個人事業主向けに、税理士の探し方を一覧表でわかりやすく紹介します。探し方ごとにメリット・デメリットがあるので、最適な税理士と出会うには、複数の探し方を組み合わせるのがおすすめです。記事後半では、選定時の具体的な判断ポイントも紹介します。
目次
税理士の探し方6つを紹介【個人事業主向け】
税理士の探し方は、以下の6つに大別できます。それぞれの主な利点や注意点を、以下の表にわかりやすく整理しました。1つの方法だけを実行するのではなく、できるだけ多くの方法を組み合わせたほうが、より良い税理士に出会いやすくなります。
税理士の主な探し方6選 – 個人事業主向け
主な利点 | 主な注意点 | |
---|---|---|
① 紹介サービスを利用 | 条件を指定できる | サービスに良し悪しがある |
② 人脈を頼る | 実体験が聞ける | 客観的な評価が難しい |
③ 税理士会の紹介 | 専門性◎ | 地域によっては利用不可 |
④ 金融機関の紹介 | 融資対応・経営支援◎ | 小規模の個人には不向き |
⑤ 地域の相談会に参加 | 人柄が見えやすい | 開催数が少ない |
⑥ ネット検索 | 情報量が多い | 情報が古いことも |
紹介サービスや人脈による紹介、金融機関からの紹介、ネット検索については、基本的に無料で活用できます。一方、相談会やセミナーへの参加には、相談料や参加費がかかることもあります(高くても大体1万円以内には収まる)。
上記①〜⑥の方法をすべて実行できれば理想ですが、同時並行で進めるのは大変なので、やりやすい方法から着手していきましょう。ここからは、個人事業主が税理士を探す6つの方法を、オススメのものから順番に解説していきます。
探し方① 税理士紹介サービス・マッチングサイトを使う
- インターネット上の税理士紹介サービスやマッチングサイトを利用する
- 所在地・事業形態・依頼内容などの条件に応じた税理士を紹介してもらえる
- 複数の税理士紹介サービスを利用して比較検討すれば効果◎
まず活用したいのは、税理士紹介サービスです。地域・業種・依頼内容などの希望条件を指定して、効率よく税理士を探せます。サービスによって、登録されている税理士が異なるため、複数のサービスを使って比較したほうが良い結果につながりやすいです。
税理士紹介サービスを使うメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・条件を細かく指定できる
・探す手間が少なく済む |
・紹介サービスの選定が必要 |
自分の足を動かすことなく、幅広い選択肢の中から、ニーズに合う税理士を紹介してもらえるのが、税理士紹介サービスの大きな利点です。紹介の時点では、基本的にお金はかかりません。利用して損はないので、ひとまず申し込んでおくのがオススメです。
ただし、登録税理士のなかには、広告宣伝に力を入れている人もいます。そのぶん、税理士費用がやや高めに設定されていることもあるため、複数人から見積もりを取り、比較するのが安心です。
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探し方② 知人の紹介・人脈を使う
- 知人や取引先から信頼できる税理士を紹介してもらう
- リアルな評判を聞けるため、税理士の人柄などが見えやすい
- 自分にぴったりの税理士を紹介してもらえるとは限らない
次に検討すべきは、人脈を通じた紹介です。知り合い経由なら、税理士の人柄や仕事ぶりについて、忖度のない生の声が聞けます。相談相手としては、起業仲間や同業者、仕入先や士業関係者などが候補に挙げられます。
知人の紹介・人脈を使うメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・情報源が信頼できる
・話がスムーズに進みやすい ・事前に人柄などがわかる |
・自分との相性は未知数
・心理的に断りづらい |
注意したいのは、知人が推薦してくれた税理士が、自社にも適しているとは限らない点です。通常、紹介者と自身とでは、事業内容や期待するサポートが異なります。「あの人の推薦なら間違いないはず!」と安易に飛びつくのはリスクが高いです。
税理士と実際に会ってみて、相性が合わなかった場合、きっぱり断ることも重要です。「せっかく善意で紹介してくれたのに、申し訳ない」と感じるかもしれませんが、流されることなく冷静な判断を下しましょう。
ちなみに、身近な家族や親友よりも、少し知ってる程度の人に相談したほうが、むしろ新たなチャンスにつながりやすいという説もあります(SWT理論)。社会学者グラノヴェッターが唱えた「弱いつながり(weak ties)」の理論に基づく考え方です。
探し方③ 税理士会からの紹介(一部地域のみ)
- 税理士会で地域の税理士を紹介してもらえる
- 非営利的な立場からの紹介で安心感がある
- 地域によって紹介を実施していない場合もある
