2024年(令和6年)に提出する「2023年分の確定申告書類」の様式案が公開されました。前年分から大きな変更点はありませんが、青色申告者はちょっと記入項目が増えます。
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目次
2024年に提出する確定申告書類【変更点まとめ】
2024年2月16日~3月15日に提出する「2023年分の確定申告書類」の様式案が公開されました。あとで変更される可能性もありますが、例年通りならこのまま正式版となります。正式版は12月ごろ公開されるのが通例です。
確定申告書類の主な変更点
確定申告書 第一表・第二表 |
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・親族欄の書き方が変わった ・住民税の欄が少なくなった |
収支内訳書(白色申告の個人事業主・雑所得者) |
・取引先の「登録番号」を任意で記入する欄が新設された |
青色申告決算書(青色申告の個人事業主) |
・売上と仕入の明細欄が新設された ・取引先の「登録番号」を任意で記入する欄が新設された |
青色申告をする個人事業主や副業会社員は、青色申告決算書に「売上金額の明細」と「仕入金額の明細」欄が追加された点に注意しましょう(詳細は後述)。個人事業主向けの会計ソフトで申告書類を作る場合は、自動で入力されるので気にしなくてOKです。
収支内訳書と青色申告決算書に追加された「登録番号」という項目ですが、これはインボイスを発行する課税事業者に割り振られている「T+13桁の数字」のことです。といっても、記入は任意なので、登録番号を書かなくても支障はありません。
確定申告書 第一表・第二表(案)
確定申告書の「第一表」は変更されておらず、「第二表」のみ一部変更されています。第一表・第二表は必ずセットで提出するので、正式版が出たら新しい様式を入手しましょう。
申告書 第一表の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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第一表は、枠外の表記が「令和五年分以降用」に変わっている程度です。枠内の記入欄については、以前とまったく同じです。
申告書 第二表の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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第二表の変更点は下記の2点です。主に、海外に住んでいる親族へ生活費の仕送りをしている人や、株に関する確定申告をする人に影響があります。
- 配偶者や親族:「国外居住」欄の書き方が変わる
- 住民税:特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄が消えた
「国外居住」欄の変更は、2023年1月から扶養控除の要件が厳しくなった影響と考えられます。海外の親族は、以前よりも扶養控除を受けづらくなっています。詳しい書き方は、正式版の様式とともに12月ごろに公開されるはずです(現時点では詳細不明)。
「申告不要制度」とは、ごく簡単に言うと、特定の上場株式などによる収入を「申告しなくてもOK」とする制度です。2023年分のルール改正により、住民税に関してはこの制度が自動適用されることになりました。それにともない、記入欄も消えたと考えられます。
収支内訳書(案)
収支内訳書の1ページ目は前年とまったく同じです。2ページ目も基本的にはレイアウトが変わっただけで、書く内容はほぼ変わりません。
収支内訳書 1ページ目の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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1ページ目は、枠外の表記が「令和五年分以降用」に変わっている程度です。枠内の記入欄については、以前とまったく同じです。
収支内訳書 2ページ目の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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2ページ目の「売上金額の明細」と「仕入金額の明細」欄には、取引先の「登録番号」を記入できるようになりました。インボイスの登録番号を書けば、所在地の記入を省略できるそうです。所在地を書けば、登録番号は書かなくてもOKです(国税局に確認済)。
青色申告決算書(案)
青色申告決算書は全部で4ページありますが、目立った変更点があるのは3ページ目くらいです。ほかのページは、ほとんど変わっていません。
なお、青色申告決算書の様式が新しくなるのは、2020年分(令和2年分)以来のことです。したがって、2020年分~2022年分の申告では「令和二年分以降用」の様式が用いられました。
青色申告決算書 1ページ目の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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1ページ目の損益計算書は、枠外の「令和五年分以降用」などの表記が新しくなっているのみで、記入欄は一切変わっていません。
青色申告決算書 2ページ目の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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2ページ目は、若干レイアウトが変わっています。もともと3ページ目に配置されていた「地代家賃の内訳」欄が、この2ページ目に移動しています。その影響で「給料賃金の内訳」と「専従者給与の内訳」欄が圧縮され、一行ずつ少なくなっています。
青色申告決算書 3ページ目の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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3ページ目には「売上(収入)金額の明細」と「仕入金額の明細」が新設されています。ここには、主要取引先の名称・取引額などを記入します。ちょっと面倒そうですが、個人事業主向けの会計ソフトを使えば自動で記入欄を埋めてくれるので、それほど手間はかからないでしょう。
新設された欄には、取引先の「登録番号」も記入できます。インボイスの登録番号を書けば、所在地の記入を省略できるそうです。所在地を書けば、登録番号は書かなくてもOKです(国税局に確認済)。
青色申告決算書 4ページ目の変更点【新旧比較】
新:2023年分 | 旧:2022年分 |
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4ページ目の貸借対照表は、何も変わっていません。枠外の「令和五年分以降用」などの表記のみ、新しくなっています。
まとめ ‐ 令和6年に提出する新様式の一覧
2024年(令和6年)に提出する「2023年分の確定申告書類」の様式案が公開されました。大きな変更点はありませんが、青色申告に関しては少し記入欄が増えているので注意しましょう。
2023年分の確定申告書(案)
第一表 | 第二表 |
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確定申告書の第一表は以前と変わっていません。第二表の変更点も、多くの人には影響しないでしょう。特殊なケースで、海外の家族に仕送りしている人や、株に関して住民税の申告不要制度を使っている人には影響があります。
2023年分の収支内訳書(案)
1ページ | 2ページ |
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収支内訳書の1ページ目はとくに変更されていません。2ページ目には、取引先のインボイス登録番号を書く欄が追加されています。といっても、登録番号は書かなくても支障ないので、実質的には何も変わっていないと思ってOKです。
2023年分の青色申告決算書(案)
1ページ | 2ページ |
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3ページ | 4ページ |
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青色申告決算書は、3ページ目以外はほとんど変わっていません。3ページ目には、主要取引先に関する記入欄が新設されました。取引額やインボイス登録番号などの記入欄がありますが、登録番号は書かなくても問題ありません。
会計ソフトを使って確定申告書類を作成する場合は、最適な様式を勝手に選んで自動生成してくれます。その場合は、どこがどう変わったのか細かく把握しておく必要はありません。