自営業がとことん分かるメディア

インボイス制度とは?5分でわかる要点【免税事業者のインボイス特集①】

更新日: 2020/11/10 投稿日: 2020/11/06
インボイス制度とは?5分でわかる要点【免税事業者のインボイス特集①】

2023(令和5)年10月1日から、インボイス制度が導入されます。本記事では「インボイス制度とは何なのか」「小規模な事業者はどんな影響を受けるのか」などについて、なるべく分かりやすく解説していきます。

INDEX

目次

    2023年10月から導入される「インボイス制度」

    まずは、インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)に関わる重要なことを整理しておきましょう。

    • インボイス制度とは、消費税の「仕入税額控除」に関する新たな制度
    • 仕入税額控除とは、税務署へ納める消費税を計算するときに適用する控除
    • これが施行されると「適格請求書」の保存が、仕入税額控除の要件となる
    • 適格請求書とは、消費税の正確な税額などを伝えるための書類
    • 適格請求書を発行できる事業者は、原則「税務署の承認を受けた課税事業者」だけ

    一般的に「インボイス」というと請求書全般を指しますが、インボイス制度においては「適格請求書」のことを指します。インボイス制度が施行される背景には、主に「軽減税率制度への対応」と「益税の解消」の2つが考えられます。

    1つ目は、軽減税率制度の実施に伴い、事業者は商品ごとの税率・税額をきちんと区別して管理するように、ということです。2つ目の「益税」とは、簡単にいえばこれまで免税事業者が受け取ってきた消費税を指します。このあたりのことについて、詳しく見ていきましょう。

    免税事業者・課税事業者とは

    そもそも免税事業者と課税事業者はどういう違いがあるのかという、基本的なことから確認していきます。免税事業者の場合は、売上と一緒に預かった消費税も、事業主の取り分になります。一方、課税事業者の場合、売上と一緒に預かった消費税は、当然ながら最終的に税務署へ納付することになります。

    免税事業者 課税事業者
    納税義務がない
    →預かった消費税も取り分になる
    納税義務がある
    →預かった消費税は税務署へ納付する
    (仕入税額控除をして納付)

    たとえば、3万3,000円(このうち3,000円は消費税)の売上を得たとします。免税事業者の場合、3,000円の消費税については納税義務がなく、そのまま事業主の取り分になります(これがいわゆる「益税」)。

    免税事業者の要件

    • 前々年の課税売上高が1,000万円以下である
    • 特定期間の課税売上高、もしくはその間に支払った給与が1,000万円以下である

    個人事業における特定期間は前年1月1日~6月30日のこと

    上記2つの要件を両方とも満たす個人事業主は「免税事業者」に該当します。

    課税事業者が行う「仕入税額控除」とは

    消費税の納付額は、「売上時に預かった消費税」から「仕入時に払った消費税」の金額を差し引いて(控除して)算出するのが基本です。この控除を「仕入税額控除」といいます。つまり、仕入税額控除の額が大きいほど、最終的に納める消費税の金額は少なく済むのです。

    仕入税額控除のしくみ

    課税事業者は仕入税額控除をして消費税を納める

    上の例では「仕入時に払った消費税」が8,000円、「売上時に預かった消費税」が1万円です。仕入税額控除の結果、課税事業者が最終的に税務署へ納める消費税は2,000円になります。

    現行制度とインボイス制度における請求書の違い

    インボイス制度の導入後、課税事業者は仕入税額控除を受けるために「適格請求書の保存」が要件となります。そして、適格請求書を発行できる事業者は、原則「税務署の承認を受けた課税事業者」だけで、免税事業者はこれを発行できません。

    現行制度とインボイス制度の比較

    現行制度
    (区分記載請求書等保存方式)
    インボイス制度
    (適格請求書等保存方式)
    導入開始日 2019年10月1日 2023年10月1日
    発行する請求書 区分記載請求書 適格請求書(インボイス)
    発行できる事業者 誰でも発行可能 登録された課税事業者だけ
    発行者の義務 特になし
    • 発行した適格請求書の写しを保存
    • 取引先から要求されたときに適格請求書を発行する

    現在は「区分記載請求書等保存方式」という方式が導入されています。これは、2019年10月に消費税の軽減税率制度が実施されたことを受けて始まったもので、インボイス制度が導入されるまでの経過措置のようなものです。

    「区分記載請求書」は誰でも発行が可能です。しかし、インボイス制度における「適格請求書」は、適格請求書発行事業者として登録されている課税事業者しか発行できません。

    適格請求書には「登録番号」の記載要件があります。この登録番号は、課税事業者(適格請求書発行事業者)にだけ割り振られます。そのため、免税事業者は正式な適格請求書を発行することができないのです。

    インボイス制度が導入されたらどうなる?

    免税事業者は「適格請求書」を発行できないので、課税事業者から取引を敬遠される可能性があります。インボイス制度が始まってからも免税事業者のままだとどんな影響があるのか、例を上げて説明します。

    免税事業者のままでいる場合

    インボイス制度の導入後も免税事業者のままだと、取引が行いにくくなる

    先述の通り、免税事業者は「登録番号」が割り振られないため、正式な適格請求書を発行できません。そのため、従来どおりの請求書を発行することになります。しかし取引先からすると、従来の請求書では仕入税額控除を受けられないので、消費税分で不利な取引になってしまいます。

    課税事業者である取引先からしてみれば、免税事業者に支払った消費税は、仕入税額控除の対象にならないのです。それゆえ、課税事業者は、免税事業者との取引を避ける恐れがあります。

    課税事業者になる場合

    課税事業者になればインボイス制度の導入後に大きな変化はない

    課税事業者(適格請求書発行事業者)になれば、取引先に対して適格請求書を発行できます。こうすれば、取引先は仕入税額控除を受けられます。インボイス制度の導入後も変わらず取引を続けたいのであれば、免税事業者は「届けを出して課税事業者になる」という選択肢を考える必要があります。

    まとめ – 導入後のポイントを比較

    最後に、インボイス制度が導入された後の「免税事業者」と「課税事業者」について表でまとめておきます。もし課税事業者との取引が多いビジネスであれば、これを継続するためには自分も課税事業者になることを検討したほうがよいかもしれません。

    インボイス制度導入に関わる変化

    免税事業者 課税事業者
    (適格請求書発行事業者)
    適格請求書の発行 できない できる
    課税事業者との取引 減る可能性あり そのまま
    免税事業者との取引 そのまま そのまま
    一般消費者との取引 そのまま そのまま

    取引相手が免税事業者や一般消費者である場合、インボイス制度による影響は受けません。たとえば、個人の飲食店は一般消費者が主なお客さんなので、大きな変化はないでしょう。

    また、インボイス制度が導入されても、数年は経過措置が設けられています。ですから「2023年10月になった途端に課税事業者と取引できなくなる!」というわけではありません。