税理士会は全国に支部などを設置しており、支部によっては税理士の紹介も行っています。事業主側から希望条件を伝えると、当てはまる税理士を1〜2名ほどピックアップしてくれる、というのが基本の流れです(支部によって細部は異なります)。
税理士会からの紹介のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・非営利ゆえの安心感がある
・紹介料は基本的にかからない |
・地域によっては利用できない
・税理士の選択肢が少ない |
税理士会による紹介の利点は、営利目的ではない立場からの支援が受けられる点にあります。基本的には紹介料も発生しません。ただ、一度に紹介してもらえるのは大抵1人か2人くらいなので、比較検討する余地が少ないのが難点です。
なお、税理士会がマッチングを行う際は、各税理士の「税理士会に対する貢献度」なども考慮されるようです。もちろん事業主からの要望はきちんと聞いてくれますが、税理士会への貢献度が低い税理士は紹介してもらえない可能性があります。
引用Q.税理士会でお客様を紹介してくれますか?(※ 税理士から税理士会への質問)
A.(前略)……税理士会もお客様からのクレームや、税理士の信頼を損なうことがあっては困りますので、だれでもよいというわけではありません。支部例会や研修会等の出席、税務支援等への協力などを積極的にすることによって、税理士会の信頼を得られるよう努力することも必要です。
簡単に言うと「税理士会のイベントなどに率先して参加してくれる、協力的な税理士じゃないとお客様は紹介できないですよ」と書かれています。そのせいで優秀な税理士を逃してはもったいないですから、ぜひ他の方法も併用して税理士を探しましょう。
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探し方④ 金融機関からの紹介
- 銀行や信金から、財務支援に強い税理士を紹介してもらえる
- 融資や資金繰りでの連携が取りやすい
- 紹介される税理士は料金が高めな傾向も
融資や資金調達を考えているなら、金融機関を通じて税理士を紹介してもらうのも一つの方法です。銀行や信用金庫の担当者に相談をするなかで、事業計画書の作成や資金繰りの相談に強い税理士と出会える可能性があります。
金融機関から紹介を受けるメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・実績のある税理士と出会える
・融資などでの連携も期待できる |
・特定業種に偏っているかも
・報酬が割高なケースも |
金融機関から紹介してもらう利点は、一定の信頼性や実績を備えた税理士と出会いやすい点にあります。金融機関と付き合いのある税理士であれば、資金調達や財務面の支援も期待でき、融資時の書類対応などがスムーズに進む場合もあります。
ただし、銀行から紹介される税理士は、「銀行側が付き合いやすい人」という観点で選ばれることも多いです。本当に自分に合っているかは、慎重に見極める必要があります。対応業種やサービス内容、料金などが希望条件に合っているか、よく確認しましょう。
より多様な候補の中から自身に適した税理士を見つけたい場合は、やはり他の探し方と組み合わせて検討するのがおすすめです。
探し方⑤ セミナーや相談会で出会う
- 税理士本人と直接話せるセミナーや相談会に参加
- 実際の説明や対応力を体感できる
- 開催頻度やエリアに左右されるため、タイミングが合わないことも
税理士によるセミナーや相談会に参加して、その税理士さんを気に入ったら本格的に依頼してみるというやり方もあります。とくに確定申告期(1月〜3月)には、無料で参加できる個人事業主向けの「確定申告相談会」などが、わりと頻繁に開かれています。
無料のセミナーや相談会は、地域の税理士会・商工会議所・自治体などが税理士を招く形で主催していることが多いです。「〇〇市 税理士 相談会」のようにネット検索すればヒットします。
セミナーや相談会で出会うメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・直接コミュニケーションをとれる
・相性や説明力を確認できる |
・開催数が少なめ
・地域や時期にも左右される ・基本、希望条件は出せない |
この方法の特徴は、税理士本人と直接対話できる点にあります。対話のなかで、説明の明確さ、質問への反応、人間性などを確かめられます。税理士の表情や口調、仕草などの非言語情報が得られるのも大きな利点です。
ただし、セミナーや相談会の開催目的は、税理士の紹介ではありません。担当税理士の名前が事前に公開されないことも多いです。あまり期待しすぎず、「相談のついでに良い税理士さんに出会えたらいいな」ぐらいのテンションで臨むのがおすすめです。
探し方⑥ 検索エンジンを使う
- 「地域名+税理士」などで検索し、公式サイトなどで情報収集する
- 事務所の対応範囲や料金体系を比較できる
