ポイ活で確定申告は必要? 課税対象・仕訳例・注意点まとめ

更新日: 2025/09/24
ポイ活で確定申告は必要? 課税対象・仕訳例・注意点まとめ

ポイ活をしている個人事業主や一般消費者向けに、帳簿付けや確定申告のあれこれを、わかりやすくコンパクトにまとめました。楽天ポイントやVポイント、クレジットカードのマイレージなどを貯めて、おトクに活用している方はぜひ参考にしてみてください。

目次

    ポイ活で確定申告は必要? ポイントを使ったら課税される?

    「ポイ活」とは、ポイントを積極的に集めて使う活動のことです。これらのポイントが課税対象になりえるのは、ポイントを使ったときです。ポイントを受け取って保有するだけでは、所得税や住民税の課税対象にはなりません。

    企業発行ポイントの課税時期 - ポイント使用時に課税

    買い物などでポイントを使用し、所得税の課税対象になった場合には、原則として確定申告が必要です。個人事業主のように、もともと確定申告をしなくてはいけない人の場合は、ポイ活の分も同じ申告書に記入します。

    とはいえ、ポイ活のポイントが課税対象になるケースはそう多くありません。一部の例外を除き、ポイ活でのポイントは非課税となることが多いため、基本的に申告不要と考えてOKです。

    個人事業主がポイ活をした場合は帳簿付けが必要?

    個人事業主の場合、事業で貯まったポイントを事業目的で消費するのであれば、基本的に帳簿付けは不要です。一方、プライベートで獲得したポイントを事業で使ったら、帳簿付けが必要になることがあります。

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    課税対象になるポイント ‐ 判定方法をわかりやすく解説

    ポイ活で利用したポイントは、もらい方や使い方によって課税されることがあります。ポイントの種類ごとに一律で課税・非課税が決まるわけではなく、同じポイントでも「値引きとみなせるか否か」で扱いが分かれます。

    ポイ活で使ったポイントは課税対象になる? 課税と非課税の分かれ目

    課税対象になる 課税対象にならない
    値引きとみなせない場合
    (一部の例外のみ)
    値引きとみなせる場合
    (ほとんどのケースに該当)
    引用

    …(略)…決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられますので、こうしたポイントの取得または使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしています。…(略)…

    >> 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い – 国税庁

    国税庁によれば、一般的な値引きとみなせるポイントについては、課税対象になりません。たとえば、購入額の数%がポイントとして還元され、そのポイントを次回の買い物に使う場合は、一般的な値引きと同じなので課税されないと考えてOKです。

    ポイ活のポイントが課税対象になる3つのパターン

    1. 抽選キャンペーンなどに当選して得たポイント(一時所得)
    2. 株式や投資信託などに使ったポイント(一時所得)
    3. アンケートなどの対価としてもらったポイント(雑所得)

    上記のいずれかに該当する場合は、一般的な値引きとは異なるため、課税対象になりえます。これらのポイントを使った場合は、原則として「一時所得」や「雑所得」の区分で確定申告しないといけません。

    一時所得と雑所得の違い ‐ ポイ活における分類方法と注意点

    一時所得 雑所得
    臨時的・偶発的な
    プレゼントにあたるもの
    対価性があるもの
    (アンケート報酬など)

    一時所得と雑所得の違いをもっと詳しく

    使ったポイントが一時所得に該当する場合は、年間50万円分まで特別控除が受けられます。たとえば、抽選で20,000ポイント(1ポイント=1円)をもらい、それを全額使ったとしても、他に一時所得の収入がない限りは税金がかかりません。

    一方、雑所得にはこのような特別控除はありません。そのため、雑所得にあたるポイントを1円分でも使ったら、原則的には課税されると考えましょう。

    【参考例】主なポイント獲得方法とポイントの種類

    特定の店舗でお買い物 お店が独自に発行するポイントやスタンプカード
    例:ヨドバシ(ゴールドポイント)、無印良品(MUJIショッピングポイント)、スターバックス(Star)
    ネット
    ショッピング
    ECサイトなどの購入額に応じてもらえるポイント
    例:Amazonポイント、楽天ポイント、PayPayポイント、dポイント
    飛行機 飛行機に乗るともらえるマイル
    例:ANAマイル、JALマイル
    クレジット
    カード
    決済額に応じて付与されるポイントやマイル
    例:楽天ポイント、WAONポイント、dポイント、Oki Dokiポイント、Vポイント、ANAマイル、JALマイル
    電子マネー 決済額に応じて付与されるポイント
    例:PayPayポイント、楽天ポイント、dポイント、Pontaポイント、メルカリポイント
    銀行口座 公共料金の振替や給与の振込設定でもらえるポイント
    例:Pontaポイント、Vポイント、楽天ポイント
    ポイントサイト ポイントサイトの条件クリアでもらえるポイント
    例:モッピー、ポスタス、ポイントインカム、ちょびリッチ
    キャンペーン 懸賞などに応募してもらえるポイント
    例:楽天ポイント、dポイント、WAONポイント、nanacoポイント、モッピーポイント

    上記のように、ポイントの獲得方法や使い道はかなり多様です。場合によっては、同じポイントでも課税と非課税が入り混じり、見分けがつかなくなることもあります。ポイ活をするなら、ポイントごとに運用方法を決めておくと、スムーズに税務処理ができます。

    ポイ活で確定申告が必要となるケース

    ポイ活により課税対象のポイントが生じた場合は、原則として確定申告が必要です。「個人事業主・会社員・専業主婦」の3パターンに分けて、申告義務の考え方をわかりやすく紹介します。

