確定申告書 第一表にある「収入金額等」の「区分」には、帳簿の種別を数字で記入します。2023年(令和5年)以降に提出する「2022年分(令和4年分)の確定申告書」を例に、書き方をわかりやすく解説します。
INDEX
目次
収入金額等の「区分」とは?
事業で収入を得た場合、帳簿付けの方法に応じて、区分欄に1~5の数字を記入します。それぞれ以下の通りに帳簿の種別を表します。どの番号を書いても税額に直接の影響はないので、わかる範囲で書けばOKです。
「1. 優良な電子帳簿」に該当するのは、特定の届出書を提出した人だけです(詳細は後述)。電子帳簿保存法に対応した会計ソフトで記帳し、税務署に事前届出をしていない場合は「2. その他の帳簿」に該当します。
「5. 1~4のいずれにも該当しない」というのは、帳簿を適切につけていないことなどを意味します。税務署からお尋ねの電話が来るきっかけにもなりかねないので、なるべく「5」は選ばないほうが賢明です。
1. 優良な電子帳簿
帳簿は紙で保存するのが原則ですが、一定の要件を満たせば電子データでも保存できます。要件の難度により「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」の2種類に分けられます。「優良な電子帳簿」は要件がシビアな上に、税務署への事前届出が必要です。
すべての帳簿を「優良な電子帳簿」として保存している場合のみ、事業収入の区分欄に「1」と記入します(本件、国税局に確認済)。作成した帳簿のうち、1つでも「その他の電子帳簿」が含まれている場合は、区分欄に「2」と記入します。
たとえば「仕訳帳と総勘定元帳は優良帳簿だけど、現金出納帳は優良帳簿じゃないよ」という人は、区分欄には「2」と記入します。
2. その他の電子帳簿
青色申告対応の会計ソフトを利用している人は、優良帳簿の場合を除き、基本的に「2. その他の電子帳簿」に該当します。ただし、複式簿記で記帳していることが前提となります。
- 「やよいの白色申告 オンライン」は電子帳簿保存できる!
- 「やよいの白色申告 オンライン」は、白色申告専用のクラウド会計ソフトです。帳簿画面の見た目こそ“単式簿記”ですが、内部的には“複式簿記”で記録されているので「その他の電子帳簿」の要件を満たせます(メーカーに確認済)。
3. 複式簿記(紙で保存)
複式簿記で帳簿付けを行い、電子帳簿の要件を満たしていない人は「3. 複式簿記」に該当します。この場合、紙で作成した帳簿は紙のまま保存し、パソコン等で作った帳簿は紙にプリントアウトして保存しなくてはいけません。
紙媒体で保存すべき帳簿(主な例)
・エクセルなどで自作した帳簿(電子帳簿保存の要件を満たすものを除く)
・電子帳簿に対応していない会計ソフトで作った帳簿
・市販のノートや帳簿に手書きしたもの
ちなみに「仕訳帳は電子保存してるけど、固定資産台帳とかは紙で作成してるよ!」という場合、事業収入の区分欄は「2. その他の電子帳簿」となります(本件、国税局に確認済)。
4. 単式簿記など(紙で保存)
複式簿記で記帳していない場合は「4. 単式簿記など」に該当します。この場合は電子保存ができないので、すべての帳簿を紙媒体で保存する必要があります。
なお、単式簿記でも青色申告はできますが、青色申告特別控除額が10万円以下となります。せっかく青色申告をするなら、複式簿記で65万円・55万円の控除を狙うのがおすすめです。青色申告対応の会計ソフトを使えば、簡単に複式簿記で記帳できます。
まとめ
事業収入がある個人事業主・副業サラリーマンは、確定申告書の第一表に「帳簿の種別」を番号で記入します。以下の1~5のうち、該当する数字を区分欄に記入しましょう。
一般的な個人事業主向けの会計ソフトを利用している場合は、基本的に「2」に該当します。ただし、税務署への事前届出を行い、作成した帳簿の“すべて”が「優良な電子帳簿」の要件を満たしている場合のみ「1」に該当します。
複式簿記で帳簿付けをしていない人は「4」に該当します。この場合、エクセルなどで記帳していても、必ず紙にプリントアウトする必要があります。「紙の帳簿はやめて、ペーパーレス化したいな」という人は、会計ソフトの導入を検討してみましょう。