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一時所得 – これって確定申告は必要?

更新日: 2020/10/20
一時所得 – これって確定申告は必要?

一時所得」は、50万円の特別控除があるうえに、その2分の1しか課税対象にならないので、確定申告が必要になるケースはそう多くありません。とはいえ、所得金額やその他の状況によっては申告しなくてはならないので、具体例を用いてカンタンに解説します。

INDEX

目次

    一時所得を得たら確定申告すべき?

    まずは一般的な会社員を想定し、一時所得の申告義務について考察していきます。個人事業主の場合については、記事後半から解説しています。

    • 一ヶ所の勤務先からのみ給与を得ている
    • その給与収入は2,000万円以下
    • その給与のすべてが源泉徴収されている(または年末調整済み)

    上記の3つすべてに当てはまる場合、給与所得と退職所得を除いた所得が20万円以下であれば、まず確定申告の義務がないと考えてよいです(細かな部分は「給与所得者で確定申告が必要な人 – 国税庁 」をご参照ください)。

    つまり、給与以外に得た所得が一時所得だけであれば、それが少額なら確定申告をしないで済むということです。具体的には、以下の計算式で算出する「課税対象となる金額」が20万円を超えるか否かで判断します。

    一時所得と確定申告 - 給与以外が一時所得だけの場合

    一時所得を算出する際は、「収入を得るために支出した金額」と「最高50万円の特別控除」が差し引けます。さらに、一時所得の課税対象となるのは、一時所得の金額の半分であり、ほかの所得と比べると課税されにくくなっています。

    一時所得の計算例 -「20万円」のボーダー

    一時所得の「課税対象となる金額」を試算してみましょう。まず「生命保険の満期保険金を一時金として受け取った」という例で考えていきます。

    例示①
    生命保険の満期保険金500万円を受け取った。支払った保険料の合計額は420万円である。

    この場合、支払った保険料は「収入を得るために支出した金額」として差し引けます。また、一時所得の特別控除額(50万円)も差し引くことができます。

    500万円 - 420万円 - 50万円 = 30万円(一時所得の金額)
    30万円 ÷ 2 = 15万円(課税対象となる金額)

    計算した結果、上記のとおり「課税対象となる金額」は15万円で、基準の「20万円」以下です。したがって、この一時所得についての確定申告は不要です。

    次に「競馬の配当金」を例に考えてみます。

    例示②
    2万円で購入した馬券が当選し、100万円の配当金を受け取った

    以下のとおり、計算結果は24万円となり、基準の「20万円」を超えてしまいます。この場合、確定申告をする必要があります。

    100万円 - 2万円 - 50万円 = 48万円(一時所得の金額)
    48万円 ÷ 2 = 24万円(課税対象となる金額)

    収入金額から差し引ける「収入を得るために支出した金額」には、“直接”必要となった金額だけを算入できます。ですから、当たり馬券の購入費用は収入金額から差し引けますが、ハズレ馬券の購入費用に関しては差し引くことができません。

    確定申告書Aの記入方法

    一般的に、会社員などの給与所得者が確定申告で提出するのは「確定申告書A」です。

    確定申告書A 第一表 確定申告書A 第二表
    「確定申告書A 第一表」で一時所得に関連する箇所 「確定申告書A 第二表」で一時所得に関連する箇所

    第一表の記入方法

    まず、第一表ですが「収入金額等 一時(オ欄)」に一時所得の金額を記入します。そして、一時所得の金額の半分の金額を「所得金額 一時(④欄)」に記入します。

    【確認】一時所得の計算式
    総所得金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除 = 一時所得
    (課税対象となるのは、一時所得の2分の1)

    「雑所得・一時所得等の源泉徴収税額の合計額(㊷欄)」は、一時所得などにおいて源泉徴収があった場合に記入する欄です。

    第二表の記入方法

    第二表の「雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」には、一時所得の詳細を記入します。たとえば、その一時所得が生命保険の満期保険金であれば、「日本生命保険 生命保険金」のように記入して、出どころを明らかにしておきます。

    「還付申告」は任意

    確定申告が義務でなくても、申告することで還付金が受け取れるケースがあります。このような申告を「還付申告」といいます。以下に当てはまる場合、還付申告によって還付金を受け取れる可能性があります。

    給与所得者が還付金を受け取れる主なケース

    • 年末調整を受けていない
    • 年末調整で申請できない控除を受けたい
    • 年末調整で控除の記入を忘れた

    たとえば「医療費控除」「寄附金控除」などは年末調整で申請することができません。これらの控除を受けたければ、還付申告を行いましょう。控除額が多いほど、節税につながります(所得控除について詳しく)。

    控除額が多い場合と少ない場合の所得税の違い

    【個人事業主の場合】48万円以下なら申告不要!

