「会計業務は自力でやるべき?」「税理士に依頼するのもアリ?」と迷っている個人事業主向けに、会計ソフトと税理士のメリット・デメリットを解説します。
目次
会計ソフトと税理士はどっちがいい?
まず前提として、選択肢は「会計ソフト」と「税理士」の2択ではありません。会計ソフトで帳簿付けをしつつ、確定申告だけ税理士に依頼する、という方法もあります。
個人事業主の会計業務のやり方【比較表】
| ぜんぶ ソフトでやる |
確定申告だけ 任せる |
顧問契約を 結ぶ |
ぜんぶ 丸投げする |
|
|---|---|---|---|---|
| 費用相場 (年額) |
ソフト料金 1~3万円 |
ソフト料金 1~3万円 + 税理士費用 8~11万円 |
ソフト料金 1~3万円 + 税理士費用 30~40万円 |
税理士費用 40~50万円 |
| 自分で やること |
帳簿付け 確定申告 |
帳簿付け | 帳簿付け | なし |
| 税理士が やること |
なし | 確定申告 | 確定申告 税務相談 |
帳簿付け 確定申告 税務相談 |
| 税務リスク | 高 | 中 | 低 | 低 |
| 会計の知識 | 必要 | 少し必要 | ほぼ不要 | 不要 |
※ 税務相談とは、帳簿チェックや節税アドバイスなどのこと
費用を抑えたい場合は、帳簿付けも確定申告も会計ソフトでやるのがおすすめです。一方、「お金がかかってもいいから本業に集中したい!」「自力だと申告ミスが心配…」などという場合は、税理士に頼ることを段階的に検討しましょう。
迷っている方は、下記の診断チャートも参考にしてみてください。

すべて自力でやるなら、金銭コストは会計ソフトの料金(年間1~3万円ほど)だけで済みます。一方、税理士を頼る場合は、確定申告代行だけのスポット契約でも10万円程度はかかるのが一般的です。
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会計ソフトでできること
会計ソフトを使えば、会計初心者でも帳簿付けや確定申告にトライできます。昨今の会計ソフトには、下記のような機能が備わっています。
| 帳簿付け | 日付・金額・勘定科目などを入力するだけで、複式簿記の形式で記帳できる |
|---|---|
| 自動仕訳 | クレカや銀行口座と連携しておくと、お金の動きを自動で帳簿に反映できる |
| 確定申告書の作成 | 1年間の記帳内容をもとに、確定申告に必要な書類の大半を自動作成できる |
| 消費税申告書の作成 | 1年間の記帳内容をもとに、消費税申告書の大半を自動作成できる(課税事業者向けの機能) |
| e-Tax(電子申告) | 作成した申告書類をそのままオンラインで提出できる(印刷して提出することも可能) |
| 請求書の作成 | 請求書を作成できるうえ、請求金額や入金状況が自動で帳簿に反映される |
| 分析レポート | 経営に役立つレポートを自動で生成してくれる(月次損益表やキャッシュフロー表など) |
大手メーカーのクラウド会計ソフト(弥生・マネーフォワードなど)は、会計初心者でも使いやすいように、かなり工夫して作られています。無料トライアルもできるので、まずは操作感を試してみるとよいでしょう。
個人事業主におすすめの会計ソフト【比較一覧表】
会計ソフトのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・税理士に頼むより安い ・経営状況を自分で把握しやすい |
・多少は税務の知識が必要 ・税務相談などは基本的に不可 ・税理士に頼むより手間がかかる |
税理士と比較すると、会計ソフトの最大のメリットは安さです。自力で会計業務を行うぶん時間はかかりますが、税理士に丸投げする場合と比較すると数十万円単位で費用を節約できます。
一方、帳簿付けや確定申告の経験がない人は、判断に迷う場面も多いでしょう。記帳ミスや申告ミスのリスクも高くなります。そのため、会計ソフトは「会計知識がある人」や「自分で調べながらやる時間がある人」に適しています。
税理士に依頼できること
税理士には下記のような業務を依頼できます。基本的には、依頼する業務が増えるほど、料金が高くなります。
| 確定申告の代行 | 1年分の帳簿をもとに、確定申告書類を作って提出してくれる |
|---|---|
| 記帳代行 | 定期的に領収書などを送るだけで、日々の取引を正確に帳簿付けしてくれる |
| 税務相談 | 帳簿付けのやり方や節税術などを直接相談できる |
