個人事業主が税理士に丸投げするときの費用相場を解説

更新日: 2025/07/24
個人事業主が税理士に丸投げするときの費用相場を解説

個人事業主が税理士に丸投げする費用相場を、一覧表にわかりやすくまとめました。丸投げで依頼する内容は、主に帳簿付けや確定申告の代理、税務相談です。事業主の売上規模や取引件数、申告内容などにより、税理士への丸投げの費用は大きく変動します。

目次

    税理士に丸投げする費用相場まとめ【個人事業主向け】

    個人事業主が税理士に「丸投げ」する費用相場は、ざっくりいうと、年間40万〜50万円程度です。以下の相場一覧表は、税理士に年1回だけ来てもらい、事業主自身の所得税を申告してもらう場合のものです。丸投げの費用は、主に売上規模や仕訳件数(≒取引件数)で変動します。

    売上1,000万円 売上3,000万円 売上5,000万円
    月100仕訳まで 39万円 50万円 54万円
    月200仕訳まで 47万円 58万円 62万円
    月300仕訳まで 53万円 63万円 67万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安であり、実際の料金は事務所によって異なります。

    いわゆる「丸投げ」とは、以下の図のように、帳簿付けや確定申告などを税理士にお任せすることをいいます。どの税理士に依頼しても、大まかな流れは同じです。原則、顧問契約も結ぶことになるので、税務相談も適宜受けてもらえます。

    確定申告の大まかな流れと税理士に丸投げできる部分

    当然ながら、依頼する作業量に応じて税理士費用も変動します。あらかじめ費用の内訳や根拠を知っておくと、安心して依頼できます。以下の表は、年間売上1,000万円以下の個人事業主が税理士に丸投げする場合の内訳例です。

    税理士に丸投げする費用の内訳(売上1,000万円以下の例)

    記帳代行料 顧問料 申告料 合計
    月100仕訳まで 11万円 20万円 8万円 39万円
    月200仕訳まで 19万円 47万円
    月300仕訳まで 25万円 53万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安であり、実際の料金は事務所によって異なります。

    記帳代行料は、月間の仕訳件数が多いほど高くなる傾向にあります。一方、顧問料や申告料は、売上規模や訪問頻度によって設定されていることが多いです(詳細は後述)。

    以上で、個人事業主が税理士に丸投げするベーシックな費用相場を紹介しました。従業員を雇っている人や、所得税以外の申告が必要な人は、さらに追加費用がかかります。ここからは、料金が上がる要因などを、より詳しく解説していきます。

    税理士への丸投げ費用が高くなる主な要因

    税理士への丸投げ費用は、依頼内容や事業の規模によって変動します。費用が高くなる要因は、主に次の4つです。これらのほか、経営コンサルなどの追加オプションを付けることで料金が高くなる場合もあります。

    • 仕訳件数(記帳量)
    • 売上規模
    • 訪問回数
    • 申告税目・内容の多さ

    仕訳件数 – 毎月の記帳量が多いと記帳代行料が上がる

    税理士に記帳代行を依頼する場合、基本的には仕訳数が増えるほど記帳代行料も上がります。仕訳数は「会計帳簿に記録された回数」で数えるのが一般的です。たとえば、小売業で1日に10件の売上があり、この10件をまとめてその日の売上として記帳したら、これを1仕訳とします。

    記帳代行料
    月100仕訳まで 11万円
    月200仕訳まで 19万円
    月300仕訳まで 25万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安です(年間売上1,000万円以下の場合)

    飲食業や小売業、複数案件を並行して扱うフリーランスなどは、取引件数が多くなりがちです。すべての取引を1つずつ仕訳していたら、仕訳数があっという間に月200件、300件に到達してしまうこともあります。

    1日分の取引は、できるだけまとめて仕訳してもらったほうがおトクです。なお、税理士によっては対応が異なる場合もあるため、仕訳数のカウント方法については事前に税理士とよく話し合っておきましょう。

    売上規模 – 売上が大きいと顧問料が上がる

    顧問料は、主に事業主の売上規模によって決まります。税理士にとっては、取扱金額が多いほどリスクや責任が増大し、税務相談の内容も高度になりやすいためです。

    顧問料
    年間売上 1,000万円以下 20万円
    年間売上 3,000万円以下 27万円
    年間売上 5,000万円以下 31万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安です(訪問回数が年1回の場合)

