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【雑所得】業務の必要経費はどう処理する?具体的な計上方法

更新日: 2021/03/29
【雑所得】業務の必要経費はどう処理する?具体的な計上方法

雑所得の業務で生じる必要経費について、基本的な処理方法をわかりやすく解説します。考え方は事業所得と同じですが、最大の違いは帳簿作成の義務がない点です。

INDEX

目次

    領収書や帳簿の保存義務

    雑所得の必要経費は、原則的には事業所得の必要経費と同じように処理すればOKです。ただし、領収書や帳簿の位置づけは、以下のように異なります。

    雑所得の必要経費 事業所得の必要経費
    領収書の保存 義務なし
    ※保存したほうがよい
    義務あり
    帳簿の作成・保存 義務なし 義務あり

    雑所得において、現行法では領収書や帳簿の保存は義務づけられていません。ただ、万が一の税務調査に備え、領収書は5年間保存しておくことをおすすめします。原則として、最大で過去5年分の所得が、税務調査の対象になりえます。

    【2022年分から】雑所得でも領収書の保存が必要に

    収入1,000万円超
    • 領収書などの書類保存が義務化
    • 収入と必要経費を記載した書類の添付が義務化
    収入300万円超
    • 領収書などの書類保存が義務化

    雑所得の業務で継続的に収入を得ている場合、その業務による前々年の収入金額が300万円を超えると、領収書などを保存する義務が生じます。ただし、帳簿については、いずれの場合も作成・保存の義務はありません。
    >> 雑所得の改正 – 2022年分の確定申告から適用開始

    「仕入れ」と「経費」は区別する

    必要経費の実務的な処理について、カンタンに解説していきます。必要経費は、以下のように「仕入れ」と「経費」に大別できます。それぞれ、計上時期のルールが異なるので、きちんと区別して考えましょう。

    必要経費は仕入れと経費に大別できる

    仕入れ 経費
    具体例
    • 販売する商品の仕入れ代
    • 製品の原材料費
    • 業務で使う文房具代
    • フリーマーケットの出店料
    計上時期 その商品や製品が売れた年 原則その費用が発生した年

    必要経費のうち、仕入れに該当しないものを、とくに「経費」と呼びます。たとえば、上表の電気代は、売上に直接的には貢献しません。なので「仕入れ」ではなく「経費」に分類されます。

    ①「仕入れ」の処理方法

    商品や原材料を仕入れたときに、以下の項目をメモしておきましょう。もし年末時点で売れ残りなどが発生しなければ、すべてその年の必要経費になります。

    • 買い入れた日付
    • 品名や型番など
    • 単価と個数

    雑所得の場合、帳簿を作成する義務はないので、メモ程度で構いません。ただ、業務の規模を拡大するつもりがあるなら、帳簿を作っておくと便利です。

    なお、年末時点で売れ残りなどが発生した場合は、特殊な処理が必要です。売れ残った分を、翌年以降の必要経費に回す必要があります。詳しくは、記事後半で説明します。

    ②「経費」の処理方法

    「経費」が生じたら、基本的にその年の必要経費になると考えてOKです。以下の項目をメモしておきましょう。レシートをとっておいて、足りない情報を余白に書いておくだけでもOKです。

    • 経費が生じた日付
    • 使途(例:消耗品費、交通費、シェアオフィス使用料)
    • 金額
    • 備考(例:A社と打ち合わせ)

    ただし、計上時期については「前払金」や「減価償却費」といった例外もあります。これらは、特殊な処理が必要なので注意しましょう。

    特殊な必要経費に注意!

    以下の項目に関する必要経費は、特殊な処理が必要です。きちんと処理をしないと、税額を正しく計算できない恐れがあります。

    • 業務に必要なものを前払いで買ったとき
    • 商品が売れ残ったとき
    • プライベートでも使用するものなどを買ったとき
    • 10万円以上の備品などを買ったとき

    上記の各項目について、要点だけサラッとまとめておきます。

    前払いで買ったとき(前払金)

    • 物やサービスを買ってお金を払い、その対価を年内に受けられないとき
    • 対価を受けるまでは、必要経費に含められない
    • 対価を受けたら、そのタイミングで必要経費にカウントする*

    *「短期の前払費用」についてはこの限りではない

    商品が売れ残ったとき(棚卸資産)

    • 売れていない商品などの在庫を「棚卸資産」という
    • 12/31の時点で、在庫品の数や状態を確認する(= 棚卸し)
    • 在庫品の合計金額を計算し、当年の必要経費には含めないようにする

    費用がプライベートにも関係するとき(家事按分)

    • 業務とプライベートの両方に関係する費用を「家事関連費」という
    • 家事関連費は、全額を必要経費にはできない
    • 業務に必要な部分のみ、必要経費にできる(家事按分

    10万円以上の備品などを買ったとき(減価償却)

    • 取得価額10万円以上で、1年以上使えるものは「減価償却」する
    • その費用は、複数年に分けて経費計上するのが原則
    • 何年にわたって経費計上するかは、ものによって異なる
    • 例えばパソコンなら4年で経費計上するよう法的に定められている

    まとめ

    雑所得だからといって、必要経費に関して特別なことは基本的にありません。ただ、事業所得の場合と違って、帳簿を作成しなくてもよいので、その点は雑所得のほうが気楽です。

    雑所得の必要経費 – 重要ポイントまとめ

    • 領収書や帳簿の保存義務はない
    • 義務はないが、税務調査に備えて領収書は5年保存したほうがいい
    • 「仕入れ」と「経費」を区別して考える
    • 仕入れた商品が売れ残ったら「棚卸し」をする
    • 特殊な必要経費(減価償却費など)には要注意

    雑所得の業務に関する必要経費について、金額に上限や下限は定められていません。実額ベースでルール通りに計算した結果であれば、その全額を必要経費として構いません。とはいえ、もし雑所得で赤字が発生しても、他の所得と損益通算はできません。