個人事業を開業する手順まとめ【独立起業の流れ】

更新日: 2020/09/30
個人事業を開業する手順まとめ【独立起業の流れ】

個人事業を開業するにはいくつかの準備が必要です。本記事では、会社員が独立して一人で個人事業を開業する場合の、大まかな手順についてまとめました。業種や業態にかかわらず必要な手順として、社会保険や税金に関する手続きなどを紹介します。

INDEX

目次

    退職から開業後までの流れ

    会社員が独立して個人事業を開業する際の、大まかな流れは次のようになります。開業に必要な準備は千差万別ですが、本記事ではほとんどの人が必要になる税金関係の手続きを中心に扱います。

    退職から開業までの流れ

    会社を退職してから個人事業を開業する手順について、上記イメージの通り、3段階に分けて説明していきます。「① 退職直後」「② 開業まで」「③ 開業後」の3ステップです。

    ① 退職直後 – 社会保険を切り替える

    会社を退職したら、退職日の翌日から14日以内に市区町村の役所へ行って、社会保険の切り替え手続きを行います。

    退職すると、会社で加入していた「厚生年金」と「健康保険」から脱退するのが基本です。脱退した場合は、厚生年金に替わって「国民年金」へ、また健康保険に替わって「国民健康保険」へ新たに加入します。

    この加入手続きは、自動的には行われないので、退職したら速やかに市区町村の役所へ行きましょう。受付窓口はどちらも同じです。2つまとめて手続きを済ませるとラクなので、以下の書類を用意した上で、印鑑(認印)を持って行くとよいです。

    社会保険の切替手続きで必要となる書類

    国民年金 国民健康保険
    退職日がわかるもの
    資格喪失証明書、退職証明書、離職票など

    基礎年金番号がわかるもの
    年金手帳、基礎年金番号通知など

    身元確認書類
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど

    健康保険の脱退を証明するもの
    資格喪失証明書、退職証明書、離職票など

    マイナンバーがわかるもの
    マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、マイナンバー記載の住民票など

    身元確認書類
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど

    ちなみに健康保険に関しては、2ヶ月以上継続して勤務した事実があれば、それまで加入していた会社の健康保険にそのまま2年間は加入し続けることもできます(任意継続)。任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に、市区町村の役所で手続きを行いましょう。

    ② 開業まで ‐ 税務上の方針を定める

    個人事業を開業する前に「確定申告方式の選択」と「事業拠点の決定」をしておきましょう。いずれも税務署に提出する「開業届」へ記入する事項です。とくに確定申告の方式(白色申告 or 青色申告)は重要で、所得税などの税額にも影響します。

    確定申告方式(白色申告 or 青色申告)の選択

    個人事業主になったら、自身で確定申告をすることになります。個人事業主の行う確定申告は、「白色申告」と「青色申告」に大別されます。

    開業1年目から青色申告を選択するには、開業した日から2ヶ月以内に、税務署へ書類を提出して申請しなければなりません。申請しないと、少なくとも1年目は白色申告しか選べなくなります。申請を出した場合は、2ヶ月を過ぎても取り下げることができるので、ひとまず迷ったら青色申告のつもりで準備を進めましょう。

    事業拠点の決定

    個人事業で店舗やオフィスをもたない人でも、拠点となる住所を決めて開業届に記入する必要があります。税務署からのお知らせなども、その住所に届きます。

    新たに事務所を借りても良いですし、自宅の一部を仕事場にして、自宅兼事務所としても構いません。自宅で仕事をすれば、初期費用や固定費は抑えられます。また、バーチャルオフィスなどを使えば、自宅住所を明かさずに自宅で事業を運営することもできます。

    バーチャルオフィスのしくみ

    ③ 開業後 – 開業届などを提出する

    開業までの準備が終わって、事業をスタート(=開業)したら「開業届」を税務署に提出しましょう。提出期限は開業した日から1ヶ月以内です(期限日が土日・祝日の場合は翌平日へ繰越)。開業届は、税務署や国税庁のウェブサイトから入手できます。

    個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)

    >> 開業届の書き方 – 具体的な記入例で分かりやすく解説

    「青色申告承認申請書」も一緒に提出するのがオススメ

    開業1年目から青色申告をする予定の人は、開業届と同時に「青色申告承認申請書」も税務署に提出しましょう。この承認申請は、開業した日から2ヶ月以内ならいつでもOKですが、同じ日にまとめて行えば手間が省けます。また、郵送で提出しても構いません。

    青色申告承認申請書

    開業日はいつにすればいい?

