税金の制度が改正されたら、その改正が「いつから適用開始されるのか」をきちんと知っておく必要があります。本記事では、2019年分と2020年分とを混同しなくてすむように、適用開始のタイミングに焦点を当てて整理しました。
INDEX
目次
2019年分と2020年分の主な税制改正を整理
主な税制改正について、その時期と内容を以下のようにまとめました。たとえば、2020年分(令和2年分)に適用される所得税の税制改正は、2021年(令和3年)2月16日~4月15日に行う確定申告から反映されました。
主な税制改正について
2019年分に適用 | 2020年分に適用 | |
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確定申告期間 | 2020年2月17日~4月16日 | 2021年2月16日~4月15日 |
改正内容 |
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>> 2021年(令和3年)の確定申告期限も延長!期限は4月15日に
2019年分の確定申告では、消費税が上がって10%となり、新たに軽減税率も導入されました。元号が令和に変わった年でもあります。確定申告書も所得控除の配置が変わるなど、わずかながら様式が新しくなりました。
>> 令和元年分以降用の確定申告書について
そして、2020年分の確定申告では、各種控除に関する重要な改正がありました。基礎控除や青色申告特別控除などをはじめとした主要な控除について、要件や控除額に変更がありました。
【2019年分】主な税制改正の概要
2019年分から適用が開始される税制改正のうち、主要なものは以下の4つです。とくに消費税率が最大の変更点です。
- 消費税率が10%に引き上げられ、軽減税率8%が導入された
- 住宅ローン控除の期間が3年延長された
- ふるさと納税の指定制度が導入された
- 源泉徴収票が確定申告書に添付不要になった
消費税の増税と軽減税率の導入
2019年10月1日から、消費税が10%と8%の複数税率となりました。これにともない、消費税の確定申告を行う課税事業者は、あらかじめ帳簿に税率の区分記載をしておき、その帳簿から申告書に転記するのが基本となりました。
また、課税事業者が仕入税額控除を受けるための要件も変わり、帳簿や請求書等の保存において、税率の区分記載が必要になりました。なお、免税事業者であれば帳簿の区分記載は不要ですが、請求書等の発行にあたっては区分記載をしたほうがよいでしょう。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が3年間の延長
住宅を消費税率10%で取得し、なおかつ2020年12月31日までに入居した場合に限り、住宅ローン控除の期間が3年延長されました(10年→13年)。消費税の引き上げによる影響を考慮して導入された、あくまで一時的な措置です。
ふるさと納税の対象となる自治体は、総務大臣が指定することに
2019年6月1日に、ふるさと納税指定制度が導入されました。総務大臣の指定する団体に寄付した分しか、控除が受けられなくなったのです。指定対象外となった自治体や、指定期間が限定された自治体については、総務省サイトの該当ページからご覧いただけます。
確定申告の際、源泉徴収票の添付が不要に
2019年分の確定申告から、源泉徴収票の添付が不要になりました。確定申告を行う本人には、自宅等での保管義務もありません。ただし、確定申告書を作成する際にはこれを見ながら行うことになるので、すぐには捨てないようにしましょう。
【2020年分】主な税制改正の概要
2020年分から適用が開始される税制改正では、主に各種控除の金額や要件が変わりました。この変更は、今年(2021年)行われた確定申告からすでに適用されています。
- 青色申告特別控除の金額が、3段階に変更された
- 基礎控除額が10万円アップした
- 配偶者控除などの要件が緩和された
- 給与所得控除が10万円ダウンした
- 寡婦(夫)控除の見直し
基礎控除額の引き上げなど、かなり重要度の高い変更が含まれています。所得にかかる税金や社会保険料の金額など、広範な影響があります。
複式簿記で青色申告をしている個人事業主にとっては、青色申告特別控除の金額変更が最重要トピックです。これまで通り65万円の控除を受けるためには、「電子申告をする」などの新しい要件を満たす必要があります。
>> 青色申告特別控除の変更点
2019年分の細かい改正点について
2019年分の確定申告について、そのほかの細かい改正点が気になる人もいるかと思います。とはいえ、すべて取り上げていくときりがないので、いくつかピックアップしてご紹介します。関係なさそうであれば、読み飛ばして構いません。
- 自動車税の税率が引き下げられた(恒久的な措置)
- 自動車取得税が廃止となった
- 自動車税、軽自動車税に環境性能割が導入された
- NISA(少額投資非課税制度)の期間が5年延長された
- 仮想通貨の取得価額について「総平均法」が法定評価方法になった
自動車税率の引下げは、恒久的な減税という意味では重要な改正です。ただ、金額的には最大でも4,500円の減税なので、それほどインパクトはありません。申告や納付の手続きもこれまで通りですし、実は納税者側はあまり意識しなくてよい項目です。
NISAで投資できる期間が、元々は2023年末までの予定でしたが、2028年末まで延長されました(つみたてNISAも5年間延長され、こちらは2042年末まで)。ジュニアNISAは、当初の期限通り、2023年末をもって新規口座が開設できなくなります。