自営業がとことん分かるメディア

一時所得 – これって確定申告は必要?

更新日: 2022/12/14
一時所得 – これって確定申告は必要?

一時所得」は、50万円の特別控除があるうえに、その2分の1しか課税対象にならないので、確定申告が必要になるケースはそう多くありません。とはいえ、所得金額やその他の状況によっては申告しなくてはならないので、具体例を用いてカンタンに解説します。

INDEX

目次

    一時所得を得たら確定申告すべき?

    まずは一般的な会社員を想定し、一時所得の申告義務について考察していきます。個人事業主の場合については、記事後半から解説しています。

    • 一ヶ所の勤務先からのみ給与を得ている
    • その給与収入は2,000万円以下
    • その給与のすべてが源泉徴収されている(または年末調整済み)

    上記の3つすべてに当てはまる場合、給与所得と退職所得を除いた所得が20万円以下であれば、まず確定申告の義務がないと考えてよいです。
    会社員の確定申告義務について詳しく

    つまり、給与以外に得た所得が一時所得だけであれば、それが少額なら確定申告をしないで済むということです。具体的には、以下の計算式で算出する「課税対象となる金額」が20万円を超えるか否かで判断します。

    一時所得と確定申告 - 給与以外が一時所得だけの場合

    一時所得を算出する際は、「収入を得るために支出した金額」と「最高50万円の特別控除」が差し引けます。さらに、一時所得の課税対象となるのは、一時所得の金額の半分であり、ほかの所得と比べると課税されにくくなっています。

    一時所得の計算例 -「20万円」のボーダー

    一時所得の「課税対象となる金額」を試算してみましょう。まず「生命保険の満期保険金を一時金として受け取った」という例で考えていきます。

    例示①
    生命保険の満期保険金500万円を受け取った。支払った保険料の合計額は420万円である。

    この場合、支払った保険料は「収入を得るために支出した金額」として差し引けます。また、一時所得の特別控除額(50万円)も差し引くことができます。

    500万円 - 420万円 - 50万円 = 30万円(一時所得の金額)
    30万円 ÷ 2 = 15万円(課税対象となる金額)

    計算した結果、上記のとおり「課税対象となる金額」は15万円で、基準の「20万円」以下です。したがって、この一時所得についての確定申告は不要です。

    次に「競馬の配当金」を例に考えてみます。

    例示②
    2万円で購入した馬券が当選し、100万円の配当金を受け取った

    以下のとおり、計算結果は24万円となり、基準の「20万円」を超えてしまいます。この場合、確定申告をする必要があります。

    100万円 - 2万円 - 50万円 = 48万円(一時所得の金額)
    48万円 ÷ 2 = 24万円(課税対象となる金額)

    収入金額から差し引ける「収入を得るために支出した金額」には、“直接”必要となった金額だけを算入できます。ですから、当たり馬券の購入費用は収入金額から差し引けますが、ハズレ馬券の購入費用に関しては差し引くことができません。

    「還付申告」は任意

    確定申告の義務がなくても、申告することで還付金が受け取れるケースがあります。このような申告を「還付申告」といいます。以下に当てはまる場合、還付申告によって還付金を受け取れる可能性があります。

    給与所得者が還付金を受け取れる主なケース

    • 年末調整を受けていない
    • 年末調整で申請できない控除を受けたい
    • 年末調整で控除の記入を忘れた

    たとえば「医療費控除」や「寄附金控除」は年末調整で申請できません。これらの控除を受けたければ、還付申告を行いましょう。控除額が多いほど、節税につながります。

    控除額が多い場合と少ない場合の所得税の違い

    【個人事業主の場合】48万円以下なら申告不要!

