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5分でわかる小規模事業者持続化補助金【個人事業主向け】

更新日: 2025/06/06
5分でわかる小規模事業者持続化補助金【個人事業主向け】

「小規模事業者持続化補助金」は、個人事業主も使える補助金です。個人事業主向けの補助金は、法人向けに比べて圧倒的に少ないため、ぜひチェックしておきましょう。本記事では、基本的な申請から受け取りまでの流れや、審査のポイントを紹介します。

INDEX

目次

    小規模事業者持続化補助金とは? 個人事業主向けの解説

    「小規模事業者持続化補助金」とは、販路開拓や業務効率化にかかった費用の「原則3分の2」を、国から補助してもらえる制度です(以降、持続化補助金と呼ぶ)。たとえば、広告費に30万円かけたら、国から20万円もらえるイメージです。

    概要 小規模事業者の販路開拓などを補助する制度
    補助額上限 原則50万円

    ※ 開業から3年以内であれば200万円

    補助率 原則2/3
    補助対象の経費

    (例)

    販路拡大業務効率化
    申請方法 電子申請のみ
    ※ 事前に「GビズID」の取得が必須(無料)
    必要書類 事業計画書、申請書、事業支援計画、確定申告書など

    申請するには、事業計画を自分で考えた上で、商工会議所や商工会に「事業支援計画書」を作成してもらう必要があります。商工会議所などの非会員であっても、窓口で「補助金を利用したいです」と言えば、会員・非会員による優遇差なく受け付けてもらえます。

    なお、デジタル庁が発行する事業者向けID「GビズIDプライム」を持っていないと、持続化補助金の電子申請はできません(IDの取得自体は無料)。このIDがないと、電子申請用のシステム「jGrants(ジェイグランツ)」を利用できないためです。

    そもそも「小規模事業者」とは?

    ここでいう「小規模事業者」とは、ざっくりいうと、従業員数が少ない事業者のことです。小規模事業者しか持続化補助金は受けられません。以下の通り、業種によって、基準となる人数が異なります(5人〜20人以下)。正社員とアルバイトの区別はなく、常時雇用している従業員をすべてカウントします。

    商業・サービス業 従業員数5人以下
    宿泊業・娯楽業 従業員数20人以下
    製造業その他 従業員数20人以下

    ※ 事業主本人は人数にカウントしない

    「常時雇用している従業員」とは、1年以上の勤務実態があるor見込まれる従業員のことです。たとえば、11ヶ月の期限付きで雇ったパートさんは、原則として上記の人数にはカウントしません。

    持続化補助金の上限額と補助率 – 50万円 or 200万円

    持続化補助金には、例年「一般型」や「創業型」という枠が設けられています。創業枠のほうが補助額が大きいです。一般型の補助額上限は50万円しかありませんが、開業から3年以内の事業者が創業型に該当する場合、上限が200万円まで引き上げられます。

    一般型 創業型
    補助額上限 原則50万円 原則200万円
    補助率 原則2/3 原則2/3
    特例 ・賃金引上げ特例

    ・インボイス特例

    ・インボイス特例

    さらに一定の要件を満たせば、上乗せ給付の「特例」も受けられます。ただ、結論からいうと、特例は無理に狙わないほうがよいです。たまたま特例の要件を満たしていた場合はラッキー、ぐらいの気持ちで臨みましょう。

    たとえば「賃金引き上げ特例」でいうと、50万円を1回もらうために、従業員の給料を恒久的にアップしないといけないわけです。もともと賃金アップする予定だったならともかく、わざわざ狙いにいくものではありません。「インボイス特例」も同様です。

    持続化補助金の申請から入金までの流れ【わかりやすい図解】

    持続化補助金の申請から交付までは、大きく以下の4ステップに分けられます。補助金をもらってから経費に充てるのではなく、経費を使ったあとに補助金を受け取れるという順序を理解しておきましょう。

    持続化補助金申請~交付の流れ

    大まかなスケジュールとしては、申請締め切り日の1〜2ヶ月前から準備を始め、受け取りまでには1年以上かかるのが一般的です。いますぐキャッシュが必要、という用途には持続化補助金は向きません。

    持続化補助金申請までの流れ

    持続化補助金を申請する際は、商工会議所か商工会の支援を受ける必要があります。あくまで事業主本人が募集要領を確認しながら計画を立てるのが前提ですが、これを商工会議所などにサポートしてもらう形です。

