個人事業主・法人向けに、「日本ICS」の会計ソフトについて解説します。結論から言うと、ICSのソフトは事業規模が大きめの企業に適しています。
記事の後半では、人気の会計ソフト「弥生会計 Next」との比較表も掲載しています。小規模~中規模の企業は、料金と機能のバランスに優れた弥生のソフトもあわせて検討してみましょう。
目次
日本ICSとは?会計ソフトは3種類
日本ICSは、創業50年を超える老舗企業です。一般企業や会計事務所向けに、以下のような会計ソフトを提供しています。ただ、どれも詳しい料金は公開されておらず、個別の見積りが必須です。
| ICSATOMII CE | 中小企業〜大企業向け |
|---|---|
| ICSATOMII | 会計事務所向け(一般企業用ではない) |
| 上手くんαシリーズ | ICSに対応している会計事務所と契約中の中小企業向け |
※ それぞれクラウド版とインストール版がある
ゼロから会計ソフトを検討中の方は、基本的に「ICSATOMII CE(アイシーエスアトムツー シーイー)」だけチェックすればOKです。「上手くんαシリーズ」は会計事務所を通じて導入する必要があるので、ウェブサイトなどから直接申し込むことはできません。
▼もっと気軽に導入できる会計ソフトはコチラ▼
>> 個人事業主におすすめの会計ソフト比較一覧表
>> 中小法人におすすめの会計ソフト比較一覧表
ICSATOMII CE【一般企業向け】

「ICSATOMII CE」は、一般企業向けの会計ソフトです。以下のような機能がプログラムとして用意されており、必要なものを個別に選択できます。そのカスタマイズの加減によって料金が変動するので、導入前に見積もりが必要です(料金表などは非公開)。
「ICSATOMII CE」に組み込めるプログラム(主な例)
| 基本パック (一部) |
財務処理db | 個人事業主&法人の帳簿付けや決算ができる 自動仕訳機能もある |
|---|---|---|
| 法人税申告書db | 法人税の申告書を作れる(法人向け) | |
| 確定申告書db | 所得税の確定申告書を作れる(個人事業主向け) | |
| 減価償却db | 償却資産などの固定資産管理ができる | |
| 電子申告システムⅡ | 税務申告書などをオンラインで提出できる | |
| 原票会計S | 電子帳簿保存法に対応できる (スキャナ保存や電子取引データの保存など) |
|
個人事業主や小規模な法人は、インストール版の「基本パック(19,800円/月)」を導入するケースが多いようです。基本パックには、上記のような主要プログラムが一通り組み込まれています(原票会計Sは別料金)。
電話サポートは、ソフトの利用料金に含まれています。いつでも気軽に操作方法などを電話で教えてもらえるので、帳簿付けをしたことがない初心者にとっては嬉しいポイントです。ただし、初期設定やデータ修復などの作業を頼むには別料金がかかります。
ICSATOMII【会計事務所向け】

「ICSATOMII」は、会計事務所向けのソフトです。顧問先との連携などが簡単にできます。一般の企業が利用するソフトではないので、細かな機能などは気にしなくてOKです。
上手くんαシリーズ【会計事務所の顧問先向け】

「上手くんαシリーズ」は、会計事務所を通じてのみ導入できる会計ソフトです。「顧問税理士からオススメされた」という場合は検討してみましょう。
上手くんαシリーズの主なラインナップ
- 経理上手くんα
- 給与上手くんα
- 償却上手くんα
このうち、基本的な経理業務に使うのは「経理上手くんα」です。経理上手くんαには3段階のグレードがあり、それぞれ機能が違います。
「経理上手くんα」のグレードと主な機能
| 経理上手くんα | 経理上手くんα DX |
経理上手くんα ProII |
|---|---|---|
| ・基本の帳簿付け | ・基本の帳簿付け ・分析表などの出力 |
・基本の帳簿付け ・分析表などの出力 ・部門管理 |
料金は会計事務所から提示されるので、一律の料金表などはありません。相場としては、だいたい月額1,000円前後から利用できるケースが多いようです(税理士の顧問料などは除いた金額)。
上記のほか、各種オプションを追加できる場合もあります。請求書などを電子保存できる「電帳法対応オプション」や、銀行口座やクレジットカードの明細をオンラインで取得して帳簿に反映できる「FinTechオプション」などがあります。
ICSにおける「クラウド版」と「インストール版」の違い
前述したICSの会計ソフトには、それぞれ「クラウド版」と「インストール版」が用意されており、好きなほうを選べます。ICSの場合、クラウド版とインストール版には下記のような違いがあります。