| 経理業務の代行 | 従業員の給与計算や年末調整などをやってくれる |
| 税務手続きのサポート | 青色申告承認申請・インボイス登録・法人化などの手続きをサポートしてくれる |
| 税務調査の立ち会い | 税務調査が入ったときに立ち会って、不利益を被らないようにサポートしてくれる |
| 資金調達支援 | 融資や補助金の申請や、利用できそうな制度探しをサポートしてくれる |
税理士との契約形態は、おおよそ下記の3パターンに分けられます。
- スポット契約:確定申告代行だけ
- 顧問契約:確定申告 + 税務相談などのサポート
- 丸投げ契約:確定申告 + 記帳代行 + 税務相談などのサポート
売上がそれほど多くないうちは「スポット契約」で確定申告だけお願いするのが現実的です。事業規模が大きくなってきたら、委託範囲を広げていってもよいでしょう。なお、記帳代行を依頼しない場合は、会計ソフトと併用することになります。
税理士のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・本業に集中できる ・申告ミスなどのリスクが減る ・大幅に節税できる場合も |
・費用が高い |
税理士に依頼するメリットは、経理や税務の手間から解放され、本業に専念できることです。また、記帳ミスや申告漏れのリスクが減り、税務調査に対する備えとしても効果的です。
一方で、最大のデメリットはやはり費用の高さです。顧問契約を結ぶと、年間で数十万円のコストがかかります。費用対効果が見合うかどうかが、依頼の判断ポイントになるでしょう。
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会計ソフトと税理士の費用シミュレーション【比較表】
| 自力でやる | スポット契約 | 顧問契約 | 丸投げ契約 | |
|---|---|---|---|---|
| 費用相場 (年額) |
ソフト料金 1~3万円 |
ソフト料金 1~3万円 + 税理士費用 8~11万円 |
ソフト料金 1~3万円 + 税理士費用 30~40万円 |
税理士費用 40~50万円 |
| 自分で やること |
帳簿付け 確定申告 |
帳簿付け | 帳簿付け | – |
| 税理士が やること |
– | 確定申告 | 確定申告 税務相談 |
帳簿付け 確定申告 税務相談 |
スポット契約は、自分で帳簿付けをしつつ、確定申告だけを任せる契約形態です。費用を抑えながら専門家のチェックを受けられるため、コストと安心感のバランスが取りやすい方法です。
一方、顧問契約や丸投げ契約では、費用は高くなるものの、税務相談や税務調査対応などのサポートが付帯します。「経理にかかる時間を減らしたい」「節税や将来の判断を支援してほしい」といったニーズに応えられるのが強みです。
まとめ
会計ソフトと税理士の活用方法を4パターンに分けて、それぞれの費用相場とおすすめな人をまとめました。
| ソフト料金 (年額) |
税理士費用 (年額) |
こんな人におすすめ | |
|---|---|---|---|
| 会計ソフトで 自力でやる |
1~3万円 | – | ・事業規模が小さい ・取引が少ない ・費用を抑えたい |
| 確定申告だけ 任せる |
1~3万円 | 8~11万円 | ・確定申告がよくわからない ・申告ミスが怖い ・2~3月が繁忙期 |
| 顧問契約する | 1~3万円 | 30~40万円 | ・上手に節税したい ・法人化を見据えている ・税務リスクを減らしたい |
| ぜんぶ 丸投げする |
– | 40~50万円 | ・本業に集中したい ・会計知識がまったく無い ・お金がかかってもいい |
費用を抑えたいなら、帳簿付けも確定申告も会計ソフトで自力でやるのがベストです。ただ、入力作業に時間を取られるうえ、帳簿付けや確定申告のやり方を調べるのにも時間がかかることを覚悟しておきましょう。
一方、税理士に依頼すると費用は大きくなりますが、申告の正確性が高まり、節税や経営相談、税務調査対応といった付加価値も得られます。費用対効果を見極めながら、税理士に委託する範囲を検討するとよいでしょう。
結局のところ重要なのは、自分の事業規模や取引件数、経理に割ける時間、そして安心感をどの程度重視するかです。小規模のうちはソフト中心で対応し、事業規模が拡大する段階で税理士の関与を検討するなど、状況に応じた判断が必要です。
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