    開業届には「開業日」を記入する欄があります。この欄には「事業を開始した日」を記入するのが原則です。といっても個人事業であれば、法人における設立日などと違い、厳格な決まりはありません。基本的には、独断で日付を決めてよいということです。
    >> 開業日はいつにする?設定の際に考慮すべきポイント

    開業したら帳簿づけを忘れずに

    個人事業を開業したら、自分で帳簿づけ・確定申告・納税を行うのが基本です。個人事業の会計業務は法人に比べると簡単なので、帳簿づけから確定申告までを事業主自身が行うケースが多いです。最近の個人事業向け会計ソフトは、初心者でも容易に扱えるものが多いです。

    事業用口座やクレジットカードがあると、日々の記帳がラクに

    開業にあたり、事業用の口座やクレジットカードを作成することをオススメします。事業用のお金とプライベート用のお金をハッキリ区別することで、スムーズに帳簿づけができます。

    また、事業用の預金口座やクレジットカードを会計ソフトと連携させておけば、記帳する手間を大きく減らせます。最近の会計ソフトには、入出金データをインターネット経由で取得し、帳簿へ自動的に反映させる機能がついているので、そのぶん手入力の手間が省けるというわけです。

    ※ 必要な人のみ行うこと ‐ 屋号の設定・営業の許認可

    開業準備は、これまで挙げた社会保険や税金に関する手続きだけではありません。たとえば、屋号(=事業上の名称)をつける予定の人や、許認可が必要な業種を営む予定の人は、以下の準備が必要になります。

    屋号の設定

    屋号とは、個人事業を営むうえで使用する事業上の名称のこと。法人でいうところの会社名のようなものです。屋号の設定は任意なので、つけなくても特に問題はありません。事業主の個人名を、そのまま事業上の名称とする人も多いです。

    ただ、特徴的な屋号をつけておくと、事業内容をわかりやすくしたり、顧客や取引先からの信用度を向上させる効果が見込めます。事業内容によっては、ビジネス上のメリットのために屋号の設定をしておきましょう。

    また、銀行にもよりますが、名義を「屋号+個人名」とした事業用口座を開設することもできます。屋号つきの銀行口座がほしい人も、屋号を設定しておきましょう。

    屋号付き銀行口座の通帳

    許認可等の取得 ※必要な業種のみ

    飲食店や美容室など、事業内容によっては事前に許認可などの取得が必要です。ほかにも、中古品の買取において「古物商」の許可が必要であるなど、許認可が必要なケースは少なくありません。ただ、ブロガーやWebデザイナーなどの場合は不要です。

    許認可等の受付窓口は業種ごとに異なる

    許認可の申請窓口は、業種ごとに異なります。取得には数週間かかることもあるので、早めに申請しておきましょう。ちなみに、許認可等が必要であるにもかかわらず、未取得の状態で営業していた場合は、営業停止や罰金などの処分を受けることもあります。

    まとめ ‐ 退職から開業後までの流れをおさらい

    会社を退職したら市区町村の役所へ行って、社会保険の切り替え手続きを行いましょう。健康保険と厚生年金を脱退して、新たに国民健康保険と国民年金へ加入するのが基本です。

    退職から開業後までの流れ

    退職
    • 会社に必要書類(資格喪失証明書など)の申請をする
    • 退職日の翌日から14日以内に役所で社会保険の切り替え
    開業前
    • 確定申告方式(白色申告 or 青色申告)を決めておく
    • 事業の拠点を決めておく
    • 屋号を決めておく ※
    • 営業の許認可などを取得 ※
    開業後
    • 開業日から1ヶ月以内に税務署へ開業届を提出
    • 開業日から2ヶ月以内に税務署へ青色申請書を提出 ※
    • 会計ソフト、事業用口座、事業用カードを用意 ※

    ※の項目は必要に応じて

    社会保険の切り替えが済んだら、開業するまでの準備期間中に、確定申告の方式(白色 or 青色)や仕事場所、必要に応じて屋号を決めておきます。業種によっては許認可が必要になるので、このタイミングで取得しておくと後の開業がスムーズです。

    開業したら、開業日から1ヶ月以内に開業届を所轄の税務署へ提出しましょう。少しでも青色申告をする可能性があるなら、青色申告承認申請書も一緒に提出することを推奨します。

    会計ソフト・事業用口座・事業用カードの作成は任意ですが、用意しておくと帳簿づけが断然ラクになります。事務負担を大幅に軽減できるので、ぜひこれらの導入を検討してみましょう。