所得税の申告手続きについて、有効期間を図でわかりやすく整理しました。通常の確定申告は、原則として会計期間の翌年3月15日が期限です(土日祝と重なる場合は翌平日)。還付申告・修正申告・更正の請求は、非常に大雑把にいうと、どれも大体5年は有効です。
INDEX
目次
期間の一覧表
確定申告や還付申告の期間をまとめると、下図のようになります。
確定申告 | 納付する税額を確定させる |
---|---|
還付申告 | 納めすぎた税金を返してもらう |
修正申告 | 過少に申告した税額を修正する |
更正の請求 | すでに確定した税額を減らしてもらう |
還付申告を行い、それについて更正の請求を行う場合は「還付申告書の提出日から5年」が期限となるので、上表よりも有効期間が大幅に延びることがあります(詳しくは後述)。
確定申告の期間
確定申告は、原則2月16日~3月15日に行います(土日祝なら翌平日へ繰越し)。この申告期間内なら、何度でも申告書を提出し直すことができます。その場合、最後に提出したものが正式な申告書として処理されます(訂正申告)。
申告期間を過ぎてしまったら
上記の期間を過ぎても、確定申告をすること自体は可能です(期限後申告)。しかし、経過日数などの状況によっては、延滞税や無申告加算税といったペナルティを受ける恐れがあります。申告義務のある人は、できるだけ速やかに申告手続きを済ませましょう。
>> 確定申告期間について詳しく
還付申告の期間
還付申告は、会計期間の翌年1月1日から5年間にわたって有効です。還付申告とは「税金の還付を受けるために行う確定申告」のことです。
以下のように、最大で5年さかのぼって申告手続きが可能です。たとえば2025年の時点であれば、2020年分(令和2年分)の還付申告ならまだ間に合います。
2020年分 | 2025年(令和7年)12月31日 まで |
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2021年分 | 2026年(令和8年)12月31日 まで |
2022年分 | 2027年(令和9年)12月31日 まで |
2023年分 | 2028年(令和10年)12月31日 まで |
2024年分 | 2029年(令和11年)12月31日 まで |
ただし、一度提出した還付申告書について、本来の確定申告期限(原則3月15日)を過ぎた後で提出し直すことはできません。もし過去に行った還付申告に誤りがあって、それを正すことで税額が増えるなら「修正申告」、税額が減るなら「更正の請求」を行いましょう。
>> 還付申告について詳しく
修正申告の期間
修正申告は、本来納めるべき税額よりも少なく申告したときに、それを正すために行います。なので、気づいたらすぐに修正申告をしましょう。これを怠ると、以下のようなペナルティを課されることがあります。
なお、上図は原則的な期日です。2025年の申告期限は3月17日なので、延滞税や過少申告加算税は翌日の3月18日から計算します。
>> 修正申告について詳しく
更正の請求の期間
更正の請求は、すでに確定した税額を減額してもらう手続きです。更正の請求ができるのは、基本的に確定申告期限(原則3月15日)から5年間です。
もし還付申告の内容について更正の請求を行う場合には、有効期限は下図のように「還付申告をした日から5年間」となります(国税通則法70条1項1号)。
還付申告に対して更正の請求を行う場合
ちなみに、修正申告を行った場合について、更正の請求の有効期限が「修正申告をした日から5年間」になることはありません。還付申告の場合が例外なのであって、修正申告の場合は「本来の申告期限から5年間」という原則に従うためです。
まとめ
2024年分の会計期間に焦点を当て、改めて「確定申告・還付申告・修正申告・更正の請求」の期間を整理しておきます。
確定申告
上図では、2025年1月1日~2月16日が空白になっていますが、この空白期間に申告書を提出しても問題なく受け付けてもらえます(所得税基本通達120-2)。
還付申告
所得税のことだけを考えるなら、還付申告は5年以内に行えば問題ありません。ただ、住民税や国保の関係で、早めに申告したほうがよいケースもあります。その場合、会計期間の翌年6月ごろが一つの目安です。
修正申告
上図に「5年間」とありますが、5年以内ならいつでもよいという意味ではありません。延滞税の計算上、時間が経つほど不利になるので、できるだけ早く申告しましょう。
更正の請求
原則として、法定申告期限から5年以内なら更正の請求ができます。なお、還付申告を行った場合は、その還付申告日から5年以内となります。