個人事業主が確定申告で提出する主な書類についてまとめました。白色申告者は「収支内訳書」を、青色申告者は「青色申告決算書」を提出します。これに加えて、個人事業主は全員「確定申告書」と「添付書類台紙」を提出します。
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目次
確定申告の提出書類
個人事業主が確定申告で提出する書類は以下の通りです。白色申告者は「収支内訳書」を、青色申告者は「青色申告決算書」を提出します。「確定申告書」と「添付書類台紙」は、白色・青色どちらの申告方法でも必ず提出が必要です。
これらの書類は、税務署の窓口で手に入るのはもちろん、国税庁のウェブサイトからもダウンロードできます。
提出書類① 収支内訳書 or 青色申告決算書
「収支内訳書」や「青色申告決算書」は、収入や必要経費といった収支の内訳について、帳簿を元にまとめる書類です。事業を営む上で得た所得を算出し、その内訳を示すのが主な目的です。白色申告では収支内訳書を、青色申告では青色申告決算書を提出します。
これらの書類は、所得の種類ごとに別々の用紙が設けられていますが、通常は「一般用」を利用すればOKです(詳しくは後述)。
【白色申告の場合】収支内訳書
収支内訳書は全2ページ構成です。完成させれば、1年間の売上金額や仕入金額、必要経費などを一目で確認できます。
1ページ目 | 2ページ目 |
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1ページ目には、収入・必要経費の内訳などを、2ページ目には、売上先・仕入先の詳細や減価償却費などを記入します。会計ソフトを使わず、自力で計算して記入する場合は、2ページ目→1ページ目の順番で記入するとスムーズです。
【青色申告の場合】青色申告決算書
青色申告決算書は全4ページで構成されています。簡単に言えば「収支内訳書の詳細バージョン」です。
1ページ目 | 2ページ目 | 3ページ目 | 4ページ目 |
---|---|---|---|
1ページ目は「損益計算書」と呼ばれ、ここに収入や必要経費の金額について情報をまとめます。2・3ページ目は、損益計算書の内訳を記入します。4ページ目には、資産や負債の状況を表す「貸借対照表」と、「製造原価の計算」の記入欄が設けられています。
青色申告65万円・55万円控除をねらわないのであれば、貸借対照表の記入は不要です。また原価計算を行っていない人は、製造原価の計算も必要ありません。
実際に記入するときは、たとえば、2→3→1→4ページの順番で記入を進めていくと、効率よく記入できるはずです。必ずしも1ページ目から順番に記入する必要はありません。
青色申告決算書の書き方・記入例【青色申告の決算書】
なお、青色申告決算書には「現金主義用」の用紙も存在します。これを利用するには一定の要件を満たす必要があり、控除額も10万円に限定されます。
所得の種類ごとに専用の書類が用意されている
収支内訳書や青色申告決算書には、所得の種類に応じて「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」の3種類が用意されています。農業所得や不動産所得を得ている事業主は、該当する用紙を利用しましょう。
提出書類② 確定申告書
個人事業主は、確定申告書の「第一表」と「第二表」を提出します。白色・青色のどちらも同じ用紙を使います。他に「第三表」と「第四表」もありますが、これらは特殊な状況でしか使いません。
第一表 | 第二表 |
---|---|
所得税の計算過程を記入する | 所得控除等の詳細を記入する |
2021年分以前の申告では「申告書B」という様式を用いる
事業所得のほかにも収入がある人は、それらも併せて記入します(10種類の所得)。「第二表→第一表」の順番で書くとスムーズです。
確定申告書 第一表の書き方【個人事業主・会社員】記入例つき
「所得から差し引かれる金額」には所得控除を記入する
所得控除とは、所得金額から一定額を差し引くことのできる控除のこと。所得税は、一年間の所得金額から納税額を計算するので、所得控除をしっかり活用することが節税につながります。10種類以上の所得控除が設けられています。
所得控除を受ける際は、まず確定申告書の「所得から差し引かれる金額」部分に控除額を記入します。そして、必要に応じて証明書などを添付することで申告できます。
提出書類③ 添付書類台紙
「添付書類台紙」は、確定申告で必要になる添付書類を貼り付けるための用紙です。ここに必要書類をのりなどで貼り付けて、申告書と一緒に提出します。なお、e-Taxで電子申告を行う場合、多くの添付書類はその提出を省略できます。
e-Taxならほとんどの添付書類を省略できる!
