白色申告の帳簿づけは、単式簿記(簡易な簿記)で行います。帳簿のフォーマットに規定はありません。手書きやExcel、会計ソフトなど、記帳する方法はなんでもOKです。
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目次
白色申告で作成する帳簿って?
白色申告でも、収入金額や必要経費などを記録した帳簿の作成が義務付けられています。記帳方法は「単式簿記」でOK。単式簿記とは、家計簿やお小遣い帳のようなカンタンな記帳方法です。
作成した帳簿は一定期間保存しておく
帳簿は確定申告書類を作成するときに参照します。帳簿自体は提出するわけではありませんが、領収書などと一緒に、一定の期間保存しておく必要があります。
帳簿や書類の種類に応じて保存期間は異なりますが、すべての書類を年ごとにまとめて、念のため7年間保存しておけば安心です。
>> 帳簿の保存期間と保存方法について詳しく
帳簿の様式や記帳方法は自由
必要事項が記帳してあれば、帳簿の様式や記帳方法は自由です。簡易帳簿やノートを使って手書きで帳簿づけするのはもちろん、Excel入力でも構いません。極端な話、白紙の紙に自分で線を引いて作成した帳簿でも良いのです。
白色申告の記帳内容
白色申告者が帳簿づけする内容は、取引における「年月日」「摘要」「収入 or 必要経費」の3項目に大別されます。
国税庁がウェブ上で公開している「申告者の帳簿の様式例」という単式簿記のテンプレートに沿って、それぞれの記入項目について説明していきます。
記帳する項目 – 白色申告の場合
年月日 | 取引の発生した日付を記入 |
---|---|
摘要 | 取引先・仕入先の名称などを記入 |
収入 | 事業で得た売上などの金額を記入 |
必要経費 | 事業を営む上でかかる支出金額を記入 |
収入は「売上」と「雑収入等」に分けて記帳する
収入があった場合、基本的には「売上」(①)として記帳するケースがほとんどです。ただし、助成金を受け取った場合など、売上と直接関係ない収入を得た場合は「雑収入等」(②)とします。
必要経費は「仕入」と「経費」に分けて記帳する
売上に直接関係する費用は「仕入」(③)として記帳します。一般的には、販売するために購入した商品や原材料、またこれらを運ぶための送料などが当てはまります。
仕入以外にかかった、事業を営む上で必要な費用は「経費」(④)として記帳します。たとえば、消耗品の購入や交通費、事務所の家賃などがこれにあたります。
白色申告の記帳方法【手書きの場合】
最近では会計ソフトの利用者が多くなってきましたが、帳簿づけを手書きで行う場合、市販の簡易帳簿にボールペンなどで記入していくのが一般的でした。たとえば商品の売上2万円を手書きで記帳すると、以下のようになります。
このように、日付や取引に関する情報(取引先・商品名・販売個数・取引手段・値段など)を、一つずつ書き込みます。一日分の取引金額をまとめて記帳する場合は、合計金額を計算して記入します。
白色申告の記帳方法【クラウド会計ソフトの場合】
白色申告では、一日分の取引金額をまとめて記録してOKなど、簡易な方法での記帳が認められています。とはいえ手書きは大変なので、 白色申告でも会計ソフトの利用を推奨します。
特にクラウド会計ソフトは初心者向けに作られており、スムーズに入力できるのでオススメです。入力画面に沿って入力していくだけで、初心者でもカンタンに帳簿づけができます。本記事では「やよいの白色申告 オンライン」を利用した記帳方法を紹介します。
たとえば商品の売上2万円をクラウド会計ソフトで記帳する場合、以下のように帳簿づけを行います(売上金は現金で受け取ったものとする)。
画面に沿って上から順番に「取引日」「科目」「摘要」「取引先」「金額」を入力していき、登録ボタンをクリックすれば終了です。入力した商品名や取引先名はソフトに記憶されていくので、次の登録時からは入力する手間も省けます。
白色申告対応のクラウド会計ソフト
白色申告者向けのクラウド会計ソフトのうち、代表的なものとして「やよいの白色申告 オンライン」があります。こちらは白色申告に特化して作られたソフトで、なおかつ年会費無料で利用できます(サポート付きプランは有料)。
また、他の大手クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」や「freee」も、白色申告に対応したソフトを提供しています。
マネーフォワード クラウド確定申告 | freee |
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>> 白色申告対応の会計ソフト
帳簿や領収書などは7年間保管しておこう
作成した帳簿は、領収書などと一緒に一定期間保存しておくよう法律で定められています。領収書や請求書などは、帳簿づけした内容の裏付けとなる重要な書類なので、うっかり無くさないように注意しましょう。
帳簿・書類 | 保存期間 |
---|---|
法定帳簿(収入や必要経費などを記帳した帳簿) | 7年 |
任意帳簿(法定帳簿以外で必要に応じて作成した帳簿) | 5年 |
その他の書類(帳簿の作成に使用した領収書などの書類) |
帳簿やその他の書類は、それぞれ保存期間が異なりますが、すべて年ごとにまとめて7年間保存しておけば安心です。帳簿が手元にない状態で税務調査が入ると、必要以上に税金を取られてしまう可能性もあるので、必ず保存しておきましょう。
保存は原則「紙」の状態で
帳簿などは原則的に紙の状態で保存するよう定められています。会計ソフトで帳簿づけをした場合はプリントアウトした状態で保存しましょう。ただ、全てのデータをプリントアウトしておくのは大変な場合もあるので、法定帳簿だけでも紙にしておくと良いです。
ただし事前に申請を済ませ、定められた形式で保管するのであれば、電子データで保存することもできます(電子帳簿保存法 – 国税庁)。とはいっても電子帳簿保存は要件が非常に複雑なので、今のところ利用者は少ないです。
>> 電子帳簿保存法の要件まとめ – 帳簿・書類を電子保存するには?
まとめ – 白色申告の帳簿と申告時期について
白色申告は単式簿記で記帳します。作成した帳簿をもとに毎年の確定申告を行いましょう。確定申告では、その年の1月1日~12月31日に帳簿づけした内容を、翌年2月16日~3月15日に税務署へ申告します(土日・祝日の場合は翌平日に繰越)。
なお新型コロナウイルスの影響で、2020年分の確定申告(2021年に行う確定申告)は、期限日が「2021年4月15日(木)」に延長されました。
2020年分の確定申告時期
>> 2021年(令和3年)の確定申告期限が延長!期限は4月15日に
帳簿づけは手書きでも認められますが、先述のクラウド会計ソフトを使うと初心者でもカンタンに帳簿づけができるのでオススメです。
白色申告で作成する帳簿のポイント
- 「簡易な簿記」が認められていて、記入方法や様式は自由
- 個々の取引金額が少額であれば、一日分の取引をまとめて記帳しても良い
- 帳簿には、大きくわけて「年月日」「摘要」「収入 or 必要経費」の3つを記録する
- 帳簿や領収書などは、年ごとにまとめて7年間保存しておくと安心
- Excelや会計ソフトで作成した帳簿は、印刷して紙で保管すること
白色申告では、2014年(平成26年)1月から帳簿の作成と保存が義務づけられました。これによって事業主にかかる負担は、同じく単式簿記が認められている「青色申告10万円控除」とそれほど変わらなくなりました。青色申告は節税メリットがあるので、確定申告に慣れてきた白色申告者はぜひ検討してみましょう。