| クラウド版 | インストール版 | |
|---|---|---|
| 料金 | 高い | 比較的安い |
| 支払い方法 | 月単位or年単位 (最大で5年契約) |
月単位or年単位 (最大で5年契約) |
| インストール | 不要 | 必須 |
| 対応OS | Windowsのみ | Windowsのみ |
ICSのクラウド版は、ソフト使用料のほかにライセンス料などもかかるので、インストール版より割高です(インストール版の大体2~3倍)。一般的な個人事業主の場合は、割引のある長期契約を結んでも、ざっくり「5万円弱/月~」ほどかかると思っておきましょう。
ICSの会計ソフトは、クラウド版でもインストール版でも、Windowsのパソコンが必要です。クラウド版はMacで動作した例もあるようですが、動作保証はないので、ある日突然動かなくなっても文句は言えません。
Mac対応の会計ソフトを探している方はコチラ【個人事業主向け】
ICSの会計ソフトのメリット
ICSの会計ソフトには、主に以下のようなメリットがあります。費用が高いので、個人事業主や小規模法人には不向きですが、中規模以上の法人企業なら検討してもよいでしょう。
- カスタマイズの自由度が高い
- CSVファイルの作成・取り込みができる
- サポートが充実している
- 長期割引がある
- 専用ハードウェアがある
① カスタマイズの自由度が高い
ICSでは、事前のヒアリングに基づき、事業規模や予算に合わせて、最適なカスタマイズを提案してもらえます。業種別の経理プログラムなども用意されているので、きめ細かな対応が期待できます。非営利法人、医療、建設業にも対応可能です。
② CSVファイルの作成・取り込みができる
帳簿データをCSVとして出力したり、逆にCSVデータを帳簿に取り込んだりできます。会計事務所とのやりとりや、他社ソフトからの乗り換えがスムーズです。エクセルなどを使って、自社独自のフォーマットでデータを集計をしたいときにも役立ちます。
③ サポートが充実している
ICSの会計ソフトでは、電話サポートが追加料金なしで使い放題です。また、ICSが主催する定期講習会にも無料で参加できます。このほか、有償にはなりますが、ソフトのインストール代行やリモートでのメンテナンスサービスなども利用可能です。
④ 長期割引がある
ICSの会計ソフトでは、料金の支払方法を「月単位」と「年単位」から選択できます。年単位で長期契約を結ぶと、年数に応じた割引が受けられます(最長で5年契約)。割引率はプランによっても異なりますが、5年契約でだいたい1割引きくらいです。
⑤ 専用ハードウェアがある
ICSはソフトだけでなく、専用ハードも販売しています(Atlasシリーズ)。同時に複数台で利用する場合などは、専用ハードにより一層の効率化を図れます。普通のWindowsパソコンでも快適に動作しますが、さらに利便性を追求したい場合は検討してみましょう。
ICSの会計ソフトのデメリット
ICSの会計ソフトのデメリットは、主に以下の5つです。総合すると「コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスに難あり」という印象です。とくに、初めて会計ソフトを使う個人事業主や一人会社には不向きでしょう。
- 機能が複雑で使いにくい
- 料金がわかりにくい
- 導入までに時間がかかる
- 販売管理の対応力はいまひとつ
- Macに対応していない
① 機能が複雑で使いにくい
ICSの会計ソフトは多機能ですが、あまり直感的に操作できるインターフェイスではありません。そのため、人によっては習熟までに時間がかかるでしょう。とくに、会計初心者の個人事業主やフリーランスにとっては難しそうです。
② 料金がわかりにくい
ICSの公式サイトやパンフレットには、ソフトの料金表が掲載されていません。「問い合わせ→ヒアリング→見積もり」という流れを経て、ようやく料金が提示されます。事前に予算を立てづらいうえ、料金表がオープンでないため納得感も得にくいです。
③ 導入までに時間がかかる
ICSの会計ソフトは、導入前にヒアリングを受けないといけません。そのため、導入までに少なくとも数日は要します。初期設定についても、自力でできない企業のために有償の代行サービスが用意されているほどですから、それなりに手間がかかると思っておきましょう。
④ 販売管理の対応力はいまひとつ
販売管理ソフトは、ICSの関連会社が提供しています。ICSの会計ソフトと連携可能ですが、全自動ではないので、自分でデータを読み込ませる必要があります。製造業や小売業などで、仕入れや売上の管理をしたい企業にとっては残念なポイントです。