本人確認書類
確定申告書類を郵送で提出する場合、マイナンバーが記載された本人確認書類のコピー(両面分)を添付する必要があります(詳しくは後述)。税務署の窓口で提出するのであれば、本人確認書類は提示するだけで構いません。
控除関係書類
所得控除を受ける際は、証明書や領収書などの添付書類が必要です。たとえば、医療費控除を受ける際は「医療費控除の明細書」が、ふるさと納税をして寄附金控除を受ける際は「寄附金の受領証」が必要です。
2019年分から源泉徴収票は添付不要に
2018年分の確定申告まで、給与所得を受け取っている事業主は「源泉徴収票」原本の提出義務がありました。2019年分(令和元年)の確定申告から、 源泉徴収票の添付は不要となりました。
ただし、源泉徴収票の内容については引き続き申告が必要なので、 確定申告書の該当する記入欄に、必要事項を記入しましょう。
主な所得控除の添付書類について
主な所得控除について、確定申告時に必要となる添付書類をまとめました。
主な所得控除の添付書類
主な添付書類 | |
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医療費控除 | 医療費控除の明細書 ※別途作成が必要 |
セルフメディケーション税制による医療費控除の特例 | セルフメディケーション税制の明細書 ※別途作成が必要 |
社会保険料控除 | 国民年金 →社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 国民健康保険 →証明書は不要(通知書をもとに金額を記入) |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済等掛金払込証明書 ※確定拠出年金(iDeCo)の場合も添付書類は同様 |
生命保険料控除 | 生命保険料控除証明書 |
寄附金控除 | ふるさと納税 → 寄附金受領証明書 |
医療費控除とセルフメディケーション税制を受ける場合、上記の明細書を提出することで、領収書の提出を省略することができます。ただし領収書は、確定申告をしてから5年間は保管するよう義務づけられています。
電子申告なら添付書類を省略できる
e-Taxとは、確定申告などの国税に関する様々な手続きについて、インターネット上で電子的に手続きが行えるシステムです。e-Taxを利用する大きなメリットは、確定申告の内容をパソコンからネット経由で送信できる事です。
収支内訳書や青色申告決算書、確定申告書は、e-Taxからデータ作成と提出が可能です。また、多くの添付書類については、e-Taxから電子申告することによって提出を省略できます。
e-Taxを利用することで省略できる主な添付書類
- 医療費の領収書
- セルフメディケーション税制の対象となる医薬品を購入した際の領収書
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
- 小規模企業共済等掛金払込証明書
- 生命保険料控除証明書
- 寄附金受領証明書
このように、所得控除に関する添付書類の多くは、e-Taxを利用することでその提出を省略できます。
なお、医療費やセルフメディケーション税制に関係する領収書は、直接提出や郵送で提出する場合も、明細書を提出することで添付を省略できます。e-Taxを利用すれば「確定申告書等作成コーナー」で作成した明細書のデータを、そのまま送信することになります。
省略可能な添付書類はほかにもありますが、ここでは代表的なものを紹介しました。より詳しく知りたい方は、e-Taxウェブサイトの該当ページから確認してください。
申告書の提出時に必要なもの
申告書の提出方法は「税務署の窓口に直接提出」「税務署宛てに郵送」「e-Taxで電子申告」の3パターンです(「e-Taxで電子申告」の場合は、紙ではなくデータで申告内容を送信することになります。)。
確定申告書の提出方法について詳しく【直接提出・郵送・e-Tax】
【提出方法別】申告時に必要なもの
税務署の窓口に直接提出 | 税務署宛てに郵送 | e-Taxで電子申告 |
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マイナンバーカード+ICカードリーダー (もしくは、税務署の窓口で事前の本人確認) |
開業届の提出時などにマイナンバーの番号確認が済んでいる人で、なおかつ青色申告者であれば、マイナンバーの番号確認は省略することができます。
税務署の窓口に直接提出する場合
窓口に提出する際は、番号確認書類と身元確認書類の原本を、それぞれ提示しましょう(添付書類台紙に、それらのコピーを貼り付ける方法でも構いません)。筆記用具は必須ではありませんが、持っていくと書類に不備があった際にその場で修正できます。
税務署宛てに郵送する場合
郵送であれば、番号確認書類と身元確認書類それぞれの写し(コピー)を、添付書類台紙に貼り付けて提出します。また控えが必要な場合は、確定申告書類の控えに加えて、自身の住所を記載して切手を貼り付けた返送用封筒を同封しておけば、税務署が控えにハンコを押して返送してくれます。
e-Taxで電子申告する場合
e-Taxで電子申告を行うのであれば、本人確認書類は不要です。ただし、事前に税務署で本人確認を済ませておくか、マイナンバーカードとICカードリーダーを用意しておく必要があります(カードリーダーはスマホで代用もできる)。
申告時の本人確認書類
確定申告書類を提出する際は、以下のような本人確認書類が必要です。
マイナンバーカードを持っていれば、番号確認と身元確認がこれひとつで可能です。ただ、発行には事前申請が必要です。未発行の場合は、マイナンバーを確認できる書類(通知カードなど)に加えて、身元を確認できる書類(運転免許証など)を用意しましょう。
2023年分の確定申告期間はいつ?
2024年分(令和6年分)の確定申告期間は、2025年2月17日(月)~3月17日(月)です。2024年1月1日~12月31日分の会計結果についてまとめ、確定申告の期間中に申告を行います。
期限日を過ぎた後に確定申告を行った場合、ペナルティとして追加で税金を課されることもあるので、確定申告は必ず期限内に済ませるようにしましょう。
気づいたら確定申告期間が終わってた!というアナタへ
まとめ
確定申告における提出書類は以下のとおりです。2024年分の確定申告であれば、2024年1月1日~12月31日の会計結果をまとめ、2025年2月17日(月)~3月17日(月)に必要書類を提出します。
【申告方法別】確定申告時の提出書類
白色申告 | 青色申告 |
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添付書類台紙には、「番号(マイナンバー)確認」と「身元確認」ができる書類のコピーをそれぞれ貼り付けるのが基本です。これに加えて、所得控除に関する証明書などを貼り付けます。
【提出方法別】申告時に必要なもの
税務署の窓口に直接提出 | 税務署宛てに郵送 | e-Taxで電子申告 |
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マイナンバーカード+ICカードリーダー (もしくは、税務署の窓口で事前の本人確認) |
番号確認書類と身元確認書類は、マイナンバーカードを発行済みであれば、これ1枚で両方の確認ができます。未発行の場合は、マイナンバーを確認できる書類(通知カードなど)に加えて、身元を確認できる書類(運転免許証など)を用意しましょう。
e-Taxを利用して電子申告するのであれば、これらの確認書類は不要です。そのかわり、マイナンバーカードとICカードリーダーを用いて、公的個人認証(ネット上での本人確認)を行います。