少額減価償却資産の特例 – 30万円未満ならその年の経費にできる

更新日: 2020/09/14
少額減価償却資産の特例 – 30万円未満ならその年の経費にできる

「少額減価償却資産の特例」は、青色申告者だけが受けられる特例です。資産の取得価額が30万円未満なら、これを適用して減価償却を行うと、取得にかかった費用を全額その年の経費にできます。

INDEX

目次

    少額減価償却資産の特例とは

    青色申告者は「少額減価償却資産の特例」を利用できます。これを利用すると、30万円未満の取得価額の全額をその年の経費にできます。そこそこ高額な資産を買っても、通常の減価償却のように数年かけて経費処理をする必要がないのです。

    特例の概要

    対象者 青色申告者(従業員数が1,000人以下の場合に限る)
    対象となる資産 取得価額が10万円以上30万円未満の資産
    適用できる限度額 年間で合計300万円まで(新規開業した年の限度額は月割)

    「取得価額」とは、資産の取得にかかった費用の合計金額のことです。本体価格のほか、送料や手数料なども含まれます。消費税の納付義務がない事業主(=免税事業者)であれば、税込価格で考えればOKです。
    >> 税込経理方式と税抜経理方式について詳しく

    少額減価償却資産の特例は、令和2年度の税制改定によって適用期限が2022年(令和4年)3月31日まで延長されました。この特例は、これまでも2年おきに延長を繰り返してきたので、2022年以降も延長される可能性があります。

    特例の適用をオススメするケース

    次の1.2に当てはまる場合は、少額減価償却資産の特例の適用がオススメです。

    1. その年分の所得税を減らしたい場合
    2. 会計処理をラクにしたい場合

    1.その年分の所得税を減らしたい場合

    少額減価償却資産の特例を適用すると、取得価額のすべてをその年の経費にできます。したがって、利益が多くでた年に取得した資産を少額減価償却資産とすれば、高い節税効果が見込めます。

    2.会計処理をラクにしたい場合

    少額減価償却資産の特例では、取得価額を一括で計上すればよいので、会計処理もカンタンです。通常の減価償却では面倒な会計処理が数年に渡って続きますが、少額減価償却資産の特例を適用すれば、その年で処理が完了します。

    少額減価償却資産の仕訳例

    たとえば、22万円の業務用冷蔵庫を現金で購入し、これを少額減価償却資産の特例を適用して減価償却をした場合、下記のように仕訳します。まずは、購入日で次のように仕訳を行います。

    ① まずは購入日で仕訳する

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月23日 工具器具備品
    220,000
    現金
    220,000
    冷蔵庫

    「工具器具備品」は、事業で利用する工具や器具備品を処理するための勘定科目です。 本例の冷蔵庫以外にも、デスクやパソコンといったオフィス機器などが該当します。

    そして、決算日で次のように仕訳をします。個人事業の決算日は原則12月31日なので、この日付で記帳を行いましょう。

    ② 次に決算日で仕訳する

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年12月31日 減価償却費 220,000 工具器具備品 220,000 冷蔵庫
    少額減価償却資産の
    特例により減価償却

    固定資産台帳への記録も忘れずに

    固定資産台帳とは、取得価額が10万円以上の資産を持っている際に作成する帳簿です。クラウド会計ソフトなどで作成すれば、画面に従って必要事項を入力していくだけなのでカンタンです。以下は、freee(フリー)で作成した固定資産台帳です。

    登録画面 固定資産台帳 一覧画面
    freee 固定資産台帳 登録画面 freee 固定資産台帳 一覧画面

    決算書の記入方法

    確定申告の際には、青色申告決算書の3ページ目にある「減価償却の計算」へ必要事項を記入しましょう。少額減価償却資産の特例を適用する資産が複数ある場合は、次のようにまとめて記載しても構いません。

    【記入例】青色申告決算書「減価償却費の計算」

    記入例 - 青色申告決算書「減価償却費の計算」

    本来、少額減価償却資産の特例を受けるためには、確定申告の際に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を提出しなければなりません。しかし、以下の要件をすべて満たした上で、明細を別途保管している場合は提出を省略できます。

    • 少額減価償却資産の特例を適用した資産の取得価額の合計金額を記入
    • 摘要欄に「措法28の2」と記入
    • 摘要欄に明細書を別途保管している旨を記入

    個人事業主であれば、明細書の形式に規定はありません。資産名、取得年月、それぞれの取得価額や合計金額などが記入してあればOKです。

    まとめ

    「少額減価償却資産の特例」に関するポイントをまとめておきます。

    少額減価償却資産の特例のポイント

    • 対象者は青色申告者のみ
    • 取得価額10万円~30万円のものが対象
    • 取得価額の全額をその年の経費にできる
    • 合計の限度額は年間300万円(開業年などは月割)
    • 2022年(令和4年)3月31日までに取得したものが対象
    • 青色申告決算書の3ページ目にある「減価償却の計算」へ記入する

    減価償却には3つの方法がある

    減価償却には大きく3つの方法があり、取得価額によって選択できる方法が異なります。要件さえ満たしていれば、どの方法を選択しても構いません。

    通常の減価償却 一括償却資産 少額減価償却資産の特例
    概要 定額法 or 定率法で償却する 3年にわたって1/3ずつを経費にする 全額を取得した年の経費にする
    対象者 すべての事業者 すべての事業者 青色申告者
    取得価額 10万円以上 10万円以上
    20万円未満
    10万円以上
    30万円未満
    限度額 なし なし 合計300万円(年間)
    固定資産税 対象 対象外 対象

    利益が多くでた年の所得税を減らしたい人や、会計処理をラクにしたい人には「少額減価償却資産の特例」の適用がおすすめです。