    ちなみに、顧問とは簡単にいうと「税金のトラブルが起きないよう常に注意してくれる」契約関係をいいます(善管注意義務)。万が一トラブルが起きたら、顧問税理士には賠償責任が問われる場合もあります。その責任に比例して、顧問料も高くなるわけです。

    たまに年額10万円を切るような格安の「丸投げプラン」をネットで見かけることもありますが、よく確認してみると顧問料が含まれていない、というのがお決まりのパターンです。異様に安いなと思ったら、まずこの点を疑ってみましょう。

    訪問回数 – 会う頻度が多いほど顧問料が上がる

    税理士に訪問してもらう回数やオンライン面談の頻度も、顧問料に影響します。以下の相場表は、対面での打ち合わせを前提としたものです。オンライン面談で済ませれば、さらに費用を抑えられる場合もあります。

    顧問料
    年1回 20万円
    年4回 24万円
    年6回 27万円
    年12回 29万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安です(年間売上1,000万円以下の場合)

    頻繁に打ち合わせを行うと、早期に問題を発見できるため、軌道修正が素早く簡単にできます。取り返しのつかない失敗も起きづらいです。とはいえ、一般的な個人事業主であれば、年1回の確定申告前に打ち合わせするだけでも差し支えありません。

    初めての依頼で不安がある場合は、初年度だけ訪問回数を多めに設定する方法も検討してみましょう。業務の流れが定着したら、翌年からは訪問回数を減らしてもらうなど、段階的な見直しも可能です。

    申告税目や年末調整 – 税目などが増えると申告料が上がる

    税理士に依頼する税目が増えるほど、申告料も高くなります。たとえば、インボイス制度に対応するために消費税申告が必要な事業主や、保有する固定資産の合計評価額が150万円以上ある事業主は、以下の相場表も併せて確認しておきましょう。

    売上1,000万円まで 売上3,000万円まで 売上5,000万円まで
    所得税
    (基本料)
    6万円 10万円 11万円
    消費税
    (本則課税)
    5万円 5万円 5万円
    消費税

    (簡易課税)

    3万円 3万円 3万円
    固定資産税

    (償却資産)

    1万円 2万円 2万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安です

    また、従業員がいる場合は、年末調整や法定調書の依頼にも費用が別途かかります。上記の「所得税(基本料)」に対して、だいたい以下の金額が加算されると考えればOKです。

    法定調書合計表 2万円
    年末調整(5人まで) 2万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安です

    申告内容が複雑になれば、そのぶん申告ミスのリスクも高まります。申告漏れによるペナルティを避けるためにも、無理をせず税理士に依頼したほうが安全です。税理士に依頼すれば、節税手法を知らずに損をする心配もありません。

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    税理士への丸投げ費用が安くなる主な要因

    税理士に丸投げ依頼する際、契約内容や提供プランによっては、相場よりも安く依頼できる場合があります。ここでは、費用を抑える代表的な仕組みを2つ紹介します。税理士によって対応が異なるので、「あればラッキー」ぐらいの認識で臨みましょう。

    • 丸投げパック
    • 条件付きプラン

    丸投げパック – 一括依頼で費用が下がる

    一部の税理士事務所では、記帳・申告・相談をセットにした「丸投げパック」プランを提供しており、通常価格よりも約2〜3割ほど安く設定されていることがあります。パッケージ化されているためスムーズに契約ができ、コストも抑えられます。

    売上1,000万円まで 売上3,000万円まで 売上5,000万円まで
    パック料金あり 30万円 39万円 51万円
    パック料金なし 39万円 50万円 54万円

    ※ 上記の相場は独自調査による目安です

    ただしパック料金では、訪問回数などの条件を柔軟に調整するのが難しい場合も多いです。また、条件の調整に応じてもらえたとしても追加料金が発生し、結果的に通常料金と変わらないというケースもあります。

    条件付きプラン – 創業初期限定で費用が下がる

    創業間もない個人事業主を対象に、初年度限定の割引プランを用意している税理士事務所もあります。たとえば、「開業1年以内の方限定」などの条件付きで、丸投げ費用が10〜40%程度割引されるケースがあります。

