個人事業主・フリーランス向けに、税理士費用の相場をまとめました。「確定申告代行・記帳代行・顧問契約・丸投げ」の4パターンに分けて解説します。
目次
個人事業主の税理士費用【相場一覧表】

税理士に確定申告だけ依頼する場合、相場はおおよそ10万円くらいと考えておきましょう。一方、顧問契約を結ぶ場合は年間30~40万円ほど(月々3万円ほど)になる場合が多いです。
ここからは、上記の費用相場について詳しく解説していきます。
① 確定申告だけ依頼する場合の費用相場
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
|---|---|---|
| 8万円 | 11万円 | 11万円 |
これは「普段の帳簿付けは自分でやるけど、確定申告書の作成と提出は税理士にお願いしたい」というパターンです。スポット契約と呼ばれる場合もあります。
確定申告だけ依頼するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・費用を最小限に抑えられる ・申告書類の作成ミスを防げる |
・記帳ミスはあくまで自己責任 ・節税相談やアドバイスは含まれない |
自分で帳簿付けができる個人事業主にとっては、コストパフォーマンスが高い契約形態です。ただし、節税相談や融資支援まで含めたい場合には、顧問契約も検討しましょう。
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② 記帳だけ依頼する場合の費用相場
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
|
|---|---|---|---|
| 月100仕訳まで | 11万円/年 | 12万円/年 | 12万円/年 |
| 月200仕訳まで | 19万円/年 | 20万円/年 | 20万円/年 |
| 月300仕訳まで | 25万円/年 | 25万円/年 | 25万円/年 |
これは「確定申告は自分でやるから、日々の帳簿付けだけお願いします」という契約形態です。帳簿付け(仕訳)する取引の件数が増えると、委託費用が少し高くなる傾向があります。
記帳だけ依頼するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・日々の記帳作業が不要になる ・整頓された帳簿があるので、確定申告も少し楽になる |
・領収書の整理は自分で行う ・申告ミスはあくまで自己責任 ・節税相談やアドバイスは含まれない |
取引件数が多い業種なら、記帳代行を利用することで業務効率が大きく向上します。また、記帳が正確に行われることで、金融機関への資料提出や補助金申請など、会計データを活用する場面でも信頼性が高まります。
ただし、記帳代行には申告作業や節税提案は含まれないのが一般的です。正しい帳簿があっても、申告時に控除の適用漏れなどがあると、結果的に損をしてしまう可能性はあります。
③ 顧問契約を結ぶ場合の費用相場
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
|
|---|---|---|---|
| 顧問料 | 20万円/年 | 27万円/年 | 31万円/年 |
| 申告料 | 8万円/年 | 11万円/年 | 11万円/年 |
| 合計 | 28万円/年 | 38万円/年 | 42万円/年 |
※ 年1回の訪問を想定した金額です
顧問契約とは、一般的に「確定申告代行 + 日々の税務相談」という契約形態を指します。費用としては、確定申告の代行費用に「顧問料」が加わるのが基本です。
顧問契約のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・会計の疑問をすぐ相談できる ・難しい法改正があっても安心 ・税務調査も対応してもらえる ・スポット依頼より申告料が安くなる場合もある |
・費用が高い ・帳簿付けは基本的に自力 |
顧問契約は、定期的に帳簿のチェックなどを受けながら、確定申告をお任せしたい個人事業主におすすめです。年間を通して伴走してもらいつつ、節税術や資金繰りのアドバイスをもらったり、法人化の相談などもできます。
ただ、顧問契約には記帳代行サービスが含まれない場合が多いです。帳簿付けまで丸投げしたい場合は、下記のパターンを検討しましょう。
④ ぜんぶ丸投げする場合の費用相場
ここで言う「丸投げ」とは、記帳代行・確定申告代行・顧問契約をすべて含めた契約形態のことです。丸投げの費用は、基本的に「売上規模」と「毎月の仕訳件数」によって決まります。
