自営業がとことん分かるメディア

青色申告決算書の書き方・記入例【1ページ目】

更新日: 2023/01/05
青色申告決算書の書き方・記入例【1ページ目】

個人事業主の青色申告では、主に「青色申告決算書」と「確定申告書」を提出します。本記事では、2023年の確定申告で提出する「2022年分(令和4年分)」の様式を例に、青色申告決算書の記入方法を解説します。

INDEX

目次

    青色申告決算書の書き方

    青色申告決算書(一般用)は4ページ構成で、それぞれに以下の内容を記入します。4ページ目の「貸借対照表」を作成するのは、55万円 or 65万円の青色申告特別控除をねらう場合だけです。

    青色申告決算書の書き方【記入内容一覧】

    1ページ

    いまココ
    令和2年分以降用 青色申告決算書1ページ 記入例(全体)
    1. 日付
    2. 事業主と事業に関する情報
    3. 売上(収入)金額
    4. 売上原価
    5. 経費
    6. 各種引当金・準備金等
    7. 所得金額
    2ページ 令和2年分以降用 青色申告決算書2ページ 記入例(全体)
    1. 年号と氏名
    2. 月別売上(収入)金額及び仕入金額
    3. 貸倒引当金繰入額の計算
    4. 給料賃金の内訳
    5. 専従者給与の内訳
    6. 青色申告特別控除額の計算
    3ページ 青色申告決算書の書き方・記入例(3ページ)
    1. 減価償却費の計算
    2. 利子割引料の内訳
    3. 地代家賃の内訳
    4. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
    5. 本年中における特殊事情
    4ページ 令和2年分以降用 青色申告決算書4ページ 記入例(全体)
    1. 日付
    2. 貸借対照表 – 資産の部
    3. 貸借対照表 – 負債・資本の部
    4. 製造原価の計算 – 原材料費
    5. 製造原価の計算 – 製造経費
    6. 製造原価の計算 – 製品製造原価

    ほとんどの個人事業主・フリーランスは「一般用」の青色申告決算書を作成します。「農業所得用」と「不動産所得用」は、それらの所得を得ている個人事業主だけが使います。

    青色申告対応のクラウド会計ソフトを利用すれば、日々の帳簿づけによって簡単に青色申告決算書が作れます。もし全て手書きで作成するのなら、2→3→1→4ページの順に記入するとスムーズです。

    1. 日付

    青色申告決算書の1ページ目には、日付を記入する欄が3ヶ所あります。上部の「〜年分」と、左端の「〜年」の年数は一致しないのが普通です。

    令和2年分以降用 青色申告決算書 日付記入例

    令和0□年分所得税青色申告決算書

    2022年分の確定申告(2023年2月16日~3月15日に行う確定申告)では「令和04年」と記入しましょう。

    令和 年 月 日

    青色申告決算書の提出日を記入します。令和5年(2023年)に提出するのであれば「令和5年○月○日」と書きましょう。

    自□□月□□日 至□□月□□日

    確定申告の対象期間の開始日と終了日を記入します。個人事業の会計期間は原則1月1日~12月31日なので、「自□1月□1日 至12月31日」と書きましょう。ただし、新規開業した年分は「自」を開業日の日付にします(「至」は12月31日)。

    2. 事業主と事業に関する情報

    事業主の個人情報や、事業に関する簡単な情報を記入します。右側の「依頼税理士等」の欄は確定申告を代行する税理士が記入する部分なので、自分で確定申告をする場合は何も記入しません。

    青色申告決算書の書き方・記入例(事業主と事業に関する情報)

    各記入欄の書き方

    住所 事業主が住んでいる場所の住所(自宅や自宅兼事務所)
    住民票の住所に関わらず、実際に住んでいる現住所を記入する
    事業所所在地 事業を行っている場所の住所(店舗や事務所など)
    自宅兼事務所の場合は「同上」と記入する
    業種名 営む事業の種類
    例:小売業・飲食サービス業・広告業・建設業・製造業
    屋号 事業で使う「屋号」(会社名のようなもの)
    とくに決めていなければ記入しない
    氏名 事業主の氏名
    2021年4月1日以降は押印不要
    電話番号 自宅と事業所の電話番号(携帯電話の番号でもOK)
    使い分けていなければ片方だけでも可
    加入団体名 帳簿づけや確定申告に関して指導を受けた組合や協会の名前
    どこからも指導や講習を受けていなければ記入しない
    依頼税理士等 確定申告を代行する税理士の情報
    ※事業主本人は記入しない(代筆する税理士が記入する)