    初年度限定の割引プランを利用して税理士に丸投げする場合の費用の例

    ただし、割引の適用は一定期間に限られることが多いため、継続後の料金も踏まえて検討しましょう。段階的に丸投げをやめて、いずれは自計化する(自分で帳簿付けなどを行う)予定であれば、このようなプランとの相性が比較的良いと言えます。

    個人事業主の税理士丸投げ費用を適正にするコツ

    税理士への丸投げ費用を抑えつつ、効果を最大限に引き出すためには、次の2点を意識することが重要です。それぞれの観点から、具体的なチェックポイントを整理します。

    • ① 適正な費用の税理士に依頼する
    • ② 支払った費用を最大限活かす

    コツ① 適正な費用の税理士に依頼する – 料金体系をチェック

    これまで紹介した丸投げの相場と比較し、適正な料金設定の税理士を選びましょう。あまりにも相場とズレていて、おかしいなと思ったら、以下のポイントを確認するとよいです。

    • 個人事業主向けの料金体系か
    • 法人向けメニューなど、必要のない業務が含まれていないか
    • 料金体系が「売上規模・記帳件数」に応じて明示されているか

    個人事業主向けの料金設定がある税理士事務所を選ぶことで、適正な価格での依頼が実現しやすくなります。一方、法人対応を主戦場としている事務所に個人事業主が依頼すると、実態に見合わない高額な費用が発生する可能性もあるため要注意です。

    コツ② 支払った費用を最大限活かす – 税務相談を活用

    せっかく顧問税理士をつけて丸投げするなら、税務相談をフル活用したほうが断然おトクです。たとえば、以下のような場面で、経営に役立つアドバイスがもらえます。

    税務相談の活用シーン(顧問税理士がいる個人事業主向け)
    なかには、経営コンサルティングに近い支援を提供している税理士もおり、別途コンサル契約を結ぶよりも費用対効果が高いケースもあります。

    ただし、こうした支援が顧問契約の範囲に含まれているとは限りません。「コンサルは別料金です」と言われることも少なくないため、支援の範囲については事前に確認する必要があります。

    まとめ – 税理士への丸投げ相場は約40万円から

    個人事業主が税理士に税務を丸投げする場合、ざっくり年間40万〜70万円ほど費用がかかります。この費用は、売上規模や月間の仕訳件数に応じて変動します。以下は、訪問回数を年1回と仮定した場合の料金相場です。

    年間売上1,000万円以下の場合
    記帳代行料 顧問料 申告料 合計
    月100仕訳 11万円 20万円 8万円 39万円
    月200仕訳 19万円 47万円
    月300仕訳 25万円 53万円
    年間売上3,000万円以下の場合
    記帳代行料 顧問料 申告料 合計
    月100仕訳 12万円 27万円 11万円 50万円
    月200仕訳 20万円 58万円
    月300仕訳 25万円 63万円
    年間売上5,000万円以下の場合
    記帳代行料 顧問料 申告料 合計
    月100仕訳 12万円 31万円 11万円 54万円
    月200仕訳 20万円 62万円
    月300仕訳 25万円 67万円

    ※ 上記の相場はいずれも独自調査による目安であり、実際の料金は事務所によって異なります。

    予算的に丸投げが厳しい場合は「記帳は自分で行い、申告だけスポットで依頼する」といった部分的な依頼も可能です。また、初年度だけ丸投げして税理士のノウハウを学び取り、翌年から段階的に契約を見直してコストを削減していく方法もあります。

    税理士に丸投げする主なメリット

    税理士に丸投げする主なメリット5選

    税理士に丸投げすると、帳簿付けや確定申告にかかる手間と時間を削減でき、本業に専念しやすくなります。税理士に任せることで、素人や自己流の人にありがちなミスや申告漏れのリスクを確実に回避できる点も大きなメリットです。

    税理士探しの具体的な流れとしては、まず自分の業態や希望に合った税理士を見つけることが重要です。そのうえで、料金や相性などを確認しましょう。無数にある事務所から絞っていくのは大変ですので、税理士紹介サービスなどを活用して、いくつか候補を用意するのがおすすめです。

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