を行う場合

    • ウーバーイーツだけで生計を立てている個人事業主
    • 事業のかたわら、ウーバーイーツでも収入を得ている個人事業主
    • バイトやパートの代わりにウーバーイーツの配達をしている学生・主婦など

    ※いずれも給与所得を得ていない場合に限る

    この場合、10種類の所得の合計額が「所得控除」を超えたら、確定申告の義務が生じます。「所得控除」には、社会保険料控除・配偶者控除・医療費控除・勤労学生控除などの種類があり、人によって受けられるものが異なります。

    個人事業主の確定申告義務【基本的な考え方】
    • 「所得 ≦ 所得控除」の場合……確定申告の義務はない
    • 「所得 > 所得控除」の場合……確定申告の義務がある

    所得控除には、控除額48万円の「基礎控除」も含まれています(一部の高所得者を除く)。したがって、そもそも所得が48万円以下なら、確定申告の義務は生じません。

    確定申告義務の目安(所得48万円以下は義務なし)

    所得が48万円を超えても、必ず確定申告が義務になるとは限りません。ほとんどの人は、基礎控除の他にも何らかの所得控除を受けられるためです。たとえば、国民年金や国民健康保険料を納めていれば「社会保険料控除」を適用できます。

    個人事業主の確定申告義務について【初心者向けの解説】

    【青色申告と白色申告の違い】ウーバーイーツ配達員はどちらがおすすめ?

    ウーバーイーツで稼ぐ個人事業主は、事前に「白色申告」と「青色申告」のどちらで確定申告するか決めておきましょう。青色申告には節税につながる様々なメリットがあり、これといってデメリットもないので、基本的には青色申告をおすすめします。

    白色申告と青色申告の違い

    白色申告 青色申告
    概要 ベーシックな申告方式
    (最低限の記帳でOK)
    模範的な申告方式
    (高度な記帳が求められる)
    税制優遇 なし 複数あり
    事前申請 不要 最初の年だけ必要
    ※申請期限あり

    「青色申告は面倒くさそう」と思うかもしれませんが、ウーバーイーツのような業態であれば、白色申告と青色申告で難易度に大差はありません。製造業や小売業などの業種と比較すれば、記帳内容などはかなりシンプルな部類です。初心者でもわりと簡単に青色申告できます。

    青色申告の主なメリット

    • 最大65万円の青色申告特別控除が適用される
    • 少額減価償却資産の特例が受けられる
    • 最長3年にわたって赤字を繰り越せる
    • 専従者に対する給与を経費にできる
    • 申請を出せば現金主義での記帳が可能
    • 一括評価による貸倒引当金の特例が適用

    上記のなかでも、最大の目玉は「青色申告特別控除」です。要件を満たせば、以下のように毎年65万円が控除されます。経費として実際に支出したわけではないのに、経費と同じように収入から差し引いてOKという破格の特典です。

    青色申告特別控除を受ける場合の事業所得の計算方法

    わかりやすくするために、単純なシミュレーションをしてみましょう。課税される所得が、ちょうど100万円だったとします。この場合、65万円の青色申告特別控除を受けることで、税額が以下のように変わります。

    65万円控除なし 65万円控除あり
    課税される所得 100万円 100万円 − 65万円
    =35万円
    税率
    (所得税+住民税)
    15% 15%
    税額 100万円 × 15%
    =15万円
    35万円 × 15%
    = 5万2,500円

    9万7,500円の節税効果!

    ※ わかりやすくするため一部概算しており、実際の税額とは異なります。

    上記の計算では、65万円の特別控除を受けることで、約9万円も税金が安くなっています。もっと税率が高い事業主なら、さらに節税効果がアップします。毎年これだけ節税できれば、それだけでもかなりのメリットです。ぜひ青色申告に挑戦してみましょう。

    ウーバーイーツ配達員が経費にできるもの

    個人事業主の帳簿付け・確定申告では、必要経費をもれなく計上することが重要です。これを怠ると、余計な税金を取られることに繋がります。「経費になるもの・ならないもの」をしっかり見極めましょう。

    ウーバーイーツ配達員が経費にできるもの(主な例)

    • 自転車やバイクの購入費用や駐輪場代
    • 車両のレンタル費用(シェアサイクルなど)
    • 車両のメンテナンス費用やガソリン代
    • 配達エリアまでの交通費
    • 備品の購入費用(スマホホルダー、ヘルメット、防寒具など)
    • スマホの通信料
    • 車両保険の費用

