従来、個人事業主がe-Taxで電子申告をするなら「ICカードリーダー」が必要と言われてきました。しかし、令和4年(2022年)1月からは「対応機種のスマホ」でほぼ完全に代用できるようになっています。
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目次
QRコード認証ができるようになる!
2022年1月から、パソコン版の「確定申告書等作成コーナー」が使いやすくなりました。マイナンバーカードでログインする際、スマホを用いて「QRコード認証」ができるので、ICカードリーダーは不要になっています(iPhone7~にも対応)。
「QRコード認証」の流れ – ICカードリーダーをスマホで代用!
確定申告書等作成コーナーには、わかりやすく言うと「パソコン版」と「スマホ・タブレット版」の2種類があります。個人事業主は「パソコン版」を使用する必要があります。スマホ・タブレット版は、決算書の作成・送信に対応していないからです。
確定申告書等作成コーナーの画面
パソコン版 | スマホ・タブレット版 |
---|---|
![]() |
![]() |
事業・不動産所得の電子申告ができる | 事業・不動産所得の電子申告ができない* |
* 厳密に言うと、収支内訳書・青色申告決算書の作成・送信ができない
従来、QRコード認証は「スマホ・タブレット版」でしか利用できませんでした。2022年1月のアップデート後は、新たに「パソコン版」でも利用できるようになったわけです。
これまでとの違いをわかりやすく
ここからの説明は、「パソコン版」の確定申告書等作成コーナーのみに焦点を当てます。確定申告書等作成コーナーから電子申告するには、次のどちらかの方式で本人確認が必要です。
マイナンバーカード方式 | マイナカードのICチップを読み取って本人確認などを行う (マイナカードが必要) |
---|---|
ID・パスワード方式 | 事前に税務署職員との対面による本人確認を済ませておく (マイナカードは不要) |
「マイナカード」は「マイナンバーカード」の一般的な略称です
「マイナンバーカード方式」の場合、マイナンバーカードのICチップを読み取る手段が必要です。今回、下表の通り、新たに「QRコード認証」という手段が加わりました(正式には「二次元バーコード認証」という)。
【2022年1月~】パソコン版の確定申告書等作成コーナー
読み取り手段 | 主な特徴・注意点など | |
---|---|---|
マイナンバー カード方式 |
ICカードリーダー | マイナカード対応のカードリーダーを 購入する必要がある |
Bluetooth連携 |
「Windowsパソコン & Androidスマホ」 の組み合わせに限る ※ iPhoneには非対応… |
|
QRコード認証 【NEW!!】 |
対応機種のスマホさえあればOK ※ iPhoneにも対応!(iPhone7~) |
|
ID・パスワード 方式 |
(カード読み取り不要) | 一部、機能が制限される (電子申告には支障なし) |
確定申告書等作成コーナーを利用する上では、今後「Bluetooth連携」の出番はないでしょう。「QRコード認証」のほうが対応機種などの範囲が広く、操作もはるかに簡単だからです。
ただし、お持ちのスマホがマイナンバーカード対応機種でない場合は、「Bluetooth連携」「QRコード認証」のどちらも利用できないので注意しましょう。
【おさらい】市販の会計ソフトについて
会計ソフトのユーザーは、日々の帳簿データから、確定申告書類のデータをほぼ自動で作成できます。これをe-Taxソフトなどに読み込んで(=インポートして)、そのまま電子申告できます。
インポートする場合は、マイナンバーカードの読み取りが必須です(ID・パスワード方式は利用不可)。「ICカードリーダーなんて持ってないよ!スマホで代用したい!」というユーザーには、以下のインポート先をおすすめします。
おすすめのインポート先 – 大手メーカー3社の場合
弥生 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
e-Taxソフト(WEB版) QRコード認証可 |
freee電子申告アプリ* スマホ申告可 |
クラウド確定申告アプリ* スマホ申告可 |
* いずれも、会計ソフトメーカーが独自に提供している申告ツールの名称
上表の「スマホ申告」とは、申告書データをスマホアプリで作成・送信する申告方法を指します。これならスマホだけで作業が完結するため、QRコード認証すら不要です。
したがって、大手メーカー3社の個人事業主向けクラウド会計ソフトであれば、上表のインポート先を選ぶことで、ICカードリーダーなしで電子申告できます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
e-Taxと相性のよい会計ソフトとは? 大手3社を徹底比較!
まとめ
個人事業主が電子申告する場合、主な方法として、以下の5つが挙げられます。2022年1月からは、対応スマホを用いた「QRコード認証」を利用できる場面が増えています。
「QRコード認証」の可否 – 主な電子申告方法5つ
これまで (~2021年12月) |
これから (2022年1月~) |
|
---|---|---|
確定申告書等作成コーナー マイナンバーカード方式 |
できない | できる |
確定申告書等作成コーナー ID・パスワード方式 |
カード読み取り不要 | カード読み取り不要 |
市販の会計ソフト e-Taxソフト(WEB版)経由 |
できる | できる |
市販の会計ソフト e-Taxソフト経由 |
できない | できない |
市販の会計ソフト 会計ソフトの申告ツール |
スマホ申告なら不要 | スマホ申告なら不要 |
インストール版のe-Taxソフトは、2022年1月以降も「QRコード認証」が利用できません。とはいえ、個人事業主の電子申告においては、「どうしてもe-Taxソフトじゃないとダメ!」というケースは少ないでしょう。
このレアケースを除けば、ICカードリーダーがなくても、今後はスマホで代用できます。したがって、対応機種のスマホをお持ちの方は、基本的にICカードリーダーは購入しなくてOKです。