自営業がとことん分かるメディア

個人事業の消費税を分かりやすく!消費税の基礎知識

更新日: 2024/09/02
個人事業の消費税を分かりやすく!消費税の基礎知識

個人事業の消費税について、初心者向けに基本的な知識をわかりやすくまとめました。年間売上が1,000万円を超える規模の事業者や、インボイスを発行する事業者は、消費税の確定申告・納付を行います。

INDEX

目次

    消費税とは?

    国内で行う商品販売やサービス提供の取引には、消費税が課されるのが基本です。土地・住宅の譲渡や、一部の国外取引などを除く、ほとんどの取引が「課税取引」にあたります。

    いわゆる消費税とは、国に納める「消費税」と、地方自治体に納める「地方消費税」を合わせた税金のことです。2019年10月に税率が改定され、それぞれ7.8%と2.2%で、現在の税率は合わせて10%です。

    消費税10%は国税と地方消費税を合わせたもの

    基本的に開業から2年間は納付しない

    納税義務の有無は「前々年の課税売上高」を主な基準にするため、基本的に開業から2年間は「免税事業者」でいられます。もちろん、その後も売上が基準以下なら、免税事業者であり続けることが可能です。

    消費税の免税事業者と課税事業者

    個人事業の規模であれば、消費税の納付を免除されている事業者も多いです。消費税の納付を免除されている事業主を「免税事業者」と呼び、逆に納付が義務付けられている事業主を「課税事業者」と呼びます。

    「課税売上高」とは

    納税義務を判断する基準になる「課税売上高」とは、消費税の課税対象となる取引で得た売上金額のこと。取引は以下の4種類に分けられ、このうち「課税取引」と「免税取引」の売上金額が、「課税売上高」にカウントされます。

    取引の概要 取引の例
    課税取引 国内で、事業として対価を得て行われる取引 原則すべての国内取引
    免税取引 本来は課税が必要だが、特別に免除される取引 輸出、国外輸送など
    非課税取引 消費税の性質になじまない、国内における取引 土地の譲渡、貸付など
    不課税取引 「課税取引」に当てはまらない取引 国外取引、寄付など

    とくに課税事業者は、納税額を正しく計算するために、これらの区別をきちんとして帳簿づけする必要があります。

    免税事業者の条件

    以下の要件を両方とも満たす事業主は、「免税事業者」として消費税の納付を免除されます。

    • 前々年の課税売上高が1,000万円以下である
    • 特定期間の課税売上高、もしくはその間に支払った給与が1,000万円以下である(特定期間とは前年1月1日~6月30日のこと)

    逆に、前々年の課税売上が1,000万円を超えるか、特定期間の売上と給与の両方が1,000万円を超えている場合は、強制的に「課税事業者」となります。

    「特定期間」に関する注意点

    特定期間に関する要件には、期間中の「課税売上高」と「支払った給与」という2つの基準があります。両方が1,000万円超の状態なら強制的に「課税事業者」となりますが、片方だけが1,000万円超の状態なら、「免税」か「課税」かを選択できます。

    特定期間の課税売上高 特定期間の給与支払い 当年の消費税について
    1,000万円以下 1,000万円以下 免税事業者でいられる
    (あえて課税事業者になることも可能)
    1,000万円超 1,000万円以下 免税事業者でいられる
    (あえて課税事業者になることも可能)
    1,000万円以下 1,000万円超
    1,000万円超 1,000万円超 課税事業者

    前々年の課税売上高が1,000万円以下であることが前提

    大抵の場合、免税事業者のままでいるほうがもちろんおトクです。ただし、たとえば輸出業など一部の業種で、受け取る消費税よりも支払う消費税のほうが多い場合は、課税事業者を選択したほうが得になる場合もあります。

    免税事業者も顧客から消費税を受け取ってOK

    免税事業者でも、代金とともに顧客から消費税を受け取ることができます。その後の納付は不要なので、そのまま事業者の取り分にしてしまって問題ありません。

    課税事業者の要件

    前述の「免税事業者の要件」を満たせない事業主は、課税事業者になります。つまり、以下のいずれかに該当する事業主には、消費税を納付する義務が生じるということです。

    • 前々年の課税売上高が1,000万円を超えている
    • 特定期間の課税売上高と支払った給与の両方が1,000万円を超えている
      (個人事業における特定期間とは、前年1月1日~6月30日のこと)