    個人事業主の場合、年間の合計所得が48万円以下であれば確定申告の義務はありません(所得税法 第120条第1項)。この「48万円」は、もし仮に事業所得と一時所得しか得ていなければ、「事業所得」と「一時所得の2分の1」を合わせた金額で考えます。

    事業所得 収入 - 必要経費 = 事業所得
    一時所得 総所得金額 - 特別控除 - 収入を得るために支出した金額 = 一時所得
    (課税対象となるのは、一時所得の2分の1)
    課税対象 事業所得 + 一時所得(1/2) = 課税対象 ←48万円以下なら申告不要

    「事業による収入を得つつ、生命保険の満期保険金を一時金として受け取った」というケースで試算してみます。

    例示
    事業による収入が、年間で400万円あった。必要経費は360万円
    また、生命保険の満期保険金300万円を受け取った。支払った保険料の合計額は240万円である。

    それぞれの金額を求める式は、以下のようになります。

    事業所得の金額:400万円 - 360万円 = 40万円

    一時所得の金額:300万円 - 240万円 - 50万円 = 10万円
    合計所得に含める金額:10万円 ÷ 2 = 5万円

    合計所得の金額:40万円 + 5万円 = 45万円

    このケースなら合計所得が45万円なので「48万円」の基準には達さず、確定申告の義務はありません。ただし、申告が不要といっても、事業所得に関しては「帳簿の作成・保存」の義務があります(一時所得に関しては義務なし)。

    【個人事業主の場合】確定申告書Bの記入方法

    個人事業主が確定申告で提出する書類のうち、一時所得に関係があるのは「確定申告書B」です。以下の4ヶ所に記入欄があります。

    確定申告書B 第一表 確定申告書B 第二表
    「確定申告書B 第一表」で一時所得に関連する箇所 「確定申告書B 第二表」で一時所得に関連する箇所

    なお、個人事業主は「確定申告書B」のほかに「決算書」の提出も必要です。白色申告では「収支内訳書」、青色申告では「青色申告決算書」が、その決算書にあたります。
    >> 個人事業主が確定申告で提出する書類について詳しく

    まとめ

    本記事では、一時所得を得た場合の申告義務について、会社員の場合と個人事業主の場合に分けて解説してきました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。

    一時所得のポイント

    • 一時所得の計算では「収入を得るために支出した金額」が差し引ける
    • 特別控除50万円」も差し引ける
    • 課税対象となるのは、算出された一時所得の2分の1の金額
    • 確定申告書の第一表と第二表に、一時所得に関する記入欄がある

    冒頭で示した一般的な会社員を想定する場合、下記のようになります。給与以外に得た所得が一時所得だけであれば、その一時所得を2分の1にした金額が20万円以下であるなら、その一時所得について確定申告をする必要はありません。

    一般的な会社員の場合 – 一時所得の申告

    • 「一時所得の2分の1」の金額が20万円を超えたら確定申告が必要
    • 一般的には「確定申告書A」で申告する

    個人事業主の場合は、本業の所得である「事業所得」があるはずなので、一時所得の有無に関わらず確定申告するのが基本です。ただし、合計所得が48万円以下なら、必ずしも確定申告をする必要はありません。

    個人事業主の場合 – 一時所得の申告

    • 事業所得や一時所得(1/2)の合計が、48万円以下なら確定申告しなくてよい
    • 申告する場合は「確定申告書B」で申告する

    確定申告の義務がある場合、確定申告期間(原則2月16日~3月15日)にきちんと申告しましょう。義務がなければ申告しなくても大丈夫ですが、あえて申告することで、還付金を受け取れることもあります。

    ちなみに、一時所得のごく一部は、確定申告が不要な「源泉分離課税」の対象です。これに該当する所得は、源泉徴収によって課税関係が完結するので、「48万円」「20万円」の基準は関係ありません。