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配当所得 – 株式の配当金や投資信託の普通分配金

更新日: 2021/02/22
配当所得 – 株式の配当金や投資信託の普通分配金

「配当所得」は、基本的に源泉徴収されますから、確定申告は不要です(確定申告不要制度)。ただし、確定申告をすると節税できる場合もあります。その場合は「総合課税」と「申告分離課税」のどちらか有利な方を選んで申告しましょう。

INDEX

目次

    配当所得とは

    配当所得とは、法人から受ける以下のような配当金・分配金を指します。通常、会社が稼いだ利益の一部が、株主に還元されます。これが「配当金」です。

    配当所得に含まれるもの(主な例)

    • 上場株式の配当金
    • 非上場株式の配当金
    • 投資信託の普通分配金

    投資信託の「普通分配金」も、実態としては配当金と同じなので、配当所得に含まれます。ただし「特別分配金」は、元本を取り崩して払い戻しているだけですから非課税です。

    非課税のもの(主な例)

    • NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの配当金
    • 投資信託の特別分配金
    • 確定拠出年金の配当金

    配当所得は、種類によって計算方法などが異なります。ここからは「上場株式の配当金(大口株主を除く)」を前提として、配当所得のしくみを説明していきます。

    3つの課税方式

    通常、上場株式の配当金は、課税方式を以下の3つから任意で選択できます。所得税と住民税はあらかじめ天引き(源泉徴収)されていますから、確定申告をしないという選択も可能です(確定申告不要制度)。

    確定申告不要制度 総合課税 申告分離課税
    確定申告 しない する する
    税率* 所得税 15.315%
    住民税 5%
    所得税 約5~45%
    住民税 10%
    所得税 15.315%
    住民税 5%
    配当控除 なし あり なし
    借入金利子の控除 なし あり あり
    損益通算 できない できない できる

    *「所得税」は、所得税および復興特別所得税のこと

    上表の「配当控除」「借入金利子の控除」「損益通算」は、ある(できる)ほうが、節税面においては有利です(詳しくは後述)。ちなみに、株式投資信託の分配金も、基本的には上記の3パターンと考えて構いません。

    3つの課税方式 – 選択方法と特徴

    配当所得の3つの課税方式

    このように、確定申告で配当金の申告をしなければ、自動的に「確定申告不要制度」を選択したことになります。一方、確定申告をする場合は、上図のように申告書の種類によって「総合課税」や「申告分離課税」を選択できます。

    「確定申告不要制度」

    税率 配当控除 借入金利子の控除 損益通算
    所得税 15.315%
    住民税 5%
    × × ×

    確定申告不要制度では、上記の通り、控除や損益通算などによる節税はできません。とはいえ、「申告しなくてよい」というのは、それだけで大きなメリットです。

    そもそも、配当金がそこまで多くなければ、申告しても数千円しか節税できないこともザラです。詳しくは以下の説明をごらんください。

    「総合課税」

    税率 配当控除 借入金利子の控除 損益通算
    所得税 約5~45%
    住民税 10%
    ×

    総合課税で申告すると、以下のメリットがあります。基本的には、所得が低い人にとって有利な課税方式です。

    • 所得が低ければ税率が低くなる
    • 所得税額から「配当控除」を差し引ける
    • 収入金額から「借入金利子の控除」を差し引ける

    基本的には「配当による収入金額 = 配当所得」です。ここでいう収入金額とは、源泉徴収前の金額を指します。ちなみに、もし借入金を投資に回している場合は、その借入により生じた利子を差し引くことができます(収入金額 - 借入金利子の控除 = 配当所得)。

    配当所得の金額を求めたら、他の所得と合算して税率をかけます。総合課税の場合は、15.105~55.945%の累進税率です(所得税および復興特別所得税 + 住民税)。課税所得に応じて税率が変動するので、所得が低い人ほど有利になります。