    3. 売上(収入)金額

    1年間で得た、事業に関わる収入の合計を記入します。

    青色申告決算書の書き方・記入例(売上・収入金額)

    この金額は青色申告決算書2ページ目の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」に記入する「売上(収入)金額」の「計」と必ず一致します。つまり、ここには「家事消費」や「雑収入」の金額も含めるということです。

    「家事消費」とは、事業用の商品や製品をプライベートで消費すること。飲食業者が、余った食材を自分で食べる場合などが当たる。原則として、家事消費をした商品の販売価格分の金額を収入に加える。

    「雑収入」には、たとえば新型コロナ関連の給付金などが該当します。該当する収入を得ている場合は、その金額も含めて記入しましょう。

    4. 売上原価

    この欄では、在庫の増減と1年間の仕入金額から「売上原価(売れた商品の仕入れにかかった金額)」を計算します。プログラマーやライターなど、そもそも仕入れをしない業種なら、⑦に①と同じ金額を記入するだけでOKです。

    青色申告決算書の書き方・記入例(売上原価)

    各記入欄の書き方

    期首商品(製品)
    棚卸高
    1月1日時点で在庫として持つ商品の総額
    年の途中で開業した場合は、その時点での総額
    仕入金額
    (製品製造原価)
    1年間で仕入れた商品の合計金額
    小計 ②と③の合計金額(② + ③)
    期末商品(製品)
    棚卸高
    12月31日時点で在庫として持つ商品の総額
    差引原価 ④から⑤を差し引いた金額(④ – ⑤)
    差引金額 ①から⑥を差し引いた金額(① – ⑥)

    製造業者などで、製造原価の計算を行っている個人事業主は、③に「製品製造原価」を記入します。その場合は、4ページ目にある「製造原価の計算」を先に記入しましょう。ただ、原価計算は義務ではないので、基本的に③は仕入金額でOKです。

    5. 経費

    1年間に支出した必要経費の金額を、勘定科目ごとに記入します。該当する支出がない部分は空欄で構いません。帳簿づけで自作の勘定科目を使っている場合は、㉕~㉚の欄に書きましょう。

    青色申告決算書の書き方・記入方法(経費)

    各記入欄の書き方

    租税公課 事業に関わる税金や公的な負担金
    例:個人事業税・固定資産税・収入印紙代・組合費
    荷造運賃 商品などを顧客に届けるための費用
    例:宅配便代・段ボール箱・緩衝材・包装紙
    水道光熱費 水道や電気など、事業所に必要なインフラにかかる費用
    例:水道代・電気代・ガス代・灯油代
    旅費交通費 事業上の移動にかかる交通費や宿泊費
    例:電車賃・バス代・タクシー代・出張先のホテル代
    通信費 業務上の通信や郵便にかかる費用
    例:インターネット料金・電話代・切手代・はがき代
    広告宣伝費 事業の広告や宣伝にかかる費用
    例:メディアの掲載費用・HPの制作費用・チラシ
    接待交際費 取引先などとの交際費用
    例:取引先との飲食代・お中元・お歳暮
    損害保険料 店舗や商品などにかける損害保険の費用
    例:火災保険・盗難保険・自動車保険
    修繕費 固定資産を修理した際の費用
    例:建物の修理費・パソコンの修理費・自動車の修理費
    消耗品費 こまごまとした備品の購入費用
    例:オフィス用品・各種伝票・パソコン(10万円以下)
    減価償却費 固定資産の購入費用の一部(少しずつ経費計上する費用)
    例:高額なパソコン・自動車・機械設備・建物
    福利厚生費 従業員の労働環境改善などを目的とした費用
    例:健康診断費・忘年会費・祝い金・慰安旅行費
    給料賃金 従業員に支払う給料
    ※事業専従者に支払う給料は含めない
    外注工賃 外部の事業者に仕事を依頼した際の費用
    例:デザイン発注費・業務委託費用・事務代行費用
    利子割引料 事業用に借り入れをした際の利子など
    例:金融機関の支払利息・手形の割引料
    地代家賃 店舗や事務所の賃借料や使用料
    例:事務所の家賃・レンタルオフィスの月額料金
    貸倒金 売掛金などが回収できなくなった際の損失
    例:取引先の倒産で回収不能になった売掛金
    (空欄) ㉕~㉚ 任意で作った科目があればここに記入する
    (支払手数料新聞図書費・会議費・法定福利費など)
    雑費 他の科目に当てはまらない少額の費用
    例:ゴミ処理代・クリーニング代・引越し費用
    経費の合計金額
    (⑧ + ㉛)
    差引金額 売上原価を除いた収入から経費を差し引いた金額
    (⑦ – ㉜)