    いちど課税事業者になったとしても、売上が落ち込んだりして上記に該当しなくなれば、ふたたび免税事業者に戻ることができます。

    消費税の主な計算方法 – 課税事業者になったら

    事業主は、顧客から受け取った消費税をすべて税務署へ納付するわけではありません。納付する消費税の計算方法は4種類あり、税制面で有利な方法を選択できます。

    納める消費税の基本的な計算方法は「受け取った消費税」から「支払った消費税」を差し引いてもとめる方法です。課税売上高が5億円以下で、土地や住宅の譲渡などによる「非課税売上」が売上全体の5%未満であれば、この方法を選択できます。

    納付する消費税の計算式

    納める消費税の計算方法は、上述の基本的な方法を含めて4つ。例えば「簡易課税制度」を利用した方法では、「支払った消費税」を集計する必要がなく、簡単に計算をすることができます。また、非課税売上が多い事業主のための計算方法もあります。

    消費税の納付期限

    課税事業者になったら、原則として毎年1月1日~3月31日に前年分の消費税を計算・申告します。消費税の納付期限は、原則3月31日です。期日が土日祝日と重なる場合は、翌平日が納付期限日になります。

    消費税と所得税の納付時期

    納付方法にはいくつかの種類があり、窓口での納付や口座振替、クレジットカード払いでの納付などから選択できます。
    >> 主な国税の納付方法まとめ

    前年分の消費税額が48万円超なら「中間納付」が必要に

    前年分の確定した消費税額(地方消費税を除く)が48万円を超える事業主は、当年分の消費税を一部「前払い」する必要があります。これを「中間納付」と呼びます。

    たとえば、前年分の確定した消費税額が100万円だった場合は、8月31日までに中間納付を行います。納付する額は、前年分の消費税のおおよそ半分です。なお、前年分の消費税額が400万円を超える場合は、さらに細かく中間納付が必要になります。

    納付した消費税の仕訳方法

    納めた消費税の仕訳方法は、「税込経理方式」と「税抜経理方式」のどちらで帳簿づけをしているかによって異なります。2つの方式には、売上などに消費税を含めて記帳しているか、消費税部分を別で記帳しているかの違いがあり、仕訳例は以下のようになります。

    「税込経理方式」の仕訳例

    消費税10万円を現金で納付した場合は、以下のように「租税公課」として必要経費に計上します。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年3月2日 租税公課 100,000 現金 100,000 消費税納付

    >> 租税公課の仕訳例まとめ ‐ 納付した税金の記帳方法

    「税抜経理方式」の仕訳例

    「税抜き経理方式」の場合、売上と一緒に受け取る税額を「仮受消費税」、仕入れなどで支払う税額を「仮払消費税」として仕訳します。決算の際、これらを差し引きして「未払消費税」を求めておきます。そして、これを納付する際には下記のように仕訳しましょう。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年3月2日 未払消費税 100,000 現金 100,000 消費税納付

    なお、帳簿上の「未払消費税」と、実際に納付する消費税額は、切り捨てた端数などの分だけズレる場合があります。その場合、ズレた差額分を「雑収入(もしくは雑損失)」として計上しましょう。

    まとめ – 免税事業者の条件と課税事業者のポイント

    以下の条件のいずれかを満たす事業主は「免税事業者」に該当し、消費税の納付を免除されます。開業から2年間は、多くの事業主が「免税事業者」でいられます。「免税事業者でお願いシマス!」という手続きはとくに必要ありません。

    • 前々年の課税売上高が1,000万円以下である
    • 特定期間の課税売上高、もしくはその間に支払った給与が1,000万円以下である(特定期間とは前年1月1日~6月30日のこと)

    「免税事業者」でも、顧客からは消費税込みの売上金額を受け取ることができます。その場合は、消費税分の金額まで収入にカウントしてOKです。

    課税事業者がおさえるべきポイント

    「課税事業者」になったら、以下のポイントをおさえて、消費税の納付を行いましょう。

    • 納税額の基本的な計算方法は「受け取った消費税 – 支払った消費税」
    • 納税額の申告と納付は、原則として毎年1月1日~3月31日に行う
    • 前年の納税額が48万円を超えたら「中間納付」が必要になる

    帳簿づけを「税込経理方式」で行う場合、納税額は「租税公課」として経費にします。とくにこだわりがなければ、こちらの「税込経理方式」がおすすめです。

    「税抜経理方式」の場合は、受け取る消費税を「仮受消費税」、支払う消費税を「仮払消費税」として帳簿づけし、決算の際にその差額を「未払消費税」の勘定科目で仕訳します。

    \ この記事をSNSでシェアする /
    PICKUP POSTS
    ピックアップ記事
    マネーフォワード クラウド確定申告
    NEW POSTS
    に関する新着記事
    自営業の専門メディア 自営百科
    最新情報はSNSアカウントで