    所得税算出のおおまかな流れ - 配当所得を総合課税で申告する

    さらに「配当控除」は、上図のように所得税額から直接差し引くことができます(住民税においても同様)。といっても、金額的にどのくらい得なのかピンと来ない人も多いでしょう。以下の例をごらんください。

    例)課税所得500万円、配当所得(上場株式の配当金)10万円
    (所得税)
    10万円 × 20% = 2万円
    2万円 - 1万円(配当控除) = 1万円

    (復興特別所得税)
    1万円 × 2.1% = 210円

    (住民税)
    10万円 × 10% = 1万円
    1万円 - 2,800円(配当控除) = 7,200円

    (合計)
    1万円 + 210円 + 7,200円 = 1万7,410円

    ※ 借入金利子はないものとし、配当所得の部分のみを考慮する

    この例では、10万円の配当所得に対して、1万7,410円の税金が生じています。つまり、実質的な税率は17.41%になるわけです。同様に、上記のケースで確定申告不要制度を選択した場合も計算してみましょう。

    (源泉徴収税額)
    10万円 × 20.315% = 2万315円

    差額は「2万315円 - 1万7,410円 = 2,905円」です。総合課税を選択したほうが、少しだけ得です。とはいえ、これくらいの金額なら、確定申告しなくて済む「確定申告不要制度」を選ぶ人も多いのではないでしょうか。

    「申告分離課税」

    税率 配当控除 借入金利子の控除 損益通算
    所得税 15.315%
    住民税 5%
    ×

    申告分離課税で申告すると、以下のメリットがあります。基本的には、上場株式を売却して損失があった人にとって有利な選択肢です。先ほどと同様に、所得税を計算する順序に沿って説明していきます。

    • 株式の売却損を差し引くこともできる(損益通算)
    • 収入金額から「借入金利子の控除」を差し引ける

    申告分離課税においては、次のように配当所得を計算します。申告書(第三表)の記載に従うと、上場株式の配当金は、正確には「上場株式等の配当等」に区分されます。この「上場株式の配当等」は、以下のように計算します。

    「上場株式等の配当等」の計算式 - 配当所得を申告分離課税で申告する

    上場株式を売却して赤字が出ている場合は、その赤字を配当で得た収入と損益通算することができます。たとえば、株式の譲渡で5万円の赤字があり、配当が12万円のときは、下図のように計算します。

    上場株式の譲渡損失を配当と損益通算する

    「確定申告不要制度」や「総合課税」を選んでしまうと、このような株式の売却損があっても損益通算ができません。したがって、上場株式等の譲渡損失がある場合は、申告分離課税を選んだほうが得と考えてよいでしょう。

    まとめ

    配当所得の範囲は、ざっくり以下のように考えられます。主に、株や投資に関するものをピックアップしています。他の所得に該当するものや、非課税のものを誤って含めないようにしましょう。

    配当所得の範囲(株や投資に関するもの)

    配当金は、原則として源泉徴収されます。証券会社で特定口座を開設する際に「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」を選択できますが、これは譲渡(売却)による収入の話です。どちらを選択しても、配当金については必ず源泉徴収されます。

    3つの課税方式

    確定申告不要制度 総合課税 申告分離課税
    確定申告 不要
    (申告書に何も書かない)
    必要
    (第一表に書く)
    必要
    (第三表に書く)
    特徴
    • 配当控除なし
    • 損益通算できない
    • 税率は一定
    • 配当控除あり
    • 損益通算できない
    • 税率は所得による
    • 配当控除なし
    • 損益通算できる
    • 税率は一定

    基本的に確定申告は不要ですが、任意で申告すれば節税できることがあります。とはいえ、よほど配当金が多い人でない限り、配当所得単体ではそれほど大きな節税にはなりません。そう考えると、確定申告不要制度も決して悪い選択肢ではありません。

    ちなみに、所得税と住民税とで異なる課税方式を選択することもできます。たとえば、所得税では「総合課税」を選びつつ、住民税では「申告不要制度」を選ぶという組み合わせも可能です。