年間売上1,000万円以下の場合
| 記帳代行料 | 申告料 | 顧問料 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 月100仕訳 まで |
11万円/年 | 8万円 | 20万円/年 | 39万円/年 |
| 月200仕訳 まで |
19万円/年 | 47万円/年 | ||
| 月300仕訳 まで |
25万円/年 | 53万円/年 |
※ 年1回の訪問を想定した金額です
年間売上3,000万円以下の場合
| 記帳代行料 | 申告料 | 顧問料 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 月100仕訳 まで |
12万円/年 | 11万円 | 27万円/年 | 50万円/年 |
| 月200仕訳 まで |
20万円/年 | 58万円/年 | ||
| 月300仕訳 まで |
25万円/年 | 63万円/年 |
※ 年1回の訪問を想定した金額です
年間売上5,000万円以下の場合
| 記帳代行料 | 申告料 | 顧問料 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 月100仕訳 まで |
12万円/年 | 11万円 | 31万円/年 | 54万円/年 |
| 月200仕訳 まで |
20万円/年 | 62万円/年 | ||
| 月300仕訳 まで |
25万円/年 | 67万円/年 |
※ 年1回の訪問を想定した金額です
丸投げ契約では、先述した顧問契約(確定申告代行 + 税務相談)に記帳代行サービスが付くイメージです。顧問契約よりも作業負担は減りますが、費用はちょっと高くなります。
丸投げ契約のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・日々の記帳作業が不要になる ・会計の疑問をすぐ相談できる ・難しい法改正があっても安心 ・税務調査も対応してもらえる ・記帳代行料や申告料が安くなる場合もある |
・費用が高い |
丸投げ契約では、記帳から確定申告までを一貫して任せられるため、日々の会計作業をほぼゼロにできます。ただ、そのぶん費用は高いので、「コストがかかってもいいから本業に集中したい!」という個人事業主におすすめです。
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税理士費用を左右する4つの要因
個人事業主が税理士に依頼するときの費用は、下記の4要素によって変動します。
- 売上規模
- 申告する税目
- 仕訳数(記帳代行料に影響する)
- 訪問回数(顧問料に影響する)
ここからは、それぞれの要素について詳しく解説します。(このほか、補助金申請や法人化支援などにはコンサル料や成功報酬が発生する場合もあります)
① 売上規模
一般的に、依頼者の売上規模が大きいほど、税理士費用は高くなります。具体的には、年間の売上金額に応じて、相場が下記のように変動します。
売上規模に応じた税理士費用の相場
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
|
|---|---|---|---|
| 確定申告代行 | 8万円/回 | 11万円/回 | 11万円/回 |
| 記帳代行 | 11万円/年 | 12万円/年 | 12万円/年 |
| 顧問契約 (確定申告 + 税務相談) |
28万円/年 | 38万円/年 | 42万円/年 |
| 丸投げ (顧問契約 + 記帳代行) |
39万円/年 | 50万円/年 | 54万円/年 |
扱う金額が大きいほど、税務判断やリスク管理に慎重さが必要となるため、費用が高くなるわけです。ただ、税理士のアドバイスに基づいて適切な税務戦略を取れれば、税金の負担を大幅に抑えられる可能性もあります。
② 申告する税目
税理士に確定申告を依頼する場合、もっともベーシックな「所得税の確定申告」以外は追加料金になる場合が多いです。たとえば、消費税申告が必要な場合などは、オプション料金がプラスされると考えましょう。
税目ごとの申告料の相場
| 所得税の確定申告 | 8万~11万円 |
|---|---|
| 消費税の確定申告 | 3万~5万円 |
| 償却資産税の申告 | 1万~2万円 |
消費税申告の料金は、消費税の課税方式によって変わる場合が多いです。計算が簡単な「簡易課税」なら3万円、通常の「原則課税」なら5万円くらいが相場になります。