⑤ Macに対応していない
ICSの会計ソフトは、クラウド版もインストール版もMac非対応で、Windowsのパソコンが必要です。ICS専用ハード「Atlasシリーズ」を購入してもよいですが、キーボード配列などが普通のパソコンと異なるので、経理専用マシンとして割り切って使う必要があります。
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弥生会計とICSの比較
「ICS以外のソフトも気になる」という方向けに、ICSと弥生の会計ソフトを比べてみます。弥生は、ICSと並ぶ老舗会計ソフトメーカーです。両社のおすすめソフトを比較表にまとめました。
| やよいの白色申告 オンライン |
やよいの青色申告 オンライン |
弥生会計 Next |
ICSATOMII CE クラウド |
|
|---|---|---|---|---|
| 対象 | 個人事業主 (白色申告) |
個人事業主 (青色申告) |
法人 | 個人事業主 法人 |
| 料金 (税込) |
無料~ | 12,980円/年~ | 38,280円/年~ | 非公開 |
| 対応OS | Windows Mac |
Windows Mac |
Windows Mac |
Windowsのみ |
| 自動仕訳 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 税務申告 | 所得税 消費税 |
所得税 消費税 |
× | 所得税 法人税 消費税 など |
| スマホ アプリ |
仕訳入力 レシートの電子保存 電子申告 |
仕訳入力 レシートの電子保存 電子申告 |
経費精算 レシートの電子保存 |
× |
| 電帳法 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| インボイス制度 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
弥生の会計ソフトの特徴
- 料金が明瞭でリーズナブル
- 便利なスマホアプリが使える
- 個人事業主や中小法人に最適な機能

弥生のクラウド会計ソフトは、個人事業主や中小法人など、規模が比較的小さめの事業に合わせて設計されています。シンプルでわかりやすいインターフェイスなので、会計初心者でもすぐに使い始められます。
個人事業主には弥生の会計ソフトがおすすめ
とくに個人事業主には「やよいの白色申告 オンライン」か「やよいの青色申告 オンライン」がおすすめです。リーズナブルな利用料金で、帳簿付けから確定申告まで完結できます。便利なスマホアプリも追加料金なしで使い放題です。
一方、個人事業主が「ICSATOMII CE クラウド」で帳簿付けや確定申告をするには、最低でも月額5万円弱はかかるはずです。最小のソフト構成を選んでも、使いもしない法人税申告の機能などが付いてくるので、かなりもったいなく感じます。
まとめ – 小規模事業者には弥生がおすすめ!
日本ICSの会計ソフト「ICSATOMII CE」は、様々な機能を自由にカスタマイズして利用します。ソフトの組み合わせ方は、ICSの担当者がヒアリングに基づいて見積書を作成してくれます。たとえば、医療や建設業などに対応したソフトも組み込み可能です。
ICSのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
・カスタマイズの自由度が高い ・CSVの作成・取込ができる ・サポートが充実している ・長期割引がある ・専用ハードウェアがある |
・機能が複雑 ・料金がわかりにくい ・導入までに時間がかかる ・販売管理ソフトがいまいち ・Macに対応していない |
会計業務にあまりお金をかけたくない個人事業主や中小法人にとっては、デメリットのほうが目立ってしまうかもしれません。とくに、弥生のような個人事業主・中小法人向けの他社ソフトに比べると、使い勝手や費用面で見劣りする部分が多いです。
弥生がおすすめなケース
- シンプルで操作しやすい画面が好き
- 一般的な業種を営んでいる(医療や建設業などでない)
- 会計ソフトに高いお金をかけたくない
上記のどれかに当てはまる個人事業主や中小法人には、基本的に弥生の会計ソフトをおすすめします。個人事業主や中小法人が求めるような機能はだいたい備えていますし、インターフェイスもシンプルでわかりやすいです。
弥生の会計ソフトは、個人事業主なら無料から、法人でも月額2,000円強から使えます。ICSよりもかなりリーズナブルです。「安すぎて逆に不安」と思うかもしれませんが、一般的な個人事業主・中小法人向けソフトでは、むしろこのくらいが相場です。