    「給料賃金」に計上するのは、従業員に支払った給与の金額のみです。事業専従者に支払った給与は、ここに含めません。専従者への給与も収入から差し引けますが、記入するのは「各種引当金・準備金等」の欄(㊳)です。

    「減価償却費」の算出過程は、青色申告決算書の3ページ目に記入します。減価償却費の計算を自力で行う場合は、3ページ目の「減価償却費の計算」を先に書きましょう。事業用の固定資産を持っていなければ、この欄は記入不要です。

    6. 各種引当金・準備金等

    「引当金」や「準備金」に加え、事業専従者に支払った給与の金額を記入します。「引当金」「準備金」とは、ざっくり言うと「発生しそうな支出や損失に備えて、収入から除外しておくお金」のことです(貸倒引当金など)。

    青色申告決算書の書き方・記入方法(各種引当金・準備金等)

    繰戻額等

    「繰戻額等」の欄には「収入から除外しておいたけど、結局使わなかったお金」の金額を記入します。そもそも、前回の確定申告で引当金や準備金を繰り入れていない場合は、何も記入しません。

    貸倒引当金 貸倒引当金に繰り入れていたが結局利用しなかった金額
    1年間で貸し倒れがなかったら、前回の繰入額と同額を記入
    (空欄) ㉟~㊱ 前回繰り入れた引当金や準備金が他にもあれば記入する
    前回繰り入れた引当金や準備金のうち、繰り戻す金額の合計
    (㉞ + ㉟ + ㊱)

    繰入額等

    「繰入額等」の欄には、新たに計上する貸倒引当金などの金額を記入します。ちなみに、専従者給与もこの欄へ記入することになっていますが、これは引当金や準備金の一種ではありません。

    専従者給与 1年間で事業専従者に支払った給与の合計金額
    専従者が複数いる場合は、全員の給与の合計を記入する
    貸倒引当金 今回、貸倒引当金に繰り入れる金額
    2ページ目の⑤と必ず一致する
    (空欄) ㊵~㊶ 引当金や準備金が他にもあれば記入する
    例:退職給与引当金(稀なケース)
    繰り入れる引当金などの合計と、専従者給与を合わせた金額
    (㊳ + ㊴ + ㊵ + ㊶)

    なお、貸倒引当金の繰入額がある場合は、その詳細を青色申告決算書2ページ目の「貸倒引当金繰入額の計算」の欄に記入します。

    7. 所得金額

    ここまでで算出した暫定的な所得金額から「青色申告特別控除」を引いて、最終的な所得金額を計算します。控除額がよく分からない場合は、青色申告決算書2ページ目にある「青色申告特別控除額の計算」を先に記入しましょう。

    青色申告決算書の書き方・記入方法(所得金額)

    各記入欄の書き方

    青色申告
    特別控除前の
    所得金額
    引当金や専従者給与を差し引いた所得の金額(㉝ + ㊲ – ㊷)
    引当金や専従者給与が無い場合は㉝と同じ金額を記入する
    青色申告
    特別控除額
    原則「10万・55万・65万」のいずれかの金額
    ㊸の金額を超える場合は、㊸と同じ金額を記入する
    所得金額 青色申告特別控除を差し引いた最終的な所得金額(㊸ – ㊹)
    ※マイナスにはならない

    青色申告決算書の1ページ目に記入する内容は以上です。引き続き、2ページ目の記入方法を説明します。

    \ この記事をSNSでシェアする /
    PICKUP POSTS
    ピックアップ記事
    マネーフォワード クラウド確定申告
    RELATED POSTS
    関連記事
    自営業の専門メディア 自営百科
    最新情報はSNSアカウントで