    申請書類の作成と電子申請は、デジタル庁が運営する「jGrants(ジェイグランツ)」というサイトで行います。jGrantsにログインするには「GビズIDプライム」が必須です。GビズIDを未取得の方は、あらかじめ取得しておきましょう。

    持続化補助金 - 審査~交付の流れ

    計画を実施したら、事業主から事務局へ「実績報告」を行います。その内容を事務局が審査して、問題なければ補助金がもらえます。万が一、計画にない経費の使い方をしているなどの問題が発覚すると、補助金が受け取れない可能性もあるので注意しましょう。

    持続化補助金を申請する際の5つの注意点

    持続化補助金を申請する際、主に注意すべき点は、以下の5つです。色々と手間がかかるので、締め切りの1〜2ヶ月前から余裕をもって準備を進めておきましょう。

    • 商工会議所地域と商工会地域で申請窓口が違うので注意
    • 申請方法は「jGrants」による電子申請のみ(郵送は不可)
    • デジタル庁が提供する「GビズIDプライム」のアカウントが必須
    • 商工会議所や商工会とのやり取りが必要なため、余裕を持って計画的に
    • 応募する回の公募要領をよく確認する

    商工会議所と商工会は、それぞれ管轄する地域が異なります。「〇〇市 商工会」などで検索して、公式サイトで管轄を確認すればOKです。だいたい都市部は商工会議所が管轄しています。もし問い合わせ先を間違えても窓口の人が教えてくれるでしょうから、案内に従っておけば問題ありません。

    持続化補助金の申請方法は、電子申請のみとなっており、郵送はできません。電子申請を行うには「GビズIDプライム」のアカウントが必須です。アカウントの取得自体は無料ですが、取得まで2週間程度かかる場合があるので、早めに取得しておきましょう。

    また、申請には商工会議所や商工会に書類作成を依頼するなど、やりとりが発生するため、準備は余裕を持って計画的に行いましょう。申請の締切日は厳格に決まっているため、締切に間に合うよう1〜2ヶ月前から準備が必要です。

    応募する回によって内容が変わる可能性があるため、公募要領などを都度確認しましょう。

    持続化補助金の申請に必要な書類 ‐ 個人事業主の場合

    個人事業主が持続化補助金の申請を行うには、以下の書類が必要です。申請者が準備して入力を行うものや、商工会議所や商工会に作成してもらうものがあるため、漏れがないよう準備します。

    自分で作成するもの 作成してもらうもの すでに手元にあるもの
    ・持続化補助金事業に係る申請書

    ・経営計画兼補助事業計画①

    ・補助事業計画②

    ・補助金交付申請書

    ・宣誓・同意書

    ・事業支援計画書 ・直近の確定申告書*

    ・収支内訳書or青色申告決算書*

    * 開業したばかりで確定申告を1度もしていない場合は、開業届と売上台帳を提出

    上表の左端に挙げた「自分で作成するもの」は、電子申請の入力フォームを埋めていくだけで自動的に完成します。別途、様式をダウンロードしたり、ワードやPDFなどで書類を作ってアップロードしたりする必要はありません。

    持続化補助金の審査の流れと受かりやすいポイント

    持続化補助金の審査は、必須の審査である「基礎審査」と「計画審査」に加え、任意の審査である「加点審査」の3段階で行われます。持続化補助金の採択率は、年度や時期によっても変動しますが、おおむね60%程度です。

    必須の審査 任意の審査

    まず、基礎審査では「要件を満たしているか」などの基本的な審査が行われます。計画審査では事業計画書などの提出書類に対して加点がされ、加点審査では政策的観点からさらなる加点が行われます。

    基礎審査 ‐ 書類の不備などがないか

    基礎審査は「必要な書類が揃っているか」や「申請の要件を満たしているか」などの形式的な視点で審査が行われます。基礎審査の審査要件を満たさない場合は失格となり、その後の審査が行われません。ここで落ちることは絶対ないようにしたいです。

    計画審査 ‐ 計画の内容が優れているか【最重要ポイント】

    計画審査では、以下の審査項目に沿って加点方式で審査されます。自社の経営状況を的確に把握し、明確で説得力のある計画書を作成することが大切です。審査員は業界事情に疎い場合もあるため、素人でも理解しやすい計画書を作成しましょう。