    個人事業主がポイ活をする場合

    ほとんどの個人事業主は、ポイ活とは関係なく、もともと確定申告をする必要があります。本業の所得は「事業所得」の欄に記入し、ポイ活の所得は「一時所得」や「雑所得」の欄に記入すればOKです。基本的には帳簿付けも不要です(詳細は後述)。

    会社員・パート主婦がポイ活をする場合

    一般的な会社員やパート主婦/主夫の方が、ポイ活を通じて円換算で一定額を超えるポイントを使った場合は、確定申告の義務が生じます。「一時所得」と「雑所得」で、基準となる金額が以下のように異なります。

    一時所得 雑所得
    年間90万円以下なら
    確定申告の義務なし
    年間20万円以下なら
    確定申告の義務なし

    ※ 上記の説明は、他に収入がないことを前提としたもの

    通常、サラリーマンは会社の年末調整によって税金を精算するため、確定申告の義務がありません。しかし、ポイ活の「一時所得」や「雑所得」については年末調整で対応できないため、確定申告により所得税を精算する必要があります。

    専業主婦がポイ活をする場合

    専業主婦/主夫の方がポイ活をしても、確定申告の義務が生じることはそう多くありません。「一時所得」や「雑所得」にあたるポイントを使っても、円換算で以下の金額に収まっていれば確定申告の義務がないためです。

    一時所得 雑所得
    年間240万円以下なら
    確定申告の義務なし
    年間95万円以下なら
    確定申告の義務なし

    ※ 上記の説明は、他に収入がないことを前提としたもの

    確定申告の義務がなければ申告しなくてよい? 住民税申告との違い

    所得税の確定申告は、住民税の申告を兼ねた手続きです。住民税については「1円でも所得があったら申告してください」と行政からもアナウンスされています。そのため、確定申告をしなかった場合、住民税申告を別途で行う必要がある点に注意しましょう。

    【仕訳例】個人事業主がポイントを使用した場合の会計業務

    個人事業主がビジネスでポイントを使った場合、ポイント分の帳簿付けは基本的に不要です。ただし、プライベートで獲得したポイントをビジネスで使った場合は、ポイント分も帳簿に記載しないといけません。

    ビジネスで獲得 プライベートで獲得
    ビジネスで使用 帳簿付けは不要 帳簿付けが必要
    プライベートで使用 帳簿付けは不要 帳簿付けは不要

    ビジネスで獲得したポイントの仕訳例(ビジネス用の消耗品を購入)

    ビジネスで使う3,000円のインクカートリッジを購入し、うち1,000円分をビジネスで得たポイントで支払った場合は、以下のように仕訳すればOKです。一般的な値引きと同様に、ポイント適用後の2,000円のみを記帳します。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年8月12日 消耗品費 2,000 現金 2,000 インクカートリッジ

    プライベートで獲得したポイントの仕訳例(ビジネス用の消耗品を購入)

    プライベートのポイントで経費を支払った場合は「事業主借」という科目で記帳します。ビジネスで使う3,000円のインクカートリッジを購入し、うち1,000円分をプライベートで得たポイントで支払った場合は、以下のように仕訳しましょう。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年8月12日 消耗品費 3,000 現金 2,000 インクカートリッジ
    事業主借 1,000 楽天ポイント

    個人事業主向けのクラウド会計ソフトを使えば、上記のような仕訳が簡単にできます。直感的に操作でき、日付や金額などの入力欄を埋めるだけなので、初心者でも問題なく扱えます。

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    ポイ活について確定申告を行う方法・流れ

    確定申告の流れ

    1年間を「1月1日~12月31日」で区切って所得税の計算を行い、原則「翌年の2月16日~3月15日」に確定申告書を提出します。個人事業主は、上図①~④の流れで確定申告をしましょう。会社員や主婦が確定申告をする場合は、上図②~④のみでOKです。

    確定申告書類の出し方(主な提出方法)

    確定申告書類の提出方法は、上記の3つに大別できます。国税庁が提供するe-Tax(イータックス)を使えば、自宅にいながらオンラインで確定申告することも可能です。パソコンやスマホでの操作が苦手な方は、税務署に直接持参or郵送でも構いません。

    所得税の主な納税方法

    • 窓口納付(現金)
    • コンビニ納付(現金)
    • 振替納税
    • スマホアプリ納付
    • クレジットカード納付
    • ダイレクト納付(e-Tax上で手続き)

    「クレジットカード納付」のみ、ポイント還元を受けられる場合があります。ただ、手数料(納付額1万円につき税込99円)がかかる上、大した還元額にはなりません。よって、無理にポイント還元を狙わず、納税しやすい方法を選ぶのがおすすめです。

    主な国税の納付方法まとめ ‒ 所得税や消費税はどう納付する?

    まとめ

    ポイ活を通じてポイントを使ったら、所得税や住民税の課税対象になる場合があります。一般的な値引きとみなせる場合には非課税、そうでない場合は課税対象となります。なお、ポイントを集めても、使わずに保有しているだけなら税金はかかりません。

    ポイ活で集めたポイントの取り扱い ‐ 税務上の分類をわかりやすく

    所得の種類 課税/非課税
    一般的な値引きとみなせる場合 所得に含めない 非課税
    臨時的・偶発的なプレゼントの場合 一時所得 課税
    作業の対価としてもらう場合 雑所得 課税

    一般的な値引きとみなせるのは、ショッピングで支払った金額に応じてポイントをもらい、そのポイントを次の買い物で使った場合などです。このような場合には、ポイント分は課税対象にならず、確定申告も不要となります。

    一方、抽選でポイントが当たったときや、アンケートに答えて報酬のポイントをもらったときは、そのポイントを使用した時点で課税対象になりえます。記事の本文でも解説した通り、課税対象のポイントが一定額を超えたら、確定申告の義務が生じます。

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