- 日本税理士会連合会の公式検索サイトも併用したほうがよい
GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使って「〇〇市 税理士」や「〇〇業 税理士」などのキーワードで候補を出すことも可能です。主な検索ツールは、下表の通りです。とりあえず「Googleマップ」と「税理士情報検索サイト」を見ておけば十分でしょう。
最も一般的でお手軽な方法。膨大な件数がヒットする。 | |
Googleマップ | 近所の税理士で絞りやすく、レビューも確認できる。 |
日本税理士会連合会公式ページ | 税理士を満遍なく検索できるが、人柄等は見えない。 |
SNS(X、Youtubeなど) | 人気の税理士は新規募集をやめている場合も多い。 |
スキルシェア系サービス | 「ココナラ」や「ストアカ」など。だいたい有料。 |
日本税理士会連合会が運営する「税理士情報検索サイト」では、全国の登録税理士を対象に、所属税理士会・事務所の所在地・氏名・対応業務などで検索できます。正式に依頼する前に、必ずこの税理士会の検索サイトで在籍確認をしたほうがよいです。
検索エンジンを使うメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・自分のペースで進められる
・多くの候補を比較できる ・希望条件で絞り込みやすい |
・信頼できない情報もヒットする
・検索ワードを考える必要がある |
ネット検索は、多くの情報を得られる反面、内容の真偽や自社との相性は自分で見極める必要があります。検索で得た情報は鵜呑みにせず、問い合わせや面談を通じて、報酬体系や対応方針を必ず確認しましょう。
【補足】AIで税理士を探せる? – ChatGPTなどの活用
上図のように、ChatGPTなどの生成AIやAIエージェントで税理士の候補を出すこともできます。ただし、AIは虚偽情報をもっともらしく出力すること(ハルシネーション、幻覚)もあるので、通常のネット検索よりもさらに慎重な事実確認が必要です。
税理士の選び方・判断ポイント【個人事業主の例】
税理士の候補が見つかったら、以下のような判断基準に沿って、誰に依頼するかを決定しましょう。目先の業務対応だけを考えるのではなく、今後の事業拡大や環境の変化にも柔軟に対応してくれそうな税理士を選ぶのが理想です。
失敗しない税理士の選び方 – 押さえるべき10のチェックポイント
- 相性やコミュニケーションのしやすさ
- 税金や制度を説明する際のわかりやすさ
- レスポンスのスピード
- 料金体系の明確さやコストパフォーマンス
- 対応業務の幅と柔軟性
- 業種や業界への理解度
- 他士業や金融機関との連携体制
- 他のライセンスの有無や得意分野の豊富さ
- 経営支援・アドバイザリー能力
- IT・クラウド会計への対応力
事業規模が大きくなるにつれ、雇用や労務対応、法人化、補助金の活用、融資支援といった経営課題に直面する機会も増えます。こうした場面で的確に支援を受けるには、複数の観点から税理士の力量を測っておいたほうが安心です。
とはいえ、通常の契約であれば、一年ごとに更新を行います。理想を追求するあまり、いつまでも税理士がいないままでは本末転倒です。したがって、一定の基準をクリアしていれば契約し、必要に応じて見直すという柔軟な姿勢も大切です。
まとめ – 最適な税理士に出会える探し方
最適な税理士に出会えれば、帳簿付けや確定申告の悩みが解消されるだけでなく、事業の成長もサポートしてもらえます。とくに、将来的な法人化や資金調達、補助金の活用なども考えている個人事業主は、早めに良い税理士を見つけておきましょう。
税理士の主な探し方6選 – 個人事業主向け
専門家のサポートあり | 専門家のサポートなし/少ない |
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・税理士紹介サービスを使う
・税理士会からの紹介 ・金融機関からの紹介 |
・知人の紹介、人脈
・セミナーや相談会で出会う ・検索エンジンを使う |
個人事業主が税理士を探す際、専門家からサポートを受けやすいのは、上表の左側で挙げた探し方です。税理士のマッチングや紹介に慣れたプロが介入し、素人にありがちな盲点などを補ってくれるので、大きな失敗が起きにくい方法だと言えます。
一方、上表の右側の探し方においては、事業主自身の判断力や行動力が一層問われます。士業が集まるビジネス交流会で人脈を広げたり、セミナーで積極的に質問して相手の考え方や対応力を見極めたりと、自分で情報を集め、見定める姿勢が重要です。
どの探し方にもメリットとデメリットがあるため、一つの方法に偏るのは避けたほうが無難です。税理士に依頼する目的や、重視する基準に応じて、複数の方法を併用したほうが、最適な税理士に出会いやすくなります。
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