    個人事業主の場合、年間の合計所得が48万円以下であれば確定申告の義務はありません(所得税法 第120条第1項)。この「48万円」は、もし仮に事業所得と一時所得しか得ていなければ、「事業所得」と「一時所得の2分の1」を合わせた金額で考えます。

    事業所得 収入 - 必要経費 = 事業所得
    一時所得 総所得金額 - 特別控除 - 収入を得るために支出した金額 = 一時所得
    (課税対象となるのは、一時所得の2分の1)
    課税対象 事業所得 + 一時所得(1/2) = 課税対象 ←48万円以下なら申告不要

    「事業による収入を得つつ、生命保険の満期保険金を一時金として受け取った」というケースで試算してみます。

    例示
    事業による収入が、年間で400万円あった。必要経費は360万円
    また、生命保険の満期保険金300万円を受け取った。支払った保険料の合計額は240万円である。

    それぞれの金額を求める式は、以下のようになります。

    事業所得の金額:400万円 - 360万円 = 40万円

    一時所得の金額:300万円 - 240万円 - 50万円 = 10万円
    合計所得に含める金額:10万円 ÷ 2 = 5万円

    合計所得の金額:40万円 + 5万円 = 45万円

    このケースなら合計所得が45万円なので「48万円」の基準には達さず、確定申告の義務はありません。ただし、申告が不要といっても、事業所得に関しては「帳簿の作成・保存」の義務があります(一時所得に関しては義務なし)。

    確定申告書の記入方法

    確定申告書では、主に以下の4ヶ所に一時所得に関する記入欄があります。

    確定申告書 第一表 確定申告書 第二表
    「確定申告書 第一表」で一時所得に関連する箇所 「確定申告書 第二表」で一時所得に関連する箇所

    2022年分からは「確定申告書A」と「確定申告書B」が統合されている

    第一表の記入欄

    一時 一時所得の金額を記入する
    収入金額から「収入を得るために支出した金額」と「特別控除額(50万円)」を引いた金額


    総合譲渡・一時 「コ」と「サ」の合計を2で割って「ケ」を加える
    譲渡所得がない場合は「サ」の2分の1になる


    雑所得・一時所得等の
    源泉徴収税額の合計額
    59 雑所得・一時所得・退職所得などから源泉徴収された合計額を記入する
    該当の所得で源泉徴収を受けていない場合は空欄でOK

    第二表の記入欄

    所得の種類 「一時」と記入する
    収入金額 一時所得の収入金額を記入する
    必要経費等 収入を得るために支出した金額を記入する
    差引金額 「収入金額」から「必要経費等」を引いた金額を記入する

    そのほかの欄の記入方法はコチラ

    まとめ

    本記事では、一時所得を得た場合の申告義務について、会社員の場合と個人事業主の場合に分けて解説してきました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。

    一時所得のポイント

    • 一時所得の計算では「収入を得るために支出した金額」が差し引ける
    • 特別控除50万円」も差し引ける
    • 課税対象となるのは、算出された一時所得の2分の1の金額
    • 確定申告書の第一表と第二表に、一時所得に関する記入欄がある

    一般的な会社員の場合、一時所得を2分の1にした金額が20万円以下なら、確定申告をする必要はありません。ただし、給与所得と一時所得のほかにも所得がある場合は、その金額も加味して考えます。

    個人事業主の場合は、本業の所得である「事業所得」があるはずなので、一時所得の有無に関わらず確定申告するのが基本です。ただし、合計所得が48万円以下なら確定申告をする必要はありません。

    確定申告の義務がある場合、確定申告期間(原則2月16日~3月15日)にきちんと申告しましょう。義務がなければ申告しなくても大丈夫ですが、あえて申告することで、還付金を受け取れることもあります。

    ちなみに、一時所得のごく一部は、確定申告が不要な「源泉分離課税」の対象です。これに該当する所得は、源泉徴収によって課税関係が完結するので、「48万円」「20万円」の基準は関係ありません。

    \ この記事をSNSでシェアする /
    PICKUP POSTS
    ピックアップ記事
    マネーフォワード クラウド確定申告
    RELATED POSTS
    関連記事
    自営業の専門メディア 自営百科
    最新情報はSNSアカウントで