    ウーバーイーツの配達員をする上で必要な費用は、基本的に経費にできます。一方、昼食代などのように、配達をしなくても生活にかかるお金は経費にできません。

    10万円以上の備品は「減価償却」をする

    10万円以上の備品などを購入したときは、経費ではなく、いったん資産に計上しないといけません。その後、「減価償却(げんかしょうきゃく)」という方法で、数年かけて少しずつ経費にしていきます。

    たとえば、ウーバーイーツ専用に36万円のバイクを購入したとします。新車のバイクは、3年で減価償却すると法令で決まっています(法定耐用年数)。「36万円 ÷ 3年 = 12万円」なので、毎年12万円ずつ経費にできる計算です(月割では月1万円)。

    業務以外にも使うものは「家事按分」をする

    自転車・バイク・スマホなど、業務以外でも使用するものを経費にするには「家事按分(かじあんぶん)」が必要です。ビジネス用の割合を明らかにして、その部分だけ経費にできます。割合は、合理的な基準(時間・面積・距離など)により、自分で決めます。

    たとえば、平均稼働時間が1日4時間だとします。スマホをプライベート込みで1日16時間ほど活用した場合、ビジネスで使う割合は「4時間 ÷ 16時間 = 25%」です。スマホの年間使用料が4万円なら「4万円 × 25% = 1万円」が経費になりえます。

    ウーバーイーツ配達員の確定申告の方法・流れ

    ウーバーイーツ配達員の確定申告の流れ
    当年1月1日〜12月31日の帳簿をもとに、翌年2月16日〜3月15日(土日祝なら翌平日)に確定申告・納税を行います。確定申告書類は、会計ソフトを活用すれば大部分を自動で作成できますし、オンラインで簡単に提出できます。

    確定申告が終わった後も、帳簿やレシートなどの書類は、最大7年保存する必要があります。なかには5年保存でよい書類もありますが、いちいち区別して管理するのは大変なので、すべて7年保存しておくのがおすすめです。

    確定申告の流れをわかりやすく

    確定申告を忘れたらどうなる?

    確定申告期限は翌年3月15日(土日祝なら翌平日)ですが、これを過ぎていても申告は可能です。申告の手順は、通常の確定申告とほとんど変わりません。

    期限後申告の流れ

    • 確定申告書類を作成する
    • 申告書類を税務署に提出する
    • 申告書で算出した税額を納付する
    • 必要に応じて、延滞税や無申告加算税を納める

    期限後申告だと「延滞税」や「無申告加算税」などのペナルティを課される場合があります。もともとの納税額が少なければ大きな金額にはなりませんが、「ウーバーでけっこう儲かってたんだよなぁ」という人は、早めに申告を済ませましょう。

    ウーバーイーツ配達員の記帳や確定申告には会計ソフトがおすすめ

    帳簿付けや確定申告をしたことがない初心者には、会計ソフトの導入をおすすめします。会計ソフトがあれば、わざわざ自分で帳簿のフォーマットを用意する必要がなく、帳簿の集計や申告書への転記もソフトが自動でやってくれます。

    ウーバーイーツ配達員におすすめの会計ソフト

    弥生 freee マネーフォワード
    ホーム
    画面
    やよいの青色申告 オンライン トップページ freee トップページ画面 マネーフォワード 確定申告 トップページ画面
    料金
    (税込)
    【白色申告】
    フリープラン
    0円
    ベーシックプラン
    12,650円/年
    トータルプラン
    23,100円/年
    スターター
    1,628円/月
    12,936円/年


    スタンダード
    2,948円/月
    26,136円/年


    プレミアム
    43,780円/年
    パーソナルミニ
    1,408円/月
    11,880円/年


    パーソナル
    1,848円/月
    16,896円/年


    パーソナルプラス
    39,336円/年
    【青色申告】
    セルフプラン
    11,330円/年
    ベーシックプラン
    18,975円/年
    トータルプラン
    33,000円/年
    帳簿づけ
    自動仕訳
    申告書類の作成
    電子申告
    (e-Tax)
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    まとめ

    ウーバーイーツで稼いでいる人は、基本的に確定申告が必要です。国税庁は、ウーバーイーツなどの新分野への税務調査を、ここ数年で強化しています。Uber社からの情報提供もあるので、売上などの情報はすべて把握されていると思ったほうがよいです。

    「弥生・freee・マネーフォワード」のクラウド会計ソフトなら、簡単に帳簿付け・確定申告ができます。最大65万円の青色申告特別控除を利用した節税もしやすいです。この節税分だけで、会計ソフトの利用料は大抵ペイできるでしょう。

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