    1. 自社の経営状況分析の妥当性
    2. 経営方針・目標と今後のプランの適切性
    3. 補助事業計画の有効性
    4. 積算の透明・適切性

    自社の強みや弱み、市場や顧客のニーズを捉えていることをアピールできれば、計画の説得力が増します。また、数字や根拠を明確にして、実現可能性を示すことも大切です。収支計画や費用対効果も盛り込むとよいでしょう。

    補助金申請で提出する計画書

    加点審査 ‐ 政府の方針に合っているか

    加点審査では、政策的観点から加点方式の審査が行われます。政府が行う政策に合致する計画であれば、計画審査の点数にさらなる加点がされる仕組みです。たとえば、賃金引上げに積極的な事業者などに対して加点が行われます。

    【補足】年度の初めのほうが審査に通りやすい?

    持続化補助金は、年度単位の予算編成で、年に複数回募集しています。予算には限りがあるので、年度の後半の回になるほど、採択率が下がり気味になる傾向があるとも言われています。せっかくなら、早めの回に応募したほうがよいかもしれません。

    補助金の申請代行サービスの活用方法と注意点

    持続化補助金の申請をプロにサポートしてもらいたい個人事業主のために、依頼先の選択肢や注意点を解説します。結論からいうと、手続きのすべてを丸投げにはできませんが、経営面のコンサルティングを受けるぶんには全く問題ありません。

    補助金申請の支援・サポートを受けるには?【主な依頼先】

    • 行政書士
    • 税理士
    • 中小企業診断士
    • 補助金専門の代行業者 など

    上記のサポート業者などに問い合わせるだけなら、無料相談という形で対応してもらえることが多いです。基本的な申請要件を満たしているかなどをチェックしてもらえます。どんなに優れた計画を立てても、基本要件を満たしていなければ意味がないので、まずは無料相談で専門家の意見を聞くのも一つの手です。

    補助金の代行サービスを利用する際の注意点

    • すべてを丸投げにはできない(事業計画は自分で主体的に考える)
    • 作成した書類の内容は、自分の口でスラスラ説明できるようにしておく
    • 書類作成や提出の代行を頼めるのは原則「行政書士」のみ
    • 成功報酬などの費用がかかる(少なくとも数万円)

    持続化補助金は、事業主本人が事業計画を考えて申請することが大前提です。その際、専門家のアドバイスを受けても差し支えありません。ただし、書類の作成と提出を“代行”できるのは、行政書士資格を持つ専門家だけです(その他の業者は助言のみ可)。

    補助金申請 - 行政書士に代行を頼める範囲

    ちなみに、電子申請に用いる「jGrants」では、行政書士による申請代行への対応が進みつつありますが、現在は持続化補助金の電子申請には非対応です(2025年5月時点)。現状では、自分で申請手続きをする必要がある点に注意しましょう。

    申請代行サービスの費用は、業者によってまちまちです。着手金として5万円〜30万円、さらに成功報酬として受給額の10%〜20%を求める業者もいるようです。補助金の大半を業者に持っていかれては本末転倒ですから、業者選定は慎重に行いましょう。

    まとめ

    小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化を支援する制度です。個人事業主向けの補助金は存在自体が少なく、採択率も平均60%前後なので、チャレンジする価値は十分にあります。

    概要 小規模事業者の販路開拓などを補助する制度
    補助額上限 原則50万円

    ※ 開業から3年以内であれば200万円

    補助率 原則2/3
    補助対象の経費 販路拡大業務効率化
    申請方法 電子申請のみ
    ※ 事前に「GビズID」の取得が必須(無料)
    申請の準備期間 1~2ヶ月
    申請費用 無料
    必要書類 事業計画書、申請書、事業支援計画、確定申告書など

    持続化補助金の申請から入金までの流れ

    持続化補助金の申請手続きは、商工会または商工会議所と連携することが前提となっています。GビズIDのアカウント取得や商工会議所等とのやりとりに時間を要するため、申請の1〜2ヶ月前から準備を始めたほうがよいです。
    持続化補助金申請~交付の流れ

    持続化補助金はこんな人におすすめ!

    • 販路を広げたい
    • 効率化を進めたい
    • 新商品を開発したい
    • 小さくても地道に事業を育てたい

    持続化補助金をうまく活用できれば、事業の拡大に役立ちます。補助金の対象となるか悩んだときは、まず商工会議所・商工会に相談してみましょう。行政書士の資格を持つ専門家に依頼するのもおすすめです。

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