③ 仕訳数(記帳代行の料金に影響する)
記帳代行の料金は、毎月の仕訳件数によって決まる場合が多いです。仕訳件数とは、簡単に言えば「帳簿付けが必要な請求書や領収書の数」のことです。
記帳代行料金の相場
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
|
|---|---|---|---|
| 月100仕訳まで | 11万円/年 | 12万円/年 | 12万円/年 |
| 月200仕訳まで | 19万円/年 | 20万円/年 | 20万円/年 |
| 月300仕訳まで | 25万円/年 | 25万円/年 | 25万円/年 |
費用を抑えるには、仕訳数を減らす工夫も有効です。たとえば、クレジットカードで支払った経費は、自動で会計ソフトに反映できます。そのぶん、人力で仕訳する件数が減るので、記帳代行料を削減できる可能性があります。
④ 訪問回数(顧問料に影響する)
顧問契約の料金は、税理士の訪問回数によっても変わります。訪問回数とは、税理士さんに事務所まで来てもらって、直接チェックを受けたり、相談したりできる回数のことです。
訪問回数に応じた顧問料の相場
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
||
|---|---|---|---|---|
| 訪問回数 | 年1回 | 20万円/年 | 27万円/年 | 31万円/年 |
| 年4回 | 24万円/年 | 30万円/年 | 36万円/年 | |
| 年6回 | 27万円/年 | 33万円/年 | 40万円/年 | |
| 年12回 | 29万円/年 | 34万円/年 | 42万円/年 | |
なかには、すべてオンライン対応で「訪問0回」を選べる税理士事務所もあります。その場合は、上記の相場よりも少し安くなる場合が多いです。
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税理士費用を安くする方法
税理士費用は、下記のような方法で安くできる場合があります。
- 自力でできる部分は内製化して、依頼する業務を絞る
- 「丸投げパック」などのお得なプランを利用する
たとえば、昨今のクラウド会計ソフトなら、会計初心者でも意外と簡単に帳簿付けができます。「簿記の知識がないから記帳代行もお願いしようかな…」と考える前に、自力でできる部分がないか試してみるとよいでしょう。
また、税理士によっては「丸投げパック」や「創業初年度限定割引プラン」などが用意されている場合もあります。通常よりもお得に利用できる場合が多いので、自身のニーズと照らし合わせて、利用を検討しましょう。
まとめ
個人事業主の税理士費用は、どこまで任せるか、どれだけの作業が発生するか、そしてどんな支援を期待するかによって変わります。
| 年間売上 1,000万円以下 |
年間売上 3,000万円以下 |
年間売上 5,000万円以下 |
|
|---|---|---|---|
| 確定申告だけ依頼する | 8万円/回 | 11万円/回 | 11万円/回 |
| 記帳だけ依頼する | 11万円/年 | 12万円/年 | 12万円/年 |
| 顧問契約する (確定申告 + 税務相談) |
28万円/年 | 38万円/年 | 42万円/年 |
| ぜんぶ丸投げする (顧問契約 + 記帳代行) |
39万円/年 | 50万円/年 | 54万円/年 |
費用対効果を見極めるために、段階的に委託するのも有効です。まずは無料相談やスポット依頼で税理士との相性を確認してから、まずは自分で対応が難しい部分だけを委託してみるとよいでしょう。
個人事業主が税理士に依頼するメリット
- 事務作業から解放されて本業に集中できる
- 記帳ミスや申告漏れによる税務リスクを回避できる
- 税制改正などにも正確に対応できる
- プロの節税術を取り入れて、手元により多くのお金を残せる
- 補助金や助成金の活用もサポートしてもらえる
税理士は、ただ帳簿付けや確定申告を代行してくれるだけでなく、事業経営における戦略的パートナーになり得ます。最新の税制や補助金情報などのアドバイスも受けられるため、長期的にはコスト以上の利益や安心感をもたらす存在です。
短期的な業務効率化だけでなく、長期的な経営基盤の強化にもつながる存在と捉え、自社の成長ステージや経理体制に応じて柔軟に活用することが、最大の